三重県からランドクルーザープラドKDJ95。 加速不良とモタツク感じ気になります。DSCドライアイス洗浄とマルチサーブ。
本日も大阪府堺市のミナト自動車ブログ 日々是好日にお越しいただきありがとうございます。
三重県からメール相談をいただきました。
ランドクルーザープラドKDJ95
H13年式 MT車 走行距離24万キロ
・ターボが効き始めるまでのトルクが薄く、加速不良??。
・アクセルを踏んでもエンブレが掛かる感じ。失速??
・発生頻度としては日によって違い、時々起こる。
・エンジン警告灯点灯等は一切なく、過去エラーコードもない。
地元ディーラーも原因不明との回答。
この加速不良による違和感をDSCなどで解消と、サスペンションやハブ・ブレーキなどの足回り下回りのリフレッシュ整備を検討されているそうです。
・DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)
・マルチサーブ インジェクター洗浄システム
予算の兼ね合いもあり、まずは上記2点を依頼されました。
車両全体を整備するリフレッシュプランは相応の費用が掛かるので、この結果次第で考えたいとの事です。
日程を調整し入庫してもらいました。
問診と試運転。
作業内容を説明し車両をお預かりしました。
試運転では症状は発生せず、現象確認は出来ませんでした。
予定通りインテーク系の部品を外し、煤堆積の状態を確認します。
EGRバルブの開閉テストでは一応バルブは開閉しているようです。
問題はその開閉制御システムが正常に機能しているかも追加で調べていきますね。
水冷EGRクーラーも外しました。
こちらは内部を特殊洗浄してリフレッシュし再生します。
インテークマニホールドと吸気シャッターバルブを分解すれば、エンジンヘッド側の4気筒8ポートの穴が見えてきました。
ポート内のインテークバルブ傘部とシャフト部を確認しますね。
計8個のポートのうち、半分ぐらいのインテークバルブには大量の煤が堆積していますね。
これではシリンダ内の燃焼室にスムーズな吸気流入は難しいと思います。
プラド95は従来型吸気ポートのディーゼルエンジン 1KD-FTV
吸気が横回転の渦巻きになり、燃焼室で燃料が撹拌されて燃焼。
開発当時は強い旋回渦をポート形状を曲げて形成する方法が良いと思われていたんでしょう。
新型ディーゼルの1GD-FTV
吸気ポートはなるべくストレート形状で流入抵抗を少なくし流入量を増やす。 また横回転の渦(スワール)より、縦回転の渦(タンブル)でより多くの空気を充填し、燃料の撹拌をする方法に改良されました。
ディーゼルは空気を吸ってナンボのエンジンですから、空気の吸えないエンジンは本来のエンジンパフォーマンスは発揮出来ません。
空気とEGRの流入バランスが崩れると、それがさらに助長します。
下記画像のようにマツダSKY-D煤堆積は酷い状態ですが、あちらはレスポンス低下やエンジン警告灯点灯でユーザー側が認知しやすく気が付きやすい。
プラドやハイラックス、ハイエースなどに搭載されている1KD-FTVの場合はE/G警告灯点灯をする事がなく、ユーザーの体感のみが頼りです。
敏感なユーザーや新車時のコンディションを覚えているファーストオーナーなら、その異変に気が付くでしょう。
でもセカンドユーザーなどの中古車購入の場合は、本来のエンジン性能を知らないので、気が付かない場合が多いですね。
インテークマニホールド出口も煤で経路が狭くなっていますね。
インテークマニホールド自体もドライアイス洗浄と特殊洗浄を併用して、内部洗浄をします。
ハイエースはエンジンルームが狭いですが、プラドはボンネットタイプなのでマスキングで完全防備すればDSCは可能。
3M社製の高性能マスカーを使用してマスキングし、飛散する煤からボディを守ります。
DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)
弊社が開発したオリジナル特殊洗浄系整備で唯一無二。
のれん分け・業務提携・技術提供等も行っていないので、DSCが出来るのは日本では弊社のみ。
ドライアイス洗浄機にドライアイス3mmペレットを投入。
(エンジンにノーダメージで、短時間で完璧に)
DSCキャッチコピー通りに作業しますね。
・ドライアイスペレットを圧縮空気で高速噴射。
・熱収縮と昇華爆発力で固着した付着物を剥離。
・柔らかいドライアイスで金属のエンジンは傷が付かない。
・ドライアイスは昇華し大気に消えるので、エンジンに残留する可能性はゼロ。
弊社が世界で初めてドライアイス洗浄機を自動車エンジンの吸気ポート洗浄に活用したのが7年前。
ガソリン直噴 or ポート式噴射・クリーンディーゼルへのDSC施工件数は累計1千台以上となっております。http://minato-motors.com/blog/?cat=169
当時は画期的でビックリされたのでしょう。
雑誌や業界新聞の取材依頼が非常に多くありましたが、全てお断りしました。
月20万ページビューの弊社ブログで十分紹介が出来ていたので、他の媒体を使用する必然性が無かったんですよね。
テストで軽くワンショット。
ドライアイスペレットが直撃した部分だけキレイに剥離しました。
複数あるDSC専用ノズルとアダプターを組み合わせて、複雑な形状のポート内を完璧に洗浄していきます。
市販されているドライアイス洗浄機を使用しますが、DSC用のノズルやアダプターは全て自社製作。 その形状は企業秘密で完全非公開。
もちろん作業中の見学も不可で、工場扉もクローズドしております。
全4気筒8ポート 全て洗浄完了。
圧縮上死点にセットし1気筒ずつ作業しています。
これで設計開発時の空気導入が出来るようになりましたね。
インテークマニホールド・EGRバルブ・水冷EGRクーラー・吸気シャッターバルブなども煤を完全除去。
新品ガスケットを使用して組立ますね。
15年以上使用したハーネスカプラーは、熱劣化でパッキパキに割れます。
そんな時はリペアカプラーで修復。
リペアカプラーは大量にストックしていますので、可能な限り修復するようにしています。
以前このプラドを整備した方はタイラップで仮固定。そんなに費用が掛かるものではないので、修復出来るものは行うようにしています。
エンジンを組付けてLLCを補充し、エア抜き作業と完全暖機。
次はマルチサーブでインジェクター等の燃料系システム洗浄を行いますね。
ディーゼル普及率が高い欧州から導入したマルチサーブ。
フューエル・インテーク・ターボ・DPFなど複数の箇所をマルチに洗浄が出来る高性能エンジンメンテナンス機器。
こちらもいち早く導入し、ガンガンおススメしております。
燃料を超高圧にしてコモンレールに蓄圧し、高精度インジェクターで燃料噴射。
加圧時に発生する燃料スラッジは、どうしてもフューエルラインに付着します。
精密なニードル内部やノズル噴射口は微細な汚れがコンディションに影響します。
マルチサーブ専用ケミカル ディーゼルシステムパージ。
これで機械にダメージを残さず、ゆっくり且つ速やかに付着したスラッジをケミカルの効果で軽減しますね。
1本が凄い高額なので、残すことなく投入。
そしてフューエルサプライポンプのIN・OUTにマルチサーブを接続。
工場出荷状態で導入直後のマルチサーブには甘いフィルターしか搭載されていません。 (輸入機器はどうもこの辺のツメが甘いですね。)
導入後スグに高密度フィルター(ガソリン用・ディーゼル用の2種類)をオリジナルで追加装着しています。甘い密度のフィルターだと異物がフューエルラインに入ってしまいますからね。
また硬すぎで柔軟性のない海外製ホース&カプラ・コード類は、全て日本製高品質な物に交換しています。
輸入整備機器って性能はピカ一で優秀なんですが、作業者に対してのフレンドリーさがイマイチ。 日本製機器は作業者に対しては良好ですが、マルチサーブほど高性能・多機能な機器は無いんですよね~。
強力洗浄に設定して、約75分掛けて作業します。
エンジンはアイドリング状態からやや高めの回転数に合わせて、内部洗浄します。
作業を終えてフューエルラインのエア抜き作業。
エンジン再始動で試運転。
作業時間は2~3日ですが、追加部品の発注も考慮して1週間預かりで作業し、無事納車となりました。
納車後レビュー
先週の日曜日は、ありがとうございました。帰りは初めて通天閣に登り、下りは階段で降りました。
けっこう人が沢山で観光地ですね。たこやき、食べ歩きました。
で、プラドですけど、すごくイイ感じになった?戻った?と思います。
アクセルのつきが良く、回転数もスッとあがり走りやすいです。トルクフルで、ずっとトップで走っていられますね。
あ~以前は、こんな感じやったな〜と感じました。
それと、「回転数が落ちてブレーキがかかる」症状は、今日、150キロ位運転しましたが一度も発生しませんでした。私は、休みの日しか乗りませんが、妻に聞いても、ならないとの事です。
そうなると、足回りの方も貴社でお願いしようと思いましたので、リフレッシュプランの方も、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
次回ブログではDSC・マルチサーブ後にリフレッシュプランで再入庫したランドクルーザープラド95の整備内容を紹介したいと思います。
どうぞ宜しくお願い致します。
Happy Car Life!!