大分県からアテンザGG3S リフレッシュプラン 後編。 ラジエター交換・ATF圧送式交換・ホイールアライメント調整。
前回ブログから引き続いてご紹介します。
http://minato-motors.com/blog/?p=20876
マツダ アテンザ GG3S 走行距離28万キロ
リフレッシュプランの後編です。
サスペンションやブレーキ・ハブ系などの足回りは、
前回ブログで紹介しました。
ラジエターやエンジン・ATミッション関係も
平行して整備していきますね。
現在ラジエターからの漏れはないのですが、
地元ディーラーさんからは交換を推奨されていたようです。
走行距離や年式を考慮し、
LLC漏れによる被害が発生した場合を想定すると
予防整備としては要交換だと思います。
マツダ車はラジエター回りの部品類を
樹脂製サポートフレームにオールインワンで
組み付けしているので分解は少し手間が掛かりますね。
また塩害の錆が多くボルト・ナットを慎重に緩めていきます。
細いボルト1本でも折れると場所によっては、
リカバリーに時間が掛かるんですよ~。
ラジエターを引き抜いて、
周辺ホース類やサーモスタットも同時交換。
ここまで分解するとウォーターポンプまでスグそこなので、
アクセスしやすい今のうちに交換しておきました。
アクセスしやすい分は工賃が安くなります。
暖機後に聞こえていたエンジンからの異音。
コーっと低く響いた音源は、
ファンベルト・アイドラプーリーからでした。
(ベアリングの磨耗劣化ですね。)
アイドリング安定化にISCVを清掃します。
WAKO’S専用クリーナーで汚れを除去して、
ガスケットも交換しました。
冷却水LLCも圧送式で全量交換。
エンジン・ラジエター・ヒーター内にあるLLCを、
ムラタトレーディング製のラジエターリフレッシャーで、
圧送式交換を行います。
エンジンを掛けながらアッパーホースからLLCを圧送し、
グルッと1週回って回収します。
回収したLLCを2つの高密度フィルターでろ過して、
またエンジンに戻します。
冷却経路は多岐に渡るので、
数分間の圧送式では全交換は出来ません。
サーモスタットが開くまでと、
その後15分ほどは作動しているので、
トータルで30分以上は圧送し続けています。
最後に劣化している防錆剤や消泡剤等を強化して、
エア抜き作業を行いました。
ラジエターキャップも交換します。
ATFの交換も行いますね。
ATFの汚れが結構酷いので、
オイルパンを外して磁石の鉄粉を除去。
通常はオイルパンは洗浄して再利用するのですが、
なぜかマツダのATオイルパンは安価なので
新品に交換しています。
パンの洗浄清掃料分の工賃が無くなるので、
部品代を差し引いてもこの方が安いのです。
ATFストレーナーも交換して、
オイルパンに液体ガスケットを塗ってから
清掃したミッション側に組付けます。
ATFを補充して暖機をし、
ATFチェンジャー(トルコン太郎)に接続。
今回の使用するATFはアイシン(AFW+)
まずは規定容量分をイッキに入れ替えて、
プレ洗浄を行いますね。
やっとここまでキレイになりました。
・奥に見えるのが新油モニター
・中央が廃油を入れたビーカー
・手前右のクリーナーモニターがプレ洗浄後のATF。
そこそこキレイにはなりましたが、
新油と比べるとマダマダですね。
このまま15分間アイドリングで待機して、
もう一度圧送式で全量交換します。
ここまでキレイになれば次回交換推奨距離は4万キロ。
その時はオイルパンを洗浄する必要はなく、
圧送式交換のみでまたキレイなりますよ。
簡単に言えばオイルパンを外さないといけない程、
汚れを溜めないのが理想ですね。
ATFは適切な方法で定期的に交換しましょう。
最後にフルードレベル調整を行いました。
全ての部品を組み立てて、
整備リフトからアライメントリフトに移動します。
そこで行うのが(1G締付)
タイヤに車重を掛けた状態でサスペンションアームブッシュの、
ボルトを一度開放してもう一度ガッチリ締付ます。
ブッシュに掛かる無駄なテンションをフリーにして、
適切な角度でアームを固定するのです。
フロント・リアともに多くの箇所を1G締付をするので、
忘れないように黄色のテープで目印を。
特にアッパーアームのボルトを締め付けするのは、
作業スペースが狭いので結構大変ですね。
締付完了後には赤いペンでマーキング。
納車まで何度も締付マークの確認をし続けています。
(トータルで軽く100箇所以上は緩めているので。)
(アレ??締めたっけ??が無いように)
いつもより長めに試運転をして、
サスペンションを馴染ませます。
そこからホイールアライメントを調整していきますね。
ハンター社 ホークアイWA470
最新鋭ホイールアライメントテスター
アライメントリフトを規定の高さでガッチリロックして、
水平レベルを確保してから測定します。
高精度に測定演算された数値はこんな感じ。
まだ組み付けただけの状態ですから、
バラバラに乱れているのは想定内。
ここからゴニョゴニョと調整作業をしました。
リア・フロント共に純正の調整箇所が少なく、
そこそこ時間は掛かりましたが・・・。
最終的にはこんな感じに仕上げてみました。
左右差も少なくなり、非常に良い状態になりましたね。
SAI数値のバーが基準値外を示す赤色になっていますが、
これ以上はどうしようもないので、
入力されている基準値が怪しいような気がします。
(おそらくスプリングを交換したからでしょう)
SAIが左右差ゼロなら全く支障はなく問題ないと思います。
このあと試運転を繰り返し、
チェックや微調整を重ねて数日後に納車となりました。
納車時には作業時の画像をお見せして、
・どのような整備をしたのか?
・なにがダメだったのか?
・今回以外にも気になる整備箇所があるのか?
・今後の課題整備
などもご説明させていただいています。
請求書1枚 ピラっと渡されても、
どんな作業をしたのか?よく分んないですよね~。
画像を交えて説明した方がユーザーさんも理解できるし、
こちらも説明がしやすいのです。
また画像が欲しい方にはDVDに移してお渡ししています。
前編・後編の2部構成でご紹介した、
アテンザGG3Sのリフレッシュプラン。
サスペンションをリフレッシュすると
GG3S本来の乗り心地・操作性が元に戻りましたね。
非常に走りやすい車両になったのは、
試運転を繰り返すと十分体感できました。
アテンザGG3Sで乗り心地が悪いと思っているなら、
(間違いなくサスペンションの整備不足)
今回のリフレッシュプランは
そう思わせる整備だったと思います。
よくお問い合わせで
(日帰りなら入庫出来るのでリフレッシュプランの見積を希望)
(プラン見積を見てから考えます。予算が合えばまた後日)
このような問い合わせを稀にいただきますが、
基本的には『それ無理ですよ~』とお答えしています。
リフレッシュプランは極論をいうと
(その愛車に今いくらの整備費用が掛けれるか?)
それに尽きます。
例えると築30年の家をリフォームするのなら、
まずは予算を考えますよね。
300万円のリフォームなのか?
1000万円のリフォームなのか?
予算を聞いた工務店が現状の痛み具合とユーザーの希望から、
最適なプランイングをすると思います。
http://minato-motors.com/blog/?p=12375
入庫までに軽い問診をし予算と不満点をお聞きします。
そこから前金をいただいて部品を先行発注。
必ず実施する部品は事前に取寄せないと、
このアテンザ規模の整備は難しいでしょう。
弊社としても限られたリフトキャパを考慮して、
スケジュール管理も慎重にする必要があります。
ですが(まず予算を決めろ!!)と言われても、
普通の方は(どれくらい掛かるのか?)正直分らないですよね。
宜しければ過去のリフレッシュ事例も見てください。(出来るだけ最新を)
http://minato-motors.com/blog/?cat=12
(○○年○○月の△△△の整備ブログは総額おいくらですか?)
と質問してもらえるとお答え出来ます。
(これぐらいの整備なら、それぐらい掛かるのね!)と、
類似車種をブログから検索して貰えれば、
ある程度は予算の参考になると思いますので。
(そんなに掛かるの?予想以上高すぎる!!)と思うなら、
ご縁が無かったと思うしかないですし・・・。
(なんだ!そんなモンか。 想定内の額だな。)
と思われるなら、ぜひ不明点などをどんどん質問してください。
リフレッシュプランは入庫してから始まるのではなく、
問い合わせの段階から始まっているのだと。
何百台もリフレッシュプランをし続けて辿りついたのは、
こんな感じのご案内が(一番親切なのでは)と思っています。
HAPPY CAR LIFE!!