大阪市 ハイエースKDH201 エンジン不調 後編。前段階の重要性。 マルチサーブでシステム洗浄。
大阪市から依頼されたハイエースKDH201 平成22年式 走行距離9万キロ。
新車から比べて燃費低下・DPF再生頻度の増加などが気になり予約入庫。
前回ブログで紹介したのはマルチサーブ洗浄作業の前段階。
https://minato-motors.com/blog/?p=42721
今回後編ブログではマルチサーブと専用ケミカル剤を使用して、各部分の汚れを洗浄除去をしますね。

マルチサーブは優秀な整備機器ですが、単純にケミカルを流し込むだけで症状は改善しません。 作業前段階での(分解清掃点検)が必要なのですよね。
・インテークを分解し煤除去と作動確認テスト。
・アディショナルインジェクター&エルボ分解洗浄と組み立て。
インテーク洗浄に移行します。






・マルチサーブに専用ケミカル剤(Dインテーククリーナー1000ml)を投入。
・30秒間に1回1秒のケミカル噴霧に設定。
・エア抜き後に噴霧器(アトマイザー)をインテークの経路に接続。


エンジンスタートでマルチサーブを作動。
エンジンを掛けながら吸気経路の吸気シャッターバルブへケミカル噴霧。
・噴霧された微細なケミカルは吸気の流れに乗って燃焼室に届く。
・取り切れなかった煤にケミカルが付着し、煤粒子の結束を緩める。
結束が緩んだ煤粒子は気流に流されて燃焼室へ。
ケミカルと煤粒子は高温で燃焼され、排気系に排出されます。



マルチサーブ前に分解もせず、ある程度の煤も除去せず、マルチサーブのケミカル剤をぶち込めば多少は煤は取れるでしょう。
でも高額なケミカル剤が何本も必要になり、非効率で経済的ではない。
そして最悪は煤が取りきれない。
もちろんスワールコントロールバルブの開閉やバキュームスイッチも未確認。
であるならば遠回りにはなるけども、
・手作業で分解できる部分は、確実に煤を除去。
・バルブやスイッチの作動テストで良否判定。
・マルチサーブのケミカル剤は1本でOK。
の方が確実ですよね。



1本のケミカル剤を30秒に1回1秒噴霧だと、洗浄時間は2時間ほど。
ゆっくり確実にエンジンを掛けながらインテーク系を内部洗浄。
ケミカルが無くなれば作業完了。

次はインジェクター洗浄に移ります。
マルチサーブのホースを燃料サプライポンプのIN・OUTに接続。



前編ブログでアディショナルインジェクター洗浄をしましたが、その時に使用した量は200ml。
噴霧したケミカル剤はほぼ回収しており、そこに残りの800mlを追加投入。
強力洗浄に設定して、作動時間は約70分。
ケミカルをエンジンに送り込み、サプライポンプ・コモンレール・デリバリーパイプ・インジェクターの内部経路をケミカル洗浄しますね。


70分間アイドリング状態で内部洗浄工程。
ケミカルが無くなれば作業終了。
引き続きターボフィン洗浄に進みます。
高回転で回るターボフィンに堆積した煤をターボサーブ1000mlで洗浄工程。






次にDPFの洗浄工程。
DPFに繋がる配管にマルチサーブのホースを接続。





まずは1液目(DPFクリーナー)を投入。
強力洗浄に設定して作業スタート。






液晶画面通りに作業が進み、2液目(DPFフラッシュ)を投入。
回転数を上げてDPFの温度を上昇させ、洗浄効果を促進。





エンジン回転数を上昇させると、ケミカル剤の廃液がマフラーからドバドバ出ます。
同時に異臭・白煙・泡泡がマフラーから大量に出てきますので、オリジナルで開発した(排煙回収装置)を繋いで作業をしています。
回収装置が無いと廃液や異臭で大惨事になりますからね~。


回収装置には一部クリアパイプを付けており、廃液の色や状態を確認。
DPFのコンディションによって色が変化します。
今回の廃液は茶色系でした。

フューエルフィルターも交換履歴が不明だったので、一緒に交換しました。


最後にDPFを強制燃焼を実施し、試運転も行います。
テストコースを走行後にスキャンツールを接続して、ECUのライブデータを確認。



ライブデータ数値のビフォーアフターチェック。
・数値項目を確認し、改善しているか?
・もしくは数値が一定基準をクリアしているか?
数十か所ある項目を確認していきます。
この症状の時は(この数値)が重要。
この不具合発生時には(この数値とあの数値)をチェック。
このダイアグコード点灯の時は(どこどこを調べる。)
これらの情報は全て企業秘密。
数十台・数百台と同一作業をしていくと(データ)がどんどん蓄積し、企業財産となっていくのです。

ハイエースへのマルチサーブは基本的には1週間預かり。
土日祝も営業しており、夕方入庫引き取りも対応可能。
ハイエースの場合プライベート使用ではなく、仕事仕様で工具や資材満載の方も多いですね。 代車はハイエースではありませんが、荷物が積める車両をお貸ししています。

納車時には作業中の画像を見ながら、作業内容を説明しています。
(今回は約300枚ほど画像が残り、希望が有れば画像コピーをお渡ししています。)
後日TELでレビューをいただきました。
・気になっていた燃費も改善し、DPF再生燃焼中の微振動も低下。
・本来のハイエースに戻った。
ハイエースへのマルチサーブのお見積り・ご予約はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしています。https://minato-motors.com/contact/
警告灯点灯の有無や症状なども記載していただけますと助かります。
それではHAPPY CAR LIFE!!











