マツダ RX-8 SE3P リフレッシュプラン。 12年目の大規模整備。 サスペンション&クラッチリフレッシュ 後編
前回ブログから続く
マツダ RX-8のリフレッシュプラン 後編。
http://minato-motors.com/blog/?p=19195
H17年式 RX-8 SE3P 走行距離13万キロ
エンジン整備とブレーキ系の整備は完了し、
次に作業したのはサスペンション関係。
フロントダブルウィッシュボーンは、
アッパー&ロアアームをASSY交換します。
国産車の場合は一体型になったアルミ製アームASSYの、
ブッシュは辛うじて単品供給するメーカーもありますが、
圧入式ボールジョイントの単品供給はほぼ無いです。
(ボルトオンはあります。)
そもそも国産車メーカーは部品を交換し続けて、
長く愛用する事を好んでいない??
輸入車は純正・社外といっぱい部品があるので、
文化の違いなのでしょうか?
アームASSYを交換してから、
スタビライザーのブッシュとリンクロッドも交換しました。
ショックアブソーバーは純正品をチョイス。
スプリング以外の消耗品も全交換。
リアはハブベアリングを予防整備でリフレッシュ。
リアハブベアリングはプレスでの圧入作業なので、
SST等がないと交換は難しい。
フロントはボルトオンなので簡単に交換ができます。
今回は難易度の高いリアのみ交換します。
(フロントは異音が発生してからでも良いかと思います。)
アルミ製ナックルを傷つけないように分解し、
慎重にB/Gとハブを装着しました。
リアマルチリンクアームのボールジョイント。
ダストブーツに亀裂が入り、
酷い箇所はパックリ割れています。
ジョイント部にガタは無かったので、
純正ブーツとWAKO’Sグリスで全8箇所リフレッシュ。
リアのスタビリンクロッドとブッシュも交換します。
リアのショックアブソーバーも、フロント同様に。
次はMTミッションを外してクラッチO/H。
・クラッチカバー
・クラッチディスク
・フライホイール
はもちろん交換します。
特大ナットを緩めてフライホイールを外し、
エキセントリックシャフトのリアシール交換。
さらにその奥のオーリングも交換しました。
エキセントリックシャフトにある
パイロットベアリングとオイルシールも、
SSTで引き抜いて交換します。
ミッション側のレリーズカラーも交換。
ミッション後方のオイルシールも交換しています。
フライホイール ロックナットの締付には
リングギアロックツールが必要です。
500N/m近いトルクで締付するので、
このSSTが無いとフライホイールが固定出来ず締付が困難。
ナットにはアドペシブでロック剤を薄~く塗りました。
クラッチカバー/ディスクを組み付けし、
ミッションを車体に取り付け。
元の状態に組み立てますが、
他のメーカー車両と少し違うのがPPFの位置調整。
マツダ特有のパワープラントフレーム(PPF)は、
ミッションとリアデフを直結し剛性を高めています。
エンジンマウントが劣化しても位置がズレますし、
ミッションを外しても位置がズレます。
よって再調整が必要になります。
基準値56mm ±1mmの範囲で調整しました。
・クラッチマスターシリンダー
・クラッチレリーズシリンダー
ブレーキよりもストロークが大きく使用頻度も多いので、
カップキットを分解して交換します。
クラッチペダルを踏むとストローク中盤で
ゴクッと気になる異音。
スプリング付け根のプラスチックカラーが破損していたので、
ペダルASSYで交換しました。
ブレーキ&クラッチのフルードを交換しながら、
エア抜き作業を行います。
このあとの試運転でクラッチペダルの位置調整を行いました。
イイ感じの位置に調整するために、
数回ほど微調整しています。
MTギアオイルとデフオイルの交換はNUTEC NC-70 75W90。
全化学合成ギアオイル(エステル系)
ブッシュ固定のボルトなどを緩めると、
その箇所にマスキングテープで印付けし仮止めしています。
その状態でタイヤを装着しアライメントリフトに移動。
ブッシュの無駄なテンションを開放するために、
1G締付を行います。
(ここの1G締付を忘れるな!!)
多くの箇所を緩めて仮止め状態ですから、
本締付の忘れがないよう目印に。
1G締付が終わればテープを剥がし、
マーキングペンで完了のペイント印をしています。
そこから軽く試運転をして、
ホイールアライメントを調整しますね。
・ハンター社 ホイールアライメントテスター
(ホークアイ WA470)
・イヤサカ ビシャモン マルチアライメントリフト
高精度の水平レベルを長期確保する
国産最高峰のアライメントリフトに、
言わずと知れたハンター社の最新鋭アライメントテスター。
軽量樹脂製クランプ式ターゲットが採用されたこのモデルは、
なかなか評判のテスターだそうですよ。
1輪2秒で装着出来る手軽さと、
ホイールに傷が付かない特殊形状。
最近は国産車・輸入車ディーラー工場に、
多く採用されているそうですね。
RX-8 SE3Pはハブセンターからフェンダー上部までの数値も、
入力しないと推奨値が反映されません。
それで測定結果がこんな感じ。
組み立てたばかりなので、数値はバラバラですね。
ここからキレイに整えていきます。
・フロント トゥ/キャンバー/キャスター
・リア トゥ/キャンバー
計5箇所の調整機構を動かして微調整。
そして必要があればサブフレームを微妙に移動させる、
クレイドル調整も行います。
ステアリングのセンターもドンピシャで合わせましょう。
まず運転席に座り肩甲骨をシートバックに当て、
正しい姿勢でステアリングセンターを決める。
そしてその位置をテスターのセンサーに記憶させます。
ハンター社アライメントテスターの便利機能。
(Win Toe調整機能)を使えば、
簡単にステアリングセンター調整が可能。
Frトゥ調整時にタイロッドエンドのボルト・ナットを回します。
(ステアリングへの固定冶具は不要)
この作業で徐々にステアリングが少しズレたとしても、
その動きをセンサーが捕捉し画面の数値補正。
調整してからの試運転で
(アレ?調整したのにセンターがほんの少しズレている!!)
などの2度手間・やり直しはほぼ無いのです。
(有ればやり方が間違っている時でしょう。人的ミス)
ターゲットの装着時間や調整ミスでのやり直しが無くなるなら、
車体下での調整作業はジックリ時間をかけて丁重に。
無駄な作業が省ければイイ仕事が出来ますね。
調整箇所が多い車両は微調整がしやすいですね。
逆に調整機能が少ない車両はいろいろ大変です。
カーエアコンリフレッシュαで、
ACガスをリフレッシュ。
冷媒ガスを全量回収し、重量管理でリチャージ。
NC-200を同時に注入してコンプレッサーの潤滑強化。
最後に試運転を長めにして、最終確認。
アンダーカバー等を装着し作業を完了しました。
今回は2部構成で紹介したRX-8のリフレッシュプラン。
整備後には長めの試運転を繰り返しましたが、
(RX-8は非常に乗りやすい車両)だなと再認識。
(市街地走行でも疲れない&楽しい!!)
・入庫時に感じた信号待ちでの微振動。
ボディーに伝わる振動は非常に不快でしたが、
ほぼ無くなったと思います。
・走行安定性の無さ、乗り心地の低下
13万キロ走行した頼りない足回りは今回の整備で回復しました。
ビフォーアフターの違いは走り出してスグに分かるでしょう。
高速道路などでのステアリング修正作業は激減したと思います。
・微妙な感じだったクラッチ/シフトフィーリング
クラッチO/Hをしペダル交換で異音も解消して、
ストローク位置・クラッチ切れ点の調整で快適に。
シフトもNC-70のローフリクションでスコスコ入る。
もともとの車両設計が良いのでしょうね。
根強い人気があるのが分るような気がします。
ユーザーさんの納車後レビューでも、
快適になったとメールが届きました。
これからも快適なドライブを楽しんでくださいね~!
本日もミナト自動車ブログ 日々是好日に
お越しいただきありがとうございます。
リフレッシュプランのお問い合わせメールの返事には、
このような文も添付しています。
ある程度年式・走行を経過した車両の整備は
(いくら掛かりますか?)というよりも(いくら掛けれますか?)と。
今回のような整備をすれば相応の費用は掛かります。
ですが正しい整備を適切な時期に行えば、
今の車両はまだまだ快適に長く使用できます。
(また無駄な作業重複もなくなり経済的。そして愛着が増す。)
それに弊社はチューニングショップではありません。
ごく普通の自動車整備工場です。
(入庫車両もほぼノーマル車です。)
新車時のコンディションに戻すのが仕事だと思っています。
10年10万キロ以上走行した車両をまだまだ使用したい方は、
HP(お問い合わせフォーム)からご相談くださいね~。
HAPPY CAR LIFE!!