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トヨタ アルファードHV ATH10 走行距離46万キロ。リフレッシュプランでサスペンション、ブレーキをリフレッシュ!!

地元大阪府堺市からお越しいただいたのは、トヨタ アルファードハイブリッド ATH10 平成15年式 走行距離は46万キロ。

車両全体を整備するリフレッシュプランのご依頼です。


この車両は全国を走り回る営業車として愛用されており、現在までに下記の部品はディーラーにて交換済み。

・エンジンASSY
・ATミッションASSY
・HV用バッテリー
・エンジンマウント一式
・ショックアブソーバー
・リアアクスルビームASSYなどなど

もちろん車検時に行うような消耗品も定期交換しているそうですが、今回はそれ以外とサスペンション・ブレーキを中心にリフレッシュ整備を承りました。


予約入庫してもらい問診を行います。
そこから代車をお貸ししてお車をお預かりします。



試運転をして排気ガスのテスト後に、事前ホイールアライメントを測定しました。

試運転では乗り心地はあまり良くなく、本来のアルファード10系の乗り心地とは、大きく離れていました。

またホイールアライメントの数値は盛大に乱れていますね。 
特にリアのトータルトゥが過大になり、これではタイヤが偏摩耗するでしょう。

以前にディーラーにてリアアクスルビームはASSY交換されたようですが、やはり距離が増えると劣化が進むようですね・・・。


整備リフトに移動しリフトアップ。
タイヤを外して下回り・足回り・エンジン等を点検していきます。

またスキャンツールも接続してライブデータも要チェック。


整備プランの御見積をして、見積書をメールにて送信。
TELにて整備内容を説明して、作業を始めます。


以前にディーラーにて交換したアクスルビームのブッシュは、左右共にもうクラックが入っていますね。


交換後に距離を走っているので、仕方が無いと言えばそれまでなんですが・・・。   このクラックとビームを見て、何か違和感を感じませんか??






上記の画像は以前に別の方のアルファード10系アクスルビームブッシュを点検した時に撮影した画像です。http://minato-motors.com/blog/?p=26995

ブッシュのクラックが大きく割れていますよね。
でもよく見るとブッシュが(捩じられている)のが分かりますか?


正確な取付をしているアクスルビームブッシュは、リフトアップするとアクスルビームが下に垂れ下がるのでブッシュは捩じられているのが正常。

そしてリフトから降ろして4輪着地した状態は(ブッシュの捻じれがない)状態で走行しているのです。



もう一度ディーラーにて交換したはずのアクスルビームブッシュを見てみましょうか?

リフトアップしビームが垂れ下がっているにも関わらず、ブッシュのクラックは有るが(捩じれ自体は無い)ですよね。


おそらく以前にアクスルビームを交換したディーラーさんは、1G締付をせずに組付けたのだと思います。

1G締付をしないで組付けると、4輪着地時にはビームの角度が変わりブッシュがグニュッと捩じれるので、常時ブッシュにテンションが掛かった状態になります。



そうなると捩じれたブッシュが地面の凹凸で更に捩じられるので、新品ブッシュは長持ちしないのですよね。

(それを防ぐ1G締付は最後のアライメント調整時に紹介します。)

それではリアアクスルビームを分解します。


降雪地を走行する事が多いようで、下回りは錆固着が多い状態でした。  部品を外す為のボルトナット脱着は、折れや破損を気にしながら作業を進めます。

ミニダクター2の電磁波誘導加熱を利用し、錆固着したボルトナットを緩めていきますよ~。http://minato-motors.com/blog/?p=27143



ミニダクター2を使用せずに、こういう細いボルトナットを緩めると、高確率で折れるでしょうね。

またバーナーで安易に加熱すると、周辺のハーネスや樹脂部品が燃えるので、非常に危険。

手間が掛かりますが折れるとリカバリーが大変なので、1か所ずつミニダクター2で加熱し分解していきます。

リアの足回りを分解して、アクスルビームを降ろしました。


そこからブッシュの位置決めをしSSTでブッシュを外して、新しいブッシュを圧入しました。

ディーラー等ではビームASSY交換になりますが、弊社ではSSTがあるのでブッシュのみ交換が可能。

ビームを組み立ててスプリングも新品に交換しました。

Rハブベアリングは交換済みなので再利用し、事前ホイールアライメントで乱れていたトータルトゥを修正するためにシムを装着しました。

ほぼ残量がないパーキングブレーキ用ブレーキライニングシューも交換します。

ライニング残量が1mmも無いですね・・・。

フロントナックルを分解して、ロアボールジョイントとベアリング交換。

ロアアームASSYやスタビブッシュも交換します。




劣化した前後ドライブシャフトのブーツグリスを洗浄して交換しますね。

シャフト中間ベアリングも圧入交換して、洗浄後のシャフトに耐久性の高い純正ブーツグリスKITで組付け完了。






ブレーキキャリパーO/Hをする為に、ピストンを抜きました。
錆が酷くメッキも腐食しているので、ピストンは再利用不可ですね。

キャリパーを完全洗浄して、シールKITで交換し、新しいピストンで組付けますね。


キャリパーホルダー側のスライドピンは錆腐食で再利用不可。

ホールを脱脂洗浄しホーニングブラシでクリーニング。
スライドピンは交換しグリスを塗ってブーツ類も交換しリフレッシュ。





錆や歪みがあったディスクローターは研磨機にて再生しました。
http://minato-motors.com/blog/?p=14924

薄く均一に研磨し耐熱塗装(500℃)で化粧直しすれば、まだまだ使用は可能ですよ。






ブレーキパッドはバックシムを交換して、WAKO’S BPR高性能パッドグリスで組付けしますね。


今回のショックアブソーバーは純正品で交換しました。

マウントやインシュレーター・スプリング等を全てを交換しています。



今まで無交換だったフューエルポンプも交換します。


室内フロアカーペットを剥がして、フロアパネルにあるサービスホールから作業しますね。





(汚れが目立つLLCサブタンク一体型のシュラウドを交換してほしい!!)と依頼されたのですが、それならば走行距離を考慮してファンモーターの同時交換も提案しました。


ラジエターは以前に交換済み。
シュラウド交換時にモーター交換した方が、作業重複する今なら工賃が安くなりますよと提案しました。

フューエルポンプもファンモーターも40万キロ以上使えたなら、いつ寿命が来てもおかしくないですからね。


そう考えるとトヨタの部品の耐久性は非常に高いなと思います。

LLCも圧送式で全量交換。

ラジエターリフレッシャーで脈動圧送して、エンジンを掛けながら全量交換しますね。  HV車でもスキャンツールから整備モードにすれば、アイドリング維持が可能です。

サーモスタッドが開くまで作業をして、LLC再生強化剤でLLCを強化しました。
またラジエターキャップも同時交換しますね。







ATは交換してまだ距離が浅いので、ATFのみ圧送式で交換します。

プレ洗浄をしてからニューテックNC-65全化学合成ATFで交換しました。
ここまでキレイになれば次回交換推奨距離は6万キロになります。



整備リフトからアライメントリフトに移動して、1G締付を行います。(黄色いテープは仮締めの印です。)


アライメントリフトで4輪が接地した状態でサスペンションブッシュを固定しているボルトナットを緩めます。

するとブッシュがフリーになり捻じれが解消されたら、ボルトナットを再締め付けします。  これが1G締付でこの一手間を省くと、ブッシュがスグにダメになりますよ~。


そこから軽く試運転をして、サスペンションブッシュを馴染ませてから、ホイールアライメント調整を行います。


組立後のスグの数値がこんな感じ。結構キレイに整っていますね。

ここからキャンバーやトゥを少し微調整していきます。


フロントはほぼ完璧な数値になりましたね。

リアはハブとアクスルの間にシムを挟んで修正しました。
完璧な数値を追い求めても良いのですが、このリアアクスルビームならそこまでしても意味がないので、タイヤ偏摩耗しない数値で納めました。


シムを何回も脱着すれば理想的な数値を出せますが、その分費用は倍々で掛かるので、走りに支障が無ければそこまでする必要はないかと思っています。
(この数値ならタイヤが偏摩耗する事もありません)


そしてもう一度試運転を約1時間半。
ブレーキング・高速走行・ガタガタ道・市街地幹線道路などを確認走行しながら、異音や振動・ガタなどをチェックしていきますね。


帰ってきてからリフトアップして、漏れや締め忘れなどを何度も確認します。(整備士は多少心配性気味の方がイイんですよ。)

そして納車準備が整えば、お連絡をして納車引き取りとなりました。




いくら純正部品で交換しても、その交換方法や手順が間違っていれば、車両コンディションは改善しないし部品の寿命も縮みます。

特にサスペンション整備は技術と設備が整っている整備工場に依頼しましょう。




今回のユーザーさんも10系アルファードの乗り味が気に入っているので、出来るだけ長く使用したいと相談をされました。

サスペンションとブレーキを中心に整備をしたので、乗り心地とブレーキフィーリングはほぼ新車時と同じ状態に戻りましたね。
これで数百キロの長距離移動も楽になると思いますよ~。



本日もミナト自動車ブログ 日々是好日にお越しいただきありがとうございます。

あまり愛車に費用を掛けたくない方にはオススメしませんが、長く良い状態で新車時のコンディションをもう一度!と思う方は、ぜひリフレッシュプランをご検討ください。


相応の費用は掛かりますが、部品さえ生産終了していなければ新車時に近いコンディションには戻す事も可能ですよ~。


リフレッシュプランのご相談・ご依頼はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。   それではHAPPY CAR LIFE!!








2021年10月17日

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