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ハイエース KDH206 ディーゼル4WD リフレッシュプラン 後編。後半の作業はエンジン・ATF・ホイールアライメント・インジェクター洗浄!!

前回ブログで紹介したリフレッシュプランの続きです。

千葉県からお越しいただいたのは ハイエース KDH206 ディーゼル4WD 平成28年式 走行距離20万キロ。

前編ブログではハイエースのサスペンション、ブレーキ、ハブ、エンジンマウントなどの整備を紹介しました。http://minato-motors.com/blog/?p=29256


後編はエンジン整備やATF交換、ホイールアライメント調整を紹介します。




運転席シートとフロアパネルを外して、エンジン前部にあるウォーターポンプ等を交換しますね。



ウォーターポンプを交換し同時に実施しておいた方が良い部品もお勧めしました。




・クランク・カムシャフトシール
工程上ベルトやプーリー類を外すので、ついでにオイルシールを交換。





1KD-FTVエンジンのウォーターポンプを交換するなら、オルタネーターのワンウェイクラッチプーリーも要交換。

点検時に発電状態をチェックして発電数値に問題なければ、クラッチプーリーのみ交換してオルタネーターの予防整備をしておきましょう。


クラッチプーリーが破損すると、エンジン回転数の変動によるベルトのタワミからの振動が吸収出来ず、オルタネーターのシャフトに直接振動が伝わります。

そうするとシャフトが歪むので、酷くなると発電不良になるでしょう。

クラッチプーリーが正常なら無駄なベルトの振動を吸収するので、シャフトには伝わりづらく予防整備には有効です。



オルタネーターを外すとサーモスタッドを交換する作業スペースが確保出来ます。

その時に冷却水の温度調整弁であるサーモスタッドも交換しますね。

結構奥まった場所にサーモスタッドがあるので、周辺の部品が外れている時なら作業がしやすく工賃も安い。



ウォーターポンプを外すにはタイミングベルトも外す事になるので、今回2回目のタイミングベルト交換も実施します。

・オイルシール
・ワンウェイクラッチプーリー
・サーモスタッド
・タイミングベルト

これらの部品代は個別では非常に安価。シールなんて数百円でクラッチプーリーでも1万円以下。  W/P交換と同時ならこれらの交換工賃は安価です。

ですが作業重複度も考慮せず、別々のタイミングで個別に交換すると、其のたびに工賃が掛かり結果的には整備費用が多く掛かる。





リフレッシュプランの本質は大きく分けて2つ。

・重複する無駄な工賃はなるべく抑えて、その費用で劣化した部品を多く交換し、車両全体をバランスよくリフレッシュ整備する事。

・(何を交換して)(何を交換しない)を一般ユーザーさんが判断するのは難しいので、整備工場側がプランニングをして整備を提案する事。



(今はチョット予算が無いんです!!)(少ない予算で何回かに分けてリフレッシュ整備したい!!)と、少なすぎる予算の整備依頼をご遠慮しているのは、これも理由の一つなのです。


(もう無駄な重複工賃は使わずに、その費用は部品代に使いましょう。)
(無計画で意味のない整備は無駄が多いので、結果的には不経済ですよ。)


ATFも交換しますね。

まずはオイルパン洗浄ストレーナー交換を行います。

ストレーナーを交換して磁石の鉄粉を除去し、オイルパンを洗浄してから接着面を脱脂して液体ガスケットで装着します。


そこからアイシンAFW+で全量イッキに圧送式交換します。

アイシン精機製のATにアイシン精機のAFW+で互換性はバッチリですね。

ATFは定期的に交換されていましたので、プレ洗浄無しの1回の圧送式交換で完璧にキレイになりました。

最後にフルードクーラーを洗浄して、フルードレベル調整を行います。


アイシンAFW+でここまでキレイになれば、次回交換推奨距離は約4万キロになります。  その時はもうオイルパン脱着洗浄をする必要はありませんよ~。






LLCもラジエターリフレッシャーで脈動圧送交換。
ホースにバイパスさせてエンジンを掛けながら冷却ライン全てのLLCを交換します。


・脈動圧送でLLCを注入ながら、ラインを循環後に回収。
・ダブル高密度フィルターでろ過して、また注入。
・冷却ライン内で浮遊している汚れをキャッチします。


サーモスタットが開くまでは時間が掛かるので、行程的には30分以上は脈動圧送しています。

最後にLLC再生強化剤で劣化している防錆・消泡剤を強化し、エア抜き作業も同時に行います。




デフ・トランスファのギアオイルも交換しますね。

ガルフ プロガード75W90 LSD対応







ディーゼルフューエルラインもリフレッシュ。

マルチサーブ洗浄システム(インジェクター洗浄)でフューエル噴射ポンプ・コモンレール・デリバリーパイプ・インジェクターをケミカルで内部を洗浄していきますね。


エンジン温度上昇と燃料の高圧化でフューエルラインの内側には少しずつスラッジが蓄積します。  ほんの少しの蓄積ですがこれが徐々に増え噴霧状態が悪くなると、それを補うようにECUが噴射量を補正します。

マルチサーブ インジェクター洗浄システムは、その汚れを解消し補正値を整えるインジェクターの予防整備としてお勧めしています。


インジェクターが故障すると、全数交換がセオリーなので高額な費用が掛かりますからね。


マルチサーブをフューエルラインに接続し、インジェクター専用ケミカルの(ディーゼルシステムパージ1000ml)を投入して、画面の指示通りに作業スタート。

エンジン始動しアイドリング状態で約60分ほど、ゆっくり確実にライン内の汚れを除去していきます。

http://minato-motors.com/blog/?p=29071

インジェクターはコモンレール式ディーゼルの主要部品。(壊れる前に)(気筒間バランスが悪くなる前に)メンテナンスをお勧めします。



またフューエルエレメントも同時に交換しました。

マルチサーブのインジェクター洗浄にはアフターケミカル(ディーゼルエクストリームクリーナー500ml)が1本付随しており、納車時に手渡ししています。

これは次回燃料給油時に軽油と一緒に燃料タンクに投入してくださいね。
遅効型の洗浄用ケミカルになります。




最後にホイールアライメント調整を行いますが、その前に(1G締付)を行います。


サスペンション整備の必須作業である(1G締付)は、4輪接地状態でブッシュを固定しているボルトを一度緩めます。

ブッシュの無駄なテンションを一度開放して、再締め付けするのが(1G締付)。


これを行わずにサスペンション整備を終えると、折角交換したブッシュが早期に劣化します。

またサスペンションが本来の柔軟な動きにならないので、整備した作業が無駄になり本来の性能にはならない。必ず行いましょう。


ただこの初歩的な必須作業は4輪接地した状態でリフトアップ出来るアライメントリフト等が無いと意外と実施する事が出来ないのです。


この状態までリフトアップし、車体の下から高トルク(規定トルク)で締め付けします。  (黄色いテープは仮締めの印で、このボルトナットを1G締付します。)



整備リフトではサスが伸びて4輪が接地していないので、1G締付が出来ないのです。  (もしくは4輪を台の上に乗せれば出来ますが・・・。)



1G締付と並行して、車高調整を行いますね。
ハイエースはフロント車高のみ調整出来ます。

ちなみにホイールハウス頂点の高さが目安ではありません。シャシの基準点と地面までの距離で測定します。

ホイールハウスの弧の頂点から地面までの高さを、前後で比べて調整するのは間違いですよ。それをすると前傾になりすぎますからね。



リアの基準点から地面までの高さを測定し、基準値との差を調べます。
その数値の差を考慮して、フロントの高さを決定して調整するのが正解。

またモデル毎に基準値は違うので適当はダメですよ~。


アライメントリフトに水平仮想線を赤い糸で引いて、フロント基準点(ロアアームのボルト中央)との距離を合わせます。

そこから軽く試運転をして、サスペンションを馴染ませてホイールアライメント調整を行いますね。

・ハンター社最新鋭ホイールアライメントテスター WA470 ホークアイ
4つの高性能カメラでホイールターゲットの動きを捕捉し演算します。

・イヤサカ社ビシャモン マルチアライメントリフト ロング 特注レッド。
国産NO,1リフトメーカー 高剛性アライメントリフトで高精度の水平レベルを長期に維持します。


車両の下側に潜り込み、ナットボルトを回して微調整。
リアはリジットの為に調整は出来ませんが、フロントはキャンバー・キャスター・SAIをバランスよく調整しました。  キレイに整いましたね。


ここからいつものテストコースを試運転。
約1時間ほど走行して、その後もリフトアップして何度も最終チェック。
(締め忘れ・オイル漏れ・異音などが無いかをチェックしています。)

こんな感じで作業は完了し、無事納車となりました。


作業中は全てデジカメで撮影していますので、今回の作業で画像は200枚以上あります。納車時にはその画像を見ながら作業内容を説明しています。


その方がユーザーさんも何を整備したかが分かりやすいので、なるべく画像に残しコピーも希望があればお渡ししています。(記録用に保管してください。)


ちなみに今回のハイエースのリフレッシュプランで使用した部品代だけで約27万円ぐらい。

ここまで部品交換したリフレッシュプランをすると、ビフォーアフターは歴然で今後も長く良い状態で使用する事が出来るでしょう。


逆にここまでの整備は求めない方は弊社のリフレッシュプランは不要です。

相応の費用は掛かるが(もう一度新車時に近いコンディションに愛車を戻したい方)や(長く良い状態で使用したい方)には、ぜひぜひおススメしています。




リフレッシュプランを依頼された方のほとんどは、普段の整備は地元ディーラーやショップで行っています。

ですがこれぐらいの規模の整備を依頼すると、(どうも良い返事がもらえないのでネットで検索し弊社を見つける)というパターンが多いですね。





また数年前に(リフレッシュプラン・ミニ)のような小規模の整備を受け付けようかと検討した時期もあったのですが、(リフレッシュプラン)の依頼が多く、慢性的に混雑している予約状況ではそれも難しい。  

今は小規模の整備は引き受けず、リフレッシュプランのみお引き受けしています。(ATF交換・DSC以外)





リフレッシュプランのご相談ご予約はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。

出来たら過去のリフレッシュプラン事例から気になる事例がありましたら、○○年○○月の△△△のブログはいくら掛かりましたか?と質問してもらえるとお答えできます。  下記のブログを見て、整備予算の参考にして下さいね。
http://minato-motors.com/blog/?cat=12





それではHAPPY CAR LIFE!!



2021年8月17日

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