解説シリーズ ハイエース リフレッシュプラン。実作業編その4 サスペンション整備の必須作業。車高とホイールアライメント調整作業。1G締付もお忘れなく!!
香川県から依頼されたハイエース LH178 ディーゼル4WD のリフレッシュプラン。
平成16年式 走行距離が25万キロの車両ですが、バッシと走るハイエースに戻すリフレッシュ作業を行いました。
予約編
http://minato-motors.com/blog/?p=31100全4部
実作業編
http://minato-motors.com/blog/?p=31171その1~3まで
今回の実作業編その4では、サスペンションやブレーキ・ハブ等の足回り下回り整備が完了したので、次のステップに進みます。
サスペンションのアームブッシュを交換して、ショックアブソーバーも交換しました。
タイヤを装着して整備リフトからアライメントリフトに移動します。
ハイエースのサスペンションは乗用車に比べると少し特殊で、フロントのみ車高が調整出来ます。
リアはリーフスプリングなので高さは固定なのですが、重い荷物を常時積み込みしていると、スプリングがヘタって車高が徐々に変動します。
劣化具合や使用用途に合わせてフロント車高を調整出来るのが、ハイエースの特徴。
街でハイエースを見た時に、お尻が下がって走行しているハイエースを見た事はないですか? フロントが上がり、リアが下がった状態で走行するとブレーキの効きも悪いですし、走行安定性も低下しますよ。
ハイエースの整備書には各モデルに対して、リア車高の基準値があります。
A・リアはリーフスプリング前側のブッシュボルト中心から地面までの高さ。
B・フロントはロアアーム前側のアジャストボルト中心から地面までの高さ。
リアのブッシュボルトから地面までの高さを測定し、リア基準値(A)と比べる。
基準値Aよりも測定値Aが10mm短かったと仮定すると、フロントは基準値Bから10mmマイナスで調整値Bを割り出します。
簡単に言えばリアが10mm下がっていれば、フロントは基準値より10mm下げて高さ調整するんですよね~。
今回はフロントの車高が下がり過ぎていたので、リアの測定値から計算してフロント車高を微調整しました。
もちろん左右のロアアームのボルトの高さも合わせますよ。
車高が決まれば、そこから交換したブッシュやショックアブソーバーのボルトを(1G締付)します。
・タイヤ4輪が接地した状態にする。
・固定していたブッシュボルトを一度緩める。
・ブッシュのテンションが開放される。
・テンションフリーの状態でボルトを本締めする。
リフトアップして整備をしている状態は、サスペンションアームは伸びています。(垂れ下がる。)
リフトアップした状態で本締めすると、4輪が接地した状態(1G状態)ではアームが上方に角度を変えてブッシュがグニュッと捩じれます。
捻じれてテンションが掛かった状態で走行すると、せっかく交換したゴムブッシュが早期に劣化し、最悪破断します。
1G状態でブッシュのテンションをフリーにして、本締めするのが(1G締付)というサスペンション整備の必須作業。
1G締付後に軽く試運転。
交換したサスペンション部品を馴染ませます。
そしてやっとココからホイールアライメント調整を行いますね。
・アライメントリフトはイヤサカ ビシャモンマルチアライメントリフト。
ロングバージョンの特注レッドを使用しています。
国産最高峰のリフトのビシャモンリフト。
高剛性で水平レベルを長期に維持します。
ホイールアライメントを測定するのは、ハンター社アライメントテスター。
ホークアイWA470 最新鋭のアライメントテスターです。
ホイールに軽量樹脂製ホイールターゲットを装着。 ターゲットをホイールのディスク面にセットしてクランプで挟みます。
ディスク面とターゲットは大体中心付近にセットすればOK。
(アバウトな装着でも、全く問題ありません。)
(ターゲットにはシリコンリングが装着されているので、ホイールには傷が付きません。)
高精度カメラセンサー4基で、ホイールに装着したターゲットの動きを捕捉し、精密なのアライメント数値を瞬時に演算します。
ロアアームのアジャストボルトは中心にセットして測定しても、組み立てただけではバラバラな数値が演算されました。
サスペンション整備ではブッシュ交換やショックアブソーバー交換などをした時には、ホイールアライメント調整をしないと数値が乱れたまま走行する事になります。
真っすぐに安定して走るにはホイールアライメント調整も必須作業なんですよ~。
車体下に潜りこんで、ホイールアライメント調整を行います。
車体下からではPCモニターが見えにくいので、リモコンコントローラーを見ながら調整します。
車種によって手順は違うのですが、今回のハイエースはリアを少し調整してから、フロントの調整を行いました。
特にフロントのキャンバー・キャスター・SAIの微調整がしやすいハイエースですから、入念に調整作業を行いますね。
最後にフロント個別トゥを調整して、ステアリングセンターを合わせます。
フロントの左右の数値も最小限に抑えられて、なかなか良い数値になりました。
メーカー基準値にバランスよく近づけました。
このあとは試運転をして最終チェックを繰り返し、納車連絡をメールで行います。
次回ブログで実作業編もいよいよ最終回。
納車引き渡しからの総括をご案内したいと思います。
それではHappy Car Life!!