ランドクルーザープラド KDJ95W 加速不良・トルク不足でドライアイス洗浄。 DSCで煤を完全除去しました~!!
徳島県からお越しいただいたのは
ランドクルーザープラド KDJ95W
1KD-FTV ディーゼルターボ 走行距離24万キロ
DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)
のご依頼です。
DSCは弊社が開発した唯一無二の特殊整備。
ドライアイス洗浄機を用いて
ガソリン・ディーゼル各エンジンの吸気系に
蓄積するカーボン(煤)を完全に除去する作業です。
お問い合わせフォームからメールで
下記の内容をご相談いただきました。
・約900kgほどのキャンピングトレーラーを牽引しており、
登坂時にはパワー不足が顕著。
・牽引していない時はトルク感は薄いが
120km/hぐらいは出る。ただ力強さは感じられない。
・燃料系添加剤等を試すがあまり効果は無く、
インジェクターや噴射ポンプは交換済み。
・地元ではターボやその他補機類の不調では?と
アドバイスを貰いましたが、決め手に欠ける。
・吸気系の煤蓄積の可能性が気になるので、DSCを依頼したい。
予約来店をしていただいて問診をしました。
以前はグイグイ牽引しながら登れていた坂道が、
最近はローまで落とさないと登れないそうです。
また高速走行の加速時も走行レーンのスピードに
到達するまで時間と距離が掛かる。
市街地走行では問題が無いそうですが、
トルクを必要とする走行をすると
物足りない走りになるようですね。
最新クリーンディーゼル搭載車ではないですが、
EGRは積極的に使用しているエンジンなので、
煤蓄積の可能性はあると思います。
お預かりをして試運転をし、作業を始めますね。
インテークマニホールドを外す為に燃料ラインを切り離し、
吸気系部品を分解します。
排気ガスはエキゾーストマニホールドを経由して
マフラーから排出されますが、
一部の排気ガスをシリンダヘッドの反対側にある
インテーク側にあえて戻します。
高温の排気ガスを水冷EGRクーラーで冷やして、
吸気系統にあるEGRバルブの開閉で流入させる。
EGR=排気再循環 NOx軽減や燃費向上の為の手法です。
EGRは排気ガスのCO2を利用しますが、煤も混じっています。
エンジンから出てスグのEGRクーラーのパイプには、
ご覧のようにほぼ煤蓄積はありません。
高温高圧なのでここでは煤はサラサラで、
あまり蓄積しないんですよね。
こちらがEGRバルブ。
少しづつ蓄積が始まっていますが許容範囲。
過給新気に含まれるブローバイオイルが、
低温で煤と混じるので徐々に固着が始まります。
インテークパイプとインテークマニホールドとの間にあり、
過給新気は画面手前から奥に流れます。
EGRが必要な時は赤矢印のシャフトは伸縮し、
赤い部分のバルブが開閉します。
バルブが開くと青矢印の方向からEGRが流入し、
エンジン燃焼室にEGRガスが流れます。
流れた先のインテークマニホールドは、
こんな感じで酷い煤蓄積。
酷い所だと厚みが約10mmほど蓄積しており、
平均8mmぐらいの煤蓄積がありました。
燃焼室に近づけば温度も上がり、
オイルと煤が強固に固まっていきます。
次はエンジンシリンダーヘッド側の吸気ポートを確認します。
こちらもインマニ同様に凄い蓄積量ですね。
吸気経路の25%ぐらいは細くなっているので、
吸気抵抗が掛かり吸気がしにくい状態でしょう。
吸気ポート奥にあるインテークバルブは、
辛うじて確認出来ました。
煤に覆われて目視しづらいのですが、
バルブシャフトや傘部に大量の煤が固着しています。
空気を吸ってナンボのディーゼルエンジンで、
吸気系に過度の抵抗があると吸気充填率は落ちる。
そしてE/Gパフォーマンスはガタ落ちになります。
ドライアイス粒を圧縮空気で高速噴射。
昇華爆発力と熱収縮で固着した煤を除去します。
柔らかいドライアイスペレットは指で潰せるほど柔らかく、
エンジンの金属やゴム類にダメージを残す事はありません。
(エンジンにノーダメージで短時間に完璧に)
DSCで除去作業を始めます。
マスキングをして完全防備。
軽くワンショットしてみましょうか。
ドライアイスが直撃した部分だけ煤が剥離しました。
弊社が開発した複数あるDSCノズルと
各アダプターを使い分けて、
複雑な形状のポート内の煤を全て除去しますね。
他のエンジンと比べてポートが曲がりクネっているので、
見た目以上に大変で多くの時間が掛かりました。
ですが吸気ポート内はほぼ新品同様にキレイになりましたね。
目視では見れないシャフト裏や傘部も、
DSCで完璧に除去をしています。
煤塊が残ってバルブシートに挟まると、
圧縮不良になってしまいますので要注意。
インテークマニホールドも手作業でホジホジし、
ある程度の煤を取り出します。
オイル混じりの煤なのでサラサラと言うよりかは、
ベタベタ・ベチョベチョな感じです。
そこからドライアイスショットで、
こちらもキレイにしますね。
EGRバルブと吸気シャッターバルブもDSCで洗浄しました。
水冷EGRクーラーも洗浄して、
各ガスケットは純正新品に交換します。
フューエルデリバリーパイプ内の洗浄して、
元の状態に組付けます。
ここから企業秘密の部品をゴニョゴニョっと交換して、
冷却水を注入しエンジン始動させます。
DSCの作業は完全非公開で見学も不可になります。
その代わりに写真は大量に残していますので、
納車時にお見せして説明をさせていただいています。
DSCは企業秘密の部分が多いので、
お見せ出来る部分だけはブログで公開しています。
ご理解の程宜しくお願いします。
DSCと同時にATF完全圧送式交換も依頼されました。
こちらも試運転後にATFの状態をチェック。
(オイルパン洗浄・ストレーナー交換一式)も行い、
ATF圧送式交換を始めます。
まずはNUTEC NC-RF リンシングフルードで、
全量イッキに交換しますね。
本命ATFはNUTEC ZZ51改 全化学合成ATF (エステル系)
100%化学合成エステル系基油を、
贅沢に使用したハイパフォーマンスATF。
トルクフルな走行を目指すクロカン系・ハイエースバン系に、
弊社ではZZ51改をオススメしています。
ほぼほぼ完璧に入れ替わりましたね。
ATFクーラーを洗浄してレベル調整を行います。
ここまでキレイになれば次回交換推奨距離は
約5万キロになります。
試運転をして漏れや締付等を
最終チェックし納車となりました。
オーナー様からレビューをいただきましたので公開します。
肝心の牽引時登坂走行のレビューもいただきました。
いずれにしても、大満足な結果となりました。
ランドクルーザープラドの1KD-FTVエンジンなんて、
50万キロ走行できる頑丈なエンジン。
適材適所の正しいメンテナンスを行っていれば、
まだまだ十分使用できるのですよね。
また同型エンジンを搭載しているハイエースに比べて、
エンジンルームが広いのでDSCが可能になりました。
ナローボディーのハイエースではエンジンルームが狭く、
エンジンを降ろさないとDSC作業はチョット厳しいでしょう。
DSCの御見積・ご予約は
HP(お問い合わせフォーム)からお待ちしています。
どうぞ宜しくお願い致します。
HAPPY CAR LIFE!!