見た目では問題なさそうですが。 シーリング機能とスプリング機能。
トヨタ クラウンエステート JZS175W
H12 走行距離99000km
リアブレーキから時々音がしていて
最近酷くなってきたので見て欲しいと
依頼されました。
音の発生源は右リアブレーキから。
タイヤを外して確認すると
ブレーキパッドが片側だけ残量が無くなっていました。
対向ピストン型ブレーキキャリパーで
このようになる原因は
主にピストンシールの劣化にあると思います。
新車から14年間経過しても
ブレーキフルードの漏れはナシ。
もちろんブーツ等の破損もありません。
オイルシーリング性能は
充分に機能しているのですが
ピストンシールの働きは
それだけではないのですよね。
見た目は問題ないが、機能的には低下しているので
ブレーキキャリパーのオーバーホールを行いますね。
最近、この作業が非常に多いんです~。
車両保持年数が長くなっているのでしょうね。
ブレーキキャリパー内にあるピストンは
フットペダルなどから発生した油圧で押し出されます。
逆にペダルを放してブレーキを緩めた時に
ピストンは元に戻ろうとするのですが
どの力が作用して戻ろうとするのか、ご存知ですか?
このような輪ゴムみたいな物のゴム弾性で
ほんの少しだけ戻る方向に動いているのです。
(ドラムブレーキのスプリングと同じ働き)
ピストンシールと呼ばれるこのゴムは
オイル漏れを防ぐ機能の他に
ピストンを少しだけ戻す機能も兼ねてます。
http://www.seiken.com/jouhou/06brake/manual/5-2.html
ローターとの適度な隙間を作り
ブレーキパッドが引きずらないようにしているのですね。
今回は右リアのみの不具合ですが
リア左右はもちろん、フロント側もオーバーホール暦が無い為
4輪全てオーバーホールしますね。
車検の時に確認するのが
ブレーキパッドの残量。
(あと何ミリあって、どれぐらい使えるか?なと)
(年間走行距離からも交換の可否を判断しています。)
その時2枚あるブレーキパッドの内外側の
減り具合の確認を。
多少の誤差はよいですが
目視状態で、または測定してみて
大きく差が有る場合は要注意。
ブレーキキャリパーが持つ本来の性能が
低下している可能性がありますよ。
フロントブレーキはフローティングタイプ。(浮遊型)
スライドピンのスムーズな動き も重要。
ダストブーツも交換し
スライドピンのグリスも新しく入れ替えて
滑らかな動きになりました。
ブレーキパッド内外側の磨耗差は
制動力にはそんなに影響は無く
車検には合格すると思います。
またゴム質の向上のせいか
フルード漏れも昔に比べて非常に少なくなりました。
だから余計に交換する機会が
無いのが現状ではないでしょうか。
(安さを売りにした車検で漏れていなければ、交換をススメられる事はないでしょう。)
磨耗差が酷くなると固着してしまい
ブレーキパッドの早期磨耗
ブレーキローターへの摩擦熱による歪み
も進行してきます。
すると部品の寿命が縮み
余計な出費が増えますよね。
安全と経済性を考えると
コレも定期的な交換を。
長めにみても15年 or 10万キロが一つの区切りではないでしょうか。
予算的に問題なければ、検討しても良いと思いますよ~。