グランドハイエース VCH10W リフレッシュプラン 後編。サスペンション・ブレーキをリフレッシュ。 ATFも圧送式で全量交換。
前回ご紹介したブログからの続きです。
http://minato-motors.com/blog/?p=25161
グランドハイエース VCH10W
5VZ-FE V6 3.4L 走行距離22万キロ
エンジン整備が終わったので、
次はサスペンションやブレーキ系を整備しますね。
フロントサスペンションやハブ・ブレーキを分解しました。
そこからエンジンを宙釣り状態にして、
サブフレームを外しエンジンマウントを交換しますね。
E/Gとサブフレームにマウントが挟まれているので、
スペースを開けて交換しますが・・・。
E/Gとバルクヘッドの隙間はほぼ無いので、
E/Gを持ち上げてのスペース確保は出来ません。
E/Gはそのままの位置で、
サブフレームを外して交換スペースを作りますね。
そうしないとマウント上部の取付ナットを、
緩める事が出来ないのです。
ゴムマウントが硬化し、少しクラックが広がっていますね。
これではエンジンの振動を消す事は難しいと思いますよ~。
次はフロント・ロアアームのブッシュ交換を行います。
治具とハイエース用SSTを使用して、
アームからブッシュを打ち抜き交換しますね。
適切なSSTを使用すれば中空アームでも破損することなく、
確実にブッシュが交換可能。
これでアームASSY交換より半分ぐらいは、
費用削減できたと思います。
続いてブレーキ関係も整備しますね。
ハブとブレーキディスクローターを分解して、
ローターを研磨し再生します。
前後のディスクローターを研磨しました。
また耐熱塗装(耐熱600℃)で化粧直ししています。
フロントハブベアリングも交換しますね。
ハブからベアリングカラーを抜いて、
ハブ全体を洗浄します。
新しいベアリングを組付けて、
グリスも新調しますね。
ブレーキキャリパーもO/H。
キャリパーを洗浄してピストンを磨いて、
シールとブーツを交換しました。
ホルダー側のスライドピンのブーツ交換。
古いグリスを洗浄し、新しいグリスを注入します。
ブレーキパッドもWAKO’S BPRグリスで交換しました。
フロントアッパーアームのアッパーボールジョイントは、
ハイエースの場合は15万キロも走行すると
ほぼガタがありますね。
赤矢印の方向に揺すると感触で分かります。
アッパーアームはASSYでしか部品供給がないので、
ASSYで左右を交換しました。
ロアボールジョイントは単体部品供給がありますので、
こちらも左右交換しますね。
2WDの場合はトルクテンションロッドのブッシュは、
劣化が激しい箇所にあるブッシュでしょう。
こちらも全数交換します。
ステアリング ラックエンドもガタガタでした。
ダストブーツと一緒に交換しますね。
タイロッドエンド部はグリス打替えのみでOKです。
ショックアブソーバーは
カヤバ ニューSRスペシャルで交換しました。
ハイエースに限って言えばショックアブソーバーは、
3~5万キロ毎に交換しても良いと思います。
ハイエース系のショック交換だけなら
上下のナット・ボルトを緩めるだけで簡単交換出来る。
(交換によるホイールアライメントの変化はない)
またショック自体も非常に安価なので、
消耗品と割り切った方が乗り心地がキープ出来ますよ~。
ハブ・ブレーキを組付けて、ダイヤルゲージで振れ点検。
基準値オーバーなら振動が出ますので、
その場合は再度組み直しします。
・グランドハイエース
・グランビア
・ツーリングハイエース
・ハイエースレジアス
これらのフロントハブB/Gの交換は、
比較的簡単で難易度は低いです。
しかし上記車種のリアハブB/G交換は、
なかなかの重作業ですよ~。
慣れていないと片側だけで丸1日掛かりますし、
最悪B/Gが外せないでしょう。
私はこのタイプのリアサスを何度も作業をしているので、
ブッシュも一緒にサクサク余裕で交換しています。
(メッチャ疲れるけど。)
ブレーキ・スプリング・ハーネス・ドライブシャフト。
これらを分解して異様に重い、
リアトレーディングアームを外しました。(左右ともに)
治具・SSTを駆使し、
油圧プレスでまずはハブを外しますね。
13tぐらいの圧力でパッキン~の大きな音で動き出し、
ゆっくり打ち抜きます。
次に拳大ほどの大きなベアリングを
アームから抜き取りますね。
こちらも異常に固いので慎重にプレスで外しました。
そしてゆっくり新品B/Gを圧入し、
ハブを組み立てます。
ちなみにアーム単体の重さは20kg以上はあるのかな?
腰を痛めるほど重いです。
さらに大変なのがブッシュ交換。
左右で4個のブッシュを交換しますが、
位置決めがありますのでマーキングして交換していますよ~。
リアのホイールアライメント調整用カムボルトも、
錆止め防止のグリスを塗ってアームを車体に組付ますね。
スプリングインシュレーターと
ショックアブソーバーを同時に交換しました。
LLCは圧送式で全量交換し、
LLC再生強化剤で防錆剤等の性能を強化します。
アライメントリフトに移動して、
車高調整&1G締付を実施。
1G締付で不要なブッシュテンションを1度開放し、
再度増し締めします。
車高調整は仮想地上線に赤い糸を引いて、
リアの基準点から数値を測る。
リア数値を参照に、フロント数値を割り出して、
フロントの車高を調整しますね。
軽く試運転をしてから、ブッシュとショックを馴染ませて、
ホイールアライメントを調整します。
盛大に乱れまくったアライメント数値。
これではブッシュ&ショック交換をしても、
真っすぐ安定しては走れない。
少しづつ調整し、バランスを整えていきますね。
グランドハイエースの場合は
フロントは比較的細かく調整可能です。
(10分以内に収まりました。)
リアは調整用カム1個でトゥとキャンバーを
同時に調整していきます。
(結構イイ数値になりましたね。)
エアコンガスもリフレッシュ&リチャージ。
エコマックスjrで冷媒ガスを再生します。
ATF圧送式交換も行いましたよ。
・オイルパン脱着洗浄・ストレーナー交換。
・アイシンAFW+でプレ洗浄し、
本命ATFもAFW+で圧送式交換。
最終的にはここまでキレイに入れ替わりました。
試運転をして最終チェックを繰り返し、
無事納車となりました。
これぐらいの規模の整備であれば、
お預かり期間は約2週間になります。
(実際は1週間で完了して、残りは最終チェックと納車日調整)
今回2部に分けて紹介した
グランドハイエースのリフレッシュプラン。
ブログでは紹介していませんがデフオイルやホース類、
その他の部品を多く交換していますが、
全部は載せれないので紹介を省いています。
納車後にユーザーさんからレビューをいただきました。
(簡単にまとめて掲載します。青字は私の感想です。)
・E/G、ATともに好調でとてもスムーズになった。
・信号待ちの微振動が無くなり、エンジンの振動が感じないぐらい。
これはエンジン整備とATF交換、マウント等を交換しているので、私も試運転後に効果がスグに感じれました。特にエンジンの振動はほぼ無くなりましたね。
・サスペンションの足回り系は言われた通り、激変でした。
今まで不安定だったキツイ高速コーナーはスムーズに曲がる。
アームブッシュや10万キロ以上使用したビルシュタインショックは完全に劣化していたのでこの交換効果は非常に大きいのですね。サスペンションの劣化はビフォーアフターが分かりやすいのです。
なにより奥様の(走行中の下からのゴトゴト音が無くなった)が満足度を上げたようですね。
こちらこそご利用ありがとうございました。バシッと整備するとワインディングロードや高速走行が、非常に楽になりますよね。
本日もミナト自動車ブログ 日々是好日に、
お越しいただきありがとうございます。
ある程度走行した車両にはある程度の整備予算を、
イッキに投入しないと効果的な整備は経験上難しいと思います。
低予算でバラバラで無計画な整備をしても、
満足度や費用対効果が薄く、
(次にまた整備をしよう)という意欲が無くなる。
その為にリフレッシュプランは全てのユーザーに、
おススメする整備メニューではありません。
(愛車を長~く良い状態で乗り続けたい)
(出来れば新車時に近い状態に戻したい)という、
ニッチな方向けのニッチな整備だと思っています。
リフレッシュプランのご依頼は、
HP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。
それではHAPPY CAR LIFE!!