和歌山県からハイエースKDH201 エンジン不調でマフラーからの白煙・黒煙!! マルチサーブでインテーク煤除去。 前編。
和歌山県から入庫していただいたのはハイエースKDH201 平成22年式 走行距離20万キロ
ディーゼルの煤除去やインジェクター・DPF等の洗浄で相談されました。

相談内容
・少し前からマフラーから黒煙・白煙が出る。
・地元整備工場でも原因が分からないのでネットで調べると、ミナト自動車に辿り着いた。
・改善したいので見積希望。
こんな感じでHP(お問い合わせフォーム)から相談がありました。
ありがとうございます。

ハイエースに搭載されているKD系・GD系エンジンは、クリーンディーゼルエンジンの中では高耐久性が有るかと思います。
それでも10万キロ・15万キロ走行すると、少しずつ違和感・不調を覚えるでしょう。
燃費が低下した、加速が鈍い、振動が大きい、音がうるさい。
その少しの違和感や不調を無視し続けると、流石の頑丈なハイエースでも故障が表面化してくるのです。

地元整備工場に相談してもスキャンツールを接続して(ダイアグコード 異常コード)が無ければ、故障の解消するのは難しいのが現状。
もしくは関係のない部品まで交換して、(しばらく様子を見て下さいね。)と言われるでしょう。
最近弊社に相談があるハイエース不調は、大体このパターンが多いですね。


HP(お問い合わせフォーム)からの問い合わせから、マルチサーブの作業説明と御見積をメール返信し、予約となりました。
後日入庫してもらい問診と説明。
メールでは伝えきれない内容を口頭で説明し、詳しく症状をお聞きしています。
ハイエースのマルチサーブ 一式は1週間預かり。
代車をお貸ししてお預かりしました。

ハイエースのエンジン・インジェクター・DPFの不調は、吸気~排気までをトータルで診ていかないと解消しません。
DPF(DPR)の警告灯が点灯したから、DPFが悪いわけではない。
(それ以外の原因も考えられる。)
川の流れのように上流から下流に。
エンジン吸気上流から下流の排気へ。
各部品をクリアしていくことが、結果的には近道なのです。

マルチサーブ インテークカーボン洗浄システムから始めます。
まずは『第一段階分解』
吸気シャッターバルブ・EGRバルブ・水冷EGRクーラーなどを外しますね。






インテークマニホールド手前まで分解するのが『第一段階分解』
この時点で煤堆積が酷くなければ、外した部品を洗浄して組み立てる。
そのあとにマルチサーブのケミカル洗浄に移行します。
ですが今回のハイエースは煤がモリモリ堆積。
上流がコレならば、下流のインテークマニホールドやエンジンヘッドなどの煤堆積が心配。
インテークマニホールドまで外す『第二段階分解』に移行します。




アレ! 意外と煤は堆積していないんじゃない??と思ったでしょう。
煤が堆積しているか?を判断するためだけに、インマニを外したんじゃないんですよ。

上記画像 バキューム負圧ON
下の画像 バキューム負圧OFF
負圧を掛けてスワールコントロールバルブを作動させても、フラップが動きませんね。

スワールコントロールバルブが動かないとエンジン低回転時には、強いスワール旋回渦が発生しないので、空気と燃料の拡散が鈍くなります。
低回転時のトルクは薄くなり、必要以上にアクセルを踏むでしょうね。(燃費・加速悪化)


インテークポートも煤で狭くなると、やはりトルクが薄くなり燃焼悪化で煤が発生しやすい。


水冷EGRクーラーに煤が溜まり、EGRバルブにも煤堆積。
燃費向上・振動低下・環境対策。
大容量EGRが効果的に使えなくなると、上記の性能は悪化します。
クリーンディーゼルの定義はまちまち。
・超高圧のコモンレール式燃料噴射。
・大容量高効率EGRの流入。
この2点が出来てクリーンディーゼルかなと私は思います。
その後の環境対策によってDPFやアドブルーや可変ターボなどの装置が増えてきた感じでしょう。



エンジンヘッドのインテークポートは手作業と特殊装置で(ある程度の煤を除去)しました。
残された煤はマルチサーブのケミカル洗浄で対応します。



インテークマニホールドを洗浄し、負圧を掛けるとバルブ開閉もカパカパとスムーズ。






分解した部品を完璧に洗浄。
再利用しないのはガスケット・ホース類ぐらいでしょうか。
熱劣化で破損しているハーネスカプラーも補修しますね。



それでは元の状態に組み立てますね。



組立後に冷却水を補充。
エンジンを暖気してから、ケミカル洗浄が始まります。


インテーク・インジェクター・ターボ・DPFの各専用ケミカル剤。
今回の作業ではこれだけのケミカル群を使用します。

インテークのボタンを押して、画面指示通りに進む。





アトマイザーのエア抜き作業をしてから、インテークの吸気シャッターバルブに接続。



エンジンを始動。
30秒に1回噴霧のインターバルで、霧状のケミカル剤をインテークに流入させます。
吸気流に乗った微細なケミカルが最深部のエンジンヘッド インテークポートに到達。
取り切れなかった煤堆積を洗い流していきます。
このケミカルには硬い粒子の(煤カーボン)を溶かす効果はありません。
結束しやすい煤粒子の結束を緩めるだけ。
ほぐれた粒子は吸気流に流されて、燃焼室内に到達。
高温で燃焼して煤は無くなります。
エンジンにはノーダメージ。
ゆっくり時間を掛けて、75分ほどの洗浄工程。

ケミカル・煤が燃焼するので、マフラーからは猛烈な異臭が出ます。
工場内に異臭が充満すると、耐えきれなくなるほど。
そこで弊社では異臭や白煙・黒煙等を回収する装置をオリジナルで開発。
排気ガスはこの装置で全て回収し、無害化して作業をしています。
垂れ流すとヤバいよ~。

ハイエースKDH201 マルチサーブ インテークカーボン洗浄システムが終わりました。
次回ブログではインジェクターの燃料系やDPFの排気系のマルチサーブ洗浄システムを引き続き紹介しますね。
それではお楽しみに!!
HAPPY CAR LIFE!!