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大阪府からハイエースKDH201 ディーゼル白煙・黒煙・加速不良 前編。 マルチサーブでインテーク煤除去・インジェクター&DPF洗浄。

関西・中部地方や中国・四国地方からハイエース ディーゼルのエンジン不調への依頼が多いですね。


KD系・GD系のディーゼルエンジンは頑丈ですが、15万キロを超えてくると徐々に不具合が表面化してきます。

(マフラーから出る白煙や黒煙、加速不良にエンジン振動などなど)





今回地元大阪府から入庫したのはハイエース KDH201 H23年式 走行距離20万キロ

クリーンディーゼルエンジンのマルチサーブを依頼されました。


HP(お問い合わせフォーム)から相談をいただいて予約入庫してもらいました。https://minato-motors.com/contact/




まずは問診と作業説明。

どのような時にどのような症状が出るのか?
過去の整備歴や不具合点をお聞きしています。


マルチサーブはディーゼルエンジンへの万能整備ではありません。

どんな不具合もマルチサーブで全て解決!!ではなく、施工する事によって順番に診断をし、本当の不具合箇所を見つけるのが目的。


順番に紹介しますね。


スキャンツールで警告灯のダイアグコードを確認しリセット。

ライブデータの数値を確認・保存して、現状の状態と不具合症状とを検証します。



つい最近地元ディーラーさんで車検整備。
黒煙が出ていますが何とか車検は通過しました。
次回は難しいかも??

と車検から帰ってきたそうです。

(車検の甘~い基準をクリアすれば、車検合格になります。)
(車検合格=次回車検まで快調に走れるではありません。)





その後の不具合が・・・。
・エンジン音が大きい。(加速時にはさらに酷い)
・白煙があり、加速時には黒煙が酷い。
・仕事で使用している。

弊社でも現状を確認し、まず最初に(マルチサーブ インテークカーボン洗浄システム)を行います。


狭いエンジンルームに埋め込まれたエンジンのインテーク系を分解します。


整備士ならこの画像だけで(インテーク分解するの嫌だな~)と思うでしょう。
上から横から下からアクセスして、分解するのは結構大変なんです。

やっと水冷式EGRクーラー全体が見えてきました。

・フューエルパイプ
・バキュームパイプ
・各バルブ類 各スイッチ類
ギッシリ部品が装着していますが、順番に分解していきます。



水冷式EGRは内部経路が煤で詰まりそう。


特殊洗浄機と超音波洗浄機で内部を洗浄してリセットしますね。




この時点でインテークマニホールドの入り口が見えます。
煤堆積が酷くない場合は、洗浄したEGRクーラーや各バルブを組み立てて、後で紹介するマルチサーブのインテーク洗浄に移行します。

インテークカーボン洗浄の基本料金では、ここまで分解します。






ですが今回は煤堆積が酷いのでインテークマニホールドも分解し、エンジンヘッドのポート内まで確認し洗浄します。 (ここからの分解洗浄は別途オプションです。)

2分割のインテークマニホールド。
外すとスワールコントロールバルブが見えてきました。


バルブのシャフトを手で動かそうとするが、動かない。
バルブシャフトが煤堆積で固着していますね。



これでは丸いバルブが開閉せず、低回転時のトルクが薄くなり、パワーも出ない。


4気筒8ポートを確認。

やはり煤が堆積してポート内径が細くなっていますね。
そうすると吸気に抵抗が掛かり、燃焼室への空気充填率が低下します。



(入るはずの空気量)と(実際入る空気量)に誤差が出てくるので、エンジンパフォーマンスが低下するのですね。



・スワールコントロールバルブ
・水冷式EGRバルブ
・エレクトリックEGRバルブ

これらはECUからの指示信号で開閉制御しています。



ECUが指示を出して実際に開閉してなくても(そのバルブは動かない!不良だ!)というエラーコードは出ない場合があります。 (そこまで自動車の自己診断機能は優秀じゃない。)


その代わりに全然違うところで不具合が発生したり、違う個所のダイアグコードが出たり、訳の分からない症状が出たりするのです。



自動車整備の故障診断って大変なんですよね。



エンジン警告灯はあくまでも不具合のサインで、故障個所をズバリと示してくれない場合が多いのです。


各部品を洗浄して開閉テスト。
ペコペコ丸いバルブが開閉しています。


仮設スイッチング装置で疑似信号を送り、開閉するかを確認。




ただ単に洗浄するだけではダメ。
各装置が動くのかを地道に調べるのが、クリーンディーゼルの整備には必要なのです。

外した部品は完璧に洗浄しました。
新品同様になりましたね。






次はエンジンヘッド・インテークポート内の洗浄。

本来ならDSCで簡単除去出来るのですが・・・。




ハイエースはエンジンルームが狭く、DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)が出来ないので、ドライイアス洗浄以外の方法で煤を除去しました。


地道にポート内の煤を除去しますね。

ドライアイス洗浄が出来れば100%キレイになりますが、そうでないと10%ぐらいは煤が残ります。




そこで登場するのがマルチサーブのインテーク洗浄。
マルチサーブのケミカル剤で煤を洗い流します。





煤で詰まりかけだった水冷EGRクーラーもキレイになりました。


新品ガスケットで組立。

インテーク・EGR系部品の組み立てが終われば、LLCを補充しエンジン暖機。
暖気が終わればマルチサーブの洗浄作業に移行。





堆積した煤を除去せずに、いきなりマルチサーブ洗浄を行っても効果が薄い。  (高額なケミカル剤の使用本数を増やせば良いのですが、費用が高額になりすぎる。)


地道に手作業である程度煤を除去してから、ケミカル洗浄する方が圧倒的に洗浄効果は高く、しかも安価。




マルチサーブのアトマイザーコーン(噴霧器)をインテークの吸気シャッターバルブに接続。

霧状に噴霧した(ディーゼルインテーククリーナ 1000ml)を吸気経路に送ります。


30秒で1回噴霧を繰り返し。
霧状になったケミカル剤が、吸気の流れに乗ってドンドン燃焼室まで届く。


インテークポートまでは完璧にキレイなので、奥にあるインテークバルブ傘部や燃焼室にある煤にダイレクトでケミカルが吸着します。


ケミカル剤で硬い煤粒子を分解するのは無理。
そうではなく煤粒子の結束を緩めて、金属から剥離させるだけ。


ゆっくりジワジワ時間を掛けて、結束が緩んだ煤粒子が吸気の流れに乗って燃焼室へ。


煤粒子とケミカルは、高温燃焼。
約2時間ほどエンジンを掛けながら、取り残した煤堆積をキレイにしますね。





洗浄中は猛烈な異臭がマフラーから出ますので、排煙回収装置を作動させながら作業しています。



1000mlのケミカルが無くなれば作業完了。
インテークの部品を組み立てて、エンジン状態をチェック。

各部リセット&再学習を実施。


これが弊社の(マルチサーブ インテークカーボン洗浄システム)です。


次回ブログでも引き続きハイエースKDH201のマルチサーブを紹介します。

ターボやDPFなどもマルチサーブ洗浄しますので宜しくお願い致します。
それではHAPPY CAR LIFE!!



2025年2月7日

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