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トヨタ エスティマGSR55 リフレッシュプラン。 特大増刊号 三部作の完結編。  ATF圧送式交換、ウォーターポンプ交換、ホイールアライメント調整。

前回・前々回ブログからの続きです。
http://minato-motors.com/blog/?p=27941前編
http://minato-motors.com/blog/?p=27985中編



エスティマ GSR55 4WD 走行距離8万キロのリフレッシュプランも、いよいよ3部作の完結編になりました。



下回り・足回りは交換&組付けは前回・前々回ブログで紹介したので、エンジン・ATの整備も紹介しますね。


盛大に漏れているLLC(冷却水)はウォーターポンプからでした。

50系エスティマでも4気筒なら比較的交換は容易なのですが、V6エンジンのW/P交換は少し困難です。


参考に整備工数を調べると(10時間オ-バーでエンジンを降ろして交換してね。)となっていますが、そこはE/Gを降ろす事も無くW/Pを交換したいのが人情です。


フロントバンパーやヘッドライト等を脱着して、作業スペースを確保しました。


作業スペースを確保してW/Pを交換しました。

正直に言えばW/P交換だけならバンパーも外さずに出来るのですが、同時に交換した方が良い部品も提案したのでそちらも同時に交換します。


2か所ほどW/P取付ボルトにシーリング個所がありましたので、アドヘチブでネジ山をシールしておきます。

これをしていないとネジ山の隙間からLLCが漏れますよ~。

オルタネーターのワンウェイクラッチプーリー交換。

非常に狭い場所にあるのでW/P交換時には同時に交換した方が良いでしょう。
対策品の新品クラッチプーリーに交換しましたよ~。


ワンウェイクラッチプーリーは正回転にはロックされるが、逆回転ではフリーになるクラッチ付プーリーの事。

クラッチが摩耗→クラッチ破損→逆回転でもロック。
エンジン回転数の変動を逃がす為のクラッチプーリーが壊れると・・・。

ベルト摩耗&異音が発生→オルタネーターの軸にも振動が伝わる→結果オルタが破損し発電不良。



オルタネーターの発電状態を調べておいて、まだ使える状態ならクラッチプーリーのみ交換し延命策も打つのも有効だとお伝えしています。







またこちらも狭い場所にあるサーモスタッドも交換しますね。

FF用の2GRエンジンを無理やり詰め込んでいるので、最近の車両にしては整備性が悪い部類になるのかな?


大昔に整備したフェアレディZ Z32のVGツインターボほど酷くは無いですけどね。

そしてエンジンマウントを全数交換します。

走行距離8万キロですが平成18年式ですからマウント自体の性能も大幅に劣化しゴムも硬化していますよね。

これで信号待ち時の不快な微振動を抑制します。

マウント交換時にAT上部に作業スペースが生まれましたので、スロットルボディの清掃&初期化を行います。


アイドリングを安定させるためにECUがスロットル開閉を制御するのですが、カーボンが蓄積すると(制御しづらく)なるのです。

その結果、タコメーターの針がフラフラ安定せず、不快な微振動が車体に伝わる。



ウエスと専用クリーナーで拭き上げますが、おそらく一度も清掃されていなかったのでしょう。 たっぷりカーボンが付着していました。




W/Pの中を見てみると冷却経路の汚れが多いと思いました。

おそらく長い間LLCを交換していなかったのだと思います。
最初の点検時にラジエターリザーバータンクをLLCの色が悪かったのが、ここにも表れていますね。


冷却水を劣化した状態で使用し続けると、ゴムシールが劣化しますし不純物も多く発生します。
スーパーLLCでも弊社では定期交換を推奨していますよ~。




今回はLLCがかなり劣化していたので、まずはE/G・ラジエター等のドレンから全量排出し再利用不可。

そのあとに新しいLLCを注入して、ラジエターリフレッシャーで圧送式交換しました。


エンジンを掛けながらラジエターリフレッシャーで脈動圧送式LLC交換。
高密度Wフィルターでろ過し、回収と注入を繰り返す。

冷却ラインに浮遊している不純物を除去して、LLCを再生。
最後にエア抜き作業とLLC再生強化剤注入で防錆・消泡を強化しました。



並行して6速ATのATF交換も行いますね。

まずオイルパン脱着洗浄してガスケットやストレーナー交換。
洗浄したオイルパンを装着しATFを補充します。



そこから完全暖機しATFを圧送式で交換しますね。


使用するプレ洗浄フルードはNUTECニューテック(NC-RF)
http://minato-motors.com/blog/?p=17434


本命に使用する高価なATFで交換する前に、まずはプレ洗浄します。

オイルパン脱着洗浄してプレ洗浄も行い、やっとここまでキレイになりました。


中央ビーカーの廃油と比べると少しはキレイになりましたが、奥に見える新油と比べるとまだまだ汚れていますね。





この汚れ具合ではまだ本命ATFは使えないので、もう一度全量イッキに圧送式でプレ洗浄します。




2回プレ洗浄して、かなりキレイになりました。

これで本命ATFが使用出来ます。







NUTEC ニューテック史上最高峰ATF『NC-65』

全化学合成基油を贅沢に使用したハイパフォーマンスATF。

・極薄で強靭な油膜性能は市販ATFでは最強レベル。
・ローフリクション・ハイパフォーマンス。
・ハイレベルな耐熱性と耐久性は初期油膜性能を長く維持。


ATFやCVTFなどのオイルはエンジンオイルに比べて交換サイクルは長い。

頻繁に交換するE/Gオイルに全化学合成を使うとランニングコストは高額になりますが、何年かに1度のATF交換なら想像しているより負担は少ない。


高性能ATFを長く使用した方が、お値段以上の満足感。



NC-65でもう一度圧送式交換を行います。




ほぼ完璧に入れ替わりましたね。

ここまでキレイになれば次回交換推奨距離は約6万キロです。



整備リフトからアライメントリフトに移動。
サスペンションアームブッシュを(1G締付)します。


整備リフトではアーム組付けは仮止めにしておいて、忘れないように黄色のテープを張り付け目印にしています。  





サスペンション整備の必須作業(1G締付)
リフトアップで伸び切った状態ではなく、4輪が着地した状態でアームブッシュのボルトナットを再締め付けするのが(1G締付作業)


これをしないと折角交換したブッシュが早期に劣化破損し、今までの作業が無駄になりますからね~。


そこから軽く試運転をしサスペンションを馴染ませて、ホイールアライメントを調整します。



・ハンター社ホークアイWA470 最新鋭ホイールアライメントテスター
4つの高精度センサーカメラでホイールに装着したターゲットの動きを捕捉。


・国産最高峰アライメントリフト イヤサカ ビシャモンマルチリフト
高い水平レベルを長期に維持するアライメントリフト。



この二つの機器を使用して、高精度なアライメント数値を弾き出します。

組み立ててスグの状態だとこんな感じでバラバラですね。
タイヤホイールが(あっち向いてホイ)になっています。



サスペンション整備後にホイールアライメント調整が必要なのは、これを見れば一目瞭然。どうみても真っすぐ走りそうにないですよね。



ここから乱れた数値を、車体下に潜りこんで調整作業をしていきます。





最終的にはこんな感じで整えました。

・リア・
調整が不可能と言われるリアアクスルビームは、リアシムを装着し過大な左トゥインを修正してスラスト角をゼロに。

・フロント・
キャスターを調整しながらSAI・包括角度を整えつつキャンバーを揃えて、ステアリングセンターキープしながらトゥ調整。




ちなみに下の画像は入庫時のホイールアライメント数値はこんな感じでしたね。
(違いが分かりますか?)

リフレッシュプランのビフォーアフターで数値を比較してくださいね~。




最後に長めの試運転。 
いつものテストコースを走りながら、ミスが無いか?異音等は無いか?を全方位に集中して試運転を行っています。

そして再度リフトアップし締付忘れやオイル漏れ等を何度も確認して、無事納車となりました。


いつも画像と文字数が多い弊社ブログ。

今回は3部に分けて紹介したので、通常ブログより画像数・文字数も大幅アップの特別3部作になりましたね。


後日にユーザーさんが新幹線で再来店&引渡納車。
200枚以上ある作業中の画像を見ながら、今回行った作業内容を説明をさせていただきました。



後日レビューをメールにていただきました。

お世話になります。
エスティマの○○です。

今回のリフレッシュプランではお世話になりました。
下回りが私の予想以上にサビが進行していたことで今回の作業では大変お手数おかけしました。昨日の帰路、今回整備したことによる効果ははっきりと感じられました。

足回りでは、車体ロール時初期の腰砕けのようなグラつきやステアリングを戻した後のおつりのようなゆさぶりがなくなり、路面の凹凸へのいなしがしなやかになっていました。

ブレーキフィールも前につんのめるような効き方から、ブレーキペダルの踏力に
応じた効き方へと変化しており安心感がありました。


こうした変化のおかげで帰りの運転はとても楽チンで、1回のトイレ休憩と
給油のためのサービスエリアへの立ち寄り以外は休むことなく帰宅することができました。


いろいろと診ていただく中で、エアコンガスの不足分が結構多かったことや冷却水のこれまでの管理状態などがわかったことウォーターポンプの漏れやセンターマフラーのサビ破れなど、見えていなかったいろいろとダメな箇所が発見・修理できたのもよかったです。

もともとクルマに不満や不安要素があって今回リフレッシュプランをお願いすることに至りましたが中古車で購入するときには判断できない、わからない部分もリフレッシュプランで診ていただき、修理できたことで今後も安心して乗ることができるようになりました。

また今後のクルマの維持管理において、経過観察すべき箇所や消耗品の交換時期を把握することもでき、このこともクルマに対する安心材料ができたと思っています。長々と書き連ねてしまいましたが今回の御礼とご報告をと思いメールさせていただきました。

また今後もいろいろと相談させてください。こんなご時勢ですがどうかお体ご自愛ください。

大阪府堺市の世界遺産(仁徳陵古墳)のすぐ横にあるミナト自動車。

そこで日々発信し続けるミナト自動車ブログ(日々是好日)。


東京から2往復は結構ハード。  それでも弊社を選んでくれましたお客様には(相応の覚悟)と(緊張感)で愛車の作業をさせていただいています。


納車後には、(作業後の結果に満足していただけたかな?)(ビフォーアフターに気が付いてくれたかな?)と思う事は常々ありますね。


こうして後日に詳細なレビューをいただけると少し安心します。






リフレッシュプランのご予約・ご相談はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。

(何年何月の○○のブログは総額いくら掛かりましたか?)と聞いていただけるとお応え出来ますので整備予算の参考にしてください。

それではHAPPY CAR LIFE!!


トヨタ エスティマGSR55 リフレッシュプラン 特大増刊号 中編。  ブレーキ・サスペンションアーム・ドライブシャフトもリフレッシュ!! 

前回ブログからの続きです。


トヨタ エスティマ GSR55 走行距離8万キロ。
リフレッシュプランの作業内容を紹介しますね。

前回ブログでは予約から入庫、点検から作業着手、リアサスペンション整備などを紹介しました。http://minato-motors.com/blog/?p=27941


今回はフロント側のサスペンションやハブ・ドライブシャフトO/Hなどの作業内容を説明しますね。


フロントのハブナックル、ショックアブソーバー、ブレーキなどを分解します。

リアに比べて少し錆固着はマシですが、ナックルとハブとはガッチリ錆固着していましたね。

今回のショックアブソーバーは純正品で交換します。

マウントASSYやベアリング、インシュレーター等も全て純正交換。
スプリングをコンプレッサーで縮めて分解し、再組立。


サクサクっと交換しました。




フロントドライブシャフトもO/Hします。

ドライブシャフトなんてダメになってから、リビルト品に交換すればイイんじゃない?と思うでしょ。


・ドライブシャフトを交換するにはナックル等を切り離す必要があるので、ホイールアライメントの再調整が必要。(車種によっては)

・ドライブシャフトを引き抜くとATF等が抜けるので、フルードの補充とレベル再調整が必要。

・リビルト品のドライブシャフトは社外品ブーツを使用している事が多い。

重複する工賃やフルードの無駄、使用しているブーツの品質など、(ある程度の走行距離になれば一度に整備した方が結果的にはお得)とアナウンスしています。



シャフトのベアリングを洗浄し、純正ブーツグリスKITで組立ますね。


耐久性の高い純正ブーツグリスKITなら今後10年・10万キロはノーメンテでドライブシャフトが使用できる。

もしリビルト品で耐久性の低いブーツ使用なら、保証期間が過ぎてブーツが破れれば、また再修理になりますよね。

リビルト品の保証期間なんて2年ぐらいでしょう。純正KITなら10年持つので長く使用したい方はその辺りも考慮した方が良いのではと思います。



それとブーツが破れてから修理すると、既にベアリング内に雨水・異物がたくさん混入しています。(B/Gにダメージ有り)
破れる前なら異物はないので、軽く洗浄してグリスを注入し、ブーツを装着するだけ。(B/Gにダメージ無し)




右側シャフトの中間ベアリングも交換。

ベアリングキャリアとB/Gが錆固着で抜けなかったので、電動カッターでキャリアを切断し、シャフトを外しました。



錆固着があると整備書通りにはいかないので、時間も部品も多く掛かりますね。



ナックルからハブベアリングを引き抜いて、ロアボールジョイントを交換します。





並行してサブフレームを降ろし、ガタ異音があるステアリングギアボックスを交換します。

このステアリングギアボックスは内部の部品供給がないので、厳選したリビルト品で交換しますね。  装着ブーツも純正同等のクオリティなのでこれなら安心して使えます。


これもステアリングギアボックスだけの交換は大変ですが、サスペンション整備と同時なら工賃は非常に安くなります。


ロアアームも交換してギアボックスとサブフレームを装着し、ショックアブソーバーやドライブシャフトを組付けました。


試運転では走り出して1発目のブレーキングで(コレ甘いな!)と感じたブレーキをリフレッシュしますね。



ディスクローターは研磨機にて再生。
http://minato-motors.com/blog/?p=14924

削る量は最低限にとどめて、均一に研磨し耐熱塗装で仕上げれば、ほぼ新品同様に戻る。




ブレーキキャリパーもO/H。

外観の錆は問題ないのですが、シリンダ内部が錆ると問題あり。
今回は内部に錆は無かったので、洗浄しキレイにします。

ただリア側はグリス硬化が激しく、ピストンがやや固着していました。

こうなるとブレーキ音鳴りになりますよね。

10年も使用すればグリスやゴムシール等も硬化劣化しますので、定期的にO/Hをお勧めしています。




ホルダー側もスライドピンホールのグリスを洗浄し、ブーツ装着&グリス注入。

ブレーキパッドも交換しますね。

ブレーキパッドの背面には、バックシムが装着されています。
・シムに付着した古く硬化したグリスは、ウエスでキレイに除去。
・洗浄後のシムにブレーキパッドグリスを塗ります。


安価な普通のブレーキパッドグリスだと耐久性は2年が限度。

WAKO’S 高性能ブレーキパッドグリス(BPR)なら、ストリート走行で約4年はグリス性能を維持します。

その差は歴然で、耐久性・信頼性は申し分なし。


ブレーキキャリパー等を車体に装着し、エア抜きしながらフルードを交換します。


トランスファとリアデフオイルはNUTECニューテック 全化学合成ギアオイル(NC-70)を注入。

ギアオイルも定期的に交換しましょう。

これでサスペンションやハブ・ドライブシャフト・ブレーキなどの足回り・下回り系は組付け完了。


ある程度の距離を走れば部品の劣化・性能の低下はありますが、バラバラに個別に整備をすると工賃や部品の無駄が多い。

またバラバラに無計画にお金を掛けて整備をしてみるが、いつまで経っても新車時の性能に近づかない。


計画を立てて意味のある整備をしてあげると、無駄な工賃や部品交換もなくなり結果的には経済的で快適に使用が出来き、満足度が上がる。

満足度があれば愛着が増し、愛車を長く使用し続けるでしょう。


費用は相応に掛かるが(まだまだこの愛車を使用したい)(出来るなら新車時に近い状態で)と思える方には、弊社のリフレッシュプランをお勧めしています。



次回ブログは3部作の完結編です。

エンジン・ATの整備をしてから、(1G締付)(ホイールアライメント調整)などを紹介する予定です。



次回ブログもお楽しみに~。
HAPPY CAR LIFE!!


トヨタ エスティマGSR55 リフレッシュプラン。 特大増刊号 前編。         リアアクスルビームのブッシュは重要です。ホイールアライメントはリアから疑え!!

弊社が推奨している提案型整備(リフレッシュプラン)


大変好評で全国各地からリフレッシュ整備の依頼をいただいており、現在は数か月待ちの状態が続いています。(誠にありがとうございます。)




最近多い問い合わせは、
(近くのショップでショックアブソーバー等を交換したが乗り心地が改善しない・・・。)  (部品交換等はせずに、ホイールアライメント調整だけ実施したがイマイチ・・・。)



5万キロ未満の走行距離なら分かりますが、ある程度走行した車両に一部の部品だけを整備しても、新車時の性能には戻らない。

特にサスペンション系の足回りは、多くの部品で性能を発揮しているので、一部を交換しても体感するのは難しいでしょうね!とアナウンスしています。



東京都からお越しいただいたのは
エスティマ GSR55 平成18年式 走行距離8万キロ。

リフレッシュプランのご依頼です。



HP(お問い合わせフォーム)から相談された内容

・エスティマの中古車購入を検討しており、購入後にリフレッシュプランを依頼したい。
・何年何月の○○のブログはいくらの費用が掛かりましたか?参考に知りたい。




数回のメール交換をして、数か月後に再相談メール。

・エスティマを購入してから1カ月使用し、今後も長く良い状態で使用するためにリフレッシュプランを予約したい。
・直進時に左流れあり。
・3.5Lの排気量の割にはパワー不足に感じる。
・信号待ち停止時のハンドルに伝わる微振動が不快。
・中古車なので総合的な整備状況の把握を希望。
・往復自走で入庫、代車は不要。

予約をいただいてから、数か月後に入庫していただきました。
問診をして不具合・不満個所等をお聞きし、作業の流れを説明しました。

(スタッドレス・ETC・ナビ付)の代車を完備していますが、今回は代車不要とのことで、新幹線にてお帰りになられました。



過去には往復とも陸送にて入出庫した車両もあり、その時はユーザーさんと会う事は無く、全てメールと電話のみで対応した事もありました。



それではお車預かって試運転を行います。
・不具合・不満個所の再現と確認。
・ユーザーが気が付いていない異常個所、不良個所のチェック。



事前ホイールアライメントを測定して、インプレッションとホイールアライメント数値との比較。

詳細な解説はここでは省きますが、フロント・トゥアウトと左リアの過大なインとスラスト角のズレが気になりますね。


この事前に調べたアライメント数値がこの後のリフレッシュ整備に活用されますので、完結編までお待ちください。




エンジン整備の基本 排気ガステストは良好。

バッテリーアナライザーによる充電・蓄電状態を見る限りは距離相応で特に問題ないでしょう。

スキャンツールを接続し、ECUのライブデータを見ても問題なし。




ただボンネットを開けた瞬間に気が付いたのは、ラジエターリザーバータンクのLLCの色。


乳白色のタンク越しに見えるLLCの色が悪いな?と感じました。
(これもあとで解説します。)


降雪地ではない都道府県で中古購入したそうですが、下回りの錆はやや多め。

錆は無いに越した事はないが、これぐらいならこの後の整備も何とかなるでしょう。




点検結果と整備予算・希望整備などを考慮して、整備プランを制作し提案。
御見積書をメールにて提示しユーザーさんと相談しながら、整備内容を決めていきます。


それではリフレッシュプランの整備内容を紹介しますね。

まずはリア サスペンションから始めます。

トヨタ・ミニバンに多く採用されているトーションビーム式サスペンション。  リアアクスルの左右ブッシュが破断していますね。


このブッシュが破断している状態で走行し続けると、結論から言えば(金属で出来たアクスルビームが歪みます。)


経験上エスティマ30系・アルファード10系なら年式的にブッシュは確実に破断しています。
後継のエスティマ50系・アルファード20系も新車から10年以上経過しているので、ダメージが大きくなった個体が多いですね。



事前ホイールアライメントでリア左だけが過大にトゥインしていたのは、長年放置したブッシュ破損によるビームの歪みが数値に表れた。

その結果の左流れと近い将来に起きるタイヤの変摩耗。


そうならない為の整備はアクスルビームを外してブッシュを交換しますね~。

リアデフを外して、車高センサーも外します。

車高センサーを取り付けているM6の細いボルト。
これを回せば錆腐食で確実にボルトが折れるでしょう。

そして復旧作業に時間が掛かる。(整備士あるあるですね。)


マフラーも外したいがこの取付ボルトも錆固着・・・。
リフレッシュプランの大敵は錆固着なんですよね~。

IHコンロと同じ原理の電磁誘導加熱が出来る(ミニダクター2)

対象物の径に合ったワイヤーコイルを選んで、錆固着したボルトナットを熱します。

数秒~数十秒ほど加熱すると固着の結束が緩むので、ボルトナットを破損させずに部品脱着。

特に樹脂部品やゴム部品に近い加熱には火気厳禁。
火災の心配が無いミニダクター2は非常に活躍しています。

こんな感じで車体から外したアクスルビーム。

破損したブッシュはSSTや治具・特殊工具などを使用して、打替交換しますね。

・ブッシュの位置決めをして、元の位置に戻す。
・ハブベアリングを装着する個所は入念に錆を除去してキレイにします。


この後にハブベアリングを交換しますが、ホイールアライメントを修正するリアシムを取付ますので、ここで下準備。


トヨタ リアアクスルビームブッシュを交換出来る整備工場は多くあるが、その後のホイールアライメントまで計算して作業をしている整備工場は日本中を探してもそう無いでしょうね。




スプリングインシュレーターも交換して、車体に組み立てしました。



リアのドライブシャフトをO/Hしますが、このタイプはIN側のブーツしか部品供給されていません。

IN側のみ純正ブーツグリスKITでO/Hしますね。

事前ホイールアライメントの数値から、ビームとハブベアリングの間に挟むシムを選択。



SPC社のリアシムは厚さ1mmほどの円形樹脂プレートなのですが、180度の位置で(厚い部分と薄い部分)があります。


また厚みの差も6種類あり、装着する角度や種類によってリアのトゥやキャンバーを微調整が出来ます。




結果はどうなるかは経験値。

リフレッシュプランの一番最後にホイールアライメント調整を行いますので、乞うご期待。(完結編にて紹介します。)




次回ブログではフロントサスペンション・ハブ、ドライブシャフトO/Hなど、まだまだエスティマのリフレッシュ整備は続きますよ~。


それではHAPPY CAR LIFE!!


マツダ CX-5 現行KF系 インテークに蓄積する煤除去作業。DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)で1泊or日帰りOK。

山梨県からお越しいただいたのはマツダ CX-5 KF2P H29年式 スカイアクティブ2.2D 

インテーク系に蓄積する煤除去作業DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)のご依頼です。

初代CX-5はKE系で2代目のCX-5はKF系と呼ばれています。


昨年の後半以降から少しずつ問い合わせが増えてきたKF系CX-5の不具合相談。

そこから何台かCX-5とCX-8のDSC作業をして検証してみましたが、結論から申しますとディーゼルは煤が溜まるよね~と再認識したこの頃です。

今回入庫したKF系CX-5は大阪までの道中にエンジン警告灯が点灯し、なんとか到着していただきました。


エラーコードはよくある(EGR流量不足)。

KE系・KF系ともに何個かある定番故障事例の一つでしょう。
早速試運転をして状態を確認し、インテーク系の部品を分解しますね。

インテークマニホールドと吸気シャッターバルブ周辺をチェックします。

KE系で煤がタンマリ蓄積していた吸気シャッターバルブには、あまり煤蓄積はありませんでした。 こちらはKF系から少し改良を加えたのでその効果が出たのかな?

インテークマニホールド入口にあるEGRの導入口は完全に詰まっていました。

こうなると必要なタイミングでEGRをインテークに導入する事が出来ませんよね。

インテークマニホールド出口の8個のポート穴には、多い所で約10mm程の煤が蓄積しているのが分かります。
この感じは初代KE系と変わらないようです。

それではその先のエンジンヘッド側もチェックしますね。

エンジンヘッド側の吸気ポートにも大量の煤が蓄積していました。

ブローバイからのオイル流入により煤とオイルでカッチカチ。
燃焼熱で硬化し、除去の難易度は上がる。




ポート奥にインテークバルブのシャフトが見えますが、その下にはバルブ傘部が隠れています。
傘部にも煤がゴッソリ固着しているのですが、ポート内径が狭いために撮影が難しいですね。


EGR出口の導入パイプがこのように煤で詰まる。
そうなると煤交じりのEGRはインテーク系には入らないですよね。

インテークマニホールドやエンジンヘッド側のポートに蓄積した煤は、この導入口が完全に塞がる前に蓄積した分でしょう。

かなり前から吸気系に煤蓄積が進んでいたのだと思います。



そしてEGRをカットもしくは流量を減らす改造等をすると、別の場所に弊害が出るでしょうね。

その弊害として水冷式EGRクーラーの内部で煤が詰まります。


SKY2.2DのEGR系統は2つ。
・エキゾーストから直でインテークに導入されるHOT・EGR(赤線)
・水冷式クーラーで冷やされたCOOL・EGR(青線)

エキゾーストから高温・高圧でサラサラの煤は、通常ならEGRクーラーのフィンにそこまで溜まらない。

マツダ資料参照



ですが導入口や通路途中で極端に狭くなると、そこにEGR経路のボトルネックが出来るでしょう。

流れが悪くなり、勢いも落ちるのでフィン等の障害物があると少しずつ付着していきます。



中を覗くと四角の穴が開いてるフィンに、煤が付着して塞がりそうですね。




例えば河川の幅を意図的に狭めてボトルネックを作ったとしましょう。そして上流から水とゴミが流れてきます。

狭くしたボトルネックで水路が狭くなれば、その個所のみ流量は減るが流速は早くなる。



だが少し上流にフィンのような障害物があれば、ボトルネックの弊害でフィン周辺の流速が低下し澱むので、ゴミが引っ掛かりますよね。


もしボトルネックが無ければ、川の水の量は多く、そこそこ水流・水量もあるので引っ掛かったゴミは下流に流されると思いませんか?



今回はDSCのオプション整備(水冷EGRクーラー洗浄)も依頼されました。



クーラー新品交換すると部品代が多く掛かるので、弊社では特殊装置と技術で煤を完全除去しています。 (費用は新品交換より半額以下にはなると思いますよ~。)


ドライアイスペレットを圧縮空気で高速噴射。
(熱収縮と昇華爆発力)ドライアイスの特性を利用した洗浄方法。


DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)は弊社が開発した世界初のオリジナル整備で唯一無二。



ほんの一部ですがブログにて紹介していますので、どうぞ覗いてみてください。
http://minato-motors.com/blog/?cat=169



飛散する煤からボディを守るマスキング。
3M社製高性能マスカーを使用しています。

そしてここからさらにマスキングをしていきますが全容は秘密。


ドライアイス洗浄機にドライアイスペレット(粒)を投入し、軽くワンショットテストをしますね。



ペレットが直撃した部分だけキレイになりました。母材アルミもハッキリ見える。


DSC専用ノズルと専用アダプターは自社で製作し、ドライアイス洗浄機のガンにセット。


(エンジンにノーダメージで短時間で完璧に。)DSCキャッチコピー通りに複雑な形状のポートとバルブを洗浄していきます。



最深部にある傘部はもちろん、シャフト裏なども全て煤を除去完了。

クランクを回して、圧縮上死点にセットしながら、次のポートも洗浄します。
4気筒8ポート全てキレイになりました。

インテークマニホールド・各EGRバルブ・バイパスパイプに吸気シャッターバルブ。

水冷EGRクーラーも完璧に洗浄しました。

再利用不可はガスケットのみ。

こちらは純正新品に交換します。


インテークマニホールドを組付けてエンジンに装着し、LLCを再注入。

完全暖機をしながらエア抜き作業を行います。

劣化しやすいラジエターキャップも交換して、
各学習値と燃料噴射量を再学習させます。

最後にゴニョゴニョっとマル秘作業をし、試運転をして納車となります。


点灯していたエラーコードも消去して、再点灯が無いかを確認。


これで当分は吸気系の煤蓄積からは解放され、本来のSKY2.2Dに戻ると思いますよ~。


弊社のDSC作業は1泊2日のお預かり。  朝9時半入庫で翌日午前中の納車になります。

(特急日帰り作業)もオーダー可能で、その場合は朝9時半入庫で当日19時頃の納車予定となります。


ミナト自動車は大阪府堺市にある世界遺産(仁徳陵古墳)のすぐ隣。

JR阪和線(百舌鳥もず駅)まで徒歩2分。


大阪中心のミナミ・キタまでは30分程で到着しますので、大阪観光を同時に楽しまれる方が多いですね。

代車もお貸ししています。


DSCやATF交換等の御見積・ご予約はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。

必要事項を記入していただいて是非ご相談ください。
それではHAPPY CAR LIFE!!



スバル レヴォーグVM4 リニアトロニックCVTF完全圧送式交換。 CVTF・ATF交換のショップ選びは床を見ろ!!(自論)

兵庫県西部からお越しいただいたのは、
スバル レヴォーグVM4 STI 走行距離8万キロ。



リニアトロニックCVTF 完全圧送式交換のご依頼です。

朝9時半に入庫していただいてまずは問診。

そのあとに試運転をしてリフトアップ。CVTFの状態をチェックしてオイルパンを外します。


オイルパンは洗浄して磁石の鉄粉を除去。ストレーナーも同時に交換しますね。

CVTケース側にある古い液体ガスケットをキレイにし、完全脱脂します。

スバル リニアトロニックCVTのオイルパンガスケットは液体ガスケットを使用しています。

ゴムガスケットならすぐに装着できますが、液体G/Kの場合はCVTからポタポタ落ちてくるフルードが止まるまでオイルパンの装着は出来ない。

ガスケット合わせ面と液体G/Kに油分が付着すると密着性が低下し、フルード漏れの原因になりますからね。


通常のATオイルパン脱着洗浄に比べると、リニアトロニックCVTのオイルパン脱着に限っては大幅に時間が掛かかります。

(それでも日帰り作業で納車可能。)
(CVTF交換作業自体はそんなに時間は掛かりません。平均的です。)


特殊な高性能液体ガスケット使ってオイルパンを装着し、フルードを補充。    (たぶんこの液体ガスケットを国内で採用している整備工場は少ないはず。)
(このガスケットを採用してから、作業時間が大幅に短縮できました。)


すぐにエンジンを暖機し、ATFチェンジャーとCVTをホースで接続します。


まずはNUTEC NC-RF(仮名)でプレ洗浄を行いますね。


ほぼ透明に近いニューテック リンシングフルード NC-RFは現在弊社のみの取り扱い商品。http://minato-motors.com/blog/?p=17434


このあと使うNUTECハイパフォーマンスフルードに最適化されたリンシングフルードは弊社が提案してNUTECさんに製作していただいた商品となっております。

フラッシングではなく、リンシングにしているのは過度な洗浄効果を求めない為。   そもそもフラッシングしなければいけないほどミッション内を汚すのはメンテナンス的にはNGですよ。


NUTECさん曰く(過度に洗浄効果を高める事は技術的に可能だが、ミッションにとってはあまり良くないのでリンシング程度に製品調整しています。)との事。



それではNC-RFで全量イッキに圧送式交換を行いますね。


プレ洗浄でここまでキレイになりました~。

・左奥に見えるのがNC-RF。
・中央ビーカーが最初に回収した廃油。
・右手前のモニターがプレ洗浄のフルード状態。


廃油に比べると結構キレイになりましたが、新油と比べるともう少しですね。



今回本命に使用するのはNUTEC ニューテックZZ51改。
全化学合成ハイパフォーマンスフルード(エステル系)


スバル(ハイトルク)リニアトロニックCVTF使用車には、こちらのフルードをおすすめしています。


ZZ51改でもう一度全量圧送式交換を行います。



キレイに入れ替わりました。

ここまでキレイになれば次回交換推奨距離は約5万キロになります。

交換後にフルードクーラーを洗浄してから、一度CVTを冷却。
そしてエンジン再暖機し、規定温度でフルードレベル調整を行いました。




ATやCVTを守る唯一のメンテナンスはフルード交換です。

機械の予防整備はオイル・フルード交換に尽きるのですが、なぜか?(無交換でもOK)との間違った認識がありますね。

間違った交換方法・手順や異物の混入等はミッションの不具合にもつながりますので、そこは慎重に・確実に行うよう弊社では心掛けています。




ただ(心掛ける)精神論だけでは作業の確実性は上がらない。
・その為の機械・設備の選定導入や配置。
・汚れている部品とキレイな部品の組付作業台は別にする。
・ウエス・クリーナー・グローブ等も信頼性の高い防塵商品での作業。
・埃等が舞い上がらないように工場の床コンクリートも防塵処理し、作業中は工場の扉も締めての作業環境。


工場のシャッター等を全開放にし風通しの良い作業場でのオイルパン脱着作業は、防塵意識の観点からみて弊社ではあり得ないかな?と思っています。

http://minato-motors.com/blog/?p=27496 
定期床メンテナンスのブログです。



ATF・CVTF交換を依頼する場合は、(その整備工場の床を見ろ!!)ってね。

床まで気に掛けて作業環境を整えているなら、実作業でも防塵意識のある良い作業をしてくれているショップだと個人的には思っています。


本日もミナト自動車ブログ 日々是好日にお越しいただきありがとうございます。

ATF/CVTF交換のご依頼はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。   必要事項を記入していただいてメール送信してもらえると助かります。


それではHAPPY CAR LIFE!!