よくある故障診断の様子。 こんな風に調べているんですよ~。
エンジンチャックランプ (エンジン警告灯)が点灯し
オーバーヒートしたニッサン キューブ Z10
レッカー車で運ばれ、入庫しました。
チャックランプが点灯し
エンジンが始動困難に。
冷却水がエンジンルームの下から漏れているので
オーバーヒートではないか?
とロードサービスの方に言われたそうです。
エンジールームを開けると
ラジエターリザーバータンクは空っぽ。
恐らくオーバーヒートにより吹き返したのでしょうね。
それではオーバーヒートした原因を診ていきますね。
冷却系等のリークテスト
ラジエターキャップにリークテスターを接続し
冷却ラインを加圧していきます。
漏れている箇所があればゲージの圧が下がり
LLCが吹き出てくるのですが
圧も下がらず、漏れも無し。
となるとラジエターファンの不良かな~?
警告灯も消えないので
スキャンツール(G-SCAN)を接続し
ダイアグコードを読み取ると
オーバーヒートになったのは間違いないようです。
メーターの水温計は正常値
しばらくするとラジエターファンも回りだし
こちらも問題なさそう。
なぜこれでオーバーヒートしたのかな?
漏れはナシ。
水温計も正常。
ファンも回る・・・。
LLCを補充して エア抜き&暖機中。
その間、スキャンツールのデータモニタで
ECUに入力される数値を見ていると・・・。
ハッとして
スグにエンジンを止めました。
ECUに入力される水温センサーの数値が 92℃
運転席のメーターの水温計は正常値(おそらく80℃前後?)。
わずかな数値のズレですが
冷却ファンも回転しているのに
データモニタ側の数値だけグングン上昇。 (メーター側はそのまま)
そうなると思い当たる所はアソコでしょう。
ラジエターファンが回るほど
高温を示しているのに
ラジエターのアッパーホースを触ると
生暖かい程度。
ロア側のホースを触ると
アツアツの高温状態。
サーモスタッドの不良ですね。
青矢印がアッパーホース。
赤矢印がロアーホース。
黄色矢印がサーモスタッドの位置。
サーモスタッドが規定温度(82度)
でフルオープンせずに
エンジン側のLLCのみが上昇。
ラジエター側への循環が出来ずに
オーバーヒートしたのでしょう。
その後 サーモスタッドを交換し
エア抜き と 試運転をして作業は完了。
調べる順番は多少前後しますが
だいたいこんな感じでしょう。
オーバーヒートによるエンジン損傷や
ガスケット抜けが無かったのが救いですよね。
このキューブの場合は
メーターの水温計用センサーと
ECU入力用のセンサーは別々に有ります。
ECUと冷却ファンには水温センサー。
メーターの温度表示用にはサーマルトランスミッター。
最新の車両だと統合している場合も
あるかも知れませんね。(また逆に複数以上ある場合も)
結果を見れば
データモニタの数値と
メーター内の水温計は どちらも正常。
サーモスタッド不良による
冷却ライン内の温度差が現れただけか?
センシングしている場所は
どちらもシリンダヘッドなのにね。
どちらかのセンサー特性が
ややズレている可能性もあるが
もうスグ乗り換え予定なのでこのままで行く事に。
今回は比較的簡単な オーバーヒートの故障診断。
こんな手順で作業しています~。
またまたトラックの架装作業に掛かっています。
キャビンがデカイので
屋根だけ先に塗装中。
トラックが入ると狭い工場が
さらに狭くなりますね。
今月末の納車を予定していますが
ん~間に合うかな・・・? 無理かも。
それ以外にも依頼を受けている作業が多すぎて
ブログの記事アップが遅れています。 (時間が無い~!)
また作業依頼の受付も制限していますので
ご迷惑をお掛けしますが
ご理解の程宜しくお願いします。