マルチサーブ(インジェクター・DPF)洗浄システム。 クリーンディーゼルのウイークポイントは吸気系の煤蓄積だけじゃない!!
本日はミナト自動車ブログ 日々是好日に、お越しいただきありがとうございます。
今回ブログで紹介するのはスカイアクティブDやハイエースなどの、クリーンディーゼルへの新しいメンテナンスサービスのご案内です。
スカイアクティブ・ディーゼル2.2D、1.5Dのインテークに煤が蓄積し、エンジン性能が低下するのは、弊社のブログを見ていただいている方ならご存じだと思います。
http://minato-motors.com/blog/?cat=192
上記ブログのようにドライアイス洗浄機を用いたDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)で大量に固着した煤は全て除去し、性能改善を行っています。
6年前からDSCを自社開発してリリースし、全国各地からSKY-D車が続々と入庫し、今では数百台~千台ほどの作業実績がありますよ。
SKY-Dを含めた各社クリーンディーゼルは正常な燃焼状態が継続するほど、長く快適に故障もなく使用が出来ます。 20万キロ以上大きな故障もなく走り続ける、弊社DSCユーザーさんも多くいますからね。
クリーンディーゼルで最も燃費やパフォーマンスに大きく影響し、経年劣化が分かるはこの3つでしょう。
1・インテーク系統の煤蓄積による吸気充填率の低下。
2・インジェクター内部スラッジによる汚れとノズル先端の煤汚れ。
3・DPF再生頻度が早くなる、再生距離が短くなる。
インテークの煤はDSCで完全にクリア出来るので、特に心配する事はありません。問題は(2・インジェクターの汚れ)と(3・DPFの再生頻度が早い)でしょう。
そして今までの弊社では2・3の高度なメンテナンス提案が不十分でした。
DSCだけでは足りなかった部分の整備メニューを、新しい機器を導入しDSCのオプション整備としてリリースしました。
・マルチサーブ インジェクター洗浄システム
・マルチサーブ DPF洗浄システム
この2つサービスメニューをDSCの新しいオプション整備として、実は数か月前から密かに実施していました。
リピートDSCユーザーの方に声を掛けて、数台程サンプル作業をしてデータを収集。
期待通りの結果が出たので少し前からDSC予約時に案内をし、マルチサーブを順次実施してきました。
ディーゼル普及率が高い欧州では、ディーゼルの煤(PM)によるエンジン不調を解消する整備が進んでいます。
その欧州や日本で販売されているディーゼルE/G専用機器を調べ上げて、期待出来そうなシステムを販売する数社にデモを依頼しました。
そこで一番効果が高く、説明・原理が理に適っていると思ったのがマルチサーブだったのです。
マルチサーブの機器やケミカル剤の性能はピカイチなんですが、ネックは導入費用でなかなかの金額でした。 (デモした中では飛び抜けて高額。)
マルチサーブ(インジェクター洗浄システム)
・インジェクターのスラッジによる内部の汚れとノズル先端の煤蓄積の解消。
クリーンディーゼルは燃料噴射ポンプで軽油を圧縮し、高圧にしてインジェクターから噴霧しています。
燃料を高圧にすると燃料温度が上昇し、僅かですがスラッジが発生。
それがコモンレールやデリバリーパイプ、インジェクター等の軽油が流れる経路に少しずつ汚れが蓄積。 またリターンした燃料はフューエルエレメントでろ過するので、スラッジでフィルターが真っ黒になります。
このスラッジ発生で内部経路に蓄積する事はメーカーも承知しているので、ECUの学習値を補正し、各気筒毎に噴射時間を増減し制御しています。(燃料噴射量補正)
しかしそれも限度があり、いずれインジェクター補正値が追い付かず気筒間のバランスが乱れ、エンジン不調が表面化。(振動増加、加速低下、PM増加)
また燃焼室に突き刺さるインジェクターノズルの先端は、燃焼時に発生する煤で、汚れてきます。
汚れが蓄積すれば燃料噴霧パターンが乱れて、空気との撹拌率が低下し、煤がさらに発生しやすくなります。(PM増加、燃費低下)
マルチサーブ インジェクター洗浄システムはインジェクターの汚れが限度値になる前に、内部の経路をクリーニングするサービスメニューです。
フューエルポンプのホースにマルチサーブを接続。
ディーゼルフューエルライン専用洗浄剤(ディーゼル・システム・パージ)をマルチサーブに投入。
噴射ポンプ、デリバリーパイプ、コモンレールインジェクター内部をエンジンを掛けながらケミカル剤の効果でクリーニングします。
世界中に販売されているマルチサーブの最新バージョンは、液晶画面が各国の言語に対応しています。
だいたいこの手の海外整備機器は日本語化はしていないのが通例ですが、マルチサーブはその辺りは抜かりナシのようですね。
液晶パネルと操作して、(強力洗浄)を選択しスタート。
約60分ほどエンジンを掛けながら、時間を掛けてフューエルラインをクリーニングしていきます。
Dシステムパージ洗浄剤の容量は1000ml。
このケミカルとマルチサーブで強力に洗浄します。
ちなみにこのシステムパージ1本のお値段も非常に高額。
欧州でも市販はされておらず、マルチサーブを導入しているプロショップのみに販売供給されています。
作業中はエンジン回転数を1000~2500rpmの間で時々可変させて、万遍なくゆっくりインジェクター等のフューエルラインを洗浄。
クリーンディーゼルのインジェクターが故障すると選択肢としては、(新品・リビルト品への交換)になるのですが、インジェクターは全数交換が基本なので、悪くなった1本だけ交換するものではないのです。
また通常のコモンレール式インジェクターはリビルト品がありますが、SKY-Dに使用されている最新ピエゾ式インジェクターは純正以外でのリビルト品は無く、恐らくリビルト品があったとしても高額になるでしょうね。
4本全数交換すると部品代・交換工賃で多額の出費が必要です。
そうなる前に今装着されているインジェクターを、良い状態で長く使用する事が(燃費改善、PM軽減、加速トルク改善)と新車時に近づく予防整備だと思いますよ。
デモ時に(御社の機器はどのような整備工場に販売してきたの??)と聞くと全社同じ回答。
このようなディーゼル用のインジェクターやDPFの洗浄機器を導入しているのは、トラックを大量に保有し自社整備工場がある会社か、トラックを中心に扱っている大規模整備工場がほとんど。
乗用車メインの整備工場はディーゼルを扱う台数も少ないし、導入費用を回収出来ないので、あまりこの手のサービスメニューはポピュラーではないのですね。
ミナト自動車はマツダSKY-Dやハイエース・ランクルプラドのディーゼルなどが頻繁に入庫するので、導入費用よりも効果を優先して選びました。
それではインジェクターの洗浄結果は後ほど紹介しますね~。
マルチサーブ DPF洗浄システム
DPFを車両から外さずにマルチサーブで洗浄します。
(ディーゼル・DPF・クリーナー DDC1)
(ディーゼル・DPF・フラッシュ DDF2)
この2液を順番に使用します。
DPF差圧センサーのパイプにマルチサーブのホースを接続。
まずは1液目の(DDC1)をマルチサーブに投入します。
DDC1を投入して(DPF洗浄)を選択し、(強力洗浄)を選択して作業スタート。
作業は全て液晶の指示通りに進みます。
インターバルのカウントダウンが経過し、エンジン始動。
そして2液目のDDF2をマルチサーブに投入。
エンジンを少し暖機しつつ、エンジン回転数をセット維持します。
DPFの故障や再生頻度低下で新品・リビルト品へのDPF交換という選択肢。
予算が潤沢にある方は良いのですが、そもそも50万~100万キロ走行するトラックなら理解出来るが、10万~20万キロぐらいの走行距離が多い乗用車レベルで、DPFを交換しないといけないのはどうなんでしょうかね?
再生頻度が短くなりDPFが悪いと判断して、DPFだけ交換して解決するのでしょうか?
エンジン燃焼状態が悪く、その結果PMやアッシュが多く発生し、結果的にDPFに蓄積しダメになったという事もあり得ますよね。
メンテナンス次第で廃車までDPFが使えるなら、それに越した事がないように思えます。
DPF交換以外でお手軽に簡単にメンテが出来る商品ならWAKO’Sのディーゼル2辺りがポピュラーですよね。
でもこの商品のケミカル容量は165mlしかないのです。(残りはアルミ缶の中の大部分は噴射用のガスですから。)
マルチサーブはDDC1/DDF2 各ケミカル容量は1000mlx2本で合計2000ml。
ケミカル容量自体が12倍違いますね。
また欧州でも日本でも一般販売されないマルチサーブプロショップオンリーの取扱商品。
WAKO’Sなどのお手軽商品は安いのでDIYには良いかと思いますが、本格的な洗浄メンテナンスをお求めの方は弊社にどうぞ。
そんな感じでマルチサーブの指示はここで終了。
接続ホース等も外します。
ここからDPFの中にある洗浄剤をPM・アッシュと共に強制排出し、DPFの詰まりを解消します。
真っ黒の廃液と泡がマフラーから排出。
この泡の色でDPFの状態がある程度分かりますよ~。
グレーに近い泡色なら問題ないでしょう。
ここから1時間ぐらいは異臭と大量に出る白煙が無くなるまで、エンジン回転数を上げながらキープします。
異臭と白煙が無くなれば、マルチサーブDPF洗浄システムの作業は完了です。
マルチサーブの(インジェクター)or(DPF)の各洗浄システム作業料金には、アフターケミカル1本分が付随していますので、納車時にケミカルを各1本ずつをお渡ししています。 次の燃料給油時にタンクへ投入してください。
・インジェクター洗浄システムのアフターケミカル
(ディーゼル・エクストリームクリーナー)1本500ml
・DPF洗浄システムのアフターケミカル
(DPFリジェネレーター)1本500ml
マルチサーブで汚れ(PM、アッシュ)の結束を緩めて即効的にクリーニングし、アフターケミカルを燃料タンクに投入して、走行しながらゆっくり遅効的に汚れを落とす。
即効・遅効のWクリーニングで、インジェクターとDPFをより良い状態にリフレッシュするのがマルチサーブ洗浄システムの狙いです。
今回ブログに登場したのはマツダ CX-8 KG2P 走行距離13万キロ
・DSC
・インタークーラー洗浄
・水冷EGRクーラー洗浄
・フューエルエレメント交換
・LLC圧送式交換
上記5点に追加してマルチサーブ洗浄システムを作業しました。
・マルチサーブインジェクター洗浄システム
・マルチサーブDPF洗浄システム
インジェクターの補正値は4気筒ともほぼゼロに近づきましたね。
PM畜堆積量もマルチサーブで、ほぼゼロになりました。
DPF差圧もほぼゼロに近い数値まで改善しました。
マルチサーブの強力な洗浄力で改善しなければ、おそらく他のどのケミカル類でも良くなる事は無いと思いますよ~。
その場合は新品・リビルト品のインジェクターやDPFに交換しかないと思いますね。
DPFが詰まったり破損したりする原因は、エンジンの状態に大きく影響されます。
エンジンオイルの管理が悪ければ、オイル下がり、オイル上がり、ブローバイオイルの過流入などでオイルの燃えカスがDPFにキャッチされ、いずれDPF再生が十分に出来なくなり、再生頻度が増えます。
そうなると短距離で再生が頻発するので、燃費は恐ろしく低下しますし、また燃料の希釈でエンジンオイル粘度も早期に低下し、オイル交換サイクルは早くなる。
またインジェクターのスラッジで噴霧状態の悪化は、必然的に燃焼状態が悪くなる。 当然PMは多く発生し、早期にDPFがPMで許容量に達するでしょう。
・DPF不良で再生が出来ないから、再生頻度が早いのか?
・燃焼状態が悪く煤やアッシュの発生量が多くなり、再生頻度が早いのか?
大元の元凶である(上流のエンジン燃焼状態)が悪ければ、新品リビルトなど(下流のDPF)を交換しても意味ないですよね。 また詰まるし・・・。
DSCでインテークの煤を完全除去して、マルチサーブでインジェクターとDPFをクリーニングしてあげると、SKY-Dなどのクリーンディーゼルは上流・下流ともにより良い状態にメンテナンスが出来きる。
『悪くなる前の予防整備』
弊社ブログで一貫してアナウンスしているのは予防整備の重要性。 (ATF交換・DSC・マルチサーブ・リフレッシュプラン)は全て予防整備的な観点から、整備の提案をさせていただいています。
DSCの依頼時にはオプション整備として(マルチサーブ洗浄システム)をご利用ください。
なお過去に弊社DSCを実施していただいたユーザーさんで、マルチサーブのみのご依頼は別途ご相談くださいね。
DSC・マルチサーブのご予約はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていま
それではHappy Car Life!!