ガソリン直噴エンジンのインテーク系煤蓄積。 クラウンGRS182 DSCとATF交換を作業しました。
兵庫県神戸市からお越しいただいたのは、
クラウン GRS182 走行距離175500km
・DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)
・ATF完全圧送式交換(for NUTEC)
GRS180系クラウンの定番整備をご依頼いただきました。
10年以上前から直噴(D-4)を採用しているGR系エンジンは、
発売当時は高出力と低燃費を両立したエンジン。
ですが直噴エンジンの唯一の欠点であるインテーク系への
カーボン(煤)蓄積は他社エンジン同様に蓄積していきます。
VW・アウディやBMW・ミニなどの直噴エンジンも
蓄積具合が酷くて海外では比較的ポピュラーな清掃整備。
国内でも輸入車整備のショップさんでは、
作業をされているようですね。
なぜか??国産車ではほとんど無名な整備で、
見向きもされていないのが現状です。
まずはインテークのサージタンク等を外していきます。
インテークマニホールドとスワールコントロールバルブには、
結構なカーボンが付着していました。
インテークバルブを少し拡大すると・・・。
バルブ傘部には強固にカーボンが固着していますね。
またバルブシャフトにはカマキリの卵状のように、
大きなコブになっています。
画像でみるとスグ手が届きそうにみえますが、
実際のインテークポートは直径4cm深さ15cm。
細い筒の底にバルブがあるので作業は困難を極め、
しかもカッチカチに固着しています。
(手作業での除去はほぼ不可能。)
VW・アウディ等の直噴E/Gはポート自体が広く浅いので、
作業難易度が下がり国内外での作業事例が多いのでしょう。
弊社がオリジナルで開発したDSCは
自動車整備業界で無名のドライアイス洗浄機を採用。
しかし製造・食品加工業などの大きなプラント工場などでは
普通に導入されているドライアイス洗浄機。
いち早くその性能に着目して
DSCに対応出来るように改良を加えて、
作業を確立したのは数年前のお話。
そこからさらに改良を重ねて、
洗浄能力と作業スピードを上げました。
柔らかいドライアイス3mmペレットを
圧縮空気で高速噴射。
(熱収縮と昇華爆発力)
超低温のドライアイスが衝突し熱収縮、
母材と付着物の間に僅かな隙間を作る。
その隙間にペレットが入り込むと、
固体から気体へ昇華し750倍の体積膨張。
この2つが瞬間的に連続で起きるので、
付着物は剥離しイッキに吹き飛ばす。
ドライアイスの特性を利用した方法で、
これぐらいの温度差ではエンジン金属部はノーダメージ。
サンドブラスト等のように硬いメディアを打ち付けて、
メディアの研磨力で削っている訳ではないのです。
硬いメディアを使用すると傷が付きますし、
メディアの残留による圧縮不良の心配もありますから。
それに後処理も大変ですしね。
その点ドライアイスは放置するとCO2となり消えていきます。
指で潰せるほど柔らかいドライアイスペレットは、
エンジン内に残留する事もなく、傷を付ける事もない。
ドライアイス洗浄機にペレットを投入して、
数種類あるDSC専用ノズル&アダプターをセット。
車体には飛散したカーボンが付着しないように、
完全防備のマスキングをしてDSCを行います。
圧縮上死点にセットし
バルブ全閉にしてから作業開始。
軽くショットをしてあげると
バルブに固着したカーボンが吹き飛びましたね。
それでもポート内径やバルブにビッシリ固着してますので、
キレイになるまでDSCを続けます。
6気筒12ポートを全てDSCでキレイにしました。
エンジンにノーダメージで短時間に完璧に。
GRエンジンに限ってはDSCだから出来る作業なので、
ネットで検索しても弊社以外はヒットしないと思いますよ。
スワールコントロールバルブもDSCで洗浄すれば、
一瞬でここまでキレイになりました~。
サージタンクは内部に溜まったブローバイオイルと、
燃焼室から吹き返した煤を洗浄剤で洗い流しました。
外した箇所のガスケットは全て純正品で交換しています。
DSC作業に含まれているスロットルバルブ清掃。
WAKO’Sの専用クリーナーで清掃して、
学習値を初期化しました。
スワール(横気渦)タンブル(縦気渦)を
精密にコントロールし最適な燃料を直接筒内噴射。
微細化されたガソリンが噴射され気化し、
混合気になる前に点火燃焼。
つまり完全に気化出来ていないガソリンの水滴が、
高温燃焼で炭化し煤になる。
燃焼室で空気を攪拌し完全気化を目指すのですが、
あそこまで蓄積し乱れると理想的な燃焼は難しいと思います。
また水滴状の燃料が煤に変化すればエネルギーを生まないので、
その分燃料のムダが発生しますよね。
そしてこの技術の応用でマツダSKY-Dのインテーク系に蓄積する
大量の煤を除去しています。
http://minato-motors.com/blog/?cat=192
次はATF圧送式交換。
オイルパンを脱着洗浄して、ストレーナーを交換。
ガスケットも交換してから元の状態に組み立てます。
交換効率の高い圧送式交換をするために、
弊社オリジナルのアダプターを接続。
完全暖機後にNUTEC NC-RFでプレ洗浄を行いますね。
弊社からの要望でニューテックさんに開発いただいたのが、
NUTEC リンシングフルード NC-RF(仮名)
http://minato-motors.com/blog/?p=17434
まだ全国販売はされておらず、
弊社のみの取り扱い品のためNC-RFも仮の名称になっています。
現在はZZ51改・NC-65でATF交換の時は
プレ洗浄油を アイシンAFW+? NC-RF?
どちらでもお選びいただけます。
(キャンペーン中のため同額にて提供)
NC-RFが誕生してからプレ洗浄にAFW+を選ばれた方は
今のところゼロで全員がNC-RFで交換しています。
NC-RFで全量圧送式で交換しましたが、
17万キロ無交換の汚れはなかなか酷い。
中央ビーカーの廃油に比べると少し良くなりましたが、
左奥の新油と比べるとマダマダですね。
本命に使用するATFは(NUTEC NC-65)
全化学合成ATF(エステル系)
入庫時の問診ではアイシンAFW+とNUTEC ZZ51改、
NC-65と迷っていたお客様でしたが、
各ATFの特徴や性能などをご説明しNC-65を選択されました。
(上記3つのATFは常時在庫しています。)
NC-65で全量圧送式交換をして、
ここまでキレイになりました。
ストリート走行のみの場合は、
次回交換推奨時期は約6万キロになります。
高い初期性能が長~く持続しますので、
結果的には経済的だと思いますよ。
本日もミナト自動車ブログ 日々是好日に、
お越しいただきありがとうございます。
ATF交換とDSCのどちらかのみであれば、
朝10時入庫の夕方17時頃の納車で日帰り作業になります。
2つ同時作業をご希望の場合は、
一泊二日のお預かりにて作業が可能です。
(大阪観光ついでにご利用しただければ幸いです。)
ATF交換・DSCの御見積やご相談は
HP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。
どうぞ宜しくお願い致します。