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福井県からマツダCX-8 ATF完全圧送式交換 forニューテック最高峰ATF NC-65。

全国各地から弊社のATF交換依頼をいただいています。
私の記憶を辿ると(沖縄県・青森県)からの依頼車両はまだ無かったはず。
両県の方、是非お待ちしています。



福井県から入庫したのはマツダCX-8 KG2P 令和1年式 走行距離10万キロ

ATF完全圧送式交換のご依頼です。


予約入庫から問診。
お預かりをして代車をお貸ししました。


作業は1日で完結させ、日帰り作業になります。



試運転をしてリフトアップ。

ATFの状態をチェックして、オイルパンは外しました。


オイルパンを洗浄し、磁石の鉄粉を除去。
ストレーナーも交換し古い液体ガスケットを除去して、組み立てますね。


弊社では特殊な液体ガスケットを使用しています。
某国から直輸入している高性能液体ガスケットなら、装着後スグに次の作業が始められて、シーリング性能も非常に高い。


日帰り作業で行うには、確実で手際よい作業が求められます。

オイルパンを組付けて、排出した分のATFを補充。
完全暖機後に専用アダプターをATに接続。

これで密封式ATでも圧送式交換が可能になります。



本命ATFで交換する前にまずはプレ洗浄。

プレ洗浄に使用するATFはニューテックNC-RFリンシングフルード。



全国でもトップクラスのATF交換実績のある弊社では、プレ洗浄用フルードはスグに無くなる。

20Lペール缶では追い付かないので、200Lドラム5本の1000Lでオーダーしています。


日本でプレ洗浄用フルードを大量に在庫している整備工場は恐らくないと思います。(年間施工台数が他社とは全然違うので。)


ブログで紹介しているのは、実際の施工台数の一部です。

ニューテック謹製NC-RFは弊社が企画し、ニューテックさんに開発していただいた専用リンシングフルード。http://minato-motors.com/blog/?p=17434


本命ATFを使用するために最適化されたリンシングフルードを使用してのATF完全圧送式交換は日本では弊社のみになります。


それでは全量イッキにNC-RFで圧送式交換をしますね。


・左奥が新油モニターのNC-RF
・中央ビーカーが廃油ATF
・右手前のクリーナーモニターがプレ洗浄後のATF

交換前の廃油と比べて、プレ洗浄後はかなりキレイになりましたね。



15分間のアイドリングタイム。
次は本命ATFで交換します。


ニューテック史上最高峰ATF 『NC-65』
全化学合成ハイパフォーマンスATF(エステル系)


極薄で強靭な油膜性能はローフリクション・ハイパフォーマンス。
高温・高回転・高負荷時でも安定した油膜性能を発揮。
エステル系基油を贅沢に使用しているので、なかなか劣化せず長寿命。


純正ATFの数段上を行く、市販ATFで最強レベルの高性能フルード。
高トルクスカイアクティブD車にお勧めしています。


ニューテックNC-65のレビューはみんカラ等のSNS等で絶賛されていますので、弊社が宣伝する必要もないでしょう。

おかげさまで依頼車両の8割以上は(NC-RF & NC-65)でのATF交換をオーダーされます。


ATFチェンジャーにセットして、圧送式交換をしますね。


完璧に入れ替わりましたね。
ここまでキレイに入れ替われば、次回交換推奨距離6万キロ以上です。


ストリート走行レベルの負荷では簡単に劣化しないので、長く使用出来てロングライフですよ~。



ATFクーラーを洗浄し、規定温度でATFレベル調整。
ATF量は多くても少なくてもNGです。


オプション整備のリアデフ・トランスファギアオイル交換。
ニューテックNC-70 75W90
全化学合成ハイパフォーマンスギアオイル (エステル系)







最後に試運転をして、無事当日納車となりました。


マツダCX-8などのスカイアクティブ6速ATで、ニューテック(NC-RF & NC-65)でのATF完全圧送式交換が施工可能なのは日本で弊社のみ。


御見積・ご予約はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしています。
ぜひニューテックのATFを体感してくださいね。
それではHAPPY CAR LIFE!!

デリカD-5 CV1W リフレッシュプラン後編。    サスペンション・ブレーキもリフレッシュ。 ホイールアライメント調整!!

前回・前々回ブログで紹介した大阪市から依頼のデリカD-5 CV1W ディーゼルエンジン 走行距離12万キロ。


車両全体を整備するリフレッシュプランを依頼されました。
最優先のディーゼルエンジン整備がDSCとマルチサーブで完了しました。
http://minato-motors.com/blog/?p=38899 DSC
http://minato-motors.com/blog/?p=38959 マルチサーブ

今回のブログではサスペンションやドライブシャフト・ブレーキやATF交換等を整備していきます。



リフトアップしてタイヤを外し、サスペンション整備。

少し前にショックアブソーバー関係はKYBに交換済みだそうで、今回はサスペンションブッシュ関係を整備させていただきます。



リアサスペンションアームブッシュ交換。

ブッシュ単体で部品供給される箇所は油圧プレスで圧入交換。
アームASSYでしか供給されない部品はASSY交換になります。






ロアアームを外しますのでスプリングインシュレーターも同時交換しました。




フロントロアアームはブッシュやボールジョイントの単体供給は無いので、アームASSY交換になります。


前後スタビブッシュも交換しました。






劣化しやすいフロントドライブシャフトをリフレッシュ。

純正ブーツグリスKITでO/Hしました。

半固体のグリスが液体状になれば寿命ですよ。
またシャフトブーツもIN側はゴム製ですので劣化して割れます。


定期的に整備すればドライブシャフトも長く使えるんですよ。


CV1WのデリカはFr右のアウターブーツKITは部品供給がありません。
(Fr右のみブーツを再利用し内部洗浄して、グリス注入してブーツバンドを交換しました。)




ハブベアリングはFrのみ交換を提案しました。


フロントは圧入式でバラバラに分解しないと交換が出来ません。
また交換時にはホイールアライメント調整が必要です。
今回同時に実施しておけば無駄な工賃の重複が省けますよね。



リア側はボルトオンで固定されているので、あとから簡単に交換可能。
悪くなって異音が出てからの交換で良いかと思います。


ちなみにフロントハブベアリングは単体供給で部品代は安価ですが、リアはベアリングASSYになるので部品価格はなかなか高額。


予算に合わせて整備提案をさせていただいています。


ブレーキのキャリパーは以前に地元で整備済み。

今回はディスクローターを研磨再生して、ブレーキパッドをリフレッシュします。

前後のディスクローターを研磨再生し、耐熱塗装(500℃)でリフレッシュしました。

ブレーキパッドはWAKO’S BPR高性能ブレーキパッドグリスで組立。

エンジンマウント 全数交換。
前・右・後・左の順番で交換難易度があがります。

後側のエンジンマウントは簡単に外れそうで外れない。
サブフレームを降ろさないとブッシュ交換が出来ません。


左側のミッションを支えているマウントは固定ボルトを回すスペースが無いので、周辺部品をゴッソリ外さないとボルトが回せないんですよね。


最後にマウントブッシュの1G締付。
マウントブッシュに無駄なテンションが掛からないように、順番にボルトを締め付けていきます。

狭いデリカD-5のエンジンルーム。
その奥にある樹脂製インテークダクトパイプ。

このパイプのバンド締付部が高確率で割れるので、今回の整備時に新品パイプに交換しました。

車齢10年 走行距離12万キロでの予防整備ですね。

ATF交換を行いますが、この車両は過去に何度もATF交換済み。

そこで今回はプレ洗浄等は省いて、いきなり本命ATFで圧送式交換をしました。



使用する本命ATFはニューテック史上最高峰ATF(NC-65)
全化学合成ハイパフォーマンスATF エステル系

・極薄で強靭な油膜性能はローフリクション・ハイパフォーマンス
おそらく市販ATFでは最強レベルの油膜性能。


ドライブシャフトを外した時に排出した分のATFはニューテックNC-RFを補充し、ATFチェンジャーで全量イッキに圧送式交換をしますね。


キレイに入れ替わりましたね。

プレ洗浄を行えば色までキレイに入れ替わりますが、無しでもここまでキレイになったので全く問題ないでしょう。


次回交換推奨距離は6万キロになります。


トランスファとリアデフオイル交換
ガルフプロガード 75W90で交換しました。



ブログ前編のDSC時には冷媒ガスを530gを回収しており、リチャージと同時にカーエアコンリフレッシュαで冷媒ガス780gをリチャージ。


冷媒ガスリフレッシュと同時にニューテックNC-200コンプブーストを注入。 コンプレッサーの気密潤滑を強化しました。


整備リフトからアライメントリフトに移動。

タイヤが4輪接地した状態で1G締付を行います。



サスペンション整備時の必須作業(1G締付)

1G締付についてはググっていただけると分かりやすく解説しているのでそちらを参考に。


簡単に言えば組付け時に発生するブッシュの捻じれを取りましょう!という作業。  それをしないと走行中は捻じれたブッシュに負荷が掛かりすぎるので、交換したブッシュが早期破損します。


それを(やらない・やれない)整備工場もありますが、弊社ではサスペンション整備時には確実に行っています。



そこから試運転をしてブッシュを馴染ませてから、サスペンション整備時にもう一つの必須作業(ホイールアライメント調整)を行います。



調整用カムボルトを中立の位置にして組み立てても、ホイールアライメント調整前はこんな感じでバラバラな数値。

これでは真っすぐに走る事は難しく、ハンドルも曲がった状態で走る事になるでしょう。



車体下に潜り込んでホイールアライメント調整を行いますね。

・ハンター社最新鋭ホイールアライメントテスター WA470ホークアイ
・イヤサカ社高剛性ビシャモンマルチアライメントリフト


整備後のホイールアライメント数値

最終的にはこんな感じで調整しました。

上の画像がサスペンション整備後の数値。
下の画像は入庫時の測定したアライメント数値。

参考 整備前のホイールアライメント数値

サスペンション整備後にはホイールアライメント調整は必要なんです。
ですが国内の自動車整備工場でホイールアライメントテスターとアライメントリフトを導入しているのはほんの僅か。(国産車ディーラーも同様)

おそらく輸入車ディーラーの整備工場にはほぼ導入しているはずですが、国産車メインの整備工場となると・・・・でしょう。



先進運転支援システム(ADAS)は搭載された最新の車両などは、更にホイールアライメント調整が必須作業なんですけどね。


作業を終えて試運転。

いつものテストコースを走ります。
高速走行からのブレーキングや市街地の凹凸走行などをして、異音や振動・整備ミスが無いかを入念にチェック。

帰ってきてから再リフトアップ。
オイル漏れや締め忘れなどを何度も確認。



リフレッシュプランでは百か所以上はボルトナットを緩めて締めて。

締め忘れをしない為にはマーキングが確実。
締め付けたら必ずマーキングをする習慣を付ければ、締め忘れのミスは無くなります。



下回りのマーキングは気にしていませんが、エンジンルームのマーキングは雑にすると美しくないので、ユーザーさんの目に付きやすい箇所は極小のマーキングに留めています。


タイミングベルトなどカバーをして再確認しにくい箇所のマーキングは、デジカメで撮影しています。



(○○は武士の恥)ならば、(締め忘れは整備士の恥)かな?と思っています。


デリカD-5 リフレッシュプラン3部作を見ていただいてありがとうございます。

デリカD-5へのDSC・マルチサーブのご依頼・御見積は、HP(お問い合わせフォーム)からお待ちしています。


また車両全体を新車時に近づけるリフレッシュプランをご希望の場合も同様に、HP(お問い合わせフォーム)からご相談ください。



どうぞ宜しくお願い致します。

大阪市からデリカD-5 リフレッシュプラン中編。  DSCインテーク煤除去のあとは、マルチサーブでインジェクター・DPFシステム洗浄。

前回ブログで紹介したデリカD-5 CV1W 平成26年式 走行距離12万キロ
リフレッシュプランで入庫しました。

まずはDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)
ディーゼルエンジンのインテークに堆積する煤を完全除去しました。
http://minato-motors.com/blog/?p=38899


次はインジェクターとDPFをマルチサーブでシステム洗浄します。




欧州から導入したマルチサーブ。

ディーゼル車の普及率が高いヨーロッパではディーゼル整備も一歩先を行っています。 


あちらの市中ではまだまだディーゼル車が多く走っているので、年数の経過したディーゼルメンテナンスは必須作業なのでしょうね。

日本ではディーゼルエンジンへの整備意識が低いので、知らない方が多いのが現状。   ディーラーさんも販売する時には何も言わないですから。

まずは作業スペース確保のためにワイパーやガーニッシュ等を外します。

エアクリケースの奥にあるフューエルラインにマルチサーブのIN・OUTホースを接続。 

(燃料タンクにある燃料ポンプは作動させず、タンクの燃料も使用しません。)



マルチサーブからインジェクター洗浄ケミカル(ディーゼルシステムパージ)を送り込み、(燃料サプライポンプ・コモンレール・デリバリーパイプ・インジェクター・燃焼室)にあるスラッジ・カーボン(煤)をゆっくり洗浄します。





サプライポンプで高温高圧圧縮された軽油は、どうしても少しだけ汚れが発生します。


その汚れはインジェクターのニードル部などに少しづつ付着し、燃料噴射の弊害になります。

メーカーもその汚れは承知しているので、ECUで演算し燃料噴射量を増減させてリカバリーしてエンジン制御しています。


でもね。それも限度があります。
酷くなるとインジェクターの作動不良・振動・加速不良になるので、そうなる前に定期的なメンテナンスは必要なんですよ~。




1000mlのディーゼルシステムパージを投入。


強力洗浄にセットして、約75分ほどエンジンを掛けながらの洗浄工程。
ゆっくり確実に洗浄していきます。





75分ぐらいで作業は完了。
インジェクター洗浄システムが終われば、元の状態に組み立て。



オプション整備として今回はフューエルフィルターも同時交換しました。

エンジンルームの最深部にフューエルフィルターがあるので、マルチサーブと同時に交換した方が工賃が安くなります。





フューエルフィルターの内部を覗き込むと、濾過紙が真っ黒ですね。
この汚れがインジェクター内部などにもあるので、マルチサーブでの定期洗浄は必要なんですよ。

新品フィルターに交換しました。





次はDPFシステム洗浄を行います。

マルチサーブのホースをDPF上流に繋がるパイプに接続。


DPF洗浄用ケミカル1液目(DPFクリーナー)1000mlをマルチサーブに投入。

これがマルチサーブからDPFに直接注入されます。

DPFにセットして強力洗浄を選択。

あとは液晶画面の指示通りに作業を進めます。



DPFクリーナーを注入後、次は2液目(DPFフラッシュ)1000mlをマルチサーブ投入。



市販の安価なDPF系洗浄用フォームは容量が少なすぎると思います。
WAKO’S製品は弊社でも取り扱っていますが非採用。
あちらのケミカル容量は165ml (ディーゼル2)。


マルチサーブ専用品と一般市販品ではケミカル容量だけでも6倍ほど違います。
それにマルチサーブはクリーナーとフラッシュで2000mlですから、12倍ほど使用するケミカル量が違うんですよ~。


この辺りは本格的な整備用品とDIY商品との違いでかね。



エンジン回転数を上昇させてDPF温度を高め、洗浄効果を促進。
そうすると猛烈な廃液がマフラーから出てきます。

同時に白煙や異臭が作業場が酷い状態になるので、排煙廃液回収装置を開発し、廃液は装置で回収しています。


回収装置の一部はクリアパイプを使用し、廃液の色や状態を確認しています。
廃液の色は黒・灰・茶といろいろありますが、DPFコンディションによって変化しますね。

今回は茶色で結構汚れていました。


DSC後もマルチサーブ後も最後には燃料噴射量再学習や各部リセット初期化しています。

強制燃焼をしDPF差圧センサー等の数値も確認して完了です。




納車時にはインジェクター用とDPF用の各アフターケミカルを手渡ししています。


インジェクターにはディーゼルエクストリームクリーナー
DPFにはDPFリジェネレーター
どちらも容量は500lm

燃料タンクに抽入してインジェクターとDPFを洗浄していくケミカルです。


マルチサーブの装置で即効的に、アフターケミカルで遅効的にと、W洗浄で効果を高めています。




大阪から依頼されたデリカD-5のリフレッシュプランは、ディーゼルエンジンのメンテナスを最優先に依頼されました。(DSCやマルチサーブ洗浄はディーラーさんでは出来ないので。)



次回後編ブログもデリカD5 リフレッシュプランの続きを紹介します。
サスペンションやドライブシャフトなど足回り下回りの整備を紹介しますね。

それではお楽しみに!!  HAPPY CAR LIFE!

大阪市からデリカD-5 CV1W リフレッシュプラン前編。ディーゼルインテークの煤除去作業。 ドライアイス洗浄のDSC!!

全国各地からの作業依頼車両が入庫していますが、今回は地元大阪からのご依頼です。


三菱デリカD-5 CV1W ディーゼル 平成26年式 走行距離12万キロ
車両全体を整備するリフレッシュプランのご依頼です。


前編 DSCの施工
中編 マルチサーブの施工
後編 その他のリフレッシュプラン整備
今回のデリカD-5は3回に分けて紹介しますね。






メールお問い合わせ時の相談内容

・車齢が10年10万キロ経過しリフレッシュプランを希望。
・ディーゼル インテークに堆積する煤を除去したい。

・エンジンマウントやサスペンションブッシュなどのゴム部品を交換したい。
・ショックアブソーバーとブレーキキャリパーは既に地元で整備済み。




メール相談時にオーナーさんが実施したい整備を教えていただけるとすごく助かります。

内容と予算をお聞きして、相談しながら整備プランを練っていきますね。



予約から入庫までの流れはこんな感じです。


・メールでのやり取りをしながら、希望整備や予約入庫日の決定。

・入庫1か月前に予約前金を振り込んでいただいて、ある程度の部品を先行発注します。

・予約日に入庫。 問診をして詳しく整備内容を説明します。

・試運転をして事前ホイールアライメント測定し、リフトアップして車両点検。

・希望される整備、弊社が推奨する整備、整備予算 これらを考慮しながら整備プランのお見積もりを作成し提案。

・どこまで整備するかを相談して、OKがもらえたら作業がスタートします。





車種は違いますがリフレッシュプラン予約から納車までの流れをブログにまとめました。
宜しければ覗いてみてください。
http://minato-motors.com/blog/?p=31370



前編ブログではDSCから紹介しますね。





オーナーさんがぜひ実施してほしい整備はディーゼルエンジンのインテークに堆積する煤除去作業。


まだまだ長く愛車を使用したいので、10年目の今回の整備でその辺りをリセットしたいと相談されました。



デリカD-5ディーゼルのインテークに堆積する煤を除去するには、インテークマニホールドを外す必要があります。   そうするとエンジンヘッドのインテークポートが確認でき、除去作業も可能になる。

ただD-5 CV1WのエンジンはマツダのSKY-DやハイエースのKD系ディーゼルエンジンのように簡単には分解できない構造。  (作業スペースが狭いから)




いろいろ分解するには時間が掛かるので、必然的に料金が高額になる。
相談はあってもなかなか実施出来ない状態が続いていました。




今回のオーナーさんは(煤除去を最優先に)整備してほしいと依頼されましたので、初めてこのエンジンでDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)を施工する事にチャレンジしました。



ご存じデリカD-5のエンジンルームは激狭。
ボンネットを開けてもエンジン半分しか見えません。



フロントグリルを外してフロントバンパーも外す。
ラジエター・ファンシュラウド・コンデンサーなども外す。


そうすれば作業スペースが出来るので、インテークマニホールド・吸気シャッターバルブ・水冷EGRクーラーなどを分解出来ます。



ACコンデンサーを外すので、エアコン冷媒ガスを回収します。

規定充填量は780gで回収量は530g。
約250gほど減っていたようです。


最後にカーエアコンリフレッシュαでリチャージしますね。
(後編ブログでリチャージ作業を紹介します。)


インテークマニホールドを外すとその奥にある水冷EGRクーラーを分解。

ボンネットを掛けた状態では見る事も出来ないEGRクーラーも、ここまで分解すれば外す事が出来ます。



独特な形状をしているインテークマニホールド内部に堆積している煤をホジホジ。

こぶし大ぐらいの煤が堆積していました。
これでは吸気の流れが悪くなり、燃焼効率が落ちるのでトルクが薄くなりますね。



EGRバルブには煤堆積は無いようです。
これならドライアイス洗浄で簡単にキレイになるでしょう。





水冷EGRクーラーはこんな感じ。
こちらは超音波洗浄機と特殊ケミカルでキレイにしていきます。





これでやっとインテークポートを確認。
煤の堆積が酷く、インテークポートの内径が狭くなっていますね。

見えにくいですが最深部にあるインテークバルブ傘部には大量の煤が堆積しています。


こうなるとどうなるか??

インテークポートなどの吸気経路が狭くなると吸気流速は早くなるのですが、燃焼室に流入する流量は減ります。  (ボトルネック)



河川でもそうですが川の流れにボトルネックで狭くすると、ボトルネックの部分だけ流れが速くなりますよね。 そしてボトルネック部下流では流れが遅くなる。


重要なのは流速ではなく、流量です。
下流にある燃焼室に空気が多く充填されないと、本来の性能は発揮出来ないのです。


上記画像は最新トヨタディーゼルの資料ですが、以前までは流速を早めて旋回渦の形成に重点を置いていましたが、それよりも高効率に抵抗なく空気を燃焼室に充填した方がエンジンパフォーマンスが向上するそうです。



・余計な場所で煤が堆積し、流動吸気の効率が落ちる。
・加速不良やトルク低下、最悪の場合は白煙・黒煙発生。
・燃焼効率悪化は煤も多く発生させ、煤がトラブルを多岐に招く。
・いずれ下流にあるDPF等も詰まる。



『ディーゼルエンジンは空気を吸ってナンボのエンジン。』
エンジン吸気上流から空気を吸って燃料を燃焼させ、排気ガスが下流に流れる。

クリーンディーゼルの不具合は多岐に渡りますが、まずは上流から整備しないと原因が分からないですよ~と弊社ではアナウンスしています。




試しに手作業でホジホジしてみました。
(圧縮上死点にセットし、インテークバルブは全閉)


ベタベタした大量の煤でキリが無いですね。
手作業で完全除去するのは困難でしょう。





弊社が9年前に開発したDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)http://minato-motors.com/dsc/

・マツダ スカイアクティブD
・トヨタ KD系ディーゼルエンジン
・トヨタレクサス GR系ガソリン直噴
・マツダ、日産 ガソリン直噴
累積施工台数は軽く千台以上。


ドライアイス洗浄を用いてデリケートなインテークポート内の煤を除去洗浄しています。



その応用で三菱デリカD-5の4N14ターボも対応しました。



ドライアイス洗浄を自動車エンジン整備に活用したのは弊社が世界初。

ドライアイス洗浄を導入しDSCをリリースした9年前は自動車整備業界でも話題になり、テレビや雑誌の取材依頼が多かったです。  (忙しすぎたのでもちろん全部断りましたけど・・・)



ドライアイス洗浄とは
・-78℃のドライアイスペレットを圧縮空気で高速噴射。
・熱収縮と昇華爆発力で付着物を母材から剥離。


柔らかいドライアイス粒ではアルミ金属はノーダメージ。
短時間で煤を除去する事が出来るのがドライアイス洗浄のメリット。




それを短時間で確実に行うにはDSC専用ノズルとアダプターが必要。
デリカD-5用のノズルは未製作なので他の数種類あるノズルとアダプターを組み替えてドライアイスショットを行いました。

(近日中に専用ノズルを製作予定。)




テストで軽くワンショットすると、ドライアイスが直撃した箇所だけキレイに剥離しましたね。


全てがキレイになるようにドライアイス洗浄を繰り返します。





4気筒8ポート全て洗浄完了。


クランクを回しながら圧縮上死点に合わせて、1気筒づつ作業をしました。


これで空気の流れが良くなったのは一目瞭然。


インテークマニホールドや吸気シャッターバルブ。
水冷EGRクーラー・EGRバルブ。

これらもキレイに洗浄しました。



無駄な部品交換は必要なく、洗浄で再生。
ガスケットとゴムホースは新品に交換します。






インテーク部品を組み立て、LLCを補充し暖機。
各学習値初期化・再学習を実施。

ここまでがデリカD-5 CV1WのDSC作業内容です。




以下は同時に実施したらどうですか??というオプション整備を紹介します。



デリカD-5 4N14エンジンのDSCでは、お伝えしたようにラジエターを外します。

このラジエターはガソリン・ディーゼル共に同じような形状で、コンデンサー取付部が熱劣化で割れやすい。(LLC漏れになるウィークポイント)



車齢10年目でリフレッシュを希望されましたので、予防整備で新品ラジエターに交換します。    またラジエターホース類も交換しました。


DSCと同時ならラジエター交換工賃はほとんど掛からないので、DSC時のラジエター交換はおススメですよ~。



LLCも圧送式交換を提案しました。


通常は排出したLLCを補充するだけですが、弊社ではLLC圧送式交換をオススメしています。


ラジエターホースにラジエターリフレッシャーをバイパス接続。

LLCを冷却ラインに脈動圧送し、エンジン・ヒーター・ラジエターを循環させて戻ってきます。

戻ってきたLLCを高密度ダブルフィルターでろ過再生。
再循環させながらLLCをキレイにしていきます。



エンジン始動させながら完全暖機まで30分ほど作動させて、冷却ライン内の浮遊物をろ過していきます。





ろ過再生出来れば、劣化しているLLC添加剤を補強。
LLC再生強化剤を注入し、防錆消泡性能を強化してスーパーLLC同等に回復させます。




この後に燃料噴射再学習や各学習値のリセット初期化を行いますが、それは次回ブログで行うマルチサーブと一緒に紹介しますね。



デリカD-5 のDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)の紹介はここまで。リフレッシュプランは次回ブログに続きます!!



それではHAPPY CAR LIFE!!