大阪府 ハイエースKDH201 リフレッシュプラン 3部作 前編。 エンジン降ろして全周整備。オイル漏れ・煤堆積・タイミングベルト交換などなど。
本日はミナト自動車ブログ(日々是好日)にお越しいただきありがとうございます。
トヨタ ハイエースKDH201 平成25年式 走行距離36万キロ
地元大阪府からリフレッシュプランの依頼で入庫しました。
弊社のリフレッシュプランとは(10年10万キロ以上走行した愛車を、ある程度の費用を掛けて、もう一度新車時のコンディションに近づける)整備メニュー。

もちろん新車にはなりませんが、どこまで整備をし新車に近づけれるかを紹介しますね。
今回は紹介内容が多いので、3部に分けてお伝えしますね。



問診をしてから試運転。
ECUのダイアグコードやライブデータを確認し、事前ホイールアライメント測定を行います。



整備リフトに移動しリフトアップし、タイヤを外して車両点検。
バッテリーアナライザーで充電状態をチェック。
足回り下回りやエンジンなどを入念に点検しますね。



その点検結果から、整備プラン見積を制作。
オーナーさんと協議し内容にOKがいただけたので作業を始めますね。

リフレッシュプランでは予約入庫前に前金をお振込みしていただいています。
サスペンションなどの足回り下回りの部品は(そんなに頻繁に交換する部品)ではないので、メーカー在庫が薄い。
入庫してからそれらの部品を発注し在庫切れでは、納期に間に合いません。
そこで(事前に交換すると決めた部品類)は、事前に取り寄せしておく。
ブレーキやエンジン補器類の部品など在庫切れの可能性が低い部品類は、
整備プラン見積確定後に発注しています。

まずはフロントサスペンションを外しました。
今回の車両はエンジン整備の比重が多い内容です。
・ウォーターポンプやタイミングベルト交換
・ディーゼルインテークの煤除去
・排気側のアディショナルインジェクター洗浄
・エンジンヘッドカバーガスケットからのオイル漏れ
・劣化したエンジンハーネス交換
エンジン回りの整備が多く、狭いエンジンルームに上体を突っ込んで作業するのは大変。
フロントサスペンションが外れている時なら、簡単にエンジンが降ろせますのでサクサクッと分解して車体からエンジン/ATを降ろしました。

この状態でならW/Pやアディショナルインジェクターやハーネス交換の作業性は良好。
昇降式電動テーブルリフトに載せた状態で、各部品を交換作業。
しゃがんだり、覗きこんだりせずに、好きな高さで整備可能。
整備士的には非常に楽チンです。




長年オイル漏れを放置して走行した結果、ハーネス内にエンジンオイルが混入。
どこからか?ハーネス配線にオイルが侵入し、毛細管現象でリレーボックスまで届いていました。








・ウォーターポンプやタイミングベルトベル交換
・各ベルトプーリー/テンショナー交換
・サーモスタッド ラジエターホース類交換
・オルタネーターワンウェイクラッチプーリー交換
・エンジンインシュレーター交換
分解しオイル汚れを除去。
その後に部品を組み立てます。


オルタネーター ワンウェイクラッチプーリー交換。
おそらくどこかで整備工場でリビルト品のオルタに交換したのでしょう。
装着されていたオルタのプーリーはワンウェイクラッチ式ではなく、ただの金属プーリーでした。
これだとベルトの早期摩耗やベルト異音の原因になるので、使用するのは良くないですね。
新車時と同じ純正ワンウェイクラッチプーリーに交換しました。

エンジンオイル漏れは定番のシリンダヘッドカバーガスケットの劣化。
カバーガスケット一式を交換しました。


ターボチェージャー後ろに装着されている第5のインジェクターが(アディショナルインジェクター)。
DPF(DPR)の強制燃焼用の燃料噴射装置です。
このAd/インジェクターの噴霧状態・エルボパイプの煤堆積などが原因で、DPFの再生頻度増加・再生時間の増加・燃費悪化などがハイエースによくある症状。
メーカーが推奨交換している(対策済みエルボパイプ)装着車でも、不具合が多数ありますので、弊社では定期的なマルチサーブ洗浄をおススメしています。





エルボパイプは特殊洗浄をして再生。
堆積している煤を洗浄して、噴霧状態を回復させます。
次にAd/インジェクターは、単体でマルチサーブ洗浄をを行います。




・Ad/インジェクターにマルチサーブのホースを接続。
カプラー配線には疑似信号を送って、ニードル部をオープンにします。
・マルチサーブからインジェクター洗浄用ケミカル(ディーゼルシステムパージ)を強制圧送。 ケミカルの効果でインジェクター内部や噴霧口の汚れを強制洗浄しますね。
噴霧した後のケミカルは回収し、このあとで行うエンジン/インジェクター洗浄時に濾過再利用します。

・ニードル噴霧口からケミカルが出ているのが良く分かりますね。
15~20分間作動させての洗浄工程。


Ad/インジェクターのバックアップリングも交換し、キャタリティックコンバーターの内部フィンも洗浄しました。
DPF(DPR)の再生燃焼の正常化には、DPFだけではなくこれらの装置のメンテナンスも重要なのですよ。
DPF(DPR)の警告灯点灯・再生燃焼不良は、安易にDPF交換と結びつけますが、実はDPF以外が原因で不具合が起きている場合が多い。
大切なのは(なぜ?DPFが正常に機能しなくなったのか??)を調べなくては意味無いですよね。


排気側と反対の吸気インテーク側の煤をDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)で除去しますね。
通常ハイエースのインテーク煤除去作業はDSCは不可で、車上でマルチサーブのケミカル洗浄を行います。 (狭いエンジンルーム内でドライアイス洗浄をする作業スペースが無いから。)
今回はエンジンを降ろしていますので、作業スペースは十分。
マルチサーブのインテーク洗浄システムをせずに、マツダSKY-D同様にDSCで煤を除去しますね。




インテーク第一段階分解。
これでインテークマニホールド内が目視出来ます。
この時点で煤堆積が酷いので、第二段階分解に進みますね。





・インテークスワールコントロールバルブ
・インテークマニホールド
・エンジンヘッド インテークポート
ディーゼルの煤が大量に堆積していました。
スワールコントロールバルブの動きも渋く、これでは3段階のバルブ開閉制御が出来ず、本来のエンジン性能を発揮するのは難しい。
ディーゼルは吸気流の制御が出来ないと、燃料撹拌がうまく機能せずパワーダウン。 走らないので必要以上にアクセルを踏むと、さらに燃費悪化の悪循環。



DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)
唯一無二の弊社オリジナル洗浄系整備。
・マツダSKY-Dや三菱デリカD-5のディーゼル
・ハイエース・ランドクルーザー系のディーゼル
・トヨタ GR系V6ガソリンエンジン
・マツダ直噴ガソリンエンジン などなど。
弊社が世界で初めて自動車エンジン整備に、ドライアイス洗浄機を用いた整備を実用化したのは10年ほど前かな。
ディーゼル/ガソリン直噴の各エンジンの吸気に堆積するカーボン(煤)を,10年以上除去し続けています。
累積台数は数えてはいませんが、おそらく数千台は施工済み。
この分野に限って言えば(世界一の除去施工台数)だと自負しています。





4気筒8ポート全て煤除去完了。
ビフォーアフターを見れば一目瞭然。
・ディーゼルは空気を吸ってナンボのエンジン。
・吸えないディーゼルなんて本来の性能を発揮出来ない。
施工時の画像を、納車時に見せて説明しています。
皆さんが驚くのは(ここまで詰まっていれば、燃費も加速も悪いのは理解できる。)と。
ディーゼル吸気系のメンテナンスの重要性は、意外と皆さん知らないんですよね。

お役御免のグロープラグも同時に交換しました。





・インテークマニホールドと吸気シャッターバルブを洗浄。
・スワールコントロールバルブの開閉確認。
・水冷EGRクーラーは溶接部のクラックで再利用不可。新品交換。
・吸気ダクトなどは(金属製対策品)に交換。




並行してラジエター関係も交換しました。
ホース・エアフロ・エアエレメントも交換。





ハイエースのエンジンハーネスは、熱劣化で樹脂部分が割れるんですよね。
カプラーぐらいであればリペア可能なんですが、ハーネスを固定している樹脂ステー部分が結構割れるのです。
そうなるとハーネスが部品と接触し、被膜が破れてショートなどが発生。
訳の分からない故障の場合、意外とハーネス破損の可能性もあるんですよ。
今回は整備予算を多めに確保していただいたので、エンジンハーネスASSY交換を提案し交換しました。


エンジンが下りている時なら、比較的簡単にハーネス交換が出来ますね。
組み上げた後、車体にエンジンを装着。
同時にエンジンマウント全数も交換しました。

ハイエースKDH201 リフレッシュプラン 前編はここまで。
次回中編ブログでは下回り・足回りの整備を紹介しますね~。
引き続き宜しくお願い致します。
それではHAPPY CAR LIFE!!