トヨタ クラウン GRS204 D-4Sデュアルインジェクターの直噴はどちらか言えばポート式?? DSCでカーボン除去。
岡山県から来店したのはトヨタ クラウン GRS204 走行距離8万キロ
・DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)
・ATF完全圧送式交換 for NUTEC
その他オプション整備のご依頼です。
今回のお客様はDSC2回目のリピート来店。
数年前にGRS180系のクラウンでDSCとATF交換を作業させていただきました。
愛車を乗り換えたそうで、前回同様の作業を希望され、お車をお預かりし1泊2日で作業をしますね。
まずはDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)から始めます。
トヨタ・レクサスのFRセダンに搭載されている2GR-FSEは、3.5L V6直噴(D-4S)のデュアルインジェクター(I/J)搭載している高効率・高出力エンジンですね。
(マークX・クラウン・レクサスIS、GSなどに搭載)
トヨタ系の直噴システムは2種類。
インジェクターがシングルの(D-4)とデュアルの(D-4S)。
どちらもガソリン直噴特有のインテークバルブ周辺に蓄積するカーボン(煤)で、性能低下等が現れるので悩ましい所です。
シングルの(D-4)は燃焼室にI/Jがあるので、内部EGRによるカーボンがインテークバルブに付着すると、燃料で洗い流される事が出来ないので下記の画像のように蓄積する一方です。
シングル直噴のカーボン蓄積は燃焼室に入る吸気が乱れて、理想的なタンブル・スワール渦が形成されず燃焼効率が落ちるのが性能低下の主原因。
これはトヨタだけではなく、他の国産車でも直噴なら同じで、輸入車の直噴も同様です。
今回のクラウンGRS204は燃焼室にインジェクターが1本、吸気上流のポートにもインジェクターが1本あるデュアル式のD-4Sなので、どのようになっているかを紹介しますね。
インテークバルブが見えるまで部品を分解します。
ポート奥に見えるインテークバルブを覗いてみますね。
D-4とは違い、吸気の乱れになるような煤塊がバルブにはありませんでした。
そうなんです。
D-4SになるとインテークポートにもI/Jが有るので、そこからバルブに向けてガソリンを噴射しています。
そのおかげでバルブ周辺に付着したカーボンはガソリンによって多少洗い流され、蓄積は少ないのが特徴です。
そうなるとD-4SではDSCによるインテークバルブの洗浄は不要だと思うでしょ?? 実はそれは違うのですね。
ドライアイス洗浄機を用いた弊社オリジナル整備のDSCで、
インテークバルブに固着したカーボンを(エンジンにノーダメージ・短時間に完璧に)除去していきます。
http://minato-motors.com/dsc/
6気筒12ポート全て除去完了。
新車時と同じ状態に戻りましたね。
ここからD-4とD-4Sのカーボン蓄積の弊害を説明します。
D-4Sは直噴特有のD-4のような煤蓄積は、さほど問題ではありません。
問題はポート噴射時の(燃料の吸い込み・吸収)が加速レスポンス等に影響してきます。
走行状況に合わせて直噴とポート噴射を使い分けるD-4Sは、ポート噴射時に燃料噴射するとバルブやポート内壁に付着したカーボンにガソリンの一部吸い込まれます。
カーボン蓄積層は多孔性なので、簡単に言えば液体を吸収する余白があります。
燃料が必要な時にこのバルブに向かってガソリンを噴射するとどうなるか?
ガソリンの一部がバルブ表面のカーボン層に吸い込まれて吸収されます。
吸収されなかったガソリンは気化し混合気となり、燃焼室に導入されますが、必要だった燃料の一部がバルブに吸い込まれているので燃焼室の混合気は薄いですよね。(リーン)
その後にポート噴射しない走行時には、吸い込まれた分のガソリンは徐々に気化します。
徐々に気化した分と新たに噴射された分が混合気として燃焼室に流入すれば、結果的には混合気はリッチになります。
詳しく書くと長文になるので止めますが、もの凄~く簡単に言えばこんな感じ。
ある条件下で燃焼室のガソリンが(必要な時には足りず、不要な時に多い)というアンバランスな現象が起きます。
ほんの僅かの誤差ですが精密なエンジン制御では、微妙にフィーリングの違和感が残るのです。(失火・ノッキング・エンジン微振動など)
このバルブに固着した煤の蓄積による(ガソリンの吸い込み)は、どちらか言えばEGRを大量に使用する(従来型のポート式噴射エンジン)で最近は問題が多くなってきています。
ポート式噴射をしてもこのように金属剥き出しのキレイな状態なら、燃料が吸い込む余地は無く、噴射と同時に気化し混合気になります。
必要なタイミングで必要なガソリンを、余すことなく燃焼室に導入し、圧縮して点火し燃焼させる。 これがポート・直噴関係なく、理想的な燃焼です。
(リーン・リッチ)は燃焼後のA/FセンサーやO2センサーで検知し、ECUがフィードバック制御するのですが、加速時や高回転時・急減速時ではフィードバックが追い付かないのだと個人的には思っています。
ちなみに上記画像は走行距離16万キロのハイエースTRH200 TR系ガソリンエンジンのインテークバルブです。
1TR-FEなどのTR系エンジンは従来型のポート噴射なので、本来はインテークバルブのカーボンは洗い流されてキレイなはず・・・。
ですがポート噴射のガソリン噴霧状態が悪いのか?洗浄剤が添加されていないレギュラーを多用しているのか?原因は分かりませんが、バルブとポート内壁はカーボンまみれで酷い状態でした。
こうなると(燃料吸い込み)が酷くなり、燃費や加速レスポンスは低下し、アイドリング時の微振動が表面化します。
上記の画像は少し前に確認したハイラックスサーフTRN215 2TR-FE 走行距離8万キロのインテークバルブの画像。
さきほどのハイエース16万キロと同じエンジンですが、蓄積具合が全然違いますよね。こちらはキレイです。
ポート式でも15万キロ・20万キロになってくると徐々に洗い流せなかったカーボンが固着して、(ガソリンの吸い込み)が始まり、燃焼状態が悪く不安定になる事例が増えている。
D-4Sの場合は直噴特有の弊害は起きにくいが、ポート式噴射特有の弊害が影響してくるのが、長年直噴のDSC作業をしている弊社では少しずつ分かってきました。
DSCのオプション整備(NGK プレミアムRXでスパークプラグ交換)も依頼されました。
DSCと同時にすると簡単に交換出来るので、その分工賃はお安くしています。
インテークマニホールドのカーボンとオイルを洗浄して、スロットルボディを清掃&初期化。
ガスケットも交換して組み立てていきます。
次はATF完全圧送式交換。
フルードをチェックしてオイルパン洗浄ストレーナー交換を実施します。
洗浄して組み立てて、フルードを補充します。
エンジン始動で暖機し密封式6速ATにアダプターを装着して、圧送式交換を行いますね。
まずはNUTEC謹製 NC-RF リンシングフルードでプレ洗浄します。
http://minato-motors.com/blog/?p=17434
全量イッキに圧送式交換しますね。
1回目のプレ洗浄をしてこんな感じ。
あまりキレイになっていないですね。
チェック時から相当汚れていたので、1回のプレ洗浄では無理かな??と思っていましたが、やっぱりねと。
オーナーさんに連絡してプレ洗浄追加を承諾してもらい、もう一度圧送式交換します。
2回のプレ洗浄でここまでキレイになりました。
・オイルパン脱着時の補充で4L
・プレ洗浄1回目 9L
・プレ洗浄2回目 9L
この時点でNC-RFは計22L使用しています。
8万キロの走行距離にしては、結構汚れていましたね。
ある程度キレイになったところで本命ATFを使用します。
NUTEC 全化学合成ハイパフォーマンスATF NC-65で圧送式交換しますよ。
完璧に入れ替わりました。
ATFクーラーを洗浄して、規定温度でフルードレベル調整を行いました。
オプション整備のデフギアオイル。
NUTEC 化学合成ギアオイル ZZ-31 75W85で交換しました。
同時にオプション整備のカーエアコンリフレッシュα。
AC冷媒ガスを点検&リチャージします。
最後に試運転をして、無事1泊2日で納車が出来ました。
同じ直噴でもシングルとデュアルでは、弊害の原因が少し違う。
またデュアルインジェクターのD-4Sでも運転の仕方やメンテナンスなどで、インテークバルブが全く汚れていない車両と汚れている車両があるのが分かっています。
http://minato-motors.com/blog/?p=7255
6年前の2015年にUPした古い旧ブログでは、クラウンGRS184とレクサスIS350のD-4Sを書きましたね。
D-4Sに限っては蓄積の有無は開けてみないと分からないのが現状です。
ATF交換やDSCどちらかなら、オプション整備のを含めても日帰り作業で納車が出来ます。
ATF交換とDSCを同時に依頼された場合は、1泊お預かりで朝9時半入庫で翌日夕方納車になります。
ATF交換やDSCの御見積・ご予約はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。
弊社のATF交換やDSCは国産車でも全ての車両に対応している訳ではありませんので、対応不可の場合はお断りさせていただく事をご了承ください。
どうぞ宜しくお願い致します。