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マツダ スカイアクティブ-Dの燃料系・DPF系をリフレッシュ!!マルチサーブでシステム洗浄。

大阪府からお越しいただいたのはマツダ アクセラ BM2FS。

2年前にDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)でスカイアクティブ-Dの吸気系に堆積する煤除去作業をさせていただきました。

今回のご依頼はマルチサーブでフューエル系・DPF系のシステム洗浄をさせていただきます。



前回DSCを実施したのが53000km。
今回の入庫は67000km。


マルチサーブを導入して以来、DSCを依頼される方の約半数は同時施工をしていただけています。


今回の和泉ナンバー(アクセラBM)は2年前のDSC入庫時には、まだマルチサーブを導入していませんでしたので、後日ブログを見て予約をしていただきました。  ありがとうございます。



最近はアクセラのように後日マルチサーブ依頼も好調に増えてきましたね。

軽く試運転後にスキャンツールを接続し、ライブデータ数値を確認。
もちろんECUの異常コードは無し。

マルチサーブに関してはエンジン・DPFの調子が悪くなってから行うのではなく、(悪くならないための予防整備)として提案しています。



もちろん少々の汚れ堆積でインジェクターとDPFが劣化していても、マルチサーブで回復するのですが、物には限度がありますよね。


あまり酷い状態だと洗浄では回復せず、高額な部品交換になる場合もありますよ。


インジェクターやサプライポンプやデリバリパイプの燃料系洗浄、排気のDPF系洗浄には全5本のマルチサーブ専用ケミカルを使用します。

ちなみにこの5本のケミカル剤は非常に高額。 皆さんが想像している金額の倍ほどだと思いますよ。

まずはDPFから洗浄しますね。


DPFに通ずるパイプにマルチサーブのホースを接続。


DPFクリーナー1液目をマルチサーブに投入。




エンジン停止状態から1液目を自動注入し、15分のインターバル後にエンジン始動。





エンジン始動してから5分間アイドリングタイム。


5分後にDPFフラッシュ2液目をマルチサーブに投入。


エンジン回転数を上げて5分間維持します。

これでDPFの第一段階は終了。


引き続いてインジェクターなどのフューエル系を洗浄します。

サプライポンプに通ずる配管にマルチサーブのホースを接続。


ディーゼルシステムパージをマルチサーブに投入。

強力洗浄にセットして時間と圧力を設定します。

約60分間ほどアイドリングしながら、ケミカルの効果でサプライポンプ・デリバリパイプ・インジェクターなどのフューエルラインを内部洗浄しますね。


・・燃料(軽油)が流れる経路がなぜ汚れるのか??
液体を高圧で圧縮すると温度が上がります。そうするとほんの僅かですが微細な汚れが発生するから。





下の画像はトヨタ系のコモンレール式ディーゼルのフューエルプラグです。黒い汚れが付着しており、指で拭くとキレイになりました。   こんな感じで微細な汚れはフューエルラインには付着するのですね。



特にクリーンディーゼルのコモンレール式になってからは、非常に高圧で燃料を圧縮するので汚れは発生しやすい。

またコモンレール式インジェクターのニードル周りは繊細で精密に出来ていますので、ほんの僅かな汚れの付着が噴射性能に大きく影響するのですよ。



・・噴射性能が劣化すればどうなりますか??
当然精密な噴射コントロールが出来なくなるので、均一で効率的な燃焼が低下しますよね。(煤発生率増加、パワーダウン)



近年はガソリン車以上にクリーンディーゼルは予防整備の必要性が増しています。


これでDPF系とインジェクター系の洗浄作業は完了です。

ここからエンジンと排気系の温度を上げて、洗浄効果を促進させますね。
同時にDPF内部のケミカルと煤・アッシュ等を排出作業を行います。



マルチサーブを接続して行う作業自体は簡単。 大変なのはこの後に行う(洗浄促進・排出作業)


泡まみれの廃液と大量の白煙が収まるまでは、エンジンの回転数を上げながら作業を行います。






スキャンツールでライブデータ数値のビフォーアフターで見比べますね。

DPFの差圧センサーの数値が改善しましたね。



PMの堆積量もほぼゼロに。




各インジェクターのバラツキも整いました。



マルチサーブの作業時間は約6時間。
朝10時入庫で夕方納車の日帰り作業で完了します。

納車時には画像を見ながら作業内容を説明。質問等がありましたら是非どうぞ。


手渡しでDPFリジェネレーターとディーゼルエクストリームクリーナーを各1本ずつお渡ししています。


これはマルチサーブ施工後にガソリンスタンド行った時で良いので、燃料タンクに投入。    走りながらゆっくりと各機関を洗浄していくアフターケミカルです。



もともと煤が溜まりやすいスカイアクティブ-Dですから、理想は今回のようにDSC施工後にマルチサーブのシステム洗浄を行うのがベスト。


煤が凄く堆積して燃焼状態が悪い車両にマルチサーブを実施するのは、どうなんでしょうか?  基本は吸気系の煤を取り除いてからの方が効果的で良いかと思います。


マルチサーブの施工予約やお見積りはHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。

どうぞ宜しくお願い致します。
HAPPY CAR LIFE!!


解説シリーズ ハイエースリフレッシュプラン。 予約編・実作業編まとめ。検討される時は一読を。

ハイエース LH178 平成16年式 走行距離25万キロのリフレッシュプランの様子を全8回に分けて紹介しました。


これからリフレッシュプランを依頼しようかと検討されている方は、ぜひ下記のブログをサラリと見ていただけると助かります。


予約編
http://minato-motors.com/blog/?p=31100 その1
http://minato-motors.com/blog/?p=31115 その2
http://minato-motors.com/blog/?p=31124 その3
http://minato-motors.com/blog/?p=31143 その4

実作業編
http://minato-motors.com/blog/?p=31171  その1
http://minato-motors.com/blog/?p=31218 その2
http://minato-motors.com/blog/?p=31277 その3
http://minato-motors.com/blog/?p=31338 その4




いつもは1回のブログ更新で紹介している内容を、あえて8回に分けて解説したのは(リフレッシュプランを利用する方は、ほぼ新規のお客様だから)です。


・知らない整備工場に自分の愛車を預ける。
・初めての利用なのに、前金を振りこまないといけない。
・そもそもリフレッシュプランっ何??

特に遠方からの依頼が多いので、その辺りの不安を少しでも取り除ければな~と思い書いてみました。



リフレッシュプラン完了後の納車時には作業中の画像をモニターで見ながら、作業内容を説明しています。


・ここの部分が劣化しているので、交換をしました。
・予算上でこの部分は保留としていますが、今後は経過観察で良いかと思います。

作業時に気が付いた事や今後の整備アドバイスも納車時には行っていますので、不明な点がありましたらドンドン質問をしていただけるとお答え出来ます。


撮影した画像は平均200~300枚ぐらいはありますので、DVDにコピーしてお渡ししています。 

何かの役に立つかもしれないので、記録用に保管保存しておいてください。


トヨタは比較的に部品供給は長めです。  結構古い車種でも純正部品が供給されます。   ですが一部そうでない部品もあるんですね。


ちなみに今回の平成16年式LH178 ハイエースのエンジン・インテークダクトゴムホースは既に生産終了でした。

ですが下の画像にあるツートンカラーのH12年式ハイエースLH178のダクトゴムホースは部品供給があるのです。


なぜか??は不明ですがそんな事もあるんですよね。

新車から20年ほど経過してくると徐々に純正部品が手に入らなくなるのは、少し想定しておいた方が良いかと思います。




あとはどのメーカーにも言える事ですが、純正部品はある一定の年数が経過すると価格改正され、一部値上がりします。


値下がりする事は稀ですが、大体は管理コストの理由から部品価格は高くなるのが多いですね。


今までの経験上で一番値上がりしていたのは、レクサスLSのエアサスでしょうか。 もともと高額のエアサス価格が1,5倍ほど高くなってくると整備予算も大幅に変わるんですよね。



弊社は(純正部品至上主義)ではありませんので、純正部品と社外部品は使い分けしています。   (性能が低い安価なだけの社外部品は使わない)という考え方です。

・車両現状の不具合や不満点
・お預かり出来る期間
・今回のリフレッシュ整備に掛けれる予算

HPのお問い合わせフォームからリフレッシュプランのご相談を受けた時は、上記の3つの質問をしています。

同時に類似作業の参考ブログも総額を付けて提示しています。


弊社ブログから気になるブログがありましたら、○○年○○月の△△△の整備は総額いくらの費用が掛かりましたか??と聞いていただけるとお答え出来ますよ。





それではHAAPY CAR LIFE!!










解説シリーズ ハイエース リフレッシュプラン。実作業編その4  サスペンション整備の必須作業。車高とホイールアライメント調整作業。1G締付もお忘れなく!!

香川県から依頼されたハイエース LH178 ディーゼル4WD のリフレッシュプラン。

平成16年式 走行距離が25万キロの車両ですが、バッシと走るハイエースに戻すリフレッシュ作業を行いました。


予約編
http://minato-motors.com/blog/?p=31100全4部

実作業編
http://minato-motors.com/blog/?p=31171その1~3まで

今回の実作業編その4では、サスペンションやブレーキ・ハブ等の足回り下回り整備が完了したので、次のステップに進みます。

サスペンションのアームブッシュを交換して、ショックアブソーバーも交換しました。

タイヤを装着して整備リフトからアライメントリフトに移動します。


ハイエースのサスペンションは乗用車に比べると少し特殊で、フロントのみ車高が調整出来ます。

リアはリーフスプリングなので高さは固定なのですが、重い荷物を常時積み込みしていると、スプリングがヘタって車高が徐々に変動します。


劣化具合や使用用途に合わせてフロント車高を調整出来るのが、ハイエースの特徴。


街でハイエースを見た時に、お尻が下がって走行しているハイエースを見た事はないですか?    フロントが上がり、リアが下がった状態で走行するとブレーキの効きも悪いですし、走行安定性も低下しますよ。


ハイエースの整備書には各モデルに対して、リア車高の基準値があります。

A・リアはリーフスプリング前側のブッシュボルト中心から地面までの高さ。
B・フロントはロアアーム前側のアジャストボルト中心から地面までの高さ。


リアのブッシュボルトから地面までの高さを測定し、リア基準値(A)と比べる。


基準値Aよりも測定値Aが10mm短かったと仮定すると、フロントは基準値Bから10mmマイナスで調整値Bを割り出します。

簡単に言えばリアが10mm下がっていれば、フロントは基準値より10mm下げて高さ調整するんですよね~。


今回はフロントの車高が下がり過ぎていたので、リアの測定値から計算してフロント車高を微調整しました。


もちろん左右のロアアームのボルトの高さも合わせますよ。

車高が決まれば、そこから交換したブッシュやショックアブソーバーのボルトを(1G締付)します。

・タイヤ4輪が接地した状態にする。
・固定していたブッシュボルトを一度緩める。
・ブッシュのテンションが開放される。
・テンションフリーの状態でボルトを本締めする。



リフトアップして整備をしている状態は、サスペンションアームは伸びています。(垂れ下がる。)

リフトアップした状態で本締めすると、4輪が接地した状態(1G状態)ではアームが上方に角度を変えてブッシュがグニュッと捩じれます。

捻じれてテンションが掛かった状態で走行すると、せっかく交換したゴムブッシュが早期に劣化し、最悪破断します。

1G状態でブッシュのテンションをフリーにして、本締めするのが(1G締付)というサスペンション整備の必須作業。

1G締付後に軽く試運転。
交換したサスペンション部品を馴染ませます。


そしてやっとココからホイールアライメント調整を行いますね。




・アライメントリフトはイヤサカ ビシャモンマルチアライメントリフト。
ロングバージョンの特注レッドを使用しています。

国産最高峰のリフトのビシャモンリフト。
高剛性で水平レベルを長期に維持します。


ホイールアライメントを測定するのは、ハンター社アライメントテスター。
ホークアイWA470 最新鋭のアライメントテスターです。

ホイールに軽量樹脂製ホイールターゲットを装着。  ターゲットをホイールのディスク面にセットしてクランプで挟みます。

ディスク面とターゲットは大体中心付近にセットすればOK。
(アバウトな装着でも、全く問題ありません。)
(ターゲットにはシリコンリングが装着されているので、ホイールには傷が付きません。)



高精度カメラセンサー4基で、ホイールに装着したターゲットの動きを捕捉し、精密なのアライメント数値を瞬時に演算します。


ロアアームのアジャストボルトは中心にセットして測定しても、組み立てただけではバラバラな数値が演算されました。


サスペンション整備ではブッシュ交換やショックアブソーバー交換などをした時には、ホイールアライメント調整をしないと数値が乱れたまま走行する事になります。


真っすぐに安定して走るにはホイールアライメント調整も必須作業なんですよ~。

車体下に潜りこんで、ホイールアライメント調整を行います。

車体下からではPCモニターが見えにくいので、リモコンコントローラーを見ながら調整します。


車種によって手順は違うのですが、今回のハイエースはリアを少し調整してから、フロントの調整を行いました。


特にフロントのキャンバー・キャスター・SAIの微調整がしやすいハイエースですから、入念に調整作業を行いますね。

最後にフロント個別トゥを調整して、ステアリングセンターを合わせます。

フロントの左右の数値も最小限に抑えられて、なかなか良い数値になりました。
メーカー基準値にバランスよく近づけました。


このあとは試運転をして最終チェックを繰り返し、納車連絡をメールで行います。


次回ブログで実作業編もいよいよ最終回。
納車引き渡しからの総括をご案内したいと思います。

それではHappy Car Life!!

解説シリーズ ハイエース リフレッシュプラン。実作業編その3  ここが錆固着していると作業が進まない!! セイバーソーで一刀両断。

ハイエース LH178のリフレッシュプラン。

予約編から実作業編に変わり、やっと(その3)まで進んで来ました。

http://minato-motors.com/blog/?p=31171 その1
http://minato-motors.com/blog/?p=31218その2


今回は乗り心地や直進安定性に大きく影響するサスペンションアームブッシュの交換などを紹介します。


降雪地・塩害地で使用していたハイエースは、高確率でFrロアアームのブッシュの内径とアジャストボルトが錆固着しています。


・こうなるとボルトが抜けないので、アームが外せずブッシュ交換が出来ない。
・アジャストボルトが回せないので、ホイールアライメント調整が出来ない。



でっかいハンマーで叩こうが、バーナーで炙ろうが、全く抜けない場合が多いのです。


そこで登場する工具がコレ。

セイバーソー 電動ノコギリみたいな工具で、主に建築解体屋さんが使用するそうです。

これでアームやフレームを傷付けずに、ブッシュのカラーとボルトを一刀両断します。


固着したブッシュに対して、カットする個所は前後2か所。

幅5mmほどの隙間に超硬刃(極厚物切断用)を使用して、ボルトとブッシュカラーを切断します。


ボルトの直径が15mmで、ブッシュの金属部厚みが2ミリほど。
合わせて約17mmの鉄棒をセイバーソーでカットするのは、非常に大変。
(熱でスグに刃がナマリます。)

木材や軟鉄の板状ならサクッとカット出来ますが、18mmの鉄棒となるとそう簡単にはカット出来ないのです。

大体1カットするのに15分。ブッシュの前後をカットすると30分以上は掛かりますね。

ちなみにロアアームの4つのブッシュが全錆固着していれば、2×4で8カット必要。  ロアアームを外すだけで、軽く2時間以上は掛かるのです。


もし錆固着が無ければ、5分もあれば左右のロアアームが外せるのですが・・・錆固着があると時間は大幅に増えるのですよね。


ロアアームが外れたので、ブッシュを打替えますね~。

中空タイプのロアアームからブッシュを打ち抜くのには、SST(特殊工具)が必要です。


ロアアームを破損させないように、SSTを使用して交換しました。
またブッシュの位置も決まっているので、マーキングしてから交換しています。





リアのリーフスプリングのブッシュも打替えます。

4か所の内の1か所が錆固着していましたので、セイバーソーでカットしてリーフスプリングを外しました。


グラインダーが使えれば簡単にカット出来るのですが、残念ながら隙間が狭いのでグラインダーの刃が入らないんですよね。


リーフスプリングを油圧プレスにセットして、ブッシュ交換をします。


左右のリーフスプリングブッシュ交換が完了しました。


本当はシャックルブッシュも交換したかったのですが、LH178の構造上、燃料タンクを降ろさないと交換出来なかったので、今回は保留としました。




リアハブベアリング交換。

シャフトからベアリングを外して、シールとベアリングをSSTを使用して交換します。定番の整備個所ですね。





ホーシング側のインナーオイルシールも打ち直し。

ブレーキシリンダのカップキットも交換しました。




フロントスタビライザーのブッシュ全数交換。
丸いブッシュが5個×左右。 インナーブッシュが左右2個

錆と摩耗で擦り減ったリテーナーも交換しました。



エンジン・ATマウントを全数交換しますね。

エンジンを持ち上げずに、サブフレームを降ろしてマウント交換するのは、なるべくハーネスやホースに負担を与えず安全に交換したいから。

マウントを交換すれば、ボディに伝わるエンジン振動が大幅に軽減されますよ~。




アッパーアームやロアアーム。
ブレーキやハブ、ドライブシャフトやナックル。
ショックアブソーバー全数

順番に組付けていきますね。

ブレーキフルード交換とエア抜き作業。

前後のデフやトランスファのギアオイルはガルフ プロガード75W90LSD対応を注入。

錆固着したロアアームのアジャストボルトには、今後錆び付かないようにボルト首下部分に薄くグリスを塗っておきます。


これで錆固着は当分大丈夫でしょう。

こんな感じでサスペンションやブレーキ、ハブやドライブシャフトなどを整備して、やっとリフトからハイエースが降りました。





次回ブログでは1G締付や車高調整、ホイールアライメント調整の作業を紹介しますね。  これでサスペンション整備の出来栄えが大きく変わるので、要チェックですよ~。

それではお楽しみに~!!

解説シリーズ ハイエース リフレッシュプラン。実作業編その2 純正・社外の部品の使い分けは慎重に。

(解説シリーズ 実作業編その1)でハブとディスクローターを整備しましたね。http://minato-motors.com/blog/?p=31171


(実作業編その2)では作業工賃が重複する個所も同時に整備します。


リフレッシュプランでは関連するかつ工賃が重複する個所を中心に、全体的な予算を見て整備計画を実施しましょう!とアナウンスしています。


ディスクローターを整備したので、関連性のあるブレーキキャリパーもO/Hします。


昔はよくフルード漏れを起こしていたキャリパーも今ではすっかり漏れる事も無くなりました。(シール自体のシーリング性能が向上。)


ですがキャリパーのゴムシールは(フルード漏れを防ぐシーリング性能)だけではなく、(シール柔軟性によるパッドクリアランス調整機能)の含んでいるのです。


10年10万キロも使用すれば、シールの柔軟性が低下し調整機能が低下する。


(フルード漏れが無いから、キャリパーの整備はしなくても良い)は間違っているのです。

キャリパーからピストンを外すと、内部のグリスが硬化していました。

黒く硬化したグリスがシールに引っ掛かり、異音や片効きの原因になりますよ。またグリスが劣化していると防水性が低下しますので、錆の原因にもなります。



キャリパーをキレイに完全洗浄しました。
ピストンも洗浄してコンパウンドで磨き上げ。


輪ゴムみたいなのがピストンシールとダストブーツです。

・シールの硬化による柔軟性の低下。
・ピストンに付着したグリスの硬化による引っ掛かり。
・ダストブーツの気密性低下で雨水侵入。

ピストンがスムーズにスライドし続けないと、異音や振動、片効きやパッド偏摩耗になるのですよね。




ホルダー側のスライドピンも重要な役割があります。

内部に水の混入などで錆びたり、グリスが硬化すると、キャリパーが平行にスライドしません。  そうなれば異音や振動、偏摩耗の原因になるのですね。




スライドピンホールの硬化したグリスを、パーツクリーナーで洗い流し。
スライドピンも洗浄してブッシュを交換します。

スライドピンとホールにグリスを馴染ませて、ダストブーツを打替えますね。

パットが装着する部分の座金を磨いてあげればOKです。


必要な個所にだけ適切なグリスを使用し、必要のない箇所にはグリスは塗らない。


ブレーキパッド交換時にキーキー音が鳴るからと言って、ホルダー部の座金にグリスを塗るのはNGです。 異音の原因はそこじゃないんですよね。



ブレーキパッドも交換します。


パッド裏にあるバックシムの硬化したグリスは、パーツクリーナーで拭き取ります。

パッドとシムの間にはWAKO’S BPR高性能パッドグリスを前面に薄く塗りますね。


こうするとグリス粘度で振動による共振を防ぎ、異音が出ません。
また全面に塗る事によりシムとパッドの間に水分が入らないので、シムが錆びません。


安価なブレーキパッドグリスだと(持って2年)ですが、このグリスなら4年は低温から高温まで安定したグリス性能を発揮してくれますよ。

ナックルもこんな機会しか整備をする時がないので、シール交換・グリス交換・ロアボールジョイント交換を行いました。





ドライブシャフトもO/Hします。

実はこのドライブシャフトは他社で社外品ブーツでのO/H済み。  ですがブーツ自体が悪いので、弊社で再O/Hする事になりました。

まずはインナーブーツ。
社外品を使用しており、特に破損はなさそうに見えますよね。

このブーツの蛇腹の山は本来は4つ。ですが左から数えて3つ目と4つ目の山が接触しています。

蛇腹の一部が摩耗して接触しているのが分かりますか?




指で広げると摩耗している個所が見えました。


断面を見てみると、どうですか??
ゴムが擦り減って摩耗していますよね。


このまま使用すればどこかのタイミングでまたブーツが破れて、中のグリスが飛び散るでしょう。



次はアウター側のブーツです。
真ん中に筋が見えますよね。これ分割式の通称(割れブーツ)です。


中を確認すると、充填されているグリスが少ない。というかほぼ無い。


そうなんです。割れブーツの場合は(割れ)の部分に接着剤を付けて組付けます。  グリスが多いと接着不良になりやすいので、あえて付属のグリス量が少ないんですよね。


適量時よりもグリスが少ないと、グリスの劣化スピードは速くなります。

同じグリス性能で片方が規定充填量の半分、片方が規定充填量なら(劣化しずらい長持ちする)のは断然グリスが多い方です。


割れブーツの付属グリスは耐久性よりも作業性を優先したグリス量なんでしょうね。

ドライブシャフトを洗浄しました。
純正シャフトブーツグリスKITで組立しますね。

アウター側のグリスを規定充填量を使い、アウターブーツを組み立てました。

割れブーツの3倍以上はグリスがありますね。


そしてこの状態でブーツを装着し走行すると、遠心力でベアリング内のグリスが常に循環します。


次にこれがインナー側の純正ブーツです。蛇腹の山は社外品と同じ4つ。

ですが純正ブーツは赤い印の間隔が、他の山谷の間隔よりも広めになっているんですよね。

そもそもゴムの蛇腹が接触しないように設計されています。




グリスを注入しブーツ装着して、インナーブーツを新旧比べてみましょう。

純正品と社外品との違いがよく分かりますね。



少し安い社外品を使って、その場しのぎの整備で、目前の車検を合格するだけなら、別に問題はないでしょう。(数千円の節約が出来ますからね。)



ですがリフレッシュプランは10年10万キロ以上使用した車両を、もう一度新車時に近づける整備メニューですので、こういう社外品は使わないようにしています。


ただし年式が古く、部品製造が終了していれば話は別です。

点検時に気が付いた錆の摩耗粉。
いつもならこんなところに錆は無いんですけどね・・・。



手で部品を揺するとガッタガタ。摩耗でクリアランスが広がっています。


通常こうなれば試運転時の異音で見当はつくのですが、今回の試運転では分からなかったのです。

何故ならリアゲートのウェザーストリップゴムの破損と、リアスライドドアのレール破損で、試運転時はドアからの激しい異音があり、その他の音が全く聞き取れなかったのです。


走行中に大小強弱の異音が多すぎると、危険な異音までが掻き消されるので注意が必要です。



幸いデフケース側ではなく、ベアリング側が摩耗していたので、予定通りハーフシャフトの中間ベアリングを交換しました。


これでこの個所の危険な異音は無くなりました。

こんな感じで作業は進み、次回ブログでは錆固着の難題を解決します。


ロアアームの錆固着からロアアームなどのブッシュを打替え作業を紹介しますね。  それではHAPPY CAR LIFE!!