ハイエース グランドキャビン KZH120G キャンピング仕様 リフレッシュプランで新車時に近づける整備を実施。 今回のブログも長編です。
弊社がお勧めしている(提案型整備リフレッシュプラン)は年々認知度が高くなり、大変好評をいただいております。
http://minato-motors.com/refresh/
そのためリフレッシュプラン予約がある一定枠まで埋まると、新規受付を一時中断しています。 (そして予約数が薄くなると再開。)
少人数で営業しているので一気に数十台も予約を引き受けても、作業着手があまりのも長くなりご迷惑をお掛けするので予約制限しています。
(ATF交換・DSC予約については常時受付していますのでご安心ください。)
今回入庫していただいたハイエースKZH120も、予約から数か月お待ちいただいての入庫となりました~。
ハイエース グランドキャビン KZH120
平成9年式 走行距離267000km
リフレッシュプランのご依頼です。
相談内容
・知人から譲渡されたキャンピング仕様のハイエースワゴンをリフレッシュ整備をしたい。
・エンジン下部からの音がうるさい。
・加速が遅く感じる。
・車高が低すぎて乗りづらい。またマフラーが脱落して音がうるさい。
快適に乗れるように整備を依頼されました。
下がりに下がりきった車高も相まって、盛大に乱れたホイールアライメント数値。
試運転をするのが危ないね!と思いながら、軽く試運転をしてホイールアライメント測定を行いました。
バッテリーの発電状態をチェックして、リフトアップし車両全体を点検します。
相談内容や点検結果、整備予算も考慮しながら整備プランをプランニング。
リフレッシュプランの難しいのは整備の実作業ではありません。
どこを整備して、どこを修理してユーザーさんが求めるリフレッシュ状態に仕上げるか?見積と整備プランニングが最重要課題。
正確にいうと(リフレッシュプランニング)を短くして、リフレッシュプランと命名しています。
それでは整備した内容を紹介しますね。
まずはローダウンし過ぎの車高を元に戻します。
前ユーザーさんがローダウンスプリング取付時に1G締付をしていないので、アームブッシュが全数破損していました。
トレーディング・コントロールアームを分解して、ブッシュを打替えますね。
ラテラルロッドのブッシュも酷い状態でした。
こちらもブッシュを打替えます。
リアスタビライザーのブッシュやリンクロッドブッシュも全数交換。
ブッシュが擦り減りすぎてガバガバ、ガタが大きかったですね。
リアスプリングも純正新品に交換して、上下のインシュレーターも同時交換。
スプリングやブッシュやアーム類などは、メーカーが常時在庫していない可能性が高いので、入庫1カ月前には先行して部品を発注しています。
次はフロントサスペンションをリフレッシュ。
ロアアームやテンションロッド・スタビライザーのブッシュを全数交換します。
またローダウンの弊害で破損したバンプも交換します。
今回ショックアブソーバーは純正品で交換します。
フロントは簡単に交換出来ますが、リアは少し大変でした。
100系ハイエースワゴン車のリアショックアブソーバーは、室内からアクセスして交換が出来るのですがこの車両はキャンピング仕様・・・。
室内にはベッドやフロアーが改造されていて、ショックアブソーバーを交換するサービスホールが開けられない。
ユーザーさんに了承を得て、改造している床のパネルを切断して交換する事にしました。(ベッド等を分解するとものすごく時間が掛かるので)
白い木目調の塩ビフロアーシートをカットすると、もう一枚の茶色いフロアーシートが現れてもう一度カット。
次はコンパネ9mmが現れたのでボディのパネルを傷付けずに、電動丸鋸で深さを調整しながらコンパネ1枚のみカットします。
そうすると純正フロアーシートが出てきました。
これでサービスホールが開けれたので、ショックアブソーバーを交換します。
ノーマル状態だと簡単に交換出来るのですが、室内を改造していると結構大変なんですよね。
また出来るだけキレイにカットしたので、元に戻しても違和感なく仕上げられたと思います。
次はガッタガタになっていたハブベアリング類を一式交換しますね。
フロントはハブケースからベアリングを抜き取って、内部の劣化したグリスを除去し洗浄。 新しいベアリングとオイルシール・グリスを組付けます。
リアのハブベアリングやシールも一式交換。
ホーシングからシャフトを引き抜くと、デフオイルが溢れてきました。
本来はこの部分にはオイルが侵入してはいけないのですが、今回は少し様子がおかしい・・・。
シャフトを引き抜いて、ベアリングやカラー部を観察します。
この時点でもうおかしい。
誰かが整備した形跡があるね。
以前に誰かがハブベアリング交換時に、カラーを切断しシャフトまでガッツリ削っている。
これだとオイルが漏れるのでシリコンガスケットで処置したつもりが、全く処置出来ておらずオイルが侵入。
間違った整備をして誤魔化したケースですね。
これではこのシャフトは使えないので、急遽中古部品一式を調達しシャフトのみを使います。そこから左右のベアリング・シール等を交換しますね。
ミナト自動車ではハイエース用オリジナル治具を自社製作しているので、カラーを切断等する事なく、安全に確実にベアリングを交換出来るようにしています。
年間何十台もハイエースの整備をするので、間違った整備はNGかつ時間もロスしますしね。
ホーシング側のオイルシールも新品で打替えて、シャフトにベアリング等を組付けました。
カラーとABSローターの位置決めを間違うと、オイル漏れの原因になりますよ~。
フロントブレーキもO/Hでリフレッシュ。
・ディスクローターは研磨にて再生。
・キャリパーは分解洗浄してシール交換
・ブレーキパッドはWAKO’S BPRでシム交換。
(リアはライニングシュー残量が十分でしたので、清掃と調整のみです。)
・フロントアッパーアームASSY
・ショックアブソーバー
・ロアボールジョイント
・ステアリング ラックエンド&ブーツ
全て交換します。
特にアッパーアームとラックエンドのボールジョイント部は、高確率でガタがあるので要チェック。
ディスクローターをハブに装着し、車体に取り付けたナックルとハブを組付け。
ハブロックナットをプレロード調整、ダイヤルメーターでローターの振れを点検。 振れが大きいと高速走行時に振動が出ますよ~。
激しい振動で揺れていたエンジンには、エンジンマウントを全数交換します。
クラックが大きくゴムも剥がれていたので、ここまで劣化すると振動を吸収出来ないですよね。
エンジンの周辺消耗品も整備交換していきます。
・メインラジエター交換
・ウォーターポンプ、サーモスタッド交換
・ヘッドカバーガスケット交換
・カム、クランクオイルシール交換
・ファンカップリングASSY交換
・ホース類、エアエレメント交換
・フューエルエレメント交換などなど・・・。
タイミングベルト等は既に交換済みで、未整備の部分だけ整備をしました。
また平成一桁年式になると製造終了部品も出始めているので、それらの部品も予防整備で交換しています。
爆音が出ていたマフラーは中間パイプ部分で脱落していました。
調べると100系中期型標準ボディの中間マフラーパイプASSYは在庫有りでしたが、グランドキャビンのロングボディ用は製造終了となっていました。
そこで中期型の中間マフラーパイプを購入して、マフラー延長パイプとバンドで50cmほどストレッチします。 こうすれば錆で朽ち果てる事も無く、強度も問題ないので長く使えるでしょう。
ATFも交換します。
・オイルパン洗浄ストレーナー交換
・プレ洗浄 & 本命ATFはアイシンAFW+
全量圧送式で2回交換しました。
ATFチェンジャーを接続して、全量圧送式交換。
15分のアイドルタイムから、もう一度圧送式交換。
結構キレイになりましたね。
最後にフルードレベル調整を行います。
リアデフオイル交換は(ガルフプロガード75W90 LSD対応)
エンジン冷却水も最初に確認するとLLCではなく、ほぼ汚れた水が出てきました。
そうとう長い間冷却水を交換していなかったんだと思います。
複数あるドレンから劣化したLLCを全て排出回収し、ウオーターポンプ、ラジエター交換後にとりあえず水道水を注入。
フロア下のヒーターホースに水道水を全開で注入。 冷却ラインの内部洗浄を何度も行いました。
そこからLLCを注入してエア抜き作業。
ラジエターキャップも同時に交換しますね。
アライメントリフトで車高調整と1G締付を行います。
・リアのスプリング交換で車高が変わりましたので、リア基準点と地面の高さを測定。 測定値と基準値を考慮してフロント車高を調整します。
同時に4輪が接地した状態で交換したブッシュのボルトナットを一度緩めて再増し締め。(1G締付)を実施。 ブッシュの不要なテンションを開放しブッシュの早期破損を防ぎます。
せっかく全数ブッシュ交換をしたのに、1G締付を未実施だと意味ないですよね。
そこから軽く試運転をして、ホイールアライメントを調整します。
・ハンター社ホークアイWA470 ホイールアライメントテスター
・イヤサカ ビシャモンマルチアライメントリフト ロングバージョン
軽量樹脂ターゲットをホイールに装着して、4つのカメラでターゲットの動きを捕捉。
車体を20cmほど手押しして、ハンドルを左右に振れば数値が演算されました。
カムボルトは中立の位置で組み立てて、スグの状態だとこんな感じ。
これではバラバラで真っすぐには走れないですよね。
車体下から乱れた数値を整えていきますね。
キャンバー・キャスター・SAIを同時に調整しながら、トゥも調整しつつステアリングセンターを合わす。
結構キレイに整いました。
ステアリングが社外ハンドルとボスに交換されていたので、念のために最大切れ角等も調整しておきました。
最後にエアコン冷媒ガスをリフレッシュ。
デンゲン社エコマックスjrで冷媒ガスを回収再生再充填。
NUTEC NC-200も同時に注入し、コンプレッサーの潤滑・気密を強化をします。
結果的には規定充填量の30%しか冷媒ガス無かったようですね。
去年の夏はエアコンが効かなかったと思います。
ここから試運転をして、最終チェックを繰り返す。
締め忘れやオイル漏れ、異音や振動が無いかを何度も確認してから納車になりました。
足回り・下回り・ブレーキ等はバッチリ整備が出来たので、本来のグランドキャビンの乗り心地に戻ったと思います。 高速走行しても安定して走る事が出来るでしょう。
またこの年式に多く処置する(オーバーヒート対策)も行えたので、長くキャンピング車として使えますね。
今回の整備をした事を知らない人がこのハイエースに乗れば、おそらく26万キロ走行した車両とは思わないでしょう。
リフレッシュプランのご予約・ご相談はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。
ただ最近は慢性的に予約枠が満杯で新規予約受付を中断している時が多いので、タイミングが合えば是非ご依頼ください。
それではHAPPY CAR LIFE!!