マツダ RX-8 SE3P リフレッシュプラン。 12年目の大規模整備。 ラジエター ブレーキをリフレッシュ。 前編。
静岡県からお越しいただいたのは
マツダ RX-8 SE3P 5速MT
H17年式 走行距離13万キロ
リフレッシュプランのご依頼です。
・12年前にほぼ新車のRX-8を購入し、
現在の走行距離は13万キロ。
これからも長く乗り続けるような整備を希望。
・現状の不満点はクラッチの切れが悪くなる。
ブレーキング時にガクガクする。以前に比べ走行安定性が悪い。
http://minato-motors.com/blog/?p=12375
メール相談時には大雑把な感じでも良いので、
不満点や予算・お預かり期間をお伝えいただけると助かります。
ご予約をいただいて入庫。
まずは問診から始めます。
普段の使用環境や過去の整備暦、
運転の頻度や酷使度などなど・・・。
週末使用なのか?通勤使用なのか?
高回転までE/Gを回す運転なのか?
極力燃費重視の走行なのか?
リフレッシュプランのテーマは
(もしこの車両が私の愛車なら予算内でどう整備するか?)
知らないといけない事は多いので、
問診時には30分ほどお時間をいただいています。
ユーザーさんには代車をお貸しして、
とりあえずお帰りいただきます。
(2~3週間ぐらい預かりますとお伝えしました。)
そして私は試運転をしてから、
事前ホイールアライメント測定を始めます。
ホイールアライメントを測定すると多少数値の乱れはありますが、思ったほど悪い数値ではないようですね。
ですが試運転での乗り心地や安定性は数値以上に悪い印象。
(10万キロ以上走行した車両によくある乗り心地)
(可もなく不可もない距離相応な感じ)
このRX-8を初めて運転すればこんな感想になるでしょうが、
新車近い状態から把握しているユーザーさんでは、
不満に感じると思います。
(俺のRX-8はこんな車だったっけ??)と・・・。
続いてエンジン点検の基本 排気ガス数値をテスターで測定。
ロータリーなのでもっと悪い数値が出ると思いきや、
なかなかの良い数値。
普段からのメンテナンスが良好なので、
エンジン系の状態は良さそうですね。
リフトアップをしてタイヤを外し、
アンダーカバーを分解して車両点検を行います。
今までの整備状況は問題なく、
基本的な整備は出来ているようです。
今回は普段はあまり手を出さない部分の整備を中心に、
整備プランを制作しました。
12年目の大規模整備をプランニングし、
御見積を提示してユーザーさんと協議します。
今回は範囲と予算規模が大きかったので7割ぐらいは(お任せ)、
残りは要相談という流れで進行しました。
まずはラジエター交換から。
ラジエターの上下には樹脂製のアッパー・ロアタンクがあります。
ロア側は熱の影響は受けにくいですが、
アッパー側は高温のLLCが常時流れているので、
経年劣化で変色しています。
こうなると樹脂が脆くなり割れやすい。
実際に軽く触れるとタンクにある樹脂パイプが、
ポキッと折れましたね。
それだけ熱劣化でダメージを受けていたのでしょう。
・ラジエターASSY &ゴムブッシュ
・アッパー/ロアホース
・サーモスタッド
予防整備で交換します。
LLCもラジエターリフレッシャーを接続して、
圧送式で全量交換を15分。
E/Gとヒーター側のLLCも同時に交換しました。
エア抜き作業と平行してLLC再生強化剤を注入します。
電子制御スロットルも清掃し、
アイドリングを安定化させました。
結構汚れていましたね。
エンジンのメンテナンスは普段から実施されているので、
冷却系と吸気系のみの軽い整備で大丈夫でしょう。
エンジンマウントも左右交換しますね。
次はサスペンションやブレーキ系の整備します。
サスペンションの整備は部品点数が非常に多い。
そして1点でも欠品があると作業が進行しない。
リフレッシュプランでサスペンション系の整備を希望の場合は、
前金をいただいて部品を事前に入荷しています。
モノによってはバックオーダーで1ヶ月ほど時間が掛かるので、
入庫してからの発注ではほぼほぼ間に合いません。
逆にメーカー在庫の回転が早いE/Gやブレーキなどの消耗品は、
あまり欠品は発生しづらいので、
入庫してからの発注で十分間に合うと思います。
フロント/リア共に足回りをごっそり外しました。
そこからさらに分解し整備します。
経年劣化でキャリパーダストブーツの
機密性が低下したのでしょう。
少し錆が発生していますね。
錆粉とグリスが混ざるとピストン表面で固着します。
この固着がピストンシールに引っ掛かり、
ピストンの動きを阻害します。
最悪ピストンがロックして固着すると、
異音発生・制動不足・片効き偏磨耗。
10年に一度ぐらいはO/Hをしてリフレッシュしましょう。
組み付け初期はスムーズじゃない固体もありますから、
シールとブーツを装着後にピストンを出し入れの繰り返し。
シールとピストンの収まりが良くなるよう、
馴染ませてあげます。
ダストシールを装着する部分の錆は
ブラスターで除去しキレイにしました。
それ以外のキャリパー表面はブラスト処理はせずに、
完全洗浄のみで収めます。
(表面の錆は機能に関係がないので。)
ブレーキキャリパーのホルダー部にあるスライドピン穴も
古いグリスを掻きだして清掃します。
ピンホール1箇所に錆が発生していたので、
ホーニングブラシでクリーニング。
新しいグリスと注入して、ダストブーツを装着します。
フロントブレーキパッドを交換し、
リアのパッドは研磨で再生。
バックシム洗浄後にWAKO’S BPR、
高性能パッドグリスを塗りこみます。
ブレーキング時のガクガクは、
ディスクローターの振れが原因でした。(左前のジャダー)
ディスクローター研磨機で前後4枚再生します。
1回目の軽く研磨した状態です。
・シルバーになった部分がバイトで削った箇所。
・黒い部分はバイトが当っていない箇所。
ハッキリとディスクの振れが目視できました。
研磨というとガッツリ削っているように見えますが、
実際は薄~く少ししか削っていませんよ~。
ディスクの限度厚を半分以上残した状態で、
無事再生できました。
耐熱塗装(シルバー)で軽く化粧直しの再塗装。
フロントディスクローターの左外側の面だけ、
レコード盤状の傷は深く大きかった。
おそらくキャリパー スライドピンの動きが悪く、
パッドを引き摺っていたのだと思います。
(そしてジャダーになり振動が)
パッドの長持ちさせるためにも、
定期的なキャリパーメンテナンスは必要ですね。
ブログが長くなってきたのでとりあえず前編は終了。
次回ブログでは後編をご紹介しますね~。
HAPPY CAR LIFE!!