ハイエース100系のリフレッシュ整備 その1。 サスペンション・エンジン・ブレーキ整備編
最近はトヨタ ハイエース100系・200系の
リフレッシュプラン依頼が多く、
なんだかハイエース整備専門店のようになってきましたね。
(そんなつもりは無いのですが、ありがたい事ですね。)
耐久性に定評があるハイエースは10万キロまでは、
そんなに手が掛かる車両ではありません。
E/Gオイル交換などの油脂類ぐらいを軽く交換しておけば、
機嫌良く使用出来るでしょう。
ですが10万キロを超えて15万キロぐらいになると、
だんだん劣化が表面化し
違和感や乗り心地が悪化してきます。
ほとんどの方が所詮バン(商用車)だから、
こんなモノかな?と思っているのではないでしょうか。
元々設計が良いハイエースは、
最低でも30万キロ以上は走らないとね。
正しい整備を的確に行えば、
スグにご機嫌良く走るのが
ハイエースに対する私の印象です。
地元大阪からお越し頂いたのは
ハイエース 2WD ガソリン1RZ
RZH112V 走行距離203500km
提案型整備 リフレッシュプランのご依頼です。
弊社ブログの記事から同じ車両がある事に気が付き、
ブログ内をイロイロ見て頂いてから
メールお問い合わせを頂きました。
・希望整備と現状の不具合・不満点。
・お預かりできる期間
・リフレッシュに掛けれる予算
3つの質問も教えて頂き予約入庫となりました。
http://minato-motors.com/refresh/
問診をして試運転。
車両をチェックしていきます。
・事前ホイールアライメント測定
・ECU点検&リフトアップ点検
・各部品・機構の分解チェック
お客様の希望整備 と 弊社がオススメする整備
予算に合わせて整備内容をプランニング。
プラン御見積にOKが出ましたので、
部品が到着した箇所から作業を始めます。
(今回の部品は40~50個ぐらいは発注しました。)
それでは整備の様子を紹介しますね。
エンジン燃焼状態を簡単にチェックするなら、
排気ガステスターの数値を見るのが基本でしょう。
測定するとテスターの数値が非常に悪く、
これでは弊社基準では不合格。
(国が定めた車検基準では問題なく合格します。)
(車検の基準は元々かなり甘いです。)
入庫時から排気ガスが臭かったので、
やっぱりなぁ~と。
エンジン回転数を3500rpmで1分間。
O2センサー・触媒を熱々にして活性化。
CO HCの数値は下がりましたが、まだダメですね~。
1線の旧型O2センサーは何とか生きているので、
エンジンの調整&整備から始めましょうか。
アイドルスクリューを分解清掃し、
硬化したOリングも交換します。
スパークプラグも交換して
アイドリング調整&点火時期調整。
(基準値750rpm ±50 )
(NGKイリジウムMAXに交換)
そこからAC時のアイドルアップも調整しました。
(基準値950rpm ±50 )
これで暖機後に再測定すると、
CO・HCがほぼゼロで、CO2が大幅アップ。
完全燃焼していますね。
排気ガスはもう臭くなくなりました~。
ちなみにタコメーターの数値はかなりアバウト。
(100rpmぐらいは誤差がある。)
スキャンツールから
ECUの回転数を確認しました。
1年前に近くの大手カー用品店舗で
オイル漏れ修理をしたそうですが、
漏れが治っていません。
ガスケットは新品に交換されているようなので、
処置が悪かったのでしょうか?
ラジエターパイプはクラックが入り、
LLCが漏れています。
ラジエターの熱劣化も酷く、
アッパーホースも膨らみだして・・・。
破裂一歩前の非常にヤバイ状態でした。
それではエンジン前回りをリフレッシュしますね。
100系の狭いエンジンルームは
ある程度まとめて整備した方が良いですよ。
作業重複箇所が多いのでイッキにしましょう。
ヘッドカバーG/KとディスビOリングを交換して、
オイル漏れ対策。
キレイに脱脂して適切な箇所に
液体ガスケットを使用します。
クランクシールやW/Pも交換して、
サーモスタットとホース類も多数交換。
ラジエターやパイプ等も新調しますね。
エンジン周辺ゴム部品も交換します。
・カチカチになったインテークホース
・押し潰れたエンジン・ATマウント
どちらも異音と振動の原因になりますよ~。
冷間時と温間時のファン回転数を制御する
ラジエターファンカップリング。
(200系からは電動ファンになってます。)
温間時の動きが悪かったので交換しました。
(慢性的な冷却不足だったと思います。)
LLCも全量交換。
ラジエターリフレッシャーで
エンジン・ラジエター・前後ヒーターコアを
洗浄しながら交換しました。
最後にLLC再生強化剤の注入と
エア抜き作業。
交換前と交換後のLLC。
一目瞭然ですね。
エンジン系が終われば
サスペンション系に移ります。
・アッパーアームはボールジョイントにガタ有り。
・ステアリングラックエンドにもガタ有り。
ロアボールジョイントや
テンションロッドブッシュも含めて
左右交換しました。
ロアアームはASSY交換ではなく、
ブッシュを打ち替えします。
100系・200系・2WD・4WD問わず
ロアアームブッシュは
打ち替えの方が安いですよ~。
中空ロアアームはSSTを使用して交換すると、
アームが損傷する事がなく再利用が可能です。
逆にSSTが無ければ、アームを潰してしまうのです。
もちろん左右ショックアブソーバーや
スタビブッシュも交換しますね。
ハイエースの純正アブソーバーは安価なので、
6万キロ毎に交換しても損はしないですよ~。
ブレーキディスクローター と ハブベアリング。
ディスクローターは研磨機で再生し、
耐熱塗装を行いました。
ベアリングはガタ・焼けもないので、
キレイに洗浄してから
グリスアップで再利用します。
インナーシールは交換しますね。
ブレーキキャリパーもO/H。
分解して完全洗浄しシール・ブーツを交換、
スライドピン部もキレイにしますね。
新品ブレーキパッドにWAKO’S BPRグリス。
ブレーキホースも交換しました。
やっとこれで前半終了。
ハイエースRZH112Vの整備は
まだまだ次回ブログも続きます。
お楽しみに~。