兵庫県からトヨタ シエンタ NCP81G リフレッシュプラン。 10年に一度の大規模整備でリフレッシュ。
兵庫県 西宮市からお越し頂いたのは
トヨタ シエンタ NCP81G
走行距離105000km
提案型整備 リフレッシュプランのご依頼です。
実はこのシエンタのご入庫は2回目で
1ヶ月ほど前にCVTF完全圧送式交換でご利用頂きました。
その後すぐにリフレッシュプランをご相談され、
今回の再入庫となったのです。
・大きな故障箇所はないのですが
これから8万キロ以上は良い状態で使用したい。
・乗り心地が悪く、ブッシュ類の交換を希望。
オーナーさんの希望整備を中心に
整備プランを提案したいと思います。
問診をして試運転をし、
エンジン点検の基本(排気ガステスト)
CO2の量が多く、CO・HCはほぼゼロ。
燃焼状態は良好ですね。
スキャンツールを接続して
ライブデータの確認でも良い数値でした。
エンジン系は結構整備されているようですね。
事前アライメント測定では
こんな感じでバラバラな状態。
・フロントキャンバー・SAIの左右差
・大幅なトゥアウト
リアのスラスト角も修正が必要ですね。
サスペンション系の点検・調整等をしていなければ、
だいたいこのように数値が乱れています。
それがそのまま走行時の乗り心地に反映されるのです。
リフトアップしてエンジンやCVT、
下回りやブレーキ関係も点検します。
点検結果から(弊社がオススメする整備)と
(お客様が希望する整備)を合わせた整備プランを提案。
今回実施する作業と今後の課題として保留する作業を、
ご相談しながら整備内容を決めていきます。
作業の重複度やメリット・デメリットなどは
なかかな一般ユーザーの方には分かりにくい。
その辺りをご説明させて頂いて、
納得が出来る整備を提案するよう心掛けています。
まずはブレーキから始めますね。
キャリパーからピストンを押し出すと、
このようにグリスとダストが混じって付着しています。
幸い指で拭くと取れましたが、
これを放置し続けるとグリスが固着します。
これがシールに引っ掛かり、
キャリパー内で固着し異音発生。
または鉄粉が混じったダストが錆びて
ピストンのメッキが腐食します。
腐食したり固着すると安価なシール交換だけではなく、
キャリパー・ピストンも交換になってしまいます。
そうならないよう10年に一度は分解洗浄し、
シール・ブーツをO/Hしましょう。
数回ピストンを出し入れして、
動きを確認してから車体に組み付けます。
キャリパーブラケット側も洗浄。
スライドピンがスムーズに動くように、
グリスアップとブーツ交換。
ディスクブレーキは研磨機にて再生し、
軽く化粧直しの耐熱塗装(600℃)。
ディスクの厚みが基準値内なら、
ローター研磨で十分再生が可能です。
シムの間にあるグリスが全く無いですね。
長い間放置されていたのでしょう。
バックシムを洗浄して、
WAKO’S BPRを塗ってあげれば、
当分ブレーキはノーメンテですね。
リアブレーキはドラム式。
ライニングシューの残量は十分あるので、
ペーパーを当てて再利用。
ドラムは研磨してキレイにし
数回のブレーキ調整を実施します。
前後のブレーキをここまで整備すれば、
制動力の違いがスグに分かりますよ~。
ドライブシャフトINブーツからグリス漏れ。
長年の使用でグリス粘度が低下し、
ブーツの隙間から漏れてきましたね。
粘度が低下すれば油膜が薄くなり、
磨耗によってベアリングから異音が発生します。
左右のドライブシャフトをオーバーホール、
予防整備を行いました。
カリカリ音がした場合はリビルト品で全交換。
そこまで酷くない場合はO/Hで大丈夫です。
グリスも油脂類ですから使用し劣化すれば、
性能は発揮出来ないのですね。
フロントショックアブソーバーもリフレッシュ。
オール純正品で交換し
再利用したのはスプリングのみ。
アッパーマウント・インシュレーター等は全て交換します。
リアのショックアブソーバーも
フロント同様に全交換しました。
リアサスペンションはトーションビーム式。
H型のアクスルビームの捩れで
車体安定をさせているのですが、
取付部の大きなブッシュが破損すると、
乗り心地は大幅に低下します。
乗車人数が多くなったり、
コーナリングが多い道などを走行すると
不安定な症状が表面化しますね。
位置決めの印をしてから、
SSTでブッシュを抜き取ります。
次はブッシュを痛めないように、
慎重にブッシュの圧入作業。
一部のディーラーさんではアクスルASSYで交換しか
対応が出来ないそうですが、
弊社ではSSTがありますのでブッシュのみの交換が可能です。
このクラスのFrロアアームには
ブッシュとボールジョイントが組み込まれています。
ブッシュ・B/Jのみの単体部品供給は無いので、
ASSYで左右交換しました。
信号待ち時(ブレーキング・Dレンジ)には、
エンジンからの振動が大きく車体に伝わっていました。
一番負荷が掛かるエンジン右側の
液体封入式マウントインシュレーター交換。
前回入庫時にスロットルボディは清掃済みで、
今回の整備でアイドリングからの振動も無くなりました。
アライメントリフトに移動して、
各ブッシュを1G締付します。
ブッシュテンションを開放して、
もう一度締付を行うのです。
こうするとブッシュに掛かる不要な負担がなくなり、
長く良い状態で使用が出来ます。
少し走行してからホイールアライメントを測定し、
調整作業に移行します。
ハンター社 アライメントテスター(ホークアイ WA470)は
最新鋭のアライメントテスター。
固定クランプ式の軽量樹脂ターゲットは、
鉄ホイールでも問題なく装着可能。
アバウトにホイール中心に合わせて取付すれば、
4つの高精度センサーでターゲットの動きを捕捉します。
装着後に前へ20cmほど前進させて、
さらにハンドルを左右に振れば測定が終わります。
ターゲットの動きを4つのセンサーが読み込んで、
アライメント数値を演算します。
大幅にズレていたスラスト角を微調整で整えて、
フロントはサブフレームを移動させクレドル調整。
キャンバー・キャスター・SAI・包括角度等は
左右差を少なくするように調整しました。
赤色になってるフロントトゥは
この後にステアリングセンターも合わせて調整しましたよ~。
高速での安定感も出て、
かなり走りやすくなったと思います。
最後にカーエアコンリフレッシュα。
冷媒ガスを全量回収しリフレッシュします。
真空引きで水分・空気を排出させて、
規定充填量で再チャージしました。
NUTEC NC-200も同時注入し、
コンプレッサーを保護強化。
これでエアコンも当分の間はノーメンテでOKでしょう。
納車時に作業内容を説明し、
今後のメンテナンスアドバイスもさせて頂きました。
3~4年は定期的なエンジンオイル交換と、
2年に一回のブレーキフルード交換ぐらいしか
今後整備する箇所はないと思います。
10万キロ相応の乗り心地・コトコト異音が発生し、
ブレーキングが甘くなり振動も大きい。
まさかコンパクトカーだから10年・10万キロも走行したら、
もうダメだと思っていませんよね?
今の車両は(ある一定の時期に)(ある程度の予算)を
掛けて正しい整備を実施すれば、
まだまだ良い状態で長く使用できますよ~。
ですが作業重複度や関連性を無視して、
バラバラな個別整備をすると
思ったほどの整備効果は挙げれない。
リフレッシュプランのメインテーマは、
『もしこの車両が私の愛車ならどのように整備するか?』
オーナーさんの予算をお聞きして、
最適な整備プランを提案させて頂いています。
リフレッシュプランのご相談・ご依頼は
HPお問い合わせフォームからお待ちしていますね。
http://minato-motors.com/blog/?p=12375
3つの質問もお答えして頂けると
プランへの参考にしますので宜しくお願い致します。
HAPPY CAR LIFE!!