大阪市 ハイエースKDH201 ディーゼルエンジン不調 前編。少しの違和感を見過ごすと・・・。 それが不具合表面化のシグナルです。
本日もミナト自動車ブログ(日々是好日)にお越しいただきありがとうございます。
大阪市からディーゼルエンジン不調で入庫したのはトヨタ ハイエースKDH201 平成22年式 走行距離9万キロ
マルチサーブの依頼を承りました。

予約入庫してもらい、まずは問診。
メール相談時にも症状等はお聞きしていますが、より詳しく不具合点や違和感などを問診しています。
ブログでは伝えきれない(マルチサーブの作業内容)もじっくりお話し、問診だけで30分以上はお時間を頂戴しています。

ユーザーさんが今回依頼をしようと思ったのは、新車時から比べてのエンジンパフォーマンス低下に気が付いたから。
・燃費もリッター2キロ以上低下し、加速も鈍い。
・DPFの再生頻度が増えて、振動も増えた。
新車時から整備をしている地元ディーラーに相談しても、・・・・な?返答で原因不明。
このパターンの(新車購入ハイエースユーザー)からの依頼が最近多いですね。 (中古車購入だと整備歴不明のため、更に増えて依頼が多い。)

ハイエースのディーゼルエンジン不調が表面化するのは、10万キロ以上は走行しないと(分かりずらい・感じずらい)
頑丈すぎるハイエースKD系・GD系ディーゼルエンジンは、1か所の部品が不調だとしても(それなりに走る)のです。
ですが10万キロ・15万キロ走行すると、2か所目が不調になり、3か所の部品が不調になるとイッキに不具合が表面化。
・マフラーから黒煙・白煙が出る。
・エンジン振動が多い。
・加速不良で坂道が登らない。
・ノッキングや始動不良が酷い。 などなど。

2か所・3か所も不具合箇所があると、どんどんエンジンにダメージが残り、故障個所が複数あれば、原因をピンポイントで探求するのは非常に難しい。
弊社では(マルチサーブ システム洗浄)という整備メニューを開発し、インテークからクリアにしていき、インジェクター・DPFと順番に作業する事を推奨しています。

今回のハイエースKDH201はエンジン警告灯は点灯無し。
(ダイアグコード 異常なし)
ワンオーナー プライベート使用の走行距離9万キロ。
問診後に試運転をしスキャンツールを接続し、エンジンライブデータを確認。
気になる個所のデータ数値が異常を示していないか?をチェックして、データ保存しました。




まずは第一段階分解では、(インテーク系・水冷EGRクーラー系)を分解します。



意外と煤堆積は少なめに見えますよね。
(いま見えているのは3番のスワールコントロールバルブ)
各アクチュエーターを強制作動させて、スワールコントロールバルブの動きを確認。 バルブのシャフトが固着して、コントロールバルブの動きが渋い。

第二段階分解で更に奥まで分解。
インテークマニホールドを外してエンジンポートを確認しましょうか。


3番は煤堆積が少なめでしたが、開けてみると1番・2番・4番は酷い煤堆積。




エンジンポートやインテークバルブ周辺はそこそこの煤堆積。
エンジンポートとインテークバルブ周辺はDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)が出来ないので手作業で軽く煤掃除。



少し残った煤はこの後に行う(マルチサーブ インテーク洗浄)で除去します。



スワールコントロールバルブの固着は、普通なら新品ASSY交換。
ですが弊社の(マル秘特殊洗)を行えば、高確率で再生可能。
(酷すぎる場合はASSY交換になる場合あり。)
今回は特殊洗浄で再生出来ましたので、高額な部品代が節約出来ました。






水冷EGRクーラー洗浄で再生。
バルブ作動テストをして良否判定し、組み立て。






EGRバルブやそれを制御する2連ダイアフラムとバキュームスイッチ。
・洗浄してキレイにするだけでは意味がない。
・壊れていないかの作動テストが重要。



インテーク・EGR系の組立完了。
マルチサーブに移行する前にある数値が気になったので、オプション整備の(アディショナルインジェクター洗浄)も並行して実施。




DPF燃焼のためのアディショナルインジェクター。
排気系から分解して、インジェクター内部をマルチサーブのケミカルでシステム洗浄します。



・アディショナルインジェクターにマルチサーブを接続。
・マルチサーブに燃料系ケミカル剤のディーゼルシステムパージを200mlほど投入。
・マルチサーブからケミカル剤を圧送し、アディショナルインジェクターに開閉信号を送る。

・ケミカル剤がインジェクター内部を洗浄し、噴霧口から吐出。
(出てきたケミカルは高密度フィルターでろ過して、再度マルチサーブからインジェクターにを繰り返す)
アディショナルインジェクター洗浄を15分。
新品交換せずにクリーニング再生が完了しました。
使用したディーゼルシステムパージは全て回収しますので、次の工程でに行うエンジン側インジェクター洗浄に使いますのでご安心を。

よく言われるのが(アディショナルインジェクターのそばにある、対策済みエルボパイプに交換してほしい)なんですが・・・・。
対策済みエルボでも煤蓄積事例が多く、対策済み or 対策無しでも煤堆積は変わりません。 (どっちにしても煤は溜まりますよ!)とお答えしています。
対策品の部品代は整備費用に回しましょう。
下記のように完璧に洗浄すれば問題ありませんから。








熱劣化で破損していたハーネスカプラーも補修し、ガスケット一式交換。
アディショナルインジェクターを組み立てました。
やっとここからマルチサーブの洗浄工程を始める事が出来ます。
マルチサーブという機械で洗浄するだけでは、ディーゼルエンジン不調は治りません。
上記ので説明した作業を実施してから、はじめてマルチサーブという機械が生かされるのです。 (ケミカル剤をブチ込んだだけでは治らないのですよね。)

ハイエースのエンジン不調にマルチサーブシステム洗浄。
とりあえずケミカル剤を使うシステム洗浄の前段階が、やっと終わりました。
前編ブログはここまで。
次回後編ブログでも引き続きハイエースKDH201のマルチサーブを紹介します。
マルチサーブという特殊な機械を使って、このハイエースの(インテーク・インジェクター・DPF)をシステム洗浄しますね。
後編ブログもお楽しみに!!
HAPPY CAR LIFE!!











