CX-5 クリーンディーゼルエンジン。 インテークに溜まるカーボン除去。 ドライアイス洗浄で再生します。(前編)
三重県からお越し頂きました。
マツダ CX-5 KE2FW
H25年 90000Km走行
スカイアクティブD のインテーク系に溜まるカーボン除去。
DSC(ドライアイス・ショット・カーボンクリーニング)の依頼です。
マツダ 低圧縮型クリーンディーゼルエンジン。
ディーゼル特有のPM(煤)は構造上どうしても発生します。
マフラーのDPFがあるので
外には排出される事は無いのですが、
EGRを積極的・大量に使用するクリーンディーゼルは、
インテーク経路に溜まりやすくパワーダウンの原因に。
(アテンザ・CX-5 作業事例)
http://minato-motors.com/blog/?p=9900
http://minato-motors.com/blog/?p=10130
今回作業するCX-5を試運転しましたが、
普段からスカイアクティブDに乗っていないので、
十分トルクフルな走りだと感じました。
ですがオーナー様のレビューによると
新車時に比べて非力になり燃費も落ち、
DPF再生距離も早くなった・・・そうです。
ダイアグコードも異常はなく、
新車からの変化が気が付かない方なら
スカイアクティブDはこんな感じだと錯覚するでしょうね。
エンジンオイルはメーカー推奨距離より早めに。
オイル交換は地元ディーラーにて。
もちろんO/Eは純正品で。
早速スキャンツールを繋いでライブデータをチェック。
ある5つの数値に注目してみました。
今までDSC作業したスカイアクティブDと同様に、
同じ傾向の数値を確認。
恐らくこの車両も
カーボンが大量に蓄積してそうですね。
(DSC後にはこの数値が大きく変化するでしょう。)
シリンダヘッドのインテークポート・バルブが
見えるまで周辺部品を分解。
いろんな部品を分解しないと辿り付けないので、
地味~に時間が掛かります。
EGRバイパスパイプの内径には、
EGRの煤が流れているので真っ黒。
ですがココは高温高圧の為、そんなに詰まりはありません。
カーボン(煤)もサラサラですね。
吸気圧センサーは定期的に清掃しているそうで、
やや埋もれる程度の蓄積具合。
最後にキレイにしますね。
イロイロ部品やハーネスを外せば、
やっとインテークマニホールドが外れます。
EGRと新気が交わるINマニホールド入り口は、
カーボンが蓄積し4割ほど塞がっていました。
その上流にある吸気シャッターバルブは
蓄積量は少なめですが、
カーボンが固着しカチカチに。
固着の原因は
ブローバイガス過流入によるオイル流入。
ターボ車特有の症状で
インタークーラーへの接続ホースがオイルでベトベト。
乾いた煤にオイルが付着すると、
結合しやすく固着します。
煤にオイルが付けば
インテークの熱温度では乾く事は無いでしょう。
INマニホールド穴の横幅は20mm。
カーボンが5mmほど蓄積していたので約15mmほどに。
ディーゼルは空気を吸ってナンボのエンジンですから、
吸いづらくなれば・・・・ですよね。
恒例のマニホールドの内部をホジホジします。
表面はサクサクしたカーボンが、
掘り進めるとカチカチに。
煤の量もハンパなく多く、
コーラ缶ぐらいは軽く出てきました。
複雑な形状の内部壁にビッシリ固着し、
手作業ではなかなかキレイになりませんね。
シリンダヘッド側のインテークポートも同様に、
煤が蓄積し、内径が狭くなっていますね。
軽くホジホジで出てくる固着した煤。
表面はカサカサですが
深い蓄積層はカッチカチ。
9万キロも走行すると
固着度が増しているようです。
超硬ピックで削るとこんな感じ。
ポート奥のバルブまで続いているので、
手作業での完全除去はムリだと思います。
普通であればこのまま放置するか?
エンジンヘッドを交換するか? の2択になりますが、
ガソリン直噴エンジンのインテークバルブ洗浄に開発した
オリジナル整備(DSC)で対応可能。
ガソリン直噴の方がもっと固着硬度が酷く、
ガッチガチに固まっていますので、
今回のカチカチぐらいなら楽勝ですね。
煤の量はこちらのほうが多いですけど・・・。
手作業では不可能のカーボン除去には、
ドライアイス洗浄機で。
ドライアイスペレットを
圧縮空気で高速噴射。
短時間に・完全に・ノーダメージで。
複雑な形状で奥深くにある
バルブやポート目掛けてショットします。
http://minato-motors.com/blog/?p=5921
噴出したカーボンでボディが汚れぬように、
完璧にマスキングします。
水・溶剤も通さない3M社製のマスカーを使用。
燃焼室にカーボンが入らないように、
バルブは全閉位置にセット。
これで遠慮なしで
ドライアイスを打ち込めますね。
ショット時間は数秒ほど。
ペレットが直撃した部分だけ、
キレイにカーボンが剥離しています。
ノズルを使い分けながら、
奥にあるバルブ目掛けて連続ショット。
途中に約10円玉半分のカーボン片が飛び出てきました。
結構デカいね。
それでもショットを繰り返し・繰り返し。
ポートのアルミ素地までキレイに見えましたね。
ブラインド気味に隠れているバルブ傘部も、
特殊専用ノズルでショットしますので、
カーボンは除去されツルツルに。
90度に曲がった超硬ピックで傘部をなぞって、
カーボン片が残っていないかを確認します。
インテークマニホールドもDSCで洗浄。
内壁にこびり付いたカーボンも
当たれば一瞬で吹き飛びますよ~。
全ての部品がキレイになれば、
交換するのはガスケットのみ。
洗浄が終われば
各部品を組み立てていきます。
CX-5 DSC作業ブログが長くなったので、
とりあえず休憩。
後編ブログに続く。