マツダ アテンザ スカイアクティブ-ディーゼル。 インテーク系のカーボン蓄積 完全除去。 DSCで踏み込みました。
追記 6月14日現在
少し情報が混乱しているので、
このブログを見た後は 次のブログもどうぞ。
http://minato-motors.com/blog/?p=9924
大阪府堺市からお越し頂きました。
マツダ アテンザW GJ2FW
スカイアクティブ ディーゼル
平成25年式
走行距離 66200km
DSCのご依頼です。
<スカイアクティブ ディーゼルについて>
http://minato-motors.com/blog/?p=9822
少し前にお問い合わせフォームからご相談。
別件のエンジントラブルを
ディーラー様にて無償修理。
・インテークマニホールドASSY
・電子制御-吸気シャッターバルブ を交換されたそうです。
(走行距離40000Km時)
補足
(毎回定期的に E-OIL・O/Eはディーラー店にてメンテナンス済み。)
(ライブデータ数値 PM蓄積量 問題なし = DPFは詰まり無し)
その際シリンダヘッド インテークポート内の
カーボン蓄積量が非常に多い事が伝えられ、
コレに関しては明確な解決策は
今のところ無いとの報告だったそうです。
それでもカーボン蓄積が気になり、
いろいろ調べていると
弊社HP・ブログのDSCが目に留まり、
お連絡を頂いたのが事の始まり。
DSC(ドライアイス・ショット・カーボンクリーニング)は、
もともとガソリン直噴エンジン用に開発した
弊社オリジナル整備。
その為に中古エンジン(トヨタ4GR)を購入し、
試行錯誤を繰り返した経緯があります。
DSCをするにあたっては部品構造や配置、
脱着作業手順や学習値初期化など
作業前に調べないといけない項目が地味に多いです・・・。
無知にDSC作業をしてエンジンを
壊してしまう訳にはいかないですからね。 (慎重・慎重)
そこで今回DSC初入庫のアテンザには、
VWパサート同様に入庫一週間のお時間を。
http://minato-motors.com/blog/?p=9129
また費用についても
(大体コレぐらい)という御見積で承諾して頂きました。
正直初めてのエンジンなので、
時間があるほど助かるのです~。
試運転をし
スキャンツールで作業前のデータ収集。
作業直後・しばらく走行後のデータと比較して、
どの数値が変化するかも確認する予定です。
私のアテンザDの試乗は数回しかありませんが、
十分パワフルな加速を感じました。
でもオーナー様のお話では新車時と比べて
これでも吹け上がりが悪く・燃費の低下が見られるようです。
スカイアクティブDユーザーには
みんから内で有名な『吸気圧センサーのカーボン蓄積』
オーナー様はスペアセンサーを所持し、
交互に清掃交換しているそうです。
センサー交換・清掃をし続けて、
この蓄積量未満をキープ。
何もしなければセンサーが埋もれるそうですね。
吸気系統の部品を順番に外します。
EGRバイパスパイプ。
内径がカーボンで20%ぐらい狭くなっています。
EGRバルブは高温の為か?比較的少なめ。
蓄積具合は10%ぐらいでしょう。
4万キロ時に交換したはずの吸気シャッターバルブ。
新気流入量の調整機構で、
ターボからの過給新気をコントロール。
ガソリン車のスロットルボディと同じ構造ですが、
役割が若干違います。
EGR合流地点のすぐそばにあるので、
乱気流と温度低下でカーボンが溜まりやすい。
多いところでは1cmぐらい固まって、
それ以上溜まるとエンジンに吸い込まれるのでしょうね。
いろいろ外して
やっとインテークマニホールドが外れました。
先ほどのシャッターバルブとEGRの合流点。
わずか2万キロでこのカーボン量。
1.5cmぐらいの厚みでしょうか?
流れが悪いところに溜まっていますね。
高温のEGRが低温の新気に冷やされ、
通路も広くなるので内圧も下がる。
このあたりからイッキに蓄積量が増えました。
写真では写りずらいですが、
複雑な形状のマニホールド内にビッシリ蓄積。
すこしホジクリますね。
軽~くホジホジするだけで、
缶コーヒー 一缶分出てきました。
しつこくやれば
マニホールドだけで2缶分はあると思います。
ポート内径が30%ほど狭くなっていますね。
こちらもホジホジしてみます。
蓄積の厚みが5mm以上はあるので、
非常にホジホジが楽しい。 (梱包のプチプチ潰しに似た感じ)
ポート内にモコモコ溜まっていきます。
ターボ車特有のオイル流入もなく、
乾いた煤が特徴でした。
もっとオイルでベタベタしてるか?と想像していましたが・・・。
4気筒の8バルブ。
奥深くにインテークバルブのシャフト部。
入り口よりさらに蓄積量が多くなり、
もう一段階狭くなっています。
2番・3番気筒のポートは酷く
約50%の内径かな。
まずは車体をマスキング。
3M社製 耐薬品性の高い(ブロックマスカー6753)
塗装業界ではメジャーの
溶剤や水分を通さない高品質マスキングペーパー。
いきなりDSCをすると、凄まじい黒煙が噴き出すので、
ある程度は除去してからDSCをスタート。
このポートの角度なら
Fr側に噴出するでしょうね。
カーボン片が燃焼室に入らないよう、
圧縮上死点にセットします。
ドライアイス3mmペレットを
圧縮空気で高速噴射。
ドライアイス洗浄は母材をキズ付けずに
付着物のみ除去できる 次世代洗浄システム。
(サンドブラストとは似て非なり)
熱収縮 と 昇華爆発力
ドライアイスの特性を利用しています。
軽く数秒のショットで
アルミ素地まで見えましたね。
ですが最深部のバルブ傘部には
焼きついたカーボンがガッチリ固着。
奥底にあるインテークバルブに向かって、
ドライアイスペレットを打ち込み続けます。
GRエンジン用のノズルでは少し時間が掛かる。
反響があればVPT-エンジン用の必要かも。
砲弾型LEDを照明に。
手前から奥まで素地が見えています。
かなり画質は悪くなりますが、
ファイバースコープの画像がこちら。
細いピック状のものでバルブ周辺をチェックし、
引っ掛かりが無いのを確認。
トヨタGRエンジンのように目視できないので、
少し慎重に確認しました。
1番バルブは冷却ラインの位置関係か?
他のバルブよりカーボン固着が酷かったですね。
良く冷えるからかな??
インテークマニホールドも
ドライアイス洗浄で無事再生。
交換部品はガスケットのみ。
各パーツの組み立ても完了し、
冷却水もエア抜き完了。
アイドリングで完全暖気後、
ECU・EGR系・吸気系・燃料系など
学習値を初期化し、試運転。
作業後のインプレッションは、
データが出揃ってからゆっくり検証します。
試乗した感じでは、
『なるほど、これがスカイアクティブDか!!』
というトルク感。
おそらくスカイアクティブDを購入した方は、
コレが気に入って選んだのでしょうね。
(普段ガソリン車ばかり乗っているので非常に新鮮でした。)
(最後に乗った乗用ディーゼルはいすゞ・アスカ以来かも 古っ。)
赤ライン(吸気シャターバルブ~燃焼室まで)
後半部分の洗浄でしたが、
EGRを積極的に多用したディーゼルエンジンは、
多かれ少なかれコレぐらいのカーボンが溜まるそうですよ。
スカイアクティブDだけではなく、
ランクル80系・ハイエース200系以降のディーゼルにも
同様にインテークにカーボンが蓄積するそうですね。
いろいろ検索すると、
インテークマニホールドを新品に交換や、
ドブ漬けしての洗浄は見受けられますが、
インテークポート&バルブまで洗浄した事例は
チョット見つかりませんでした。
今回はDCSで一つ踏み込んだ作業が
出来てよかったと思います。
今回集めた施工前後のデータと
オーナー様の感想なども検証して、
何か良い整備プランが出来たらいいな~と。
ちょっとの間は手探りで進めたいと思います。
(追記)
その後このブログをみて来て頂いたCX-5 ディーゼルのDSCです。
http://minato-motors.com/blog/?p=10130
それではHappy Car Life!!