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トヨタ セルシオUCF20 リフレッシュプラン特大号。サスペンションを一新し、新車の乗り心地を取り戻すには。

10年10万キロ以上使用した車両を新車時のコンディションに近づける整備を行っている(提案型整備リフレッシュプラン)は大変好評をいただいています。


(長年使用した愛車をリフレッシュプランで再生したい)という方も多いですが、中古車購入した車両をリフレッシュプランでシャキッと再生させたいと依頼される方もおられます。



今回の依頼されるユーザーさんは後者の方で、中古車市場で探しまくった稀少車を購入し、リフレッシュプランのご依頼をいただきました。




トヨタ セルシオ UCF20 B仕様 走行距離7万キロ
リフレッシュプランのご依頼で予約入庫されました。



相談内容
・昔から憧れてやっと見つけたセルシオで、整備して乗れるだけ乗りたい。

・アイドリング時のシャーという異音が気になる。セルシオってこんな音がするのかな??

・10万キロは到達していないが、Tベルトやウォーターポンプ等も交換したい。

・内装、外装ともにほぼノーマル純正ですが、ショックアブソーバーが社外品(ビルシュタイン)&ローダウンスプリング装着でローダウンが酷い。    底が擦る時があるので新車ノーマル状態に戻したい。



今回整備に掛けられる予算は約100万円。
(本来のセルシオに戻したい!!)こんな感じで依頼されました。

(もう少し年式が新しい車両ならここまで必要は無いのですが、旧車ほど純正部品価格は高騰しているのが現状です。)





文章で書くと簡単に見えますが、実際は入庫前に何度もメールやTELでやり取りし、部品の在庫状況なども確かめながら予約受付しています。



予約入庫してもらい、問診をします。

メール内容を掘り下げてお聞きし、質問があればお答えしています。また今後の流れも説明してお預かりしました。



・アイドリング時はシャーシャー異音があり、信号待ち時のエンジン微振動がボディに伝わり不快で快適性は低い。

・ローダウンと劣化したサスペンションは非常に状態が悪く、乗り心地の悪化。



試運転から総合的に見て世界一の静粛性を誇るセルシオとは別の車両になっているようです。

なかなかヤリ甲斐のある整備が出来そうですね。どこまで新車時に近づけるか?にご期待ください。


ホイールアライメントは基準値から外れていますが、ローダウン車ならこんな感じでしょう。


排気ガステストの数値は問題ありませんが、バッテリーに充電するオルタネーターは数値が少し弱いね。

整備リフトに移動して、タイヤを外し車両全体を点検。


点検結果から整備プランを御見積して、ユーザーさんに作業内容を説明します。
プラン内容でOKをいただけましたので作業を始めますね。



まずは前後のサスペンションやブレーキ、ハブナックル等をバラバラに分解しました。


足回り系は乗り心地と満足度への影響が非常に高いので、ここはガッツリ整備しますね。


また足回り・下回り関係の部品は発注してもスグには揃わないので、入庫前に先行発注しています。

・車両に合わない過度なローダウン。
・無理に取り付けたショックアブソーバーとローダウンスプリングの組み合わせ。


予想通りサスペンションアームブッシュの1G締付していなかったので、フロント・リアともにアームブッシュの状態が破損していました。


ブッシュが悪い状態でショックアブソーバーだけ交換しても無意味。  全ての作業をやり直します。


車高をノーマルに戻すには純正スプリングが必要ですが、残念ながらスプリングは生産終了でメーカー在庫無し。

4本が同一車両から外された中古のショックアブソーバー一式を調達して、スプリングだけを拝借します。(購入店データでは5万キロ走行の中古品。)


それ以外の消耗品は在庫が有りましたので、ショックアブソーバーを組み立てますね。


ショックアブソーバーやマウント、インシュレーターにバンプ。  前後ともにスプリング以外は新品に交換しました。


並行してサスペンションアームもフロント・リアともにアッパー・ロア全数交換します。


リフレッシュプランの整備予算の大部分を占めるのが部品代。


サスペンションアームブッシュは単品供給はないので、基本的にはアームASSY交換。 (一部のブッシュだけ単品供給があります。)


サスペンションが外れている状態から、エンジンを保持しつつサブフレームを外して、エンジンマウント交換をします。


サブフレームを外さずにエンジンを持ち上げてマウント交換をするとハーネスやホースに無理な負担が掛かるので、弊社では出来るだけサブフレームを外してマウントを交換していますよ。



フロントハブベアリングとオイルシールも交換しました。






ブレーキ関係も整備します。

ブレーキのO/Hでリフレッシュ。

・ディスクローターはローター研磨機にて再生し、耐熱塗装
・キャリパーはピストンを外して洗浄し、シール交換
・ブレーキパッドはWAKO’S BPRで組立交換
・ブレーキホースも交換してフルードのエア抜き作業。



エンジンから聞こえるシャーシャー異音。
調べていくとベアリング系から聞こえる。


オルタネーターか?ベルトプーリーか?ACコンプレッサーか?耳を澄ましても反響して分かりずらいので、デジタルサウンドスコープで判定します。


各部品をクリップ付き配線で繋いで、ダイヤルを回すと聞き分けが出来る便利整備グッズ。   デジタル聴診器ですから個別の音が増幅され、個別に聞き分けが出来るのですよ~。




赤・白・黒配線を聴き比べると赤い配線からの異音が一番酷かったので、オルタネーターのベアリング不良と判定しました。




ウォーターポンプやタイミングベルトなども交換しながら、オルタネーターはリビルト品で交換します。




予防整備で劣化しているラジエターやホースなども交換し、LLCも圧送式で全量交換しました。




ATF交換も行いますが、まずはオイルパン洗浄ストレーナー交換一式を実施。


オイルパンを洗浄して磁石の鉄粉を除去。ストレーナーも交換してオイルパンを組付けます。




NUTECニューテック (NC-RFリンシングフルード)でプレ洗浄をし、本命ATFのZZ51改でもう一度圧送式交換を行いますね。



ほぼほぼ完璧にATFが入れ替わりましたね。

全化学合成のZZ51改を使用しているので、次回推奨交換距離は約5万キロです。






・カーエアコンリフレッシュαで冷媒ガスの全量再生しリチャージ。
・製造終了したヒーターバルブの交換
・デフオイルの交換
・ステアリングラックのブッシュ交換
・スロットルボディ清掃初期化

書き切れない程作業をしていますが、長くなるのでブログ記載は省略します。



整備リフトからアライメントリフトに移動して、1G締付を行います。


4輪が接地した状態でアームブッシュを固定しているボルトナットを一度緩め、ブッシュに掛かる無駄なテンションを開放します。

そこからもう一度ボルトナットを締め付ければ1G締付が終了。


これをしないと交換したブッシュが早期に破損するので、サスペンションを整備した時には必ず行いましょう。必須作業ですよ~。


1G締付後に軽く試運転をして、アームブッシュやショックアブソーバー等を馴染ませます。

そこからホイールアライメント調整を行いますね。


調整する前の数値はこんな感じでバラバラ。この数値では真っすぐ走れない事が直感的に分かると思います。


サスペンション整備した時は1G締付とホイールアライメント調整が必須作業なんですが、ディーラーさんでもこの作業をしないし、出来ない場合が多い。


そもそもアライメントリフトとアライメントテスターが無いと、1G締付やアライメント調整は出来ないですからね。





・ハンター社最新鋭ホイールアライメントテスター ホークアイWA470
・イヤサカ社ビシャモンマルチアライメント ロング特注


車体下から数値を見ながらアライメントを微調整します。

フロントのキャンバー・キャスター・SAIを調整しながら、リアのキャンバーとトゥを調整。

最後にステアリングのセンターを合わせながら、フロントトゥを調整しステアリングセンターを調整しました。





最終的にはこんな感じに仕上げました。

左右差15分以内で全て収まったので、良好でしょう。




最後の最後に試運転。  いつものテストコースを回ってグルグルと約1時間試運転をします。

異音がないか?振動がないか?ブレーキのフィーリング、加速や乗り心地を確かめながら走り回っています。



これぞセルシオという仕上がりになりましたね。
・V8エンジンの加速トルクに高い静粛性。
・スムーズなATシフトフィーリング。
・しっかり踏ん張って乗り心地の良いサスペンション。
・コントロールしやすいブレーキング


本来のセルシオに戻ったと思います。


納車の連絡をしてお引き取り。


納車時には約30~60分ほど作業内容を説明しています。
また画像も数百枚ありますので、それをモニターで見ながら分かりやすく解説しています~。


また画像が必要な方にはコピーしてお渡ししています。







純正部品は年々上昇していくのが普通。(価格改正)

特にモデルチェンジで新車製造が無くなれば、数%ほど少しずつ価格が上がる場合が多い。   これは部品の管理コストの関係で仕方がないのですが、問題はソコではありません。



旧車乗りにとって一番厄介なのは、純正部品の製造終了です。


今回のセルシオならスプリングが該当するのですが、メーカーに3本在庫が有っても意味ないですから。 4本揃わないと・・。



エンジンマウントも実は製造終了在庫無しだったのですが、ユーザーさんが情報を集めて、違うモデルのエンジンマウントが互換性有との情報を得たので交換する事が出来ました。



エンジンやブレーキなどの消耗部品は比較的問題ありませんが、駆動系やサスペンションなどのマイナーパーツは車齢20年を過ぎると少し供給に心配がありますね。


本日もミナト自動車ブログにお越しいただきありがとうございます。
また長~いブログを最後まで閲覧していただいて恐縮です。



弊社のリフレッシュプランは基本的にはノーマル純正の新車時に戻す事を目的としているので、ローダウンなどの改造等はお引き受けしていません。

純正状態で長く良い状態に愛車をリフレッシュしたい方は、ぜひご相談ください。  HPお問い合わせフォームに必要事項を記入して送信していただければ案内や参考見積等も返信させていただきます。



出来れば弊社の過去ブログを見て、(○○年○○月の△△△のリフレッシュプランは、いくらの費用が掛かりましたか?)と問い合わせていただけるとお答えしやすいです。



それではHAPPY CAR LIFE!!


2022年1月24日

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