群馬県からハイエースワゴン 100系ディーゼル4WD リフレッシュプラン。 行きは自走で帰りは陸送!! 代車不要の方にはオススメです。
連日リフレッシュプランのハード整備で、
肩・腕・背中が筋肉痛の5月下旬。
1本1本のボルトがなかなか緩まず、
慎重に慎重に。
M10以下のボルトは折れないように。
M12以上のボルトはガジらないように。
降雪地からの車両が数台連続で入庫すると、
結構ハードな筋トレになりますね~。
(錆固着との闘いです。)
群馬県からお越しいただいたのは、
ハイエースワゴン KZH116G
H15年 走行距離16万キロ
リフレッシュプランのご依頼です。
群馬県で宿泊施設で使用されている送迎車。
スキーのお客様と道具一式を送迎する車両として
お使いになっているそうです。
製造から15年15万キロ以上経過している車両なので、
普段の車検整備では作業しない箇所を中心に
今回手を加えていきます。
問診をしてから試運転。
距離・年式相応の乗り心地は、
ハードに使用してきたのが分かります。
事前ホイールアライメントの数値はバラバラで、
少しスピードを出すと車体が暴れて落ち着きがない。
群馬県からの高速走行は大変だったと思います。
点検をして整備プランを制作するのですが
今回は下回り・足回りの錆腐食が多く、
ある程度分解してからのプランニング。
整備予定の箇所を慎重に外していきます。
大変なところのボルトが折れたり、
外れなかったりすると非常に厄介。
1分の作業が1時間になる事もあるのです。
ハイエースの100系と200系の4WDは
基本的に同じ構造のロアアームです。
ロアアームをボディに固定し
さらにアライメントを調整するカムアジャストボルト。
左右前後の4箇所全てがブッシュと錆固着し、
ボルトが全く回らず外せず・・・。
1個・2個ぐらいは覚悟していましたが、
全数固着しているのは初めてですね。
こうなると車体からロアアームを外す事が出来ませんし、
ホイールアライメントを調整する事も不可能。
酸素・アセチレンで切断すると
ブッシュゴムが焼けて火が出ます。
(周辺も焦げてゴム臭くなる)
ディスクグラインダーでの切断は、
狭い隙間に刃が入らない。
ボディとアームを傷付けずに、
アームASSYを生かして外すのは
このツールを使う以外にはないでしょう。(かつ安全に)
日立セーバソー&極厚物用セーバブレード。
(高トルク版なので結構デカイです。)
軟鉄10mm用のバイメタル刃で、
22mm以上のボルトを無理やり切断しています。
これなら火花も炎も出ずに、
周辺の金属や塗装を傷める事もありません。
なによりブッシュのみの交換が出来ると、
ロアアームが再利用できますしね。
ここまで分解して整備プランの見積を提案し、
OKをいただいてから本格的に作業を開始します。
ロアアームASSYでは高額になるので、
弊社ではブッシュのみを打ち替えます。
位置決めをしてから100系ロアアーム用のSSTを使用し、
中空ロアアームを壊さないようにブッシュを交換しました。
アッパーアームはASSYしかメーカーからの供給がないので
ASSY交換です。
カムアジャストボルトは今後10年は錆固着しないように、
グリスを塗り込んで装着しますね。
ドライブシャフトのO/Hを行います。
以前にアウター側のブーツ破損での処置でしょうか?
分割式ブーツが装着されていました。
このブーツの利点は車体から外さずに作業が出来るのですが、
狭いスペースで装着するために
グリスは少ない量しか注入できないのです。
グリスが多いと装着中にブーツ結合部への付着しやすく、
接着剤が結合しないのですね。
開けてみるとほとんどグリスが無く、
ブーツ内の結露で少し錆が出てますね。
これでは長く良い状態で使用できないでしょう。
今後10万キロ走行するなら
純正ブーツ&グリスKITをオススメします。
充填グリスは約200g。
たっぷり充填してブーツバンドでガッチリ固定。
耐久性が違うので弊社でのリフレッシュプランでは、
こちらを採用しています。
ハブベアリングもIN・OUTを新品に交換して、
オイルシールも打ち直し。
ケース内のグリスも洗浄し、
新しいグリスを充填します。
ナックルのグリスとシールを交換して、
ロアボールジョイントも交換しました。
ガタの発生がしやすいラックエンドASSYを交換して、
ブーツも新調します。
スタビライザーのブッシュも寿命が過ぎているので、
全数交換しました。
エンジンマウントインシュレーター 左右。
ATミッションのマウントインシュレーター。
1KZディーゼルエンジンの水冷インタークーラー付ターボは、
絶望的にエンジンルームが狭く、
マウントの前後左右にスペースがありません。
エンジンを持ち上げると水冷インタークーラーが邪魔をし、
サブフレームを下げるにも固定ボルトが異常に固く緩まない。
いろいろ考慮した結果は
サブフレームを下げてスペースを確保し、
3つのマウントを交換する選択。
異常に固いM14ぐらいのボルトを
45度緩めてから再締め付け。
そして90度緩めてはまた締め付け。
何度も繰り返して少しずつボルトを外します。(計8本)
フレームの中のボルトネジ山に錆が付着しているので、
慎重に作業をしないとフレーム側のネジ山が
潰れてしまうのです。
フロント ディスクローターは研磨にて再生し、
耐熱塗装で化粧直し。
キャリパーのダストブーツ周辺は軽くブラストしてから、
全体をキレイに洗浄します。
ピストン1個は磨きで再生出来ましたが、
もう1つは錆腐食が酷いので新品で交換します。
シールとブーツを交換してオーバーホール完了。
Frブレーキパッドはシムを清掃してから、
WAKO’S BPRグリスを塗って交換しました。
リアスタビライザーのブッシュ全数交換。
ガタが大きくゴムブッシュがユルユルでしたね。
ラテラルロッドのブッシュを
油圧プレスで打ち替えます。
ショックアブソーバーは純正品で前後4本交換しました。
リアブレーキのライニングシュー残量は十分あるので、
ブレーキシリンダーのみメンテします。
リアブレーキのホイールシリンダは内部を洗浄してから、
カップキットを交換します。
シリンダが一つしか写っていないのは、
右側のボルトが固着して外せなかったのです。
無理に外そうとはせずに、
右側は車上にて洗浄し交換作業をしました。
最後にドラムブレーキ調整をしてあげれば、
4輪で止まるブレーキに回復します。
フューエルエレメントとLLC圧送式交換。
ラジエター(メイン・サブ)とヒーター(前後)は、
ラジエターリフレッシャーでLLC全量圧送式交換。
水冷インタークーラーはドレンアウト式で
LLCを交換しました。
最後にLLC強化再生剤を注入して、
エア抜き作業を行います。
ATF交換はオイルパンを洗浄して、
ATFストレーナーは交換します。
鉄粉を除去して液体ガスケットを塗り、
ATに再装着。
ATFを補充し完全暖機後に、
ATFを圧送式で交換しますね。
使用するATFはアイシンAFW+。
アイシン精機製のATにアイシン製のATF。
9Lをイッキに交換して、
ここまでキレイになりました。
まだ汚れが取りきれていないですね。
15分のアイドリング後に、
もう一度圧送式で全量交換します。
ここまでキレイに入れ替われば、
次回交換推奨時期は約4万キロとお伝えしています。
前後デフとトランスファのギアオイルは、
ガルフ プロガード75W95 部分合成油で交換しました。
カーエアコンリフレッシュαで、
AC冷媒ガスをリフレッシュ。
過去の経験上100系デュアルACは
大体500gは減っている車両が多いです。
今回も冷媒ガスが530gほど少なかったようですね。
NUTEC NC-200を同時に注入しました。
アライメントリフトに移動して1G締め付けをしてから、
軽く試運転をします。
馴染んだところで車高調整を行いますね。
ハイエースはフロント側のみ車高調整機能がありますので、
リアの基準値と現在の高さを考慮してFr側の数値を決めます。
例えばリアが15mm経年劣化でダウンしていれば、
フロント側も基準値より15mm下げないダメですよね。
車体中央下部にある調整ナットを回して、
前後左右バランスよく調整しました。
(車高が変わればもう一度1G締め付け)
・ハンター社ホイールアライメントテスター WA470
・イヤサカ ビシャモン アライメントマルチリフト
4輪にクランプ式ターゲットを装着して、
2X2の高精度カメラセンサーでターゲットを捕捉します。
バラバラだった数値を整えて左右差を無くし、
バランスよくノーマル基準値で調整しました。
ハイエースのリアは調整できないので乱れていますが、
スラスト角0度8分・トータルトゥ0.2mmなら
気にする程の悪い数値ではないのでご安心を。
これでビフォーアフターでは、
全く違う車両に生まれ変わりましたね。
高速走行でも安定し走りやすくなったと思います。
全作業が完了し納車となるのですが、
今回は往路は自走にて弊社に入庫。
復路は陸送にて輸送し納車となっています。
群馬県の場合は前橋市に陸送会社の営業所がありますので、
そこまでの陸送手配をしました。
(到着後にユーザーさんが引き取る流れになります。)
陸送も一般価格ではなく、
業者割引価格で提供していますので
往復する事を考慮するとお安くなっています。
ただ陸送の場合は『ボディに傷が付いた。付けていない。』の、
責任の所在があいまいなケースはクレームが通りにくい。
(特に小さな傷や凹み等)
(俺の愛車は誰にも触らせないぜ!!)いう方は、
出来れば自走で入庫・引取をオススメします。
本日もミナト自動車ブログ 日々是好日に
お越しいただきありがとうございます。
リフレッシュプランでは法令点検も含まれていますので、
認証工場として点検記録簿を発行しています。
(ある期限内であれば車検時に使えます。)
一応分解整備をすると発行しないといけないのですが、
法令点検より数倍は厳しく点検しているので、
イイ意味で形だけの発行になっています。
それよりも作業内容や数値を撮影しお客様にお見せして、
必要ならば画像はお渡ししているので、
記録という意味ではこちらの方が良いのかな?と思います。
リフレッシュプランのご相談・ご予約は、
HP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。
http://minato-motors.com/blog/?p=18126
現在予約状況は混雑していますので、
希望日がありましたらお早目のご相談の方が確保しやすいです。
どうぞ宜しくお願い致します。
HAPPY CAR LIFE!!