MNH15 アルファード サスペンション一新。 劣化しているものを交換すれば。
今回入庫したのはアルファード MNH15W
H17 156000km走行
少し前にリアアクスルビームのブッシュを
交換させて頂きました。
http://minato-motors.com/blog/?p=7179
リアのブッシュ2個交換するだけで
ここまで感触が良くなるなら
サスペンション一式をリフレッシュしてみたいと
再入庫していただきました。
同乗された方もすぐに違いが分かり、
リフレッシュを決めたそうですよ~。
エンジン・ATのリフレッシュに比べ、
同乗者にも体感しやすいのが
サスペンションのリフレッシュなのだと思います。
今回する交換作業するのは
・FrロアアームASSY 左右
・Frロアボールジョイント 左右
・Frスタビリンクロッド 左右
・ショックアブソーバー 前後4本
その他周辺部品・・・などです。
部品点数の少ないストラット式サスペンション。
下から覗いてみるて
このロアアームの形状だと
赤丸のブッシュに走る・曲がる・止まる の
負担がほぼ集中します。
経年劣化したゴムブッシュは
硬化し柔軟性が無くなります。
するとゴムに亀裂が入り強度が落ちていきます。
もともと10あったゴム強度が8・7・6と弱くなると、
本来あった振動吸収性や位置保持力が低下します。
ブッシュ形状が変形すると
アライメントももちろん狂いますからね。
ただでさえ重心が高いアルファード。
コーナーのたびにフラついて収まりが悪い。
それを新車時に近い状態に戻すのが、今回の目的です。
ハブナックルを外して、順番に交換していきます。
サブフレームに取り付けてあるFrロアアームASSYは
取付ボルトがエンジンマウントに覆いかぶさって
簡単には外せません。
エンジンを吊り上げてマウントを外し、
やっと交換が出来るのです。
なぜこんな取付方法を採用しているのか?不思議です。
消耗品と考えるなら
もう少し外しやすくしてくれても良いような・・・。
左右ともマウントが邪魔してくれましたが、
無事交換完了です。
次はナックルとロアアームをつなぐ
ロアボールジョイントを交換します。
硬く固着したジョイントを
油圧リムーバーで外します。
手で触ったぐらいではガタはありませんが、
走行距離と考慮すればぜひ交換してください。
ハンドルを切るたびに動くボールジョイント。
少しでも磨耗ガタがあると末期症状。 非常にキケンです。
予防整備で左右を交換。
ショクアブソーバーは純正品をチョイス。
新車に近づけるのが目的なので、
全ての部品は純正を使用しました。
再利用したのはコイルスプリングぐらい。
消耗品のマウント・バンプ・ベアリングなども全交換。
一般的に7万キロぐらい走行すると
アブソーバーはヘタってきます。
15万~20万キロぐらい走行する予定なら、
10万キロぐらいで交換するのが良いのでは。
スタビリンクロッドのブーツ切れ。
中のグリスが漏れていますね。 こちらはASSY交換しました。
タイロッドエンドブーツは破れていませんでしたが、
ヒビ割れ具合からそんなに長く使用できなさそうなので
ブーツのみ左右交換しました。
油膜性能が落ちたグリスのままだと、
いずれボールジョイントが磨耗してガタが出ます。
粘度の落ちた古いグリスを洗浄して
油膜確保に新しいグリスを打ち直し。
作業中にFrブレーキパッドの残量を確認。
残量が残り2mmと少ないので、
オーナー様に了承を得て、交換する事に。
作業が重複するので工賃はノーチャージ。
シムに付いる硬化したグリスは洗浄し、
WAKO’S BPR 高性能パッドグリスを
薄く塗り直しますね。
リア側はアクスルビームのブッシュや
スプリングシートは前回交換しているので、
ショックアブソーバーASSYのみを交換すればOK。
押し込んでシャフトの反発を比べると、
古いショックは反発が弱く、伸びきらない。
これではショックアブソーバーの仕事力は
半減されていますね。
このアルファードのように
(フロント側はストラット式 ・ リア側はアクスルビーム式)は
トヨタのミニバンに多く採用されています。
ご存知だとは思いますが、
新車製造ラインではアライメント調整はせずに
ユーザーに納車されています。
組み立てているだけで ある程度の基準までは、
精度が出るように製造設計されているのです。
(厳密に言えば新車でもアライメントはバッチリではありません。)
その為か、アライメント調整箇所も少なく
構造上調整できない箇所が多くあります。
つまりこの車両のアライメントの精度は
各部品の精度に大きく依存しているのですね。
15万キロを走行して
その依存されている各部品が劣化し、
アライメントが保てなくなった場合、
無理やりアライメント調整のみで作業する事に、
どれだけの意味があるのでしょうか?
(静的アライメントはそれで良いが、動的アライメントは?)
また劣化した部品のままで正確なアライメントを出しても、
そんなに長続きせず一年後には
また狂っているでしょう。
ブッシュやジョイントが劣化すれば保持強度が落ちる為、
長いスパンで保持できずに位置がズレますしね。
新車レベルまで近づけるのが今回の目的。 (耐久性も含めて)
新車時に許容範囲でOKなら、
今回の作業で許容範囲に収まるはず。
アナログですが糸張り測定とキャンバー測定で
Fr・Rともに基準値内に収まっていました。
試運転でも安定しており、
ハンドルセンターとFrキャンバー・トーインを
微調整して納車となりました。
納車後に今以上の精度をお求めの場合は、
その後トータルアライメント調整をオススメしました。
注意
このサスペンションの
Fr・Rの4輪を完璧なアライメントを出すのは、
非常に難儀で時間が掛かります。
特にリア側を仕上げるのは、
経験の少ないアライメント屋さんでは無理でしょう。
お値段は張りますが弊社では
プロのアライメント業者様にお任せしています。
今回の作業はアルファードのような
サスペンション形状の場合のみの話です。
Wウィッシュボーンやマルチリンクの場合は、
少し事情が異なります。
あちらは部品点数と調整箇所が多く、
違うアプローチの仕方があると思いますので。
本日もミナト自動車ブログ 日々是好日に
お越し頂き ありがとうございます。
10万キロ以上走行したあなたの愛車は
本来の性能を発揮していますか?
フワフワ・ゴトゴトしていませんか?
相応の費用は掛かりますが、
ガラット走行性能が向上すると
(まだまだ愛車は現役で使用できる)と思われるでしょう。
そして乗り換える気が、一段と無くなると思いますよ~。
Happy Car Life!!