東京都からハイエース KZH132キャンピング仕様 リフレッシュプラン前編。ブレーキ・サスペンション整備はトータル整備に意味がある。
東京都から依頼をいただいたのはトヨタ ハイエースKZH132 ディーゼル 2WD キャンピング仕様車 走行距離21万キロ
リフレッシュプランのご依頼です。
リフレッシュプランは10年10万キロ以上走行した愛車を、もう一度新車時のコンディションに近づける為の整備メニューになります。
個別にバラバラに無計画に整備をしても、過走行車はいつまで経ってもコンディションは改善しません。
ある程度まとめて整備した方が、無駄な重複する工賃が節約出来る。
結果的には満足度が上がり、コンディションも大幅に回復しますよ~と弊社ではアナウンスしています。
4年前に個人売買で中古車購入。
室内はキャンピング仕様に改造しており、今後も長く使用できるようにリフレッシュプランを相談されました。
100系ハイエースワゴン ハイルーフロングの2WDディーゼル
キャンピング仕様で室内を改造していても問題ないのですが、1点だけ確認してほしい箇所があります。
荷室にリアタイヤハウスの出っ張りがあると思いますが、その出っ張りの間にショックアブソーバーを外すためのサービスホールがあります。
改造している床を外してサービスホールが見えなければ、ショックアブソーバーが外せませんので注意が必要です。
(100系バンや200系はこの確認は不要です。)
予約時にサービスホールの有無を確認し、数か月後に入庫してもらいました。
問診をして不具合や不満箇所をお聞きしてお預かりします。
試運転をして状態をチェックし、事前ホイールアライメント測定を実施。
盛大に乱れたホイールアライメント数値。
東京から大阪府堺市までの自走入庫は大変だったのでは?
この数値を見ただけで、真っ直ぐ走らせずらい車両だと想像できます。
サスペンションやブレーキ・エンジン・ATなどをリフレッシュ整備し、復路は全然違う愛車になるように整備提案をさせていただきました。。
エンジンルームをチェックすると冷却水のリザーバータンクは、LLCがほぼゼロ。
どこかで冷却水漏れがありそうですが、オーバーヒートは今のところ大丈夫。
どこから漏れているのか?調べましょう。
リフトアップして車両点検。
ある程度部品も分解します。
整備プランの見積を制作し、予算に合わせた整備を提案しました。
OKをいただけたので作業を始めますね。
点検時にガタがあったフロントハブ。
Frハブベアリングは整備歴有と聞いていましたが、おそらくプリロード調整だけだと思います。(グリスがかなり古いので、交換はしていないはず)
ハブを分解してO/Hしますね。
古いハブベアリングは打ち抜いて、ハブケース内を洗浄。
新しいハブベアリングを圧入し、グリスとオイルシールも交換しました。
FrアッパーアームASSY交換。
アームのアッパーボールジョイントを上下に揺すると、カタカタとガタ有。
ガタが有ると据え切りしたり、段差を乗り越えると異音がします。
ボールジョイントは非分解構造なので、ブッシュもまとめてアームASSY交換。
ロアアームはブッシュをSSTで打ち替えて、テンションロッドのブッシュも交換します。
・ナックルのロアボールジョイント
・スタビライザーのリンクブッシュ
・ショックアブソーバー
全て寿命が来ているので交換しました。
ちなみに古いショックアブソーバーを手で押し込もうとしても動かない。
車重が掛かれば摺動するが、人力では無理。
完全に内部でピストンが破損していますね。
ステアリングのラックエンド。
ハイエースでこれぐらいの走行距離なら、大体ガタが出ていますね。
こちらもボールジョイント摩耗によるガタで、操作時の異音やステアリングのセンターが決まらなくなります。
試運転ではブレーキの効きが悪いなぁ~と感じました。
コントロールがしづらく、ペダルの踏み込みも深い。
Frブレーキをオーバーホ-ルしますね。
ハブからディスクローターを分解し、ディスクローター研磨機で再生。
仕上げに耐熱塗料500℃で塗装しました。
ディスクローター研磨のススメ。
http://minato-motors.com/blog/?p=14924
新品に交換しなくても研磨で再生すれば予算が抑えられる。
また10万キロ使用し、浮いた予算は別の箇所の整備に使いましょう。
キャリパーは分解して完全洗浄し、シールKITでリフレッシュ。
ブレーキパッドはWAKO’S高性能ブレーキパッドグリスBPRで組付け。
10年に一度はブレーキO/Hでリフレッシュすると、新車時と同じ性能に戻ります。 逆に中途半端な整備をすると異音やフィーリング低下が残るんですよね。
ハブにディスクローターを装着し、ナックルにプリロード組付けします。
そこからディスクローターの振れチェック。
基準値を超えている場合は振れが最小になるように組み替えます。
振れが大きいと高速ブレーキング時にジャダーが出ますよ~。
リア アクスルシャフトのベアリング交換。(ABS無し)
SSTと油圧プレスでシャフトを打ち抜いて、ベアリングやオイルシールを交換します。
シャフトベアリングを引き抜くには専用工具SSTが必要。
無理やり作業をするとシャフト自体を傷付けてしなうので注意が必要ですよ。
リアサスペンションアームのブッシュ全数交換。
ワゴン車の5リンク式サスペンションアームに圧入しているブッシュは全て交換しますね。
スプリングインシュレーターも同時交換しました。
アームブッシュを交換するにもSSTが必要。
そのSSTも自社で製作しておりますので、簡単にアームを傷付けることなく交換が出来るのです。
またブッシュの角度や方向性がありますので、印を付けてから交換していますよ~。
リアスタビライザーのブッシュも摩耗でガタガタ。
これだと高速走行時のレーンチェンジはフラついて安定感がないでしょう。
全数ブッシュを交換しました。
これでスタビがリニアに仕事が出来ますね。
リアドラムブレーキもオーバーホ-ル。
ライニングシューを交換してブレーキシリンダもカップKIT交換。
ドラムは研磨にて再生しました。
ブレーキホースを交換して、ブレーキフルード交換&エア抜き作業。
リアドラムはクリアランス調整をして、4輪でキュッと止まるコントロールがしやすいブレーキに戻りました。
整備リフトからアライメントリフトに移動して、リアショックアブソーバーを交換します。
100系ワゴン車は室内からアクセスして、ショックアブソーバーの固定ナットを外します。 キャンピング仕様にしていると内装の取付状態次第ではショックアブソーバー交換が出来ない場合があるんですよね。
リアもフロント同様に内部のピストンは破損し、ショックアブソーバーの性能は発揮出来ていない状態でした。
サスペンションアームのブッシュを1G締付してから、軽く試運転。
ブッシュやインシュレーターなどのゴム部品を少し走行して馴染ませます。
もう一度リフトアップして車高調整をします。
ハイエースのフロント車高は調整機構があり、基準値と実測値を考慮しながら高さを調整します。
入庫時の高さだとフロント車高はかなり高い。
新車時から車高を調整していないなら、リアの車高が下がっていたのでしょう。
入庫時はお尻が下がった状態だったのです。
それを新車時のように少し前傾にするには、フロントの数値を割り出して下げる必要があります。
地面水平ライン(赤い糸)を設定して、Frの基準点からの高さを調整しました。また左右のバランスも整えます。
車高調整が出来れば、ホイールアライメント調整。
・ハンター社最新鋭ホイールアライメントテスターWA470ホークアイ
・国産最高峰イヤサカ社ビシャモンマルチアライメントリフト
10万キロ以上走行した車両にホイールアライメント調整だけしても意味が無い。
サスペンション整備と同時に実施すると効果絶大。
数分で測定完了。
組立てスグの状態だと、こんな感じでバラバラな数値。
またサスペンション整備は部品を交換しただけでも、本来のサスペンション性能は回復しない。
ある程度走行した車両にサスペンション整備後には必ずホイールアライメント調整。 これをセットで行うのは意味があるんですよね。
車体下に潜り込んで、ホイールアライメント調整。
数値を確認しながら調整作業をしていきます。
フロントはほぼ完璧な数値になりました。
リアはリジットで調整不可ですが、かなりキレイに整いましたね。
これでブレーキング・高速安定性・乗り心地はほぼ新車同様に戻ったと思います。
次回ブログでもハイエースKDH132のリフレッシュプランを紹介します。
エンジン・ATなどを整備しますのでお楽しみに!!
それではHAPPY CAR LIFE!!