ハイエース 200系ディーゼル4WD リフレッシュプラン 第1部。 その前にまずはエンジンから。
今回のブログは長編になり、複数に分けて紹介します。
またブログですべてを公開すると
ご迷惑が掛かりますのでいろいろ話せない部分がありますが
ご理解のほど宜しくお願いします。
どちらか言えば西日本側の
某県からお越し頂きました。
ハイエース KDH206 ディーゼル 4WD
走行距離 17万キロ
リフレッシュプランでの作業依頼です。
メールからのご相談では
(走行距離が増えてきて、30万キロぐらいは最低使用したい。)
このあたりで車両のリフレッシュを希望されました。
足回り関係やATF交換など
まだ手を入れていない未整備箇所を中心にと
作業内容相応の整備予算を提示されましたが、
その前に一つ問題点がありました。
時々エンジン警告灯が点灯し、
加速が悪くパワーダウンが酷いと・・・。(坂道は登らないほど)
地元某県のディーラーさんにて点検すると、
総額で百万円弱の見積り価格が提示されたようです。
弊社では通常このような状態の整備依頼は
基本的にはお断りするのですが、
(お客様からお聞きしている症状)
(私個人がハイエースと向き合わないといけない問題) が、
ちょうどマッチしているようだったので
日時を決めてお引き受けしたのが7月の下旬でした。
入庫して頂いて、まずは問診。
警告灯が点灯する前後の状況や、
普段のメンテナンス暦・使用環境。
ある程度の状況を把握して、
試運転を行いますね。
スキャンツール『G-SCAN』を接続して、試運転。
警告灯が点灯し、ダイアグコードを確認。
『P0107』 圧力センサー系統(LOW)
ディーゼルターボプレッシャーセンサーから
出力される数値が低すぎますよ~とECUからの表示。
ただこれでプレッシャーセンサーを交換しては整備士失格。
ECUが教えてくれたのは(センサーからの数値が低く過ぎ)で、
(センサー自体が悪い)とは示していない。
あくまでもプレッシャーセンサー系統の
どこかが悪いと表示しているだけなのです。
もしかすると配線が悪いかも?
カプラーの接触が悪いかも?
全然違うところが悪いかも?
スキャンツールは(車両診断機)ではなく、
ECUと交信できる翻訳機みたいなモノ。
あくまでもその数値や動きから診断するのは
整備士側に委ねられているのです。
今回ラッキーだったのが(フリーズフレームデータ)が残っていた事。
フリーズフレームとは異常コードを検出した瞬間の
エンジンライブデータが保存する機能。
異常があった時の数値が確認できると、
診断する判断材料が増えますよね。
吸気圧センサーの数値は23Kpa
エンジン回転数 854rpm
あきらかに低すぎる。
ありえない数値なので
そりゃ異常コード出ますよね。
試運転時もチョコチョコ警告灯は点灯。
その度に数値(90kpa⇔23kpa)を確認。
プレッシャーセンサー系統が悪いのは間違いない。
戻ってからECUからセンサーまでの配線・カプラーをチェックし
電圧・抵抗値を確認し問題なし。
普通に考えればプレッシャーセンサーの故障でしょう。
ただなぜ?この故障が百万円弱するのか?
もしかしてハイエース特有の故障で他に原因が有るのか?
今まで多くのハイエースを整備してきたディーラーじゃないと
知らない故障事例なのか?
私の診断方法が間違っているのか?
百万円弱の見積内訳には
吸気系・インジェクター全数・EGR系・排気系の
主要部品を総交換する内容。
センサーの異常数値から推測し、
もしかしてアノ症状が原因の可能性が考えられる。
スカイアクティブ-ディーゼルで問題がある
『インテーク系のカーボン蓄積による詰まり』
http://minato-motors.com/blog/?p=9900
このハイエースはクリーンディーゼルほど
EGRを大量に還元してはいないが、
吸気系が詰まる可能性は十分にあるエンジン。
そして私は部品交換をせずに除去のみで
エンジン性能を復活させようと研究中。
オーナー様に説明し了承を得て、
今後の為にもインテーク系、特にEGRバルブを点検しました。
念のためにね。
一番心配していた電子制御EGRバルブ。
一見カーボンが酷く、詰まってそうに見えますよね。
でも肝心のバルブ部に詰まりや蓄積は無く、
このディーゼルエンジンであれば許容範囲。
良くはないが十分吸気が流れるスペースはある。
分解前のアクティブテストでも
強制開閉出来ましたし。
ちょうど平行して作業していたのが、
マツダ スカイアクティブ-DのDSC。
余ったドライアイスペレットで
ドライアイス洗浄し、バルブのカーボンを除去しました。
EGRバルブ ハウジングケースの形状が
根元で太くなっているので、
実際のバルブ部には
蓄積は少なかったようですね。
吸気シャッターバルブや
水冷EGRクーラーも詰まりは無し。
ですがEGRバルブ~シリンダヘッドを繋ぐ
インテークマニホールドはさすがに蓄積度は高かく、
そしてシリンダヘッドの吸気ポートやバルブも
恐らくカーボンの蓄積は多いと思います。
ですが
キャブオーバーのエンジン配置ではDSC作業をすると、
室内が吹き飛んだカーボンで汚してしまうので
今回はDSCを断念しました。
ボンネットタイプのエンジン配置なら
マスキング処置でDSCは出来るのですけど・・・。
インテークの部品を組み立てて、
プレッシャーセンサーも新品交換。
平行してリフレッシュプランの各部点検。
30万キロ走行を目指した整備プランの制作と見積り。
試運転をしながらセンサーの数値を確認。
警告灯の点灯せず、数値も正常値で安定していますね。
お預かり期間は多めに頂いているので、
エンジンの経過を観察しながら
本命のリフレッシュプランに移行します。
次回ブログはハイエースの
リフレッシュプランの内容を紹介しますね~。
Happy Car Life!!