解説シリーズ ハイエース リフレッシュプラン。実作業編その3 ここが錆固着していると作業が進まない!! セイバーソーで一刀両断。
ハイエース LH178のリフレッシュプラン。
予約編から実作業編に変わり、やっと(その3)まで進んで来ました。
http://minato-motors.com/blog/?p=31171 その1
http://minato-motors.com/blog/?p=31218その2
今回は乗り心地や直進安定性に大きく影響するサスペンションアームブッシュの交換などを紹介します。
降雪地・塩害地で使用していたハイエースは、高確率でFrロアアームのブッシュの内径とアジャストボルトが錆固着しています。
・こうなるとボルトが抜けないので、アームが外せずブッシュ交換が出来ない。
・アジャストボルトが回せないので、ホイールアライメント調整が出来ない。
でっかいハンマーで叩こうが、バーナーで炙ろうが、全く抜けない場合が多いのです。
そこで登場する工具がコレ。
セイバーソー 電動ノコギリみたいな工具で、主に建築解体屋さんが使用するそうです。
これでアームやフレームを傷付けずに、ブッシュのカラーとボルトを一刀両断します。
固着したブッシュに対して、カットする個所は前後2か所。
幅5mmほどの隙間に超硬刃(極厚物切断用)を使用して、ボルトとブッシュカラーを切断します。
ボルトの直径が15mmで、ブッシュの金属部厚みが2ミリほど。
合わせて約17mmの鉄棒をセイバーソーでカットするのは、非常に大変。
(熱でスグに刃がナマリます。)
木材や軟鉄の板状ならサクッとカット出来ますが、18mmの鉄棒となるとそう簡単にはカット出来ないのです。
大体1カットするのに15分。ブッシュの前後をカットすると30分以上は掛かりますね。
ちなみにロアアームの4つのブッシュが全錆固着していれば、2×4で8カット必要。 ロアアームを外すだけで、軽く2時間以上は掛かるのです。
もし錆固着が無ければ、5分もあれば左右のロアアームが外せるのですが・・・錆固着があると時間は大幅に増えるのですよね。
ロアアームが外れたので、ブッシュを打替えますね~。
中空タイプのロアアームからブッシュを打ち抜くのには、SST(特殊工具)が必要です。
ロアアームを破損させないように、SSTを使用して交換しました。
またブッシュの位置も決まっているので、マーキングしてから交換しています。
リアのリーフスプリングのブッシュも打替えます。
4か所の内の1か所が錆固着していましたので、セイバーソーでカットしてリーフスプリングを外しました。
グラインダーが使えれば簡単にカット出来るのですが、残念ながら隙間が狭いのでグラインダーの刃が入らないんですよね。
リーフスプリングを油圧プレスにセットして、ブッシュ交換をします。
左右のリーフスプリングブッシュ交換が完了しました。
本当はシャックルブッシュも交換したかったのですが、LH178の構造上、燃料タンクを降ろさないと交換出来なかったので、今回は保留としました。
リアハブベアリング交換。
シャフトからベアリングを外して、シールとベアリングをSSTを使用して交換します。定番の整備個所ですね。
ホーシング側のインナーオイルシールも打ち直し。
ブレーキシリンダのカップキットも交換しました。
フロントスタビライザーのブッシュ全数交換。
丸いブッシュが5個×左右。 インナーブッシュが左右2個
錆と摩耗で擦り減ったリテーナーも交換しました。
エンジン・ATマウントを全数交換しますね。
エンジンを持ち上げずに、サブフレームを降ろしてマウント交換するのは、なるべくハーネスやホースに負担を与えず安全に交換したいから。
マウントを交換すれば、ボディに伝わるエンジン振動が大幅に軽減されますよ~。
アッパーアームやロアアーム。
ブレーキやハブ、ドライブシャフトやナックル。
ショックアブソーバー全数
順番に組付けていきますね。
ブレーキフルード交換とエア抜き作業。
前後のデフやトランスファのギアオイルはガルフ プロガード75W90LSD対応を注入。
錆固着したロアアームのアジャストボルトには、今後錆び付かないようにボルト首下部分に薄くグリスを塗っておきます。
これで錆固着は当分大丈夫でしょう。
こんな感じでサスペンションやブレーキ、ハブやドライブシャフトなどを整備して、やっとリフトからハイエースが降りました。
次回ブログでは1G締付や車高調整、ホイールアライメント調整の作業を紹介しますね。 これでサスペンション整備の出来栄えが大きく変わるので、要チェックですよ~。
それではお楽しみに~!!