1. TOP
  2. ミナトBLOG

マツダ RX-8 SE3P リフレッシュプラン。 サスペンション・クラッチO/H、今後に向けてのリフレッシュ整備。

大阪市からお越しいただいたのはマツダ RX-8 SE3P 走行距離4万キロ
リフレッシュプランのご依頼です。(京都ナンバーですが・・)



年式はH19年 走行距離は4万キロ。

走行距離は浅いですが新車から10年以上経過した愛車なので、今回はサスペンションやクラッチ・ブレーキ等を中心にリフレッシュ整備を依頼されました。

ロータリーエンジン搭載のRX-8は根強い人気車ですね。新車市場では代替車両が無いので皆さん長く愛用している方が多いです。

今回のオーナーさんも出来るだけ良いコンディションで、オリジナルを保ったまま今後10年は使用したいと相談されました。


メールでの予約受付から順番をお待ちいただいて、数か月後に入庫してもらいました。


現在リフレッシュプランは非常に好評をいただいており、ここ数年は数か月待ちが常習化しご迷惑をお掛けしています。 1カ月間で作業できる台数が限られているので、こればかりは気長にお待ちいただくようご案内させていただいています。



試運転を行い、問診時にお聞きした不具合箇所を確認します。

そこから事前ホイールアライメントを測定し、排気ガスやバッテリー充電状態をチェック。


RX-8は国産車では珍しくホイールアライメントの調整個所が多く、車高の変化でキャンバー基準値が変わります。


点検測定結果では数値が大きく乱れておりますが、エンジンの燃焼状態やオルタネーターの発電状態は良好でした。

リフトアップしてタイヤを外し、車両全体を点検しますね。

またスキャンツールを接続して、各センサーなどの数値もチェックしています。

点検結果と整備予算、不具合箇所・不満個所を考慮して、お勧めの整備プラン見積を提案しました。

オーナーさんに作業内容を説明して、OKがいただけたので作業を始めますね。

まずはブレーキからオーバーホールします。

・ディスクローターは研磨にて再生。
・ブレーキキャリパーは分解洗浄してO/H
・ブレーキパッドはWAKO’S BPRで交換

ディスクローターを研磨機にセットして、表面を薄く均一に研磨していきます。
また最後に耐熱塗装(艶消しブラック)でリフレッシュ。




キャリパーは分解洗浄してダストブーツとピストンシールを交換し、ホルダー側もスライドピン等を洗浄してブーツを交換しました。


ピストンに固着した古いグリスは、ブレーキの引き擦りや異音の原因になりますよ~。

ブレーキパッドはWAKO’S高性能ブレーキパッドグリスBPRを使用して交換しています。

ここまで行えば異音も無く、コントロールしやすい新車時のブレーキに戻りますよ~。





前後ショックアブソーバーも交換しますね。
再利用するのはスプリングのみで、それ以外の周辺消耗部品は全て交換します。

今回は純正ショックアブソーバーで交換しました。

フロントのサスペンションアームはUP・LOWともに交換しました。

RX-8はサスペンションアームブッシュだけの部品供給をしないので、費用は掛かりますがアームASSYでの交換になります。




リア側は負荷が少ないので、ボールジョイント部のダストブーツ交換とグリスアップでリフレッシュ。

ステアリングタイロッドエンドのダストブーツも同様に交換しました。






前後スタビライザーのインナーブッシュとリンクロッドも交換しますね。






フロントハブベアリングはボルトオンで簡単に交換出来ますが、リア側はナックルに圧入されていますので油圧プレスを使用して交換します。




サスペンションやブレーキを組み立てて、ブレーキのエア抜き作業とフルード交換。




次はマニュアルトランスミッションを降ろして、クラッチをオーバーホールしますね。

新車販売でのMT率は数パーセントだそうですが、今現在にMT車を乗られている方は基本的にはクラッチ操作は上手です。

昔みたいに下手な人がクラッチを滑らせる事は無くなり、下手な人はそもそもMT車には乗らないですからね。


しかしクラッチ操作が上手な人もクラッチが摩耗してくると、ペダルタッチに違和感を覚えて操作しづらくなるでしょう。

また各箇所のグリスも劣化してくるので操作が固くなり、より一層違和感を感じます。

・クラッチディスク
・クラッチカバー
・フライホイール
・レリーズ、パイロットベアリングなどを分解交換していきますね。

エンジンのエキセントリックシャフトのリアシール類もフライホイールを外した時に同時交換。





フライホイール組付時にナットにはロック剤(アドペシブ)を塗ってから、500N/m近い規定トルクで締め付けします。

SSTが無いとフライホイールを固定出来ず、ナットを締め付けるのは不可能に近い。



バイブレーションダンパーも同時に交換しますね。




クラッチマスター・レリーズシリンダーもO/Hしました。



クラッチペダルから異音が出る定番故障はペダルのスプリング取付部にある樹脂部品が原因です。

スプリングによる摩耗で樹脂部品が割れると、ペダルストローク時にカコッを違和感が出ますよ~。

樹脂部品だけの部品供給は無いので、ペダルASSYで交換しました。


MTギアオイルとデフオイルにはNUTEC NC-70 75W90 全化学合成ギアオイルを使用しました。

ミッション組付け後にエンジンマウントも交換しますね。

エンジンマウントは年数が経過すると、エンジンの重みでゴム部が潰れていきます。そうなるとエンジンとシャシフレームとの高さが変わります。


RX-8はパワープラントフレームを採用しているのでATのマウントはありません。
エンジン、MT、プロペラシャフト、デフが一直線になった時の位置をミリ単位で調整を行います。



ラジエターも予防整備で交換しました。

狭いエンジンルームに押し込められたラジエターのアッパータンクの樹脂部分は熱劣化を受けやすいので、割れる前に交換しますね。


またラジエターホースやサーモスタットも同時に交換します。

ラジエター交換後にはエンジンやヒーターに残されたLLCも含めて、全量圧送式で交換しました。

ラジエターリフレッシャーで脈動圧送しLLCを回収しながら、ダブル高密度フィルターでろ過再生し、最後にエア抜き作業とLLC再生強化剤を注入します。

カーエアコンリフレッシュαでエアコンガスをリフレッシュ。

年々減少する冷媒ガスは定期的に点検しましょう。
冷媒ガス充填量は多すぎても、少なすぎてもNGです。

RX-8の充填量は結構シビアですよ~。

整備リフトからアライメントリフトに移動して、サスペンションアームのブッシュを1G締付します。

整備時にはボディのリフトアップポイントを持ち上げますので、サスペンションは伸びている状態ですよね。

この状態でサスペンションを分解し組付けしますが、アームブッシュを固定するボルトナットは仮止めにしておきます。




仮止めのままアライメントリフトに移動して、4輪が接地した状態でブッシュのボルトナットを一度緩め、ブッシュテンションを開放してから、再増し締めするのが(1G締付作業)です。


サスペンションが伸びた状態でブッシュを本締めすると、接地時にはアームの角度が変わりブッシュは捩じられた状態のまま走行する事になるので、本来の性能は発揮出来ず、ブッシュも早期に破損しますよ~。


アライメントリフトで外したアームブッシュを1G締め付けしてから、軽く試運転をします。

サスペンションを馴染ませてから、ホイールアライメント調整を行いますね。

・ハンター社(ホークアイWA470)最新鋭ホイールアライメントテスター
4つの高精度カメラでホイールに装着したターゲットを捕捉し、アライメント数値を瞬時に演算します。

また軽量樹脂製ターゲットはホイールを傷つけないクランプ式構造。



・イヤサカ ビシャモン マルチアライメントリフト
国産最高峰アライメントリフトは長期に渡って水平レベルを維持します。

組付けた直後はカムの位置を中立にしていますが、それでは数値はバラバラです。

サスペンションを分解すると必ずホイールアライメントを調整しないといけないのは、こんな数値のまま走行しても本来の性能は発揮されないからなんですよ~。


車体下に潜りこんで各アライメント数値を整えていきます。


最終的にはこんな感じになりました。
(調整個所が多い車両の方が数値を整えやすいですね。)

このあとはいつものテストコースを試運転。
違和感は無いか?異音は無いか?など、入念に試運転をしてコンディションを確認します。



試運転後もリフトアップして作業した箇所を何度も確認し、無事納車となります。


今回は作業中の画像は約160枚ほど撮影しました。
納車時には画像をお見せしながら作業内容を説明しています。

また画像が必要な方にはDVDにコピーしてお渡ししています。





(作業中にデジカメで撮影するのは大変ですね!)とお客様によく言われます。

作業者側が撮影するメリットは多くあるのですが、そのうちの一つが(作業を忘れない・再確認が容易に出来る事)なんですよ~。


例えばクラッチを組付ける時には各ボルトナットを本締め後に、マーカーペンで色付けチェックします。
それを画像に残しておくとミッション組付け後に(アレ??あそこのボルトは締めたかな??)という事が後で確認出来ます。

タイミングベルト交換時にも同様にカバーを組付ける前に、カメラでマーカーチェック個所を撮影します。

締め忘れ確認の為に再度ミッションやカバーを外すのは時間の無駄になるので、チェック画像に残すのが簡単・安心・確実なんですよね。




皆さんもありませんか?
外出時に家の鍵を閉めたかな??という事が・・・。
気を付けていても、その記憶が思い出せない時ってよくあるのですよね。



本日もミナト自動車ブログ 日々是好日にお越しいただきありがとうございます。


リフレッシュプランのご依頼はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。  どうぞ宜しくお願い致します。


それではHAPPY CAR LIFE!!

2021年4月25日

このページのトップへ