レクサス RC-F USC10 H26年11月 4万5千km ATF完全圧送交換 for NUTEC NC-65 +マルチサーブインジェクター洗浄 車両の性能や使用環境に合わせたフルード選びと定期的な交換

本日もミナト自動車ブログ 日々是好日にお越しいただきありがとうございます。
今回のご紹介するのは、
京都市からお越し頂いた レクサス RC-F USC10
初年度登録H26年11月 走行距離4万5千km
搭載されるエンジンは、レクサスブランドを代表する5.0L V8自然吸気エンジン「2UR-GSE」。
トランスミッションは、2UR-GSE 5.0L V8エンジン専用にセッティングされた**8速スポーツダイレクトシフトAT(AA80E)**です。

高回転まで鋭く吹け上がるレスポンスと、大排気量NAならではのサウンドが魅力のハイパフォーマンスモデルです。
高出力・高トルクに対応するため優れた耐久性を備えていますが、その性能を長期間維持するためにはエンジン/ATFのコンディション管理が非常に重要となります。

ご依頼いただいている内容は、
・ATF完全圧送交換 for NUTEC NC-65
・マルチサーブ インジェクター洗浄
・スロットルボディ清掃&初期化
・LLC圧送式交換
・デフオイル for NUTEC Ultimate UW-76 75W-140
・カーエアコンリフレッシュα
駆動系・燃料系・冷却系・空調系をまとめてリフレッシュするメニューとなります。
どの作業も単体で効果のある整備ですが、同時施工することで車両全体のコンディションを効率よくリセットできるのが大きなメリットです。

それでは最初に、ATF完全圧送交換から作業を進めていきます。
特にスポーツ走行やワインディング、高速巡航ではATFに大きな熱負荷が掛かるため、定期的なATF交換は変速フィーリングやAT内部の保護に大きく貢献します。
まずはいつも通り試運転を実施し、変速タイミングや変速ショックの有無、滑り感など、ATの基本コンディションを確認します。
試運転では各ギヤともスムーズに変速しており、現時点で気になる症状はありませんでした。

続いて、ミッションケース周辺のオイル漏れ点検を実施します。
オイルパン周辺や各シール部、ケース接合部を確認した結果、ATFの漏れや滲みは見られませんでした。
この事前点検は現状確認だけでなく、万が一後日オイル漏れが発生した際に、それが作業前から存在していたものなのか、作業後に発生したものなのかを判断するための重要な記録にもなります。

その後、ATFをサンプリングして現在の状態を確認しました。
走行距離は約4万5千kmということもあり、ATFには透明感が残っており、著しい変色や熱劣化は見られませんでした。

一方、オイルパンを取り外して内部を確認すると、磁石には通常使用で発生した微細な鉄粉が少量付着し、オイルパン底部にはATFの経年使用によるデポジットの堆積も確認できました。

これらは磁石に吸着しないことから鉄粉ではなく、AT内部の各部品から発生した微細な摩耗粉や、長期間の使用によるATFの熱劣化によって生成されたデポジット類と考えられます。
ATFの劣化は走行距離だけでは判断できません。
坂道の多い地域や渋滞路走行、車両重量、エンジン出力などによってATFにかかる負荷は大きく変化するため、同じ走行距離でもコンディションには大きな差が生じます。

フルードの汚れ、オイルパンの底部 いずれも走行距離相応の状態ではありますが、これらの汚れはドレンアウトだけでは除去できません。

オイルパンを脱着・清掃し、ストレーナーを純正新品へ交換したうえでATF完全圧送交換を行うことで、AT内部をよりクリーンな状態へリフレッシュしていきます。


オイルパンにはゴムガスケットが使用されています。

長期間使用すると熱や経年劣化により硬化が進み、オイルパンに癒着するほど弾性を失うケースもあります。
このような状態ではシール性能を維持できず、ATF漏れの原因となります。
そのため、オイルパン脱着時にはガスケットを純正新品へ交換し、ガスケット面を清掃したうえで規定トルクで均等に締め付け、確実にシール性能を確保します。

AT内部のストレーナーも純正新品へ交換します。

ストレーナーはATF内の異物や摩耗粉を捕集する重要な部品で、長期間使用すると目詰まりやろ過性能の低下が発生します。
ATF交換とあわせて新品へ交換することで、AT内部をよりクリーンな状態に保ち、安定した油圧制御の維持につながります。



ストレーナーの吸入口を観察しましたが、特に大きな異物も無く問題なし。


オイルパン脱着時に排出されたATFを補充した後、ミッション周辺にオイル漏れがないことを確認します。
問題がないことを確認できましたので、暖気後トルコン太郎を接続し、ATF完全圧送交換を開始していきます。

本命ATFでの交換に入る前に、まずはプレ洗浄を実施します。
プレ洗浄に使用するATFは、ニューテック NC-RF リンシングフルードです。

ATF完全圧送交換の施工台数が多い弊社では、プレ洗浄用フルードの使用量も非常に多く、一般的な20Lペール缶ではすぐに使い切ってしまいます。
そのため現在は200Lドラム缶を複数本単位で常時在庫し、多くのATF交換に対応できる体制を整えています。

ニューテック製 NC-RF リンシングフルードは、弊社が企画立案し、ニューテック社にて開発された専用フルードであり、国内他社では取り扱うことのできない専売品となります。
http://minato-motors.com/blog/?p=17434
本命CVTFでの交換を前提に最適化された特性を持ち、プレ洗浄工程において内部の汚れや劣化フルードを効率よくリセットできるよう設計されています。
このような専用リンシングフルードを用い、圧送式にて全量を一気に入れ替えていく交換方法は、日本国内でも弊社のみが実施している独自の施工方法となります。
それでは、NC-RFを使用し、内部をリフレッシュしながら圧送式にて全量交換を進めていきます。

それでは、ATF完全圧送交換を開始します。
圧送交換をスタートすると、まずはオイルパン脱着時に排出した約4L分を補充した状態から循環が始まります。
しかし、排油モニターにはサンプル採取時とほぼ同じ色合いのATFが流れ込んできました。
これは、トルクコンバーターやバルブボディ、AT内部の油路などに依然として多くの旧ATFが残っているためです。
オイルパンを脱着・清掃し、ストレーナーを新品へ交換しても、AT内部にはまだ相当量の旧ATFが残留しています。
この様子を見ると、ドレンアウトによる少量交換だけではATF全体を十分にリフレッシュできないことがお分かりいただけると思います。
だからこそ弊社では、トルコン太郎による圧送交換で、高い交換率を目指しています。





チェンジャーの排油モニターを通してATFの状態を確認することで、交換前後のフルードの違いだけでなく、交換がどの程度進んでいるのかもリアルタイムで把握できます。

数値だけでは分からないATFのコンディションを、目で見て確認できるのも完全圧送交換の大きなメリットです。

プレ洗浄が完了しましたので、各状態を比較していきます。
・左奥が新油モニターのNC-RF
・中央のビーカーが交換前のATF
・右手前のクリーナーモニターがプレ洗浄後のATF
となります。

交換前のATFと比較すると、プレ洗浄後は透明度が大幅に向上しており、AT内部がしっかりと洗浄されていることが確認できます。
もちろん、ここで作業を終えるのではなく、フルードの状態を確認しながら次の工程へ進みます。
もし、この段階でプレ洗浄が不十分と判断した場合には、オーナー様へ現状をご説明し、ご了解をいただいたうえでプレ洗浄を追加実施(2回目・3回目)することも可能です。
このようにATFの状態を見極めながら最適な交換プランをご提案できることも、トルコン太郎によるATF完全圧送交換の大きなメリットです。
特にハイパフォーマンスフルードを選択された場合は、投入前に内部洗浄をより高いレベルまで仕上げておくことで、交換後のフルードも汚れにくく、良好な状態を長く維持しやすくなります。

約15分間のクリーニングタイムを経て汚れの変化が落ち着いたことを確認した後、いよいよ本命ATFでの圧送交換工程へと移行していきます。

本命ATFには、NUTEC最高峰グレードの「NC-65」を使用します。
NC-65は、エステル系ベースオイルを採用した全化学合成ハイパフォーマンスATFです。極めて薄く、しかも強靭な油膜を形成することで、低フリクションと高い潤滑性能を両立。
高温・高回転・高負荷といった過酷な条件下でも、安定した油膜性能を維持します。
また、エステル系ベースオイルを贅沢に配合しているため熱劣化に強く、長期間にわたり性能を維持できるロングライフ性能も大きな特長です。
RC-Fのように5.0L V8エンジンの大トルクを受け止め、高回転域まで積極的に使用されるスポーツATでは、ATFに掛かる負荷も一般的な乗用車とは比較になりません。

NC-65は、そのようなハイパフォーマンスATの性能を最大限に引き出し、優れた変速フィーリングとAT内部の保護性能を長期間維持できる、市販ATFの中でもトップクラスの性能を誇るフルードです。

プレ洗浄工程が完了しましたので、ATFチェンジャーへNUTEC最高峰ATF「NC-65」をセットします。
それでは、いよいよ最終工程。本命ATF「NC-65」によるATF完全圧送交換を開始します。








ATFはNC-65へ完全に入れ替わり、非常にクリーンな状態となりました。ここまで確実に交換できていれば、次回の交換は約6万kmを目安としていただけます。

RC-Fのような5.0L V8自然吸気エンジンを搭載するハイパフォーマンスモデルは、AT内部の発熱量が大きく、ATFへの負荷も一般的な乗用車より過酷です。
一方で、トヨタ純正ATFはコンパクトカーからSUV、高性能スポーツモデルまで幅広い車種で共通採用されており、必ずしもすべての車両に最適とは言えません。
そのため弊社では、耐熱性・油膜保持性能・せん断安定性に優れたNUTEC最高峰ATF「NC-65」をおすすめしています。
高負荷時でも安定した性能を長期間維持できるため、ATの保護性能や変速フィーリングの維持に優れ、結果としてロングライフ化とトータルコストの低減にもつながります。

続いて、デフオイルを**NUTEC Ultimate UW-76(75W-140)**へ交換します。

RC-Fには高出力の5.0L V8エンジンのパワーを確実に路面へ伝えるLSD(リミテッドスリップデフ)が搭載されています。
加速時やコーナリング時にはデフ内部のギヤへ大きな負荷がかかるため、デフオイルの性能は駆動力伝達や耐久性に大きく影響します。
今回使用する**NUTEC Ultimate UW-76(75W-140)**は、高い油膜保持性能と耐熱性を備えたハイパフォーマンスギヤオイルです。
高負荷・高温条件下でも安定した潤滑性能を維持し、LSD本来の性能を引き出すとともに、デフ内部の摩耗低減にも貢献します。
エンジンやATだけでなく、駆動系のコンディションを維持するうえでも、デフオイルの定期交換は欠かせないメンテナンスのひとつです。



デフオイルをドレンアウト。
ドレンボルトの磁石に付いている鉄粉を除去、新品純正ガスケットに交換。

NUTEC Ultimate UW-76は1L缶のため、オイルジョッキへ移し替え、手押しポンプを用いてデフケースへ規定量を充填します。


リフィルホールからオイルが出てきたら、
適正油量であることを確認。

規定トルクで締め付け完了。

続いて、LLC圧送式交換のオプション整備を施工します。

LLC(ロングライフクーラント)は、エンジンの熱を効率よく冷却するとともに、防錆・防食・消泡など重要な役割を担うフルードです。しかし、年数や走行距離の経過とともに性能は徐々に低下していきます。
弊社では、ラジエターリフレッシャーを使用した脈動圧送式交換を採用。エンジン・ラジエター・ヒーターコアなど冷却ライン全体を循環するLLCを効率よく入れ替え、冷却系統全体をリフレッシュします。


最後にLLC再生強化剤を添加し、防錆・防食・消泡性能を回復。さらに時間を掛けて確実にエア抜きと液量調整を行い、冷却系をベストコンディションへ仕上げます。

続いて、カーエアコンリフレッシュαのオプション整備を施工します。
エアコン冷媒ガスは密閉されたシステムですが、正常な車両でも年間数%ずつ自然に減少するといわれています。
冷媒量が不足すると冷却性能の低下だけでなく、コンプレッサーへの負担増加にもつながります。

エコマックスJr.を使用して、車両に残っている冷媒ガスを一度回収・真空引きした後、規定量の冷媒ガスを正確に充填します。
さらに、NUTEC NC-200コンプレッサーブーストも同時に注入し、コンプレッサーの潤滑性向上と冷却性能の回復を図ります。


年々減少する冷媒ガスを適正量へリフレッシュ&リチャージすることで、本来のエアコン性能を取り戻し、快適な車内環境を維持します。

冷媒ガスを回収したところ、規定量570gに対し回収量は480gでした。
不足していた90gを補充し、重量管理によって規定量570gを正確に充填します。
エアコンの性能は冷媒ガス量に大きく左右されるため、「だいたい」ではなく重量で管理することが重要です。
規定量に合わせることで、冷却性能とコンプレッサー保護の両立を図ります。

マルチサーブ ガソリンインジェクターシステム洗浄
続いて、マルチサーブによるガソリンインジェクターシステム洗浄を施工します。
マルチサーブは欧州で開発されたプロフェッショナル向け洗浄システムで、ガソリン・ディーゼルを問わず、燃料系統をエンジン始動状態のまま効率よくクリーニングできる専用機器です。

一般的な燃料添加剤とは異なり、高濃度の専用洗浄液のみでエンジンを一定時間運転することで、インジェクター先端や燃焼室、インテークバルブ周辺など燃焼に関わる各部へ集中的にアプローチします。
5.0L V8自然吸気エンジンを搭載するRC-Fは、高回転域まで気持ちよく吹け上がることが魅力のエンジンです。
その性能を維持するためには、インジェクターの噴射状態や燃焼効率を良好に保つことが重要になります。

今回のRC-Fに搭載される2UR-GSEは、**D-4S(筒内直噴+ポート噴射)**を採用したエンジンです。
低負荷域などではインテークポート側のインジェクターから燃料を噴射する制御も行われるため、マルチサーブによるシステム洗浄では、インジェクター・インテークポート・インテークバルブ上面、さらに燃焼室まで、燃料の流れに沿って効率よく洗浄することができます。
D-4Sの特長を活かした洗浄方法であるため、インジェクターの噴霧状態を改善するだけでなく、吸気系から燃焼室までの燃焼環境をリフレッシュできる点も大きなメリットです。

インジェクター洗浄剤として一般的に販売されている燃料タンク投入型のケミカルは数多く存在します。
これらは燃料タンクへ添加し、ガソリンで希釈された状態のまま燃料系統を通過するため、緩やかな洗浄効果を目的としたメンテナンス用品です。
手軽に使用できる反面、洗浄成分の濃度には限りがあり、長年蓄積した汚れを短時間で除去することは難しいのが実情です。

一方、マルチサーブ インジェクターシステム洗浄では、車両側の燃料ラインを切り離し、マルチサーブ本体とエンジンを直接接続して施工します。

燃料タンク内のガソリンは使用せず、ガソリンエンジン専用の高濃度洗浄ケミカルを希釈せず原液のまま燃料ラインへ供給。
その洗浄液だけでエンジンを一定時間運転することで、インジェクターはもちろん、燃料ラインや燃焼室など燃焼系統全体を効率よくクリーニングしていきます。

一般的な燃料添加剤とは洗浄方法も洗浄力も大きく異なり、プロ用専用機だからこそ実現できる施工方法です。

洗浄剤をタンクに投入!
モードを強力洗浄に設定して、作業スタート!

約70分ほど掛けてクリーニング工程。

時々エンジン回転数を調整しながら作業が進みます。


70分後正常に洗浄が完了しました。
燃焼状態を整えることで、アイドリングの安定性やアクセルレスポンスの改善、燃焼効率の向上が期待でき、エンジン本来の滑らかなフィーリングを維持することにつながります。

最後にスロットルボディ清掃を施工します。

WAKO’Sのスロットルボディ専用クリーナーを使用し、ウエスで丁寧にカーボンやオイル汚れを除去していきます。

電子制御スロットルは非常にデリケートな部品です。
洗浄力の強いクリーナーを大量に吹き付けたり、バルブを無理にこじ開けたりすると、内部の電子基板やモーターを損傷させ、最悪の場合はECUへ悪影響を及ぼす恐れもあります。

そのため弊社では、専用クリーナーを適切に使用し、部品へ負担を掛けない方法で慎重に清掃を行っています。

マルチサーブインジェクター洗浄とスロットルボディ清掃が完了しましたので、スキャンツールで学習値を初期化し、ECUへ適正な開度を再学習させます。
学習補正値をリセットすることで、制御が適正化され、アイドリングの安定性やアクセルレスポンスの回復につながります。

ご依頼いただいたすべての作業が完了しましたので、各部の最終点検と試運転を実施。
ATやエンジン、冷却系、エアコンなど各システムの作動状態を確認するとともに、オイル漏れや冷却水漏れなども入念に点検し、異常がないことを確認しました。
作業中に撮影した数百枚の画像をご覧いただきながら、施工内容や今後のメンテナンスについてご説明し、予定通り無事にオーナー様へご納車となりました。
RC-Fならではの5.0L V8自然吸気エンジンの走りを、これからも末永くお楽しみいただければ幸いです。
この度は数ある整備工場の中からミナト自動車をご利用いただき、誠にありがとうございました。

本日もミナト自動車ブログ「日々是好日」にお越しいただき、ありがとうございます。
おかげさまでATF・CVTF交換は累計数千台以上の施工実績となり、全国各地からたくさんのお客様にご依頼・ご入庫いただいております。
弊社では、車を長く快適にお乗りいただくため、以下のメンテナンスを中心に施工しています。
・ATF/CVTF交換
http://minato-motors.com/blog/?cat=8
・DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)
http://minato-motors.com/blog/?cat=169
・マルチサーブ 洗浄システム
http://minato-motors.com/blog/?cat=270
・提案型整備リフレッシュプラン
http://minato-motors.com/blog/?cat=12
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それでは、HAPPY CAR LIFE!!











