根拠のない整備は・・・。 適材適所の整備プラン。
いつもミナト自動車を
ご利用頂いているお客様のお車です。 ありがとうございます。
平成13年式 100系 ハイエースバン
ガソリン車で18万キロ走行。
毎年の車検整備と6ヶ月ごとの定期点検を
実施しているのでメンテナンス状態は良いのですが
『最近エンジンの振動が気になる』と
ご相談がありましたので早速診断してみました。
エンジン暖機後 エアコンOFF Dレンジ
ドライブ中の信号待ちと同じ状態で
ハンドルに伝わる微振動。
ハンドルがプルプル震えています。
定期交換部品や消耗品などは
点検整備時にすべて交換していますので
吸気制御系を中心にチェックしました。
車両診断機 G-SCAN インターサポート社
オシロスコープ 簡測王 岩通社
をセットしデータモニタしていきますね。
エンジンの回転数は
運転席のタコメーター数値はあまり当てには出来ません。
(結構アバウトで正確ではないのです。)
診断機からECUにアクセスし
エンジン回転数(rpm)を読み取りますね。
Pレンジ 650rpm
Dレンジ 525rpm
基準の回転数が700~800rpm
なので全体的に少し低い数値です。
(特にDレンジの525rpmは振動が、出てもおかしくない数値。)
H13年のハイエースバンの中期型ですが
乗用車に比べて古い設計のエンジンで
スロットルボディ横のスクリューを回せば
簡単にエンジン回転数を上げれるのですが
その前に一手間掛けてみますね。
アジャストスクリューを外して
先端部に蓄積しているカーボンを清掃します。
画像背景のマス目は1cm。
細い通路を開け閉めして
流れる空気量を調節するので
カーボンの蓄積量は僅かでも
エンジン回転数には大きく影響します。
(カーボン蓄積→通路が狭くなる→空気量が減る→回転数が下がる)
こんな感じかな?と安易にスクリューを回して
調整するのはプロのお仕事ではないですよね~。
排気ガステスターでCO、HCを同時に測定。
年式に対して良好な数値で
車検にも十分合格レベル。
ですがG-SCANのO2センサーモニタが
あまり変化がありません。 (通常はリーン、リッチを頻繁に繰り返すします。)
壊れているのかとセンサーを見ると
ヒーター回路が無い、古いタイプの単線O2センサー。 (この年式では複線ヒーター付きが主流かな。)
ヒーター無しは排気温度が上がらないとセンサーが活性しないんですよね。
オシロスコープで測定し
鈍い反応のO2センサー波形が
回転数を上げて排気温を上げると
激しく動き出しましたね。
まだ使えそうなので 今回は交換を保留にしました。
予算を他に回すのも一つの選択肢かなと。
(やや劣化はしているが、新品に交換しても劇的に変わらないので。)
WAKO’S RECS レックス も施工してから
エンジン回転数を調整しますね。
RECSについてはこちらへ。
http://minato-motors.com/blog/blog-entry-237.html
Pレンジ 750rpm
Dレンジ 600rpm
全体的に約100rpm上げましたので
エンジンの微振動も無くなり
エアコンONでのアイドルアップも問題なく作動。 (上げすぎも良くないのでこの辺で。)
長めの試運転でも安定していましたので 作業完了としました。
18万キロ走行していても
適切な時期に 適切な部品を
交換や処置作業をしておけば
良い状態を長く保てます。
距離的にO2センサーは寿命だろうと思っていましたが
まだ使えそうなので保留し、予算を 他に回したりと
交換優先順位を決めて
作業内容を提案するのも
整備士の仕事だと思います。
(もちろん根拠が無い提案はダメですけどね~。)