ハイエース KHD201 DPF警告灯点灯。 DPFが詰まって交換後!! 何故詰まったのか??が重要です。
大阪府からお越しいただいたのはハイエースKDH201 H19年式
数年前に弊社でATF交換をしていただいた方から相談がありました。
エンジン不調になりDPF警告灯が点灯し、地元整備工場にてDPFを新品交換。
警告灯は消灯したが(このまま乗り続けても問題ないでしょうか?)とメール相談がありました。
インジェクターやEGRバルブ・エンジン自体の煤堆積も気になるので、DSCやマルチサーブの見積希望。
御見積を提示し、数週間後に予約入庫していただきました。
スキャンツールを接続し、ECUのライブデータを確認。
各数値を見て現状を把握します。
ハイエースの標準ボディはエンジンルームが狭いので、DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)での洗浄は難しい。
そういう場合はマルチサーブでインテーク系の煤を、専用ケミカルで除去していきます。
ですがいきなりマルチサーブで作業をするのではなく、比較的簡単に分解できる部分までは外しましょう。
吸気シャッターバルブ・エアダクト・EGRバルブ・水冷EGRクーラーなどを外しました。
分解時には各機関の機能点検をしています。
適正な負圧と電磁バルブスイッチが作動しているかも調べますよ。
そこから煤堆積の状態をチェックしますね。
EGRバルブは煤堆積で酷い状態ですね。
手作業で煤除去するのは大変なので、ドライアイス洗浄で洗浄しました。
水冷EGRクーラーもフラップを分解して、内部を確認。
予想通りフィンの内部で煤が詰まっています。
こちらは弊社が開発した特殊洗浄装置でキレイにしましょう。
ハイエースのマルチサーブ(インテーク洗浄システム)では吸気シャッターバルブ~水冷EGRクーラー・EGRバルブまでの分解洗浄で終了し、それ以降はマルチサーブでの洗浄に切り替えます。
ですが今回は状態が悪かったので、更に奥にあるインテークマニホールドを確認しました。
この年式ぐらいからインテークマニホールドの吸気ポートにはスワールコントロールバルブが採用されています。
1気筒に対して2系統の吸気ポート。 一つは四角いポート形状で、もう一つはフラップ付きの丸型形状。
フラップを開閉して燃焼室に流入するスワール気流渦をコントロールしています。
開閉は負圧で制御していますが、フラップのシャフトが完全に煤固着し全く動きません。
これでは常にフラップが閉められた状態なので、高回転・高流量時には、燃焼室に空気が入りずらい状態になりますね。
・燃焼室に流入する空気量が想定より少ない。
・燃料に対して空気が少ない状態での燃焼。
・リッチ状態が多くなり、煤の発生が多くなる。
正常に動かないと必要以上に煤が発生するので、当然DPFに堆積する煤の量も増える。
その状態が長ければ、頻繁にDPF再生が繰り返され、燃費も悪くなりDPFも壊れる。
DPF警告灯点灯し交換したからもう安心!!ではないんですよね~。
エンジンヘッド側のインテークポートはまだマシな方なので、こちらの煤はマルチサーブで洗浄しましょうか。
DSCのドライアイス洗浄をすればこれぐらいの煤堆積なんて楽勝。
でもエンジンルームにスペースが狭いのと、養生マスキングが大変なので作業不可。 仕方がないですね。
インテークマニホールドは固着が酷いので、新品交換となりました。
(煤除去してもシャフトが固着で断念)
これで低回転時と高回転時での吸気渦のコントロールが可能になり、燃料と空気の撹拌が出来るようになりますね。
ガスケットやホース・割れたカプラーなども交換しました。
配線のカプラーは熱劣化でパキパキ割れますのでリペア。
組み立てて冷却水を補充し、エア抜き作業と暖機。
そこからやっとマルチサーブの出番です。
まずはインジェクターとターボチャージャーから内部洗浄しますね。
マルチサーブのホースを、ハイエースの燃料ラインに接続。
ディーゼルシステムパージをマルチサーブに注入。
液晶画面の指示通りに作業が進む。
フューエルサプライポンプ・コモンレール・デリバリーパイプ・インジェクター等の内部を強力な専用ケミカルで洗浄中。
特に精密なインジェクターニードル部や噴霧口周辺に堆積するスラッジや煤を洗浄するのは非常に重要です。
約70分ほどアイドリング状態で作業をし、ひとまず終了。
引き続いてターボチャージャーフィン部に付着する煤も同時に洗浄します。
マルチサーブにディーゼルターボサーブを注入。
こちらも70分ほど掛けてアイドリングし、洗浄していきます。
次は吸気インテーク系の煤洗浄作業を行います。
マルチサーブを吸気シャッターバルブの上流側に接続。
ディーゼルインテーククリーナをマルチサーブに注入。
インテークの吸気経路にケミカル剤を微細噴霧し、インテーク内に固着した煤塊を洗い流していきます。
吸気シャッターバルブ~インテークマニホールドまでは、分解で煤を完全除去したのでこのケミカルはエンジン側ポートに直接届きます。
ケミカルで煤粒子を溶かすのではなく、結束を緩める。
固着が緩んだ煤粒子は気流に流されて燃焼室で燃えます。
ケミカルで硬い煤を溶かすのは困難ですが、煤同士の結束を緩めて洗い流すのがディーゼルインテーククリーナです。
煤堆積が多過ぎると、ディーゼルインテーククリーナの使用本数が増えます。
(1本あたりの価格が高いケミカル剤)
手作業で除去出来る箇所は分解で除去し、出来ない部分はマルチサーブで洗浄する2段重ね。
約75分ほどアイドリングをしながら、インテーク内部にケミカルを噴霧し洗浄しました。
作動中はマフラーから猛烈な異臭と白煙が出ますので、排煙回収装置で無害除去しています。
こんな感じで作業したハイエース KDH201のマルチサーブ洗浄システム。
全ての作業が完了後に試運転。
スキャンツールを接続し、ECUライブデータ確認。
数値も良好。
インジェクターの補正学習値も±1mm3未満に整いました。
これでエンジン燃焼状態も改善し、DPFの詰まり再発も無くなるでしょう。
詰まったからDPFだけ交換しても意味ないですよ~。
(何故そうなったか?)を調べないと、交換した部品が無駄になる分かりやすい事例でしたね。
納車時にアフターケミカルのディーゼルエクストリームクリーナー1本をお渡ししました。
後日燃料タンクに注入してもらい、遅効的にフューエルラインを洗浄していきます。
ハイエース200系等の煤除去作業(マルチサーブ)をご希望の方は、HP(お問い合わせフォーム)から御見積やご予約をお待ちしています。
必要事項や不具合点なども記載していただけると助かります~。
それではHAPPY CAR LIFE!!