GRS180系クラウン リフレッシュプラン その2。 ブレーキ整備とホイールアライメント調整。 グリスアップも1G締付も地味な作業を確実に。
前回ブログで紹介したクラウンGRS180の
リフレッシュプランの続きです。
http://minato-motors.com/blog/?p=24211
クラウン GRS180 4GR-FSE直噴エンジン
走行距離95000km
前回ブログで整備作業をした内容。
・問診・試運転・車両点検
・点検結果からの整備プランの提案
・ショックアブソーバー交換
・各サスペンションブッシュ交換
・ハブB/G E/Gマウント交換
それに続いてブレーキ関係をO/Hしていきますね。
キャリパーを外してピストンを抜き出します。
ピストンを抜き出すと、
グリスと錆が固着していますね。
キャリパーをO/Hせずにパッド交換のみで、
このままキャリパーにピストンを押し込むとどうなるか?
高確率でシールとピストンが引っ掛かり、
スライド出来ずに異音や片効き・引き摺りの原因に。
パーツクリーナーとウエスで固着したグリスを除去しましたが、
ゴビり付いた汚れはそれでも取れないのです。
こんな時は超微粒子のコンパウンドで磨き上げ、
ピカピカにして復活させます。
サンドペーパー等で擦るとメッキにダメージを受けますので、
優しくコンパウンドで磨くのが正解。
ちなみに深い傷等があれば、
これは使用不可・新品交換になりますよ。
手で触っても汚れが付かないほど、
キャリパーを徹底洗浄します。
ピストンシールやダストブーツを装着する時は、
グリスまみれで作業をします。
その時にキャリパーが汚れていると、
ビストンに異物が付着するので洗浄は非常に重要なのです。
組付けた時にはキャリパーを出し入れして、
シールを馴染ませます。
最初は固いのですが数回すると馴染むので、
大きなストロークで出し入れして(馴染ませ作業)を実施。
このようにO/Hをすると
ピストンは指で押すだけで入っていきます。
O/H前は工具で押し込まないといけないぐらい
ピストンの動きが渋いのですよ。
。
キャリパーとパッドを支えるホルダー側もリフレッシュ。
通称(ブレーキパッドの耳)を保持する部分は、
金属製の金具があります。
ここにグリスを塗る整備工場が多いですが、
私はここを真鍮ブラシでキレイにするだけです。
グリスにブレーキダストが混じると、
粘度が固くなるんですよね~。
(またグリス自体も熱劣化で硬化しますし。)
パッドがスムーズにスライド出来ないと、
微妙なクリアランス調整が出来なくなり、
最悪固着するので私は塗らない派ですね。
キャリパーのスライドピンとブーツも抜き取り、
ホール内部に残る古いグリスを洗い流します。
古いグリスをそのままにしてグリスアップだけにすると、
スライドピンの動きが渋くなり本来の性能が発揮できない。
横着せずにブーツを外して、
ブラシとパーツクリーナーでゴシゴシ洗浄。
ピンのブッシュも交換して、
ブレーキグリスをピンに塗ります。
グリスを薄く延ばしてピンをホールに差し込み、
ホール内部にもグリスアップ&ブーツ交換。
ここで使うグリスは低粘度のブレーキグリス。
あとで登場するWAKO’Sの高粘度グリスを使うと、
ピンのスライドに弊害が出るので要注意。
適材適所にグリスを使い分けます。
またピンへのグリス塗り過ぎによる、
ホール内にグリス過充填もNG。
なんでもホドホドが良いのです。
ブレーキパッドも交換しますね。
まずはパッド裏にあるバックシムを外します。
シムとシムの間には本来グリスが充填されていますが、
画像を見るとほぼグリスが無いですよね。
擦れ合うシムの間にあるグリスが熱劣化で硬化し、
擦れている間に粉々になって無くなる。
恐らく長い間グリスアップを未実施だったか?
耐久性の低いグリスを使用していたか?のどちらかかな。
シムに付着する硬化した旧グリスを洗浄し、
高性能高粘度ブレーキパッドグリスを使用します。
かなり粘度が高いパッドグリス(WAKO’S BPR)を
シムとパッドの間に薄く適量シムに塗りますね。
ハミ出ない程度で隙間が無いように、
シム全面に指で美しく塗るのですよ~。
私がブレーキパッドにグリスを塗るのはここのみ。
(それ以外は一切グリスは塗りません。)
ディスクローターを研磨機にセットして、
両面を薄く少ない回数で削ります。
ローター研磨ってガッツリ削っているイメージがありますが、
実際は薄っすら削るのみ。
なるべく少ない回数で確実に均一にしてあげれば良いので、
無暗に削り過ぎても良くないのですよ。
波打ってレコード盤状になったローター面を、
キレイに研磨していきますね。
前後4枚 研磨完了。
最後に耐熱温度600℃の耐熱塗装でフィニッシュ。
新品同様のディスクローターになりましたね。
(むしろ中古ディスク研磨の方が新品よりイイんですけど。)
ここまで実施して車体に組付けます。
ハブにローターを組付けてダイヤルゲージで振れ確認。
ブレーキフルードを交換してエア抜き作業を実施。
キャリパーをO/Hしてディスクローターを研磨し、
適材適所のグリスでパッドも交換する。
余分な意味のない箇所にはグリスは塗らない。
そうすれば異音や振動のないブレーキングが
出来る車両に戻りますよ~。
宜しければ新車のブレーキパッドを見てください。
不必要な箇所にグリスは塗っていないはずです。
そして音も振動もしないはず。(ただし国産車に限る)
逆に言えばディスクローター研磨もせず、
キャリパーのO/Hも実施せずにパッドだけ交換すれば、
異音や片効きなどが発生する確率は高いと思います。
前回ブログで実施したサスペンション整備と、
ブレーキ整備が完了したのでタイヤ取り付け。
リフトダウンしアライメントリフトに移動します。
ブッシュやショックを交換したので、
必ず実施するのが1G締付作業。
4輪が平行な路面に着地した状態で、
仮止めしたブッシュボルトを一度緩めます。
ブッシュの不要なテンションを開放して、
もう一度締め付けを行います。
これが1G締付でサスペンション整備の必須作業。
重要なのは4輪が等しく車重が掛かっている事。
前輪だけ、後輪だけと車体を斜めに持ち上げて、
リフトアップしても意味がない。
走行時と同じように4輪均等に車重を掛けるには、
アライメントリフトでないとなかなか難しいでしょうね。
そこから試運転をしてショック・ブッシュを馴染ませます。
そしてホイールアライメント調整を行いますね。
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高精度 4センサー X 軽量樹脂クランプ式4ターゲット
イヤサカ社ビシャモン マルチアライメントリフト ロング
GRSクラウンはFrとRのトウしか純正調整機構がありません。
(基本的にはFrキャンバーやキャスターは調整不可です。)
ですが弊社ではクレイドル調整を行い、
本来調整が出来ない(Frキャンバー・キャスター)も、
出来るだけ左右のバランスを整えて調整しています。
今回もほぼほぼ完璧な数値になりましたね。
(左右差10分以内に入れば上出来でしょう)
こんな感じで進行するリフレッシュプラン。
まだまだ続きますよ~。
次回ブログではDSCとATF交換等を紹介しますね。
それではHAPPY CAR LIFE!!