自動車整備業=サービス業。 ミス後の対応次第では。
半月前にATF交換で入庫していただいた
MPV LY3P 4WD
66000km 走行距離
再入庫となりました。
前回のATF交換作業中に気になる箇所を発見したので
清算時にオーナー様にお伝えしました。
http://minato-motors.com/blog/blog-entry-380.html
数日後にメールがありまして、ミナト自動車の方で
その場所の修理をして欲しいと相談が・・・。
少しお聞きすると
(原因を作っただろう?整備工場)に
事情を説明したが、あまり良い返答ではなかったようで。
数ヶ月前にその整備工場で
前後ブレーキパッド、ローターを交換したそうです・・・。
このままでは他の場所までダメになるので
作業日程を調整して、再入庫となりました。
目視の状態からオカシイ
フロント左 ブレーキキャリパーから
見て行きますね。
キャリパーをホルダーに固定している
ボルトを外して 確認してみると
予想通り の結果。
前回キャリパーを外して組み立てた時に
ブーツ部のジャバラを
きちんと格納しなかった為
パッドとの間に挟まって
千切れたのでしょう。
ピストンの内径に
ブーツの破片が1つずつあるので
いつの作業でこうなったかは
容易に想像できますよね。
見過ごすほど小さな損傷ではないですから。
もともと塩害の錆が多い車両ので
グズグズに錆びる前に
キャリパーのFr、Rオーバーホールをする事になりました。
ピストンやシリンダへの腐食はないので
再利用は可能ですね。
ブーツをハメる溝への錆は
今回は出来るだけ落とす事に。
結構、腐食が進行してます。
今後も塩害にあう環境で使用するそうなので
ほどほどにサビを落としますね。
シールキットを新調して
洗浄 & 組み立て。
ホルダーのスライドピンブーツも交換し
新しいグリスを入れ直し。
私は
ブレーキパッドの耳(スライド部 )
ここへのグリス使用は否定派です。
時間が経てば(鳴き止めグリス)が固くなり
ダストも溜まってスライド不良になるでしょうから。
ココにグリスを塗っても 一時的な物。
パッドに付いた余分なグリスも
拭き取りますね。
ちなみにバックシムには
少量は塗った方がイイですよ。
車体の下からみた目視では
左側のみの破損と思っていましたが
見事に右側も同じようになっていました。
いかりや長介でなくとも
『 ダメダコリャ~。 』と言いますね。 確実に。
左右とも破損しているとは。 (見習いが作業したの?)
キャリパーシールキット交換は左右セットが基本なので
破損していなくてもオーバーホールするつもりですけどね~。
リア側を運良く?破損していなかったですが
錆の腐食も進行しているので
こちらも左右オーバーホールしますね。
フルード交換 と エア抜き作業。
試運転をして作業完了です。
生業(なりわい)で自動車のブレーキ関係を作業するのは
整備士免許(国家資格)が必要です。 事故に直結する可能性が高いので・・・。
でも今回の事例は
(技術的な事だけ)では無いと思います。
前回作業した者の
ミス?なのか 見落としなのか?は 分かりませんが
2つの過ち があるのではと。
1つめは
単純に作業ミスなら (技術不足、確認不足)
or
もし作業前から破損していたなら (オーナー様に現状の報告 と 交換の推奨)
(整備士的) と (サービス業的) 両方からみてもダメだと思います。
もう一つの過ちは
『こんな感じでオカシイのですけど・・・』 とお客様から指摘されたら
過失を認めるかどうかは別として
来店して頂いて、現状確認ぐらいはするべきだと思います。
その結果、自社の過失ではなければ
事情を説明すれば良いですし、
有れば速やかにリカバリーすれば良いと思います。
人間が作業しているなら、
ミスをゼロには出来ないですから。 (限りなくゼロにする努力は必要ですけど)
今回はオーナー様は
『どうやら依頼した工場を間違えたようです。 イイ授業料になりました。』
と落胆されていました。
私もミスはすると思います。 (人がする以上 完璧は無いと思っていますから)
でもこの対応は有り得ないと
同業者ながら落胆しましたね・・・・。