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大阪市 デリカD5 後期型 令和4年2月 CV1W  11万1千Km 前編。     ドライアイス洗浄&ATF交換 &マルチサーブを含むおススメ!オプション整備



本日もミナト自動車ブログ 日々是好日にお越しいただきありがとうございます。

今回のご紹介するのは、

大阪市からお越し頂いた デリカD5 後期型 
令和4年2月 CV1W  11万1千Km です。



2019年2月のビッグマイナーチェンジでは、フロントデザインだけでなく、4N14型クリーンディーゼルエンジンも大幅に進化しました。


次世代燃料インジェクターの採用や低フリクション化、軽量な主運動系部品により、出力性能と燃費性能を向上。さらに、吸気系レイアウトやエンジン制御の最適化、**尿素SCRシステム(AdBlue)**の採用により、走行性能と環境性能を高いレベルで両立しています。

一方で、高性能化したインジェクターやEGR、DPF、SCRなどの性能を維持するためには、エンジン内部を良好なコンディションに保つことが重要です。


そこで今回ご依頼いただいた内容は、

・ドライアイス洗浄(DSC)
・マルチサーブ インジェクター洗浄
・ATF完全圧送交換
・ラジエターASSY
・フューエルエレメント
・LLC圧送交換

ほぼフルセットに近い施工内容になります。




オーナー様からは、「特に不調を感じているわけではないが、この冬あたりから燃費が少し低下していることに気付いた」とご相談をいただきました。



普段は通勤や業務で使用されるほか、出張やレジャーで1日300km以上の長距離移動をされることもあるそうです。

また、エンジンオイルは約5,000km毎に交換されており、日頃からしっかりメンテナンスされている車両です。


そのため大きな不調はありませんが、走行距離が11万kmを超えたこともあり、「新車時と比べると少しトルク感が落ちている気がする」「クリーンディーゼル特有の吸気系汚れも気になる」

とのことで、現状確認と予防整備を兼ねてドライアイス洗浄(DSC)、マルチサーブ、ATF完全圧送交換をご依頼いただきました。

実際、このような『故障していないけれど以前と少し違う気がする』というタイミングは、各部のコンディションを確認する良い機会でもあります。






早速、試運転とスキャンツールによる診断を実施しました。


エラーコードの入力はなく、各センサー値も正常範囲内で推移しており、診断機上では特に異常は見られません。




しかし実際に走行してみると、アクセルを踏み込んだ際の加速感に少し違和感があります。


明確な不調とまでは言えませんが、コンディションの良い同型車と比較すると、全体的にトルク感が薄く、エンジンの力強さがややスポイルされているような印象を受けました。





数値に現れない僅かな変化ではありますが、このような「何となく以前と違う」という感覚が、吸気系の汚れや燃焼状態の変化を示しているケースも少なくありません。




エンジンのライブデータは事前にモニタリング・保存し、施工後の変化を比較できるよう記録しておきます。

こうしたデータは、作業効果を確認するうえで非常に重要な判断材料となります。




また、分解作業に入る前にエンジンルーム全体を目視点検し、オイル漏れや冷却水漏れ、ホース類や配線類の状態など、今回の施工箇所以外に気になる箇所がないかも併せて確認します。



各部に大きな問題がないことを確認できましたので、まずはドライアイス洗浄(DSC)から作業を開始します。

インテーク系統を分解しながら、11万km走行したクリーンディーゼルエンジン内部の状態を確認していきます。





デリカD:5のドライアイス洗浄は他のクリーンディーゼル車に比べて、
分解工程が多く、決して簡単な作業ではありません。



だからこそ弊社では、分解時にしか交換しにくい部品や劣化が見られるパーツについては積極的にご提案しています。


一度分解しているタイミングで交換すれば追加工賃を抑えられますが、後日不具合が発生すると再度同じ作業が必要になるためです。

「今だからこそできる整備で、これから先も安心して乗り続ける。」



長くデリカD:5を楽しみたいオーナー様におすすめしたい考え方です。





後期型では改良によりクラックが発生しにくくなったラジエーターですが、走行距離はすでに11万kmを超えています。




現状では冷却水漏れや劣化の兆候は確認されませんでしたが、オーナー様は今後も長く安心して乗り続けたいとのご意向から、ラジエーター交換を事前にオーダーいただいております。



また、デリカD:5のDSC施工では、インテークポートへドライアイスを確実かつ効率良く打ち込むため、作業工程上ラジエーターおよび周辺部品の脱着が必要となります。

ラジエーターが装着されたままでは作業スペースが非常に狭くなり、洗浄品質にも影響するためです。




今回はDSC施工に伴いラジエーターを取り外す工程が発生するため、追加工賃を最小限に抑えながら予防整備として交換を実施します。

将来的なトラブル予防という意味でも、非常に効率の良いタイミングと言えるでしょう。




やっとインテークマニホールド周りにアクセスできるスペースが確保できましたので、順番に分解していきます。


バキューム式EGRクーラーバルブ



EGR系統はレイアウトが見直され、EGRガスの流れや制御効率の向上が図られています。また、ススの堆積を抑えることも考慮した設計となっています。


電動EGR流量調整バルブ




ようやくインテークマニホールドの取り外しが完了しました。



デリカD:5のクリーンディーゼルエンジンは補機類や配管類が複雑に配置されているため、ここまで分解するだけでも相応の時間と手間が必要です。



それでは早速、各部の状態を確認していきます。走行距離11万kmを超えたエンジン内部には、どの程度の煤が蓄積しているのでしょうか。



バルブポート 入口


2番3番バルブポート 入口


バルブポート内部




インテークバルブポートの状態を確認すると、各吸気ポートやインテークバルブの傘部分に多量のカーボン(煤)が堆積していました。

4気筒・8ポートすべてに付着が見られ、吸気通路が大きく狭められていることが確認できます。





インテークマニホールド内部も大量の煤が堆積しています。

後期型ではインテークマニホールド内部のEGR流入経路や形状も見直されていますが、それでもEGRガスの排出穴が確認できないほど大量の煤が堆積していました。

特にEGR流入口に近い2番・3番ポートでは堆積量が顕著で、本来空気が流れるスペースが大きく失われています。




こういう状態になると、吸気通路が狭くなることで吸入空気量が低下するだけでなく、ポート内の流速や気流の整流性にも悪影響を与え、充填効率の低下を招いていると考えられます。



スキャンツール上では異常コードもなく、各センサー値も正常範囲でしたが、このような堆積状況までは診断機だけで判断することはできません。

実際に分解して初めて確認できる部分です。




ディーゼルエンジンは十分な空気を取り込むことで本来の性能を発揮します。しかし吸気系に煤が蓄積すると酸素供給量が低下し、燃焼効率が悪化します。

その結果、燃え残った燃料がさらに煤となってEGRを介しインテーク側へ再付着し、同時にDPFにも蓄積されるという悪循環が発生します。

今回オーナー様が感じられていた燃費の低下やトルク感の減少も、この大量の煤の蓄積が一因になっている可能性が高いと考えられます。


水冷EGRクーラー 

水冷EGRクーラー 内部フィン 出口側

水冷EGRクーラー 内部フィン 入口側

スロットルボディと スロットルボディ~マニホールド接続部



一方で、EGRガスがインテークマニホールドへ流入する手前に配置されているスロットルボディ、2基のEGRバルブ、EGRクーラー内部には目立った煤の堆積は確認されませんでした。



今回大量の煤が確認されたのはEGRガスがインテークマニホールドへ流入した後の領域であり、特にEGR排出穴周辺から各吸気ポートにかけて堆積が進行していました。



もしこのまま使用を続けて堆積がさらに進行すると、現在は良好な状態を維持しているEGRクーラーやEGRバルブにも汚れが広がり、洗浄だけでは対応できず部品交換が必要になる可能性もあります。



今回はその段階に至る前に施工できたため、比較的軽症のうちに吸気系をリフレッシュできたと言えるでしょう。




煤が飛び散らないように養生し、ドライアイス洗浄の準備OK、作業開始!




DSC
(ドライアイスショットカーボンクリーニング)



DSCは、-78℃のドライアイスペレットを圧縮空気で高速噴射し、堆積したカーボン(煤)を除去する洗浄技術です。



一般的なサンドブラストやクルミブラストは、硬いメディアを衝突させて研磨力で堆積物を削り取る方式です。作業効率は高い反面、条件によっては母材金属へダメージを与える可能性があります。



一方、ドライアイス洗浄は研磨力で除去する方式ではありません。柔らかいドライアイスがカーボンに衝突すると、瞬間的な冷却作用によって堆積物に微細なクラックが発生します。


その隙間へドライアイスが入り込み、衝突と同時に固体から気体へ変化(昇華)します。




ドライアイスは昇華時に約750倍へ体積膨張するため、母材金属と堆積物の間で微細な昇華爆発が連続的に発生します。



この作用によって母材を傷付けることなく、強固に付着したカーボンを短時間で剥離・除去することが可能です。





弊社では2015年に整備業界ではほとんど前例のなかったドライアイス洗浄機を導入し、エンジン整備用として独自に研究・開発を開始しました。



導入後はインテークポート洗浄専用ノズルや各種治具を自社開発し、トヨタ直噴ガソリンエンジンのカーボン除去技術としてDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)を確立しました。





その後、トヨタKD系ディーゼル、マツダSKYACTIV-Dをはじめ、多くのエンジンへ対応を拡大。


現在では累計数千台以上の施工実績を有し、その経験とノウハウを活かして三菱クリーンディーゼル(4N14)にも対応しています。


ドライアイス洗浄は単なるクリーニングではなく、長年蓄積した実績と検証データに基づく専門整備メニューとしてご提供しています。






それでは早速、複数種類のDSC専用ノズルとアダプターを使い分けながらドライアイスショットを開始します。



ポート形状や煤の付着状況に応じて使用するノズルを変更し、死角になりやすい箇所も狙いながら繰り返しショットを行います。




DSCは単にドライアイスを噴射するだけではなく、ノズル選択や噴射角度、施工手順が仕上がりを大きく左右する重要な工程です。






8ポートすべてのドライアイス洗浄が完了しました。



硬く固着していた煤は綺麗に除去され、本来の吸気ポート形状が復活。

エンジンへのダメージもなく、理想的な仕上がりとなりました。




・インテークマニホールド
・EGRバルブ
・水冷式EGRクーラー
・スロットルボディ  などなど。




煤だらけの部品類は全て洗浄し、再生しました。




EGRバルブ負圧開閉テスト



洗浄しただけで作業完了ではありません。



EGRバルブや関連部品に指示信号を送り、正常に作動するかを確認。さらにバキューム負圧を掛けて気密チェックを行い、スイッチのON・OFF動作も点検します。



チェックをせずに単純に洗浄しただけでは、本当に正常な状態へ戻ったのか判断できません。



分解・洗浄・組付けだけでなく、最後は機能確認まで行って初めて整備完了となります。




ドライアイス洗浄および各部の機能確認が完了しましたので、組み付け作業へ進みます。




分解時に撮影した画像や整備書を確認しながら、純正新品ガスケットや必要なホース類を使用して順番に組み付けていきます。



ここまで多くの部品を分解しているため、ホースの取り回しやコネクターの接続位置、締付トルクなどを一つひとつ確認しながら慎重に作業を進めます。




今回はデリカD:5(CV1W)クリーンディーゼルのドライアイス洗浄(DSC)作業を中心にご紹介しました。




後期型ではEGR流入経路やインテークマニホールド形状が改良されているため、前期型と比較すると煤は堆積しにくくなっています。


しかし、今回の11万km走行車両を分解してみると、予想以上に多量の煤が吸気ポートへ蓄積していました。




改良型だから安心というわけではなく、走行距離や使用環境によっては後期型でも確実に煤は堆積していきます。

今回のドライアイス洗浄によって、本来の吸気通路と吸気性能を取り戻すことができました。




次回の後編では、今回同時にご依頼いただいたオプション整備についてご紹介します。

DSC施工時だからこそ効率よく実施できる予防整備や、長く安心して乗り続けるためのメンテナンス内容を詳しくお伝えしますので、ぜひご覧ください。




HAPPY CAR LIFE!!




2026年7月6日

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