トヨタ ハイラックスサーフTRN215 リフレッシュプラン。15年前の新車に戻すリフレッシュ整備。 ショックだけ交換しても、乗り心地は改善しないよ~。
今回紹介するのは三重県 トヨタ ハイラックスサーフ
TRN215 平成16年式 走行距離8万キロ。
提案型整備リフレッシュプランのご依頼です。
HP(お問い合わせフォーム)からご相談を受けました。
ハイラックスサーフ自体がもう代替車種がなくなり、大切に乗られている方が多く根強い人気車種ですね。
希望整備と要望
・重大な故障無しで今後10万キロは乗りたい。
・ドライブシャフトブーツからグリス漏れアリ
・燃費が悪くなってきた。
・牽引用ヒッチ装着
過去の整備歴をお聞きするとエンジンのW/Pやベルト類、ATFなどの整備歴はアリ。
電子制御によるソレノイドやアクチュエーターやスイッチ類の接触不良などによる突発的な故障はなかなか予防整備は難しいですが、機械的な故障をなるべく減らし、安全で快適なハイラックスサーフに戻す整備を依頼されました。
クロカン系車種はもともと頑丈な作りになっていますので、15年に一度はガッツリ整備してあげるとコンディションはかなり改善しますよ~。
予約来店から、まずは問診をします。
そしてお車をお預かりして試運転をしますね。
代車もお貸ししています。
そこから事前ホイールアライメント・バッテリー発充電状態・排気ガスなどを測定して、整備リフトに移動します。
テスターで調べた数値的にはマズマズ。
ホイールアライメント数値も今回の整備で改善出来るでしょう。
リフトアップしてタイヤを外し、エンジン・足回り・下回りなどを点検します。
車両点検をして整備プランの御見積を制作。
オススメの整備プランを提案させていただきました。
オーナーさんにプラン内容を説明して、OKがいただけたので作業を始めます。
点検と見積時点でここまで既に分解しています。
ボルトナットの錆固着やベアリングのガタ等も並行して調べているんですよ。
試運転から点検や部品分解し、整備個所を決めて部品価格を調べて見積書制作。
これだけで最低1日は掛かります。
それではフロントサスペンションから始めますね。
ショックアブソーバーは少し前に地元でビルシュタインショックをO/H済み。
今回はそのまま再利用します。
Frアッパー/ロアアームのブッシュ全数打替え交換。
ボールジョイントは手で触っても感触は良好。
今回はアームASSY交換ではなく、ブッシュとダストブーツをリペアします。
アームのブッシュにSSTをセットして、油圧プレスで打ち抜きます。
アームとブッシュに位置決めの印を合わせて、圧入して交換しました。
ボールジョイント部は清掃して純正リペアキットのグリスを注入。
ダストブーツも交換しますね。
漏れがあったドライブシャフトのブーツグリスも純正KITでO/Hしますね。
ドライブシャフトのブーツからグリスが漏れる原因は2つ。
一つはゴムブーツが劣化しバンドの締付が弱くなり、隙間から漏れてくる。
もう一つは熱劣化によるグリス粘度の低下。
熱劣化でバターぐらいの固さのグリス粘度が、飲むヨーグルトぐらいにシャバシャバになります。こうなるともうダメ。 粘度低下で油膜確保が出来なくなるので、グリスは要交換になります。
使うだけ使ってダメになればリビルト交換も選択肢としてあるが、私はそうなる前に純正ドライブシャフトを純正KITでリペアすれば、安価で耐久性があり、また10万キロは使えるとお伝えしています。
フロントハブやナックルもリフレッシュ整備。
ハブからベアリングをプレスで打替えますよ。
片側だけB/Gにチョット焼けがあり、グリスも変色していました。
そろそろ寿命でしょう。
ハブを分解して新しいB/Gに交換しました。
またナックルのダストシールも打替えます。
クロカン系のゴツゴツしたタイヤを履いていると、真円度が低く重量バランスも乗用車用に比べて低い。(ハブベアリングへの負荷大。)
またロードノイズが大きいので、ベアリング摩耗による異音が聞こえないんですよね。そういう意味では予防整備でのハブB/G交換は重要だと思いますよ~。
ブレーキのキャリパーは分解洗浄してからO/H。
洗浄後にピストンを磨いて、シールKITで組付けます。
これで固着も無くスムーズな動くブレーキキャリパーに戻りました。
ディスクローターは研磨機にて再生します。
http://minato-motors.com/blog/?p=14924
フロントはやや耳が立っている程度ですが、リア側はやや振れがあり修正しながら研磨しました。
前後ともに限度厚を十分残して研磨完了。また10万キロ使えます。
ブレーキパッドを交換してキャリパーをオーバーホールし、ディスクローターを研磨にて再生すれば、異音も無く、ブレーキコントロールがしやすいブレーキに戻ります。
リア側のシャフトハブベアリングを交換します。
パーキングブレーキを分解しアクスルからシャフトを引き抜いて、油圧プレスとSSTでシャフトからB/G・シールを外します。
ベアリングとリテーナーの厚みがハイエースと比べて倍ほどあります。(引き抜き強度が高い。)
専用SSTとプレスが無いとおそらくこのベアリングを交換するのは難しいでしょう。 間違った方法で交換するとシャフトを傷付けるか?破損させてしまいますよ。
適切な工具と手順で正確に組付け交換し、アクスルのオイルシールも同時交換します。
間違った方法で作業をすると交換したB/Gを痛める事になり、寿命も短くなるのですよね。
Fr、Rデフ・トランスファのギアオイルはNUTEC 全化学合成ギアオイル(エステル系)NC-70 75W90で交換。
牽引時の登坂走行はRデフオイルの負担が大きいので、耐熱性・耐久性の高いNUTECの高性能ギアオイルをお勧めしました。
リアのサスペンションも整備しますね。
ハイラックスサーフTRN215のリアサスペンションアームはブッシュだけの部品供給はなく、アームASSYのみ供給されます。
今回はアーム全数を交換しましたが、意外と部品単価が安かったです。
スプリングシートも同時に交換しました。
全国産車メーカーに言える事ですが、新車から10年経過すると部品価格が年々上昇します。長期の部品管理コストがそのまま部品価格に反映されるのは、ある程度覚悟が必要ですね。
ステアリングのラックエンドはASSY交換。
大口径ホイールを装着すると、ここのボールジョイントのガタが出やすい。
ガタがあるとホイールアライメント調整が正確に出来ないので交換しますね。
ボールジョイント部を見るとハイエースクラスのB/Jでした。
ランドクルーザー系になるとB/Jがもう一回り大きく頑丈になります。
エンジン・ATマウントも交換しました。
15年も使用すると柔軟性はなくなり、エンジンの微振動を吸収出来なくなりますよ~。
TR系エンジンの前期型は、冷却ラインの一部に樹脂製パイプを使用しています。
これが熱劣化で割れるんですよね。
対策品の金属製バイパスパイプに予防整備で交換します。
リサイクル出来る金属パイプと出来ない樹脂製パイプ。
重量もそんなに変わらず耐久性に難がある樹脂製を使うメリットはどこにあったのでしょうか?
輸入車はもちろん、国産車でも冷却ラインで樹脂製部品を使用したがりますが、熱劣化で割れる事を想定していないのかな??
樹脂製ウォーターポンプなんて長持ちしないし、バイパスパイプを樹脂製にしても、あとで対策品を作るならコストダウンにもならないと思うんですけど。
W/Pは既に交換済みなので、サーモスタッドを今回交換しますね。
またラジエターアッパータンクも樹脂製でこれも経年劣化と熱劣化で割れます。
冷却系統は漏れたり割れたりすると、走行が出来なくなるので予防整備で交換しました。
同時にホースとファンカップリングも交換します。
電動冷却ファンがないハイラックスサーフはラジエターの冷却にファンカップリングで風量制御しています。
オーバークール、オーバーヒートにならないように、地味に活躍してる重要部品なんですよ~。
LLCも圧送式交換でリフレッシュ。
ラジエターリフレッシャーのダイヤフラム式ポンプで脈動圧送しながら、E/G・ヒーター・ラジエターのLLCを全量交換しますね。
最後にエア抜き作業とLLC再生強化剤注入します。
ブレーキホースやキャリパー等を組付けてブレーキフルード交換。
タイヤを装着して整備リフトからアライメントに移動し、ATFは圧送式で交換します。
以前に他社にてオイルパン脱着を実施して、ATFは交換済み。
今回はオイルパンは脱着せず、ATFのみ交換します。
NUTEC NC-RFでプレ洗浄して15分間のアイドリングタイム。
このあとNUTEC最高峰ATF NC-65でもう一度圧送式交換します。
最終的にはここまでキレイに入れ替わりました。
フルードレベルも調整します。
ここまでキレイに入れ替われば、次回交換推奨距離は約6万キロになります。
アライメントリフトで4輪が接地した状態で『1G締付』
整備中はサスペンションが伸びた状態で、アームの角度も下方に向いています。
4輪接地した状態が走行状態ですが、この時のアーム角度は地面に対してほぼ平行。
サスが伸びた状態でブッシュのボルトを締め付けてロックし、接地した状態になるとブッシュは捻じれてしまいますよね。
接地状態からブッシュ取付ボルトを一度緩めて、再増し締め。
これでブッシュに掛かる無駄な捻じれやテンションを開放し、適切に締付するのが『1G締付』。
サスペンション整備では必須作業ですので、足回りを分解した時には必ず行いましょう。 やらないとブッシュが早期に破損しますよ~。
1G締付後に軽く試運転をしてから、サスペンションを馴染ませて、ホイールアライメント調整を行います。
・ハンター社最新鋭ホイールアライメントテスター ホークアイWA470
4つの高精度カメラでホイールに装着したターゲットの動きを捕捉。
瞬時にアライメント数値を弾き出します。
・イヤサカ ビシャモン マルチアライメントリフト
国産アライメントリフトの最高峰 高剛性・水平レベルを長期に維持します。
ホイールに装着した樹脂製軽量ターゲットはホイールとターゲットの間にシリコンゴムリングが装着しており、ホイール面を傷付ける事無く、短時間で装着出来ます。
ターゲットもホイールの中心付近に大体で装着すればOK。ホイールとのセンタリングは不要で、その修正は4つの高性能カメラでターゲットの動きを捕捉して、ホイールアライメント数値を瞬時に演算します。
それにビシャモンリフトの高剛性と高水平レベル維持が、さらに測定数値の精度を向上させます。
ここから車体下に潜りこんで、リモコンモニターの数値を見ながらアライメント数値を微調整しますね。
フロントはほぼ完璧でしょう。
リアはリジットのために調整不可ですが、ステアリングセンターが中心になるように、フロントトゥを微調整しました。
最後にいつものテストコースを走行します。
住宅地の路面がガタガタしている所や、90度に曲がる十字路。
幹線道路でスピード上げて加速度・直進性を確認し、ブレーキやサスペンションの具合も五感を澄ましてチェックしています。
これで真っすぐに走る乗りやすいハイラックスサーフになりましたね。
最終チェックを何度も行い、無事納車となりました。
納車時には作業中の画像をお見せしながら、作業内容を説明しています。
また今後の課題整備やメンテナンスのアドバイス等もお話ししました。
画像は全てDVDにコピーして整備記録用にお渡ししています。
(また弊社でも保管しています。)
ちなみに今回のリフレッシュプランで撮影した画像は全300枚以上。ピンボケや写りが悪い画像を削除して、厳選した画像270枚ほどコピーしてお渡ししました。
後日レビューをメールでいただきました。
ミナト自動車様この度は、お世話になりました。帰り道の高速道路で凸凹での突き上げがマイルドになり、足回りの動きが良くなったのが、分かりました。今までは、硬めのダンパーとホイールをインチアップしているので、少しの凸凹での突き上げは仕方がないと思っていましたが、リフレッシュ後は、リラックスして運転を出来る事に喜びを感じております。今回、リフレッシュプラン整備をして正解だと思っております。これからもこの車を大事に乗り続けて行きたいと思っております。
こちらこそ弊社をご利用いただきありがとうございます。
本日もミナト自動車ブログ日々是好日にお越しいただきありがとうございます。
リフレッシュプランのご依頼はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。
過去の事例から愛車の整備に近いブログを探して、何年何月の○○のブログ整備はいくらしましたか?と聞いていただけるとお答えできます。
http://minato-motors.com/blog/?cat=12
整備予算の目安にしてくださいね。
ただリフレッシュプランは非常に好評をいただいており、慢性的な長期入庫待ちが発生しています。その為にタイミングによっては新規予約受付を中断している事もありますのでご理解のほど宜しくお願い致します。
それではHappy Car Life!!