マツダ CX-5 スカイアクティブD インテーク系カーボン蓄積除去作業。
福井県からお越し頂きました。
マツダ CX-5 KE2FW
走行距離63000km
スカイアクティブ ディーゼルエンジンの
吸気系に溜まるカーボン除去 DSC作業依頼です。
少し前にアテンザWのインテーク系カーボン蓄積を
弊社独自作業DSCで除去しました。
http://minato-motors.com/blog/?p=9900
そのブログを見て頂いての予約来店です。
問診から試運転。
作業前のライブデータを保存しておきます。
この数値が今後に生きてくるでしょう。 (データ取り)
まずはインテークバルブ・ポートが見えるまで、
分解していきますね。
EGRバイパスパイプの内径は、
予定通りのカーボン蓄積。
このあたりはサラサラの煤なので、
そんなに悪さはしないでしょう。
スカイアクティブDユーザーにはおなじみの『吸気圧センサー』
定期的に掃除しているそうですが、
それでも埋まりかけていますね~。
掃除の有効性はみんカラ等で検索すれば、
すぐに分かると思いますよ。
ハーネスや周辺部品を外していけば、
やっとインテークマニホールドが外れました。
最近のエンジンでは珍しいアルミ鋳物製。
デミオ ディーゼル1,5 ではEGRが複雑になったので、
樹脂製マニホールドが採用されていますね。
インテークマニホールドと吸気シャッターバルブの接続部。
内径が60%はカーボンで塞がっていますね。
これは前回アテンザよりも蓄積量は多いです。
エンジンシリンダヘッドとの接続部側も
カーボン煤だらけ。
クリーンディーゼル特有の蓄積ですね。
それでは恒例のホジホジしてみたいと思います。
今回もカーボン量の比較にコーヒー缶を。
2万キロ前にディーラーにて
インテークマニホールドを交換した前回アテンザW。
それと比べるとカーボン量は多いですが・・・。
それよりもっと大きな違いは
粉状というよりか
固着硬化していますね。
某自動車評論家さんがメーカーに問い合わせたところ、
EGRを使うクリーンディーゼルは多少はカーボンが蓄積するとの事。
ですがEGRのカーボンは乾いた粉末状なので、
ある程度蓄積しても吸気流速で崩れて蓄積しない。
(剥がれて燃焼室に吸い込まれる。 )
また30分も走行すれば
熱で煤が乾燥するので固まらず、
通常使用では全く問題なしとの返答だったそうです。
ですが私は少し違うと考えています。
過去にターボ車を所持した方なら
ご存知の吸気系のエンジンオイル流入。
ある程度の距離を走行すると
インタークーラーやスロットルまで
オイルでベトベトになりますよね。
メーカー資料で説明します。
ターボ過給時にはエアエレメントからタービンまでは
急激な負圧が掛かります。(青色部分)
その時エアエレメントの抵抗で
さらに負圧が高まり
ブローバイガスの過流入が始まります。
(★の部分がブローバイホース)
(⇒が吸気シャッターバルブとの接続部)
急激な負圧により
ブローバイガス と オイルミストが分離する前に、
吸気系にオイルミストが入ってしまう。
実際にこのCX-5も
インタークーラーOUTパイプが
少しオイルで湿っていました。
乾いた煤に吸い上げられたオイルが付着すれば
カーボン粉が固まり 粉状から固体状に変わります。
一度でもオイルが付けば
吸気系の温度ぐらいで、
さすがにオイルが乾く事はないでしょう。
INマニ と EXマニの温度は、
全く違いますから・・・。
インテークマニホールド上流で
あれほど詰まっているので、
下流のシリンダヘッド側は
アテンザの時より蓄積度は少ない?
蓄積の厚みは5mm 約15%ぐらい狭くなる程度。
ガソリンエンジンに比べると
猛烈に蓄積していますが、
クリーンディーゼルなら
まあまあコレぐらいは許容範囲でしょう。
ただこのCX-5はディーラーさんにて
クレーム修理のカムシャフトを交換暦アリ。
メーカー側の諸事情で
カムシャフトを保証交換するらしいのですが、
その時にどこまで交換したのかが不明。
まさかシリンダヘッドまでは
交換していないと思います。
シリンダヘッドのインテークポートに蓄積したカーボンを
完全除去する DSC(ドライアイス・ショット・カーボンクリーニング)
ドライアイス洗浄機を使用して
米粒状の3mmドライアイスペレットを
圧縮空気で高速噴射。
バルブ・ポートに固着したカーボンを
エンジンにノーダメージで剥離させます。
ドライアイスの特性を利用して、
熱収縮と昇華爆発力で剥離。
周りには飛び散るが、エンジンには何も残らない。
柔らかいペレットでは金属にはキズが付かない。
自動車整備業界では
知名度ほぼゼロのドライアイス洗浄機。
ですが各製造業の大型プラント工場では
金型や機械などの定期洗浄に使用され実績十分。
短時間での精密金属洗浄では、
ドライアイス洗浄はもはや欠かせないようですよ~。
4気筒 8ポート 全て除去完了。
ポート壁で隠れているインテークバルブの傘部も、
専用ノズルでキレイに除去しました。
今回はドライアイス洗浄機NO,1メーカー
グリーンテックジャパンさんにご協力頂きまして
VP系エンジン専用ノズルの
試作サンプルをお借りしました~。
http://www.greentech-japan.co.jp/hokotate/
ブラインド気味に隠れているバルブに、
噴射したペレットが直撃するよう製作依頼しました。
インテークマニホールド上流のにある吸気シャッターバルブ。
オイルによる湿り気でしょうか?
カーボンがモソモソ固まっていますね。
高温高圧のEGR と 低温低圧の新気が交わり、
インマニ入り口で乱気流して蓄積するのでしょう。
そしてミストオイルもやってくる。
吸気シャッターバルブは
DSCでは勢いが強すぎなので手作業で。
EGRバルブはDSCでキレイに洗浄。
オイルが届かない配置場所なので、
こちらのカーボンはサラサラです。
INマニホールド と EGRガイドパイプ。
ドライアイス洗浄で完全再生しました。
ガスケットは純正新品に交換して、
各部品を組み立てていきます。
吸気圧センサーは繊細なので、
爪楊枝などでキレイにしましょう。
洗浄液などは使わない方が良いかと思います。
冷却水の再充填し、エア抜き作業。
各部学習値をリセットして試運転を行います。
朝9時半からぶっ通しで作業して、
夜9時には一旦終了。
翌日冷却水をチェックして、再試運転。
無事作業が完了し、納車となりました。
どこまで公開すれば良いのか?
これだけSNSが発達するとかなり躊躇しますね。
またメーカーさんに迷惑を掛けるつもりはないですが、
お客様から作業依頼があれば出来る限りはしてあげたい。
もちろん相応の費用は発生しますが、
出来るだけ新車時に近づけたいというユーザーさんは、
行き場が無いので弊社にたどり着いたのでしょう。
密封式ATのATF完全圧送式交換も
今回のDSCも
そんな声から誕生した弊社オリジナル整備方法。
難しさもアリ、やり甲斐もアル。
今回のCX-5ユーザーさんに許可を頂き、
数百キロ走行後のレビューをお知らせします。
福井から大阪までのの往路はメーター表示で17km/L。
満タン法で14km/L前後。
(高速走行クルコン作動ではかなり悪い数値だそうです。)
DSC作業後の復路では
高速道路 と 信号の少ない下道で メーター表示で22km/L
実燃費は高速のみ・下道のみはありませんが、
作業後の給油満タン法で行くと
メーター表示との乖離は1km/Lぐらいでは?との答え。
改善されたようですね。
DPF再生距離が新車時で約300kmだったのが、
最近では150km間隔に。
DSC後は336km走行で
やっと再生が始まったそうです。
今回の作業に関わる部分の学習値を全てリセットしたので、
この結果が全てでは無いとは思いますし、
エアコンの作動や道路状況・走行速度によっては、
大きく変動すると思います。
ただ空気を吸い込んでナンボのディーゼルエンジン。
空気が吸いづらい状況になっていたなら、
それはパフォーマンスは下がるでしょう。
それにここまで吸気系が詰まると、
強力なポンピングロスが発生すると思います。
ポンピングロス軽減は
低燃費エンジンのトレンド技術ですから。
(それによる弊害が多岐にわたり、性能低下を招きます。)
DSC作業終了後に
スキャンツールのライブデータ数値を見ると
完全暖気後のアイドリング状態では
水温・エンジン回転数 ほぼ同じで
ある数値の改善を確認。
ユーザーさんもアクセル踏み込み量と
加速度が一致してきたので、
気になる点が改善されたと教えて頂きました。
ライブデータ 5つの数値に着目し、
データ通りの改善が見られたのが収穫です。
これからサンプル台数が増えてくるので、
いろんな事が見えてくると思いますが、
紹介できる部分については
ブログにて公開したいと思います。
このブログを初見の方は
こちらもどうぞ覗いてみてくださいね。
http://minato-motors.com/blog/?p=10114
スカイアクティブDへのDSC作業は、
全ユーザーに対しての作業ではありません。
本来の性能を取り戻したい方への提案型整備になります。
Happy Car Life!!