スバル レガシィ BP5 リフレッシュプラン 前編。 サスペンションとタイミングベルトをリフレッシュ。 ホイールアライメント調整は必須ですよ~。
以前はお断りしていたスバル車へのリフレッシュプランですが、
解禁後は反響が高くご相談を多くいただいています。
http://minato-motors.com/blog/?p=22901
根強い人気がある名車レガシィBP5などは、
今回紹介する整備をしてリフレッシュすると、
その変貌に驚き、長く使用したいと思う気持ちが
さらに強まるのではと思います。
和歌山県からお越しいただいたのは、
スバル レガシィ BP5
H21年式 走行距離9万キロ
提案型整備リフレッシュプランのご依頼です。
HPお問い合わせフォームからの
以下の内容をご相談されました。
・過去に掲載されているリフレッシュプラン事例の
総額費用を教えてください。愛車の整備予算の参考にしたい。
・サスペンションを中心とした整備と
タイミングベルト関係一式は必ず実施したい。
・ブレーキ回りはキャリパーを含めて2年前にO/H済みで、
愛着のある車両なので長く乗れるように整備がしたい。
予約来店から問診をさせていただいて、
詳細な希望整備や整備歴・不具合点等をお聞きしました。
お預かり後に試運転をして、
排気ガステストから燃焼状態をチェックします。
CO/HCともにゼロ。
CO2の状態も良好でしょう。
年式にしてはなかなか優秀です。
事前ホイールアライメント数値を確認します。
オーナーさんが気にしていた症状を、
アライメント数値から判断します。
アーム等の曲がりも無く、数値的にもやや乱れ程度。
この後の整備でもっとコンディションが上がるように、
おススメの整備プランを提案する予定です。
リフトアップをしてタイヤを外し、
車両全体を点検します。
オーナーさんの希望整備と車両コンディション、
予算を考慮しながら整備プランを提案させていただきました。
プラン内容にOKがいただけましたので作業を始めますね。
まずはEJ20エンジンのタイミングベルト交換から始めました。
ラジエターを外しTベルトカバーを分解し、
カムスプロケットのボルトを緩めます。
スプロケットの奥にあるカムシールを交換する予定なのですが、
SSTでスプロケットを保持し、ボルトを緩めるが・・・。
異常に固くて緩まない・・。
SST、スプロケット・ボルトどれかが破損しそうだったので、
カムシール交換は断念しました。
タイミングベルトを外してウォーターポンプを外します。
そこからクランクスプロケットをSSTで引き抜きますね。
これでやっと奥にあるクランクシールと
オイルポンプが整備出来ます。
・オイルポンプの液体ガスケット打ち直し&オーリング交換
・クランクシール交換
・W/Pとホースの交換
・サーモスタット交換
タイミングベルトを交換する時には
その奥にある整備個所も同時に実施する方が、
あとあと再修理する事が無くなりますよね。
ベルトとテンショナー・アイドラプーリー等も同時交換します。
元の状態に組み立てて冷却水を注入しました。
フロントデフからギアオイルを排出。
フロントサスペンションを分解していきます。
スバルはサスペンションのブッシュやボールジョイントを
個別に部品供給してくれる稀有な国産車メーカーで、
その辺りもスバルリストに愛されている理由でしょう。
ブッシュの方向や位置決めのマーキングをしてから、
治具を使用してブッシュを打ち抜きます。
今度は同じように慎重に、
ブッシュをアームに圧入しました。
ショックアブソーバーも交換しますが、
この車両は新車時からビルシュタイン装着車。
今回も新車時に装着されていた、
純正ビルシュタインでの新品交換をしますね。
ショックアブソーバーを交換する時には、
周辺消耗部品を同時に交換しますよ~。
マウント・シートゴム・ダストカバー。
スプリング以外は純正品で全交換します。
スプリングコンプレッサーを使いながら脱着交換。
サクサクッと組替完了。
フロントドライブシャフトもO/Hしますね。
実は少し前に左右シャフトインナーブーツ破損を、
地元で修理を実施したようです。
(その時アウター側もO/Hしましたか?)とお聞きすると、
(おそらく破れたインナー側だけだと思います。)と回答が。
本来ならその時にアウター側も
整備しておけば良かったのですが、
相談の結果、IN・OUT左右両方ともに
弊社でO/Hをする事になりました。
そこで修理したインナー側のブーツを外すと・・・。
全くグリスが入っていない??
しかも左右ともに・・・なぜ??。
アウター側は新車時から充填されているグリスがありましたが、
こちらは距離相応に劣化してました。
このように分解洗浄をしていくのですが、
グリスまみれの部品をふき取って脱脂し、
赤ペンでマーキングはまあまあ手間が掛かる。
同じ位置・向きに同じベアリングが組み込まれるように、
手間が掛かりますが目印は必要なのです。
ただ前に整備した方がそこまで気を使って
インナーブーツを交換をしたとは思えないが・・・。
弊社としては基本に忠実にと・・・。
インナーブーツは社外品だったので、
今回は耐久性の高い純正ブーツ・グリスKITでO/Hします。
アウター側ベアリングにグリスを注入し、
ブーツを組付けバンドを締付。
非常に固い金属バンドですが、
専用SSTでガッチリとカシメます。
ヤワな工具でカシメると、
ここまでキレイなカシメ具合にはならないので、
さすがKTCの特殊工具は優秀だなっと感心。
インナー側は本来160gのグリスが充填されているので、
注入しベアリングを組付けブーツを装着します。
なぜ160gのグリスが注入されていなかったのか?、
不思議でしかたがない。
これで約8~10万キロは十分使用出来るでしょう。
それにリビルト交換するよりも、コッチの方が安いしね。
フロントサスペンション等の足回りがバラバラなうちに、
交換しずらいエンジンマウントインシュレーターを
左右交換しますね。
E/Gとサブフレームにマウントは挟まれているので、
脱着をする隙間(スペース)を作る必要があります。
ステアリングのシャフトとギアボックスを分離し、
サブフレームを車体から切り離す。
(もちろんE/Gは切り離され、宙釣り状態)
この時にロアアームやナックル等が無いと、
作業がしやすいんですよね。
(そしてその分は工賃が安くなり経済的。)
慎重に片方ずつ順番に交換しました。
AT側のマウントも交換します。
こちらは比較的難易度は低い。
エンジンマウント下側3点を無事交換完了です。
E/G上部のインタークーラーを外して、
トルクロッドとスロットル清掃作業。
特にスロットル清掃はアイドリング安定化には有効なので、
定期的な実施を推奨しています。
次はリア側サスペンションに移ります。
リア側はマルチリンク式でブッシュ点数も多い。
こちらも左右ともにブッシュ交換をしますね。
ブッシュには方向性や位置がありますので、
同じように組付けるように事前マーキングをしています。
リアショックアブソーバーも組替交換。
よく見るとロア側ブッシュが破損していました。
リアもフロント同様に純正新品ビルシュタインに交換しました。
Fr・Rデフのギアオイルも交換します。
NUTEC 全化学合成ギアオイル
NC-70 75W90 (エステル系)
前後スタビのインナーブッシュも交換しました。
これらの整備時にはブレーキ関係も脱着するのですが、
2年前にキャリパー等はO/H済みとお聞きしていたので
今回はスルーする予定でしたが・・・。
気になる点を見つけてしまいました。
正確に言うと他社がO/Hしたキャリパーは、
特に念入りにチェックしています。
(ミスしている可能性があり得るので。)
キャリパーピストンに異物が入らないようにする為の、
ダストブーツが1か所正確に装着されていない。
このタイプのダストブーツは装着の難易度が少し高く、
チェックがやりにくい特徴があるのです。
見て見ぬふりをする訳にはいかないので、
オーナーさんに相談し片側だけやり直す事になりました。
(他の3輪は問題なしでした。)
ブーツの縁をキャリパーの内溝に装着するのですが、
脱線していたようで歪になっていますね。
これでは再利用は難しく新品に交換するのですが、
通常キャリパーシールは左右セットが通常なんです。
片側のために左右SETを取り寄せて、
左側だけO/Hし直します。
完全洗浄して新しいシール等を組付けますね。
組付け後にピストンを出してブーツの装着具合を確認し、
ピストンを戻す作業を繰り返す。
こうするとピストンとシールが馴染み、
引っ掛かりの有無が確認出来て、
スライドも滑らかになるのです。
またブーツの端がキャリパーの溝にハマっているかも、
同時に目視でチェックが出来ます。
人間が作業している以上はミスは付き物。
それを限りなく減らす作業手順を行えば、
まったく問題ないんですけどね~。
ブレーキフルードを4輪交換して、
エア抜き作業も同時に行います。
タイヤを組付けて、リフトダウン。
アライメントリフトに移動しますね。
アライメントリフトでリフトアップし、
4輪接地した状態で1G締付。
組付け時に発生する不要なブッシュテンションを一度開放し、
もう一度締め付けをします。
・サスペンションアームのブッシュ全数。
・ショックアブソーバーのロアブッシュ全数。
サブフレームやシャシブレスなどのボルトは、
増し締めし結束を高めます。
そこから軽く試運転をしてサスペンションを馴染ませてから、
ホイールアライメントを調整しますよ~。
ハンター社ホイールアライメントテスター
(WA470ホークアイ)
イヤサカ ビシャモン アライメントマルチリフト
当然の事ながら調整前はこんな感じでバラバラな数値。
調整用カムを中立の位置にしていても、
ホイールアライメントは揃わない物なのです。
サスペンションを整備したら
ホイールアライメント調整が必須作業なのは
こういう理由なのですよ~。
ショックをポン替えして終わってませんか~?
SAIをクレイドル調整で整えながら、
キャンバー・キャスターを微調整。
リアも同じく微調整しつつ、フロントトゥも合わせます。
ステアリングセンターもWINTOE機能で、
バッチリセンターに調整しました。
とりあえずサスペンションや
エンジン系の整備は一時終了。
次回ブログでもレガシィBP5の
ATF圧送式交換の作業を紹介しますね。
それではHAPPY CAR LIFE!!