スカイアクティブ ディーゼルに思う整備士的懸念。 何か一つ忘れてませんか?
マツダ スカイアクティブ ディーゼル
CX-5やアテンザなどに搭載される
マツダ社最新のクリーンディーゼルエンジン。
これが世に登場した時、少し疑問に思ったのが数年前。
その予感は的中したような気がします。
以下の文章はもしかしたら誤りがあるかも?しれないので、
その時は訂正します。 私の勉強不足もあるはずなので・・・。
またなるべく一般の方に理解しやすいように
難しい部分は結構簡素化しています。
プロ整備士の方から見ると、簡素化しすぎかもしれませんが
そこは大目にみてくださいね。
スカイアクティブ ディーゼルとは
今までの圧縮比より大幅に低く設定した
低圧縮比型のディーゼルエンジン。
構造詳細はグーグル先生に聞いてもらえれば、
教えてくれるので今回は省きますね~。
これから登場する用語集
・CO2 二酸化炭素
・NOx 窒素酸化物の総称
・PM 粒子状物質 黒煙 煤
・DPF ディーゼル黒煙・煤用のフィルター
ガソリン車に比べて
ディーゼルの排気ガスは
CO2排出量が少ないと言われています。
逆にNOx・PMは非常に多い。(ガソリン車に対して)
NOx・PMともに有害なので、
なるべく排出を減らしたい。 (基準以上は販売できない)
そして
NOx と PMの関係はトレードオフ。
圧縮比を上げればNOxが増え、
圧縮比を下げればPMが増える。
どちらかを減らせば、もう一つが増えるという宿命。
どちらの後処理が難しいか?(お金が掛かるか?)は
NOxなので低圧縮にすれば結構抑えられる。
しかしPMは出やすくなるはず・・・・。
スカイアクティブ ディーゼルは
圧縮比を下げてNOxを抑え
PMはDPFで捕獲する戦法で問題を解決したそうです。
非常に簡単な説明ですが、
ざっくり言うとこんな感じのカラクリエンジン。
マフラーからのCO2は少なく、
NOxも出さず、
PMもフィルターでキャッチ。
全く問題なさそうですが、
一つ重大な事が抜けてます。
そう EGR 排気再循環装置 です。
排気ガスでターボタービンを回しマフラーから排出。
一部の排気ガスを
その手前の別経路に引き込み。
もう一度燃焼室に戻して、
再燃焼させるトレンドの省エネ低燃費技術。
(詳しくはグーグル君に聞いてね~)
EGRを制御しうまく使うと、
燃焼温度をコントロールし、NOxがさらに抑えられる。
よりクリーンになるのですが・・・。
その循環させる排気ガスは
エンジンにとって、全くクリーンじゃない・・・・。
青ライン マフラーへの排気経路
赤ライン EGR経路2系統
PMを大量に含んだ排気ガスを
EGRとして燃焼室に戻せれば
PMは再燃焼で分解されます。 (ココは問題無し。)
エキゾーストマニホールドから燃焼室まで(赤ライン)は
二つのEGR経路 と 吸気経路を通過しますので、
もし燃焼室の手前で
PMが留まってしまうと、一体どうなるでしょうか?
高温高圧の排気ガスはEGR経路を通過し
新気と交わる吸気経路を通過する時は、
圧力も下がり、温度も下がる。
EGR・吸気シャッターなどの各バルブが障害物となり、
乱気流が起こり・衝突し蓄積する。
(ディーゼル EGR系の詰まり)はすでに有名ですが、
さらにPMが出やすくなった低圧縮型は
より深刻になるのでは??
数年前のスカイアクティブ ディーゼルの発表時に
疑問に思ったのは整備士の性でしょうか。
最新ディーゼルの頭に付く『クリーン』
いったい何に対してのクリーンなのでしょうか?
環境?人体?
おそらく従来型の高圧縮・後処理無しディーゼルに対して
クリーンですよ!!と私なりの解釈。
環境や人体には、おそらくクリーンでしょう。
ですが車(エンジン)には???
もの凄い負担が掛かっているのではと、
スカイアクティブD 登場で
頭によぎった整備士も多いと思います。
次回ブログはようやく入庫した
アテンザ スカイアクティブ ディーゼル。
DSC(ドライアイス・ショット・カーボンクリーニング)
によるインテーク系統大掃除作戦をご紹介しますね~。
http://minato-motors.com/blog/?p=9900
お楽しみに!!