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大阪府堺市からハイエースKDH201 マルチサーブ洗浄システム 前編。   ディーゼルからの白煙・加速不良でマルチサーブ。  ユーザーレビュー有り

地元大阪府堺市からのご依頼は、トヨタ ハイエースKDH201 平成19年式 走行距離28万キロ。


HP(お問い合わせフォーム)からエンジン不調で相談されました。



その作業内容は前編・後編の2部に掛けて紹介します。
最後にユーザーさんからのレビューありますよ~。

・マフラーから白煙が時々出る。

・DPF再生燃焼の間隔が短い。

・加速レスポンスが鈍い。

・エンジン警告灯点灯は無し。


おそらく28万キロ走行したハイエースを上記症状を訴えてディーラーさんに行かれたとしても、おそらく○○〇〇になるでしょう。

もしくは新車の御見積書がやんわり手渡されるのではないでしょうか。



何度かメールでやり取りし、予約入庫していただきました。



ハイエースは年式によってエンジンの仕様が違います。
前期KD系・後期GD系だけではなく、もっと細分化されています。

家屋で言うなら(増改築を繰り返したような家)
ベースのエンジン本体にいろいろな装置やセンサー等を後付けしているので、狭いエンジンルームにビッシリと部品が詰め込まれている。




ハイエースに馴れていない整備士なら、E/Gルームを見ただけで(吸気系なんて触りたくね~)と思うでしょう。



まずは問診。
普段の様子や使用環境・症状や違和感などをお聞きします。


いつ・どこで・どのような?
不具合の詳細を聞き出す(問診力)が整備士には必要。


(アレはどうですか?・こんな時はどんな感じ?)
いろいろお聞きしています。



試運転をしダイアグコードを確認してから、ライブデータを観察・保存。



経験上10個ぐらいの数値をモニタリングし、スキャンツールから分かる異常部分をチェックします。




そしてエンジン吸気系・EGR系を分解しますね。

吸気シャッターバルブ・EGRバルブ・水冷EGRクーラーを分解。

インテークマニホールドの手前まで分解するのが(第一段階分解




ここまで分解するとインテークマニホールドの入り口が見えます。


鏡で覗き込むとインテークマニホールド入り口には、ビッシリと煤が堆積。

こうなるとインテークマニホールド内部・エンジンヘッド側インテークポートに煤が堆積している可能性が高い。



インテークマニホールド・コモンレール等燃料ラインを分解する(第二段階分解)に進みます。



エンジンヘッド側インテークポートまで煤まみれ。

これでは吸気の空気が入りづらく、燃焼状態は悪化します。


ディーゼルエンジンなんて空気を吸ってナンボのエンジン。
吸えないエンジンはパフォーマンスが低下するのは必然でしょう。

インテークマニホールドのスワールコントロールバルブにも煤が堆積して、酷い状態ですね。



バキュームスイッチを操作し疑似信号でテスト。
スイッチ不良&シャフト固着で、バルブ開閉が困難。



・煤が堆積して空気が入りずらい。
・スワールコントロールバルブ不良で燃料・空気の撹拌が低下。
・燃焼状態が悪化しパワーダウン/煤増加。

頑丈と言われるハイエースのKD系エンジンも、これでは本来の性能は発揮できないでしょう。




手作業で4気筒8ポートの(ある程度の煤)は除去出来ました。
それでもバルブ傘部やシャフトには少し煤が残っていますね。





弊社が開発したDSCドライアイス洗浄なら、ドライアイスで煤固着は完全除去可能。

ですがハイエースはエンジンが室内にあるのでDSCは作業不可。
(作業スペースが無い為)


そこで弊社では取り切れなかった煤は、マルチサーブのケミカル洗浄で除去する事にしています。




ディーゼルエンジンの煤が吸気経路にビッシリ堆積した状態で、マルチサーブのケミカル洗浄をしても無意味。



吸気シャッターバルブ~エンジンヘッド側インテークポートまでの大量の煤を、ケミカルで洗い流すのは出来なくはない。

ですが高価なケミカル剤を5~6本ぐらい使用しないと無理だと思う。






それならば分解して(ある程度の煤は事前に除去)し、少し残された煤はケミカル剤1本だけ使用して洗浄する方が圧倒的に有効。


例えば・・・。
道路溝に溜まった砂を水道水で洗い流す。
でもまずは砂をホウキで掃いて、回収しますよね。

ある程度砂を除去してから、水道水で流せば簡単にキレイになる。


・水道水=マルチサーブ ケミカル剤
・砂 = 煤堆積
・道路溝 = インテーク経路


お判りいただけたでしょうか。


それにバキュームスイッチや各バルブ開閉の確認も、分解しないと分からないですよね。



インテークの煤を分解清掃しましたので、ここからはマルチサーブのケミカル洗浄に移行します。



専用ケミカル(ディーゼルエアインテーククリーナ)をマルチサーブに投入。
アトマイザーのエア抜き作業で(霧状にケミカル)を噴射確認。




吸気経路にマルチサーブのアトマイザーを装着。
エンジンを掛けながら30秒に1回の間隔で、ケミカルを吸気経路に噴霧。



吸い込まれたケミカルは空気の流れに乗って、最深部のインテークポートや燃焼室に到達。   ゆっくり確実に時間を掛けてケミカル洗浄で煤除去。



イメージ的にはケミカルが煤に付着すると、煤粒子の結束が緩む。
緩んだ粒子は気流に流されて、燃焼室で完全燃焼し消える。


硬い煤(カーボン粒子)を、ケミカルで溶解しているわけではありません。
ケミカルは結束を緩めているだけなんですよね~。






約70分ほどエンジンを掛けながら作業し、ケミカルが無くなれば終了。


作業中の排気ガスの異臭は強烈。
屋内でするとかなり匂いがヤバいです。


弊社では工場内や近隣に迷惑が掛からないように、排気回収システムを自社製作して作業をしています。





マルチサーブの機械とケミカルだけあれば、万事OKではありません。

・バルブ開閉スイッチやダイアフラムの作動も調べもせず。
・分解し吸気経路に堆積した煤も除去せず。


ただ単にマルチサーブをエンジンに注入しているだけでは、不具合は解消しません。

・スキャンツールを接続して、ライブデータの読み込み
・実作業で分解し、各装置の作動確認。



遠回りが、結果的には近道。
クリーンディーゼルの不具合は簡単には治らないのですね。
(原因は多岐に渡りますので。)






これでマルチサーブ インテークカーボン洗浄システムはとりあえず終了。

次回ブログではインジェクター & DPF洗浄システムを引き続き紹介しますね。



宜しくお願い致します。
HAPPY CAR LIFE!!

2025年8月4日

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