奈良県からお越しいただいたのはハイエース KDH201 平成20年式 走行距離25万キロ
マルチサーブのご依頼です。

HP(お問い合わせフォーム)から相談されました。
相談内容
・加速時のターボ過給時に、低回転でバラつく?トルクが薄い?加速が悪い?
・マフラーから黒煙がある。 DPFが悪い?交換?
クリーンディーゼルエンジンは年々環境対策の為に、にいろんな装置が装着されています。
EGRやDPFや超高圧噴射のインジェクター。
これらが全て正常に作動して、本来の性能を発揮している。
逆に言えば一つでも作動不良があると、エンジンパフォーマンスは大幅に低下するのです。

・エンジン部品が故障。
・エンジンの不調・加速不足
こんな時はメーターパネルのエンジン警告灯が点灯して、ユーザーに知らせてくれると思っていませんか??
場合にもよりますが今回入庫したハイエースは、警告灯も点灯せず、原因不明で相談されました。


予約入庫してもらい、まずは問診。
・今までの整備歴や整備してきた工場の事。
・不具合の頻度や再現時の挙動。
・マルチサーブの必要性と作業手順。
などをお話ししました。
マルチサーブさえすればエンジンの不調がすべて解消!!ではありません。
マルチサーブではどの箇所を整備し、どのように作業を進めていくか?は、一般ユーザーさんには分かりにくい。(整備専門的過ぎて)
そこを噛み砕いて問診時に説明をさせていただいています。

試運転をしてから、作業開始。
『マルチサーブ インテークカーボン洗浄システム』から始めますね。
第一段階では吸気シャッターバルブ・水冷EGRクーラー・EGRバルブを分解します。




この時点で煤堆積が酷いですね。
でもエンジン警告灯は点灯しない。



EGRバルブがこんな状態。
それでもエンジン警告灯は点灯しない。



水冷EGRクーラーは意外と煤堆積が少ない。

第一段階ではこの状態まで分解しました。
インテークマニホールドの入り口から内部を確認。
・煤堆積が酷くなければ先ほど分解したバルブやEGRクーラーを洗浄して組立。
マルチサーボのケミカル洗浄に移行する。
・煤堆積が酷い場合は、第二段階に移行。
インテークマニホールドを分解して、エンジンヘッドのインテークポートまで煤除去する。
今回は後者でしたのでインテークマニホールドを外しますね。



インテークマニホールドのスワールコントロールバルブは固着。
煤が堆積しすぎて酷い状態。
それでもエンジン警告灯は点灯しない。
(ただ加速せず、黒煙が出るだけ。)




予想通りエンジンヘッドのインテークポートは煤堆積でポート内径が塞がりそう。
それでもハイエースは警告灯が点灯せず走ります。
(ただ加速が悪く、黒煙も出る)
エンジン警告灯が点灯すれば誰しもが気が付く。
ですが走行距離が増えるとユーザーさんも新車時のフィーリングは忘れているでしょう。
また中古車ユーザーならそもそも新車時のコンディションを知らない。
過走行ならこんな感じかな??と、騙しだまし使用している人が大半だと思います。


こんな感じになるとディーラーさんならインテークマニホールドは交換でしょう。
弊社なら各洗浄装置をフル活用して、完璧に再生します。


バルブシャフトが煤堆積で固着し、開閉しなかったスワールコントロールバルブも、洗浄後にはペコペコ開閉しました。
同時に作動&気密テストも行っています。
(バキューム負圧を掛けて、疑似開閉指示信号をON・OFF)



エレキトリックEGRバルブの開閉もチェック。
ダイアフラムの気密が悪いと開閉しませんので、テストしてから再利用。
ECUからの指示信号があるかも確認・確認。
洗浄だけではなく部品が再利用できるかをチェックしないといけません。




ビフォーアフターが分かるように、作業中は画像をバンバン撮影しています。
納車時にユーザーさんに画像を見てもらえると、何をしたのかを説明がしやすいんですよね。







水冷式EGRクーラーと切り替えバルブも洗浄。
新品ガスケットとホース等も交換。
熱劣化で割れるハーネスカプラーも補修部品でリカバリー。
トヨタ系のカプラーなら常時100種類ぐらいはストックしています。

エンジンヘッドのインテークポートは手作業で煤除去。
弊社が開発したDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)なら一瞬で完璧にポート内をドライアイス洗浄が出来るのですが・・・。
ハイエースにDSCをすると飛散した煤で室内を汚してしまう。
地道にポート内の煤を除去。
ある程度キレイになりましたが、まだ一部煤が残っていますね。




バルブ傘部の周辺やポート奥に残った煤は、インテーク部品を組立後に、マルチサーブのケミカル洗浄システムで除去します。




・組立後にLLCを補充。
・エンジン始動で完全暖機とLLCエア抜き作業。
高圧のフューエルラインを切り離しましたので、燃料漏れのチェックは入念に。


やっとここからマルチサーブの登場。
(ある程度煤を除去してからマルチサーブを行うと、洗浄効果が高まります。)
例えると。
・道路の溝を掃除したいが、砂が溜まっている。
・いきなり水を流しても、砂が多すぎて流れていかない。
キレイに流すには大量の水が必要になるのは、皆さん経験上分かると思います。
ではどうしますか??
・溝の砂をホウキで履いてチリトリで取り除き、水を流す。
すると何もしないよりスグに溝はキレイになりますよね。
・道路の溝=インテークの経路。
・砂=煤カーボン
・水=マルチサーブのケミカル剤(ディーゼルインテーククリーナ)

ディーゼルインテーククリーナ1000ml
なかなか高額なケミカル剤ですから、何本も使うと料金が高騰します。
溜まりすぎた煤をマルチサーブのケミカルで洗い流す事は可能ですが、本数が掛かりすぎる。
であるなら、煤をある程度取り除いてからの方が、結果的にはキレイになりますよ。



インテーク分解作業をすれば、壊れた部品や脆い樹脂製部品も発見できて、予防整備でリペアも可能。









ケミカルを霧状に噴霧するアトマイザーコーン
エア抜き後にインテークの吸気シャッターバルブに装着。
ここからケミカルを噴霧し、吸気の流れに乗って燃焼室までケミカルが到達。
その経路にある除去出来なかった煤を、ケミカル洗浄除去。
固着した煤にケミカルが吸着すると、煤の結束が緩む。
塊の煤が少しずつ粒子状に剥がれて、燃焼室で燃えます。

エンジン始動し噴霧開始。
30秒間隔て1回 霧状に噴霧噴射。
約2時間ほど時間を掛けてゆっくり確実に吸気経路を洗浄します。

マルチサーブ インテークカーボン洗浄システムは終了。
加速不良・排気の黒煙を解消する作業はまだまだ続く。
次回ブログではインジェクター&ターボチャージャー洗浄。
DPF洗浄も紹介しますね。
どうぞお楽しみに!!