グランドハイエース VCH10W リフレッシュプラン 前編。 22万キロ走行した愛車をリフレッシュ整備!!
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令中。
現時点(4月24日現在)では
弊社は平常通り営業していますのでお知らせします。
(GW期間中も通常営業予定)
・接客時のマスク着用や代車の消毒作業。
・接客時は換気の悪い密室状態にはしない。
・作業説明等の簡素化し室外で行います。
・作業員の手洗い&アルコール消毒の徹底実施。
試運転前にアルコール消毒液で手を洗浄して、
乗車後もまた手を消毒洗浄するぐらいは必要でしょう。
また不必要なスイッチや内装なども触れないようにしています。
このような感じで対応していますので、
どうぞ宜しくお願い致します。
某県からお越しいただいたのは、
トヨタ グランドハイエース VCH10W
ガソリンV6 5VZ-FE 走行距離22万キロ
リフレッシュプランのご依頼です。
(グランドハイエースとグランビアは兄弟車)
(ツーリングハイエースは一回り小さい弟車)
メールからご相談いただいたのですが、
18年経過し22万キロの愛車を整備するべきか?
または10年落ちぐらいの他社ミニバンに乗り換えるか?
悩んでいますという内容。
それに対して私の回答をまとめると、
(他社ミニバンよりトヨタハイエース系の方が、
圧倒的に耐久性が高い為に整備すれば長持ちします。)
(過去整備歴不明の中古車購入より、
履歴が分かる愛車の方がコンディションが把握しやすい。)
(ですが22万キロ走行した車両に小手先の整備をしても、
コンディション回復はあまり見込めない)
(ある一定の費用を投入しトータル整備を私は推奨します。)
(それでも他社ミニバンを中古購入し、
そこから整備するより遥かに安価で効果的でしょう。)
そんな感じでメール交換をし、
リフレッシュプランの予約入庫となりました。
まずは問診で車両状態を詳細にお聞きしますね。
1・サスペンション系からのゴトゴト異音が酷い。
2・コーナリング時のロールが大きい。
3・夏場にエアコンの効きが悪い。
4・市街地/高速でも安定しており、乗り心地は悪くない。
他にもいろいろ不具合・不満点はありましたが、
大きく分けるとこんな感じで教えてもらいました。
問診後は代車をお貸ししてお預かりします。
早速試運転をして10メートルほど走行すると、
(ショックが劣化し、乗り心地がフワフワ)
(ブレーキの効きの非常に甘く、コントロールしにくい)
とスグに感じてしまいました。
(アレ??乗り心地は悪くないと聞いたような??)
そこからテスト走行。
(サスペンション系ガタの異音が多く、
ボディの軋み音も気になる。)も確認出来ました。
それとV6 3.4Lのエンジンにしてはトルクフルさが無い。
エンジン音も静かではなく、信号待ち時の振動も大きい。
同じ車両を長年使用していると感覚が慣れて、
案外と欠点に気が付かない場合があります。
また先入観からでしょうか?
(過走行車はこんなもんだ)と思ってしまうのでしょう。
(過走行車=乗り心地やエンジン性能が低下している。)
ではなく、ほとんどは(適切な整備不足)なだけなんです。
逆に言えば正しい整備をすれば、
かなり良いコンディションに戻るんですよ~。
排気ガスの数値は悪いですが、
E/G回転数を上げて、触媒暖機すると・・・。
CO/HCも改善し、これなら車検レベルなら問題ないでしょう。
もう少しの改善を目指すなら
予算が合えばアレとアレを交換を提案しようかな??
事前ホイールアライメント測定、
こちらも良い数値ではないですね。
整備リフトに移動して、タイヤを外しリフトアップ。
エンジンルームを覗いてみると・・。
ラジエターリザーバータンクの液面は最下限以下。
ラジエターの内のLLC液面は上部から確認出来る程度。
少し前に他社にてウォーターポンプや
タイミングベルト一式を交換しているので、
状況からして(エア抜きが不完全)or(LLC漏れ)
のどちらかでしょう。
エンジンクランクプーリの下側に、
微かにLLCが漏れた跡を確認。
冷却ラインを圧力テストするが、
10分ぐらいでは特に変化は無し。(漏れ無し)
そこで一晩そのままで放置すると・・・。
ポタポタと漏れてきました。スローリークですね。
タイミングベルトケース内の
ウォーターポンプ辺りから漏れているようです。
バッテリー・オルタネーターの充電・発電状態をテスト。
(バッテリーNG・要交換)
エンジン周辺や下回り・足回りを点検して、
整備プランを提案させていただきました。
作業内容にOKが出ましたので、
作業を始めますね~。
LLCの漏れは以前交換済みとお聞きした、
社外W/Pのガスケットから漏れていました。
ポンプを外してG/Kを確認すると、
社外W/P付属の紙ガスケットを使用していたようです。
純正ガスケットを使用して再組付けしました。
(W/P自体は問題ないので再利用。)
紙のペラペラなガスケットと純正G/Kでは、
比べてみると全然違いますからね~。
アイドリング時のエンジン音がやや大きいな?と
思っていました。(おそらくベアリング系の異音)
W/P交換時に赤枠カップリングブラケットを調べると、
内部ベアリングの状態が悪いね。
またエアコンの冷えも悪いと聞いて走行距離も考慮すると、
青枠のファンカップリングも不良と判定。
・カップリング単体が¥35000-
・カップリング・プーリー・ブラケット一式が¥35800-
プーリーとブラケットが+800円で新品になる、
よく分からない金額設定ですね。
(廃版になる前に交換しておきましょう。)
VCH10にはACコンデンサーファンが無いので、
ファンカップリングは冷却系の重要部品ですよ~。
次はチョットした故障診断風景をお見せしますね。
(こんな感じで故障診断しています。)
・症状・
マフラーの排気音に耳を澄ますと、
稀にエンジン燃焼音がバラついています。
V6エンジンの内の1気筒が時々ミスしている。
(スパークプラグ・コイル・コードは以前に純正で交換済)
(常時ミスしているわけではない。)
ただグランドハイエースのエンジンルームは非常に狭い。
開口部も少なく整備性は非常に悪い。
エンジン始動状態でプラグコードを抜いて、
どの気筒がミスしているのか?で調べると簡単なのですが、
VCH10Wは手が入るスペースが絶望的に無い。
そこでイグニッションアナライザーで
点火燃焼状態を簡易に調べてみますね。
各気筒にダイレクトイグニッションコイルがあるのではなく、
2気筒で共用している同時点火タイプ。
作業中に分からなくなるので、メモ書きして少し整理。
NO,1とNO,4
NO,3とNO,6
NO,5とNO,2
(1・3・5が右バンク)
右バンクから3本のプラグコードが左バンクへ。
1本ずつコードをI/Gアナライザーで測定します。
(ゴムシートを使うのは他のコードからの干渉を防ぐ為)
すると右バンク奥のNO,5と
左バンク手前のNO,2を結ぶプラグコードの数値が、
他の2本と比べてバーンタイムが少しだけ短く、
ピークボルトが少しだけ高い。
これでNO,2とNO,5のどちらかが、
ミスしているのが分かりました。
作業がしやすい右バンクのNO,3とNO,5の
プラグとコイルを入れ替える。
バーンタイム、ピークボルトに変化なし。
であれば左バンクのNO,2のプラグが怪しい。
確認します。
プラグコードの差し込みが甘く、端子が少し焼けている。
本来はこんな感じでキレイなので、
結果的には左バンクのNO,2のプラグ接触不良が原因でした。
プラグの端子をサンドペーパーで磨いて補修し、
コード側も内部端子を磨いておきました。
これでエンジン音のバラつきも無く、
良好になりました。
もしこんな症状でイグニッションアナライザーが無ければ、
不良気筒を特定するのは結構大変なんですよ。
右バンクは吸気系ダクトを分解しないとアクセス出来ないし、
左バンクの中央と奥の気筒は絶望的に手が入らない。
(E/G ONで抜き差しを繰り返す方法では時間が掛かりすぎる)
オシロスコープで燃焼波形確認が定番診断方法ですが、
正直コレもセッティングに手間と時間が掛かる。
コード式・同時点火式・ダイレクトI/G式でも、
センサースコープを当てるだけで良否が分かる、
イグニッションアナライザーなら短時間で判定可能。
ちなみにスキャンツールからアクティブテストで各気筒停止は出来ないタイプでした。
この年式ぐらいになると部品廃版が怖いので、
エアフロメーター&O2センサーも有るうちに交換しますね。
またバキュームホースもクラックがありましたので、
一緒に交換します。
こんな感じで進むグランドハイエースのリフレッシュプラン。
次回ブログでは乗り心地が劣化したサスペンション等の足回り、
下回り系の整備を紹介しますね。
それではお楽しみに~。