レクサス LS600h リフレッシュプラン。 エアサス・サスペンションなどなどをリフレッシュ整備しました。
奈良県からお越しいただきました。
レクサス LS600h ハイブリッド
UVF45 走行距離16万キロ
リフレッシュプランのご依頼です。
10年10万キロを超えた車両に
ある一定の費用を掛けたリフレッシュ整備を
弊社ではオススメしています。
相応に費用が掛かりますが、
皆様には好評をいただいています。
その中でもやはり部品代が飛び抜けて高額なのが、
レクサス LS600hでしょう。
車両本体価格が元々高額なので、
装着されている部品も相応にお高いですね。
予約入庫後に問診を行いました。
現状の不満点
・HV走行中でのエンジン始動時に
室内に伝わる微振動やこもり音。
HV走行からエンジン走行に切り替わる時に、
不快な振動が室内に伝わるそうです。
・サスペンションの劣化もあると思うので、
リフレッシュしてほしい。
法人使用のLS600hを購入されたようで、
それなりに基本的な整備はされていた感じがする車両でした。
ですが試運転をすると
レクサスLSらしからぬフワフワな乗り心地。
10万キロ超えるとほとんどのLSは、
乗り心地が悪くなっていますよね。
本来のLSに戻す整備を行いますね。
試運転をして事前ホイールアライメント測定。
現状の数値を確認します。
ハンター社製 ホイールアライメントテスターの
軽量樹脂ターゲットを4輪に装着。
ターゲットとホイールの間にはシリコンリングがあるので、
ホイールに傷を付けずに素早くターゲットが装着できます。
約20cmほど車体を手で押して、
ターンテーブルの上に乗せますね。
そこからステアリングを左右に切って、
全てのアライメント数値が弾き出されました。
最新鋭のハンター社アライメントテスターなら、
正確な数値が瞬時に演算されます。
盛大にバラバラな数値ですね。
サスペンションが劣化して数値も悪化していれば、
当然乗り心地は悪いと思いますよ。
スキャンツールでライブデータ数値を点検し、
車両をリフトアップしてタイヤを外す。
エンジンやAT、下回り・足回り等を点検していきます。
今回は新車時の車両価格の約1割の整備費用を投入するので、
それに見合った整備プランを提案させていただきました。
オーナーさんにプラン内容を説明して、
OKがいただけたので作業を始めます。
エアサスやサスペンションアーム等は
事前に取り寄せしておきました。
入庫してからの発注では欠品があると作業が止まるので、
前金をいただいて先行発注しています。
フロントサスペンションを分解。
ここまで分解して最初にするのがエンジンマウント交換。
LS460のガソリン車もなかなかマウント交換は大変ですが、
LS600hのマウント交換はそれ以上に大変です。
エンジンルームに巨大なエンジンと
HV周辺機器がビッシリ詰まっているので、
手やレンチ等が入らないのですよね。
巨大なV8エンジンを宙づりで保持しながら、
サブフレームを外す。
P/Sギアボックスやドライブシャフト等も分解して、
左右のE/Gマウントを交換しました。
新旧のマウントを比べると、
旧部品はボルト根元の部分が沈み込んでいますね。
劣化の激しいFrアッパーアーム・ロアアーム交換 計4本
マルチマチックシリンダー(エアサスASSY)
ハブベアリングASSY・ロアボールジョイント
スタビライザー ブッシュ等
この辺りはLS460とよく似ているので、
慣れた手付きでサクサク交換します。
エアサスの場合は外部にオイル漏れの跡が無くても、
上部ナットの周辺にオイル溜まりがあると
アブソーバーの寿命でしょう。
フロントドライブシャフトをO/Hします。
劣化が早いフロントは個別に部品が出ますので、
悪くなる前にリフレッシュ。
ブーツを外して古く劣化したグリスを取り除きます。
劣化したグリスでは粘度が低下しているので、
内部ベアリングを守る油膜が保持出来ないのですよね。
分解すると液体状にトロトロのグリスが出てきました。
洗浄後に純正グリスブーツKITで組み立てます。
同時に右側にある中間ベアリングも同時交換。
グリスを注入しブーツバンドを、
SSTでガッチリとカシメます。
リア本革シートを分解して、
リアの内張りも順番に外す。
リアのエアサスも交換しますね。
ブレーキディスクローターも研磨機で再生します。
よく見るとパッドとローターとの当たりが悪くなっていますね。
正確に研磨機にセットして、
薄く少ない回数でキレイに研磨しました。
耐熱塗装で化粧直しをすれば、
ほぼ新品同様に戻りましたよ~。
塗り過ぎているブレーキパッドグリス。
はみ出し過ぎて美しくないですよね。
パッドシムをキレイに洗浄して、
新しいブレーキパッドに交換します。
その時に使用するグリスはWAKO’S BPR。
高性能パッドグリスならそんなに多く塗らなくても、
十分機能しますから。
ブレーキパッドのサイド部にグリスを塗るのは、
個人的には不要だと思っています。
ローターを研磨し、キャリパーをO/Hして、
正確にパッドを組付ければ異音なんかはしないですよ。
何より仕事が美しくないですよね。
アルミ製ブレーキキャリパーもO/Hします。
ブレーキパッドに過度に塗ったグリスが、
キャリパーブーツに付着しベタベタ。
フロント対向4ポッド。
リア対向2ポッド。
ピストンをキャリパーから抜いて、
キレイに洗浄していきます。
そこからシールKITでピストンを組付けて、
ピストンを出し入れして馴染ませます。
外した部品を順番に組付けて、
ギアオイルも交換しました。
・フロント/リア デフオイル
・トランスファ オイル
NUTEC ZZ-31 75W85 部分合成ギアオイル
ガスケットも交換して規定トルクで締め付けて、
赤ペンでマーキングします。
タイヤを装着してリフトダウン。
エアサスにエアが無い状態で下ろすと、
底突きしますのでイイ感じでリフト保持しながら、
エンジン始動でエア充填作業。
20分ぐらいで4輪のエアが入り、
車体が浮き上がってきました。
その状態でゆっくりアライメントリフトに移動します。
サスペンションのアームブッシュを1G締付をしながら、
並行して車高調整を行いますね。
リフトアップし足が伸びた状態でブッシュを締め付けると、
着地した1G状態ではブッシュが捩じられます。
そうするとブッシュに不要なテンションが掛かるので、
交換したブッシュが早期に破損しますよ~。
またエアサスの場合は車高調整するだけでも、
4輪バラバラなら2時間ぐらいは掛かると思います。
下に潜って4輪を微調整し、
車高上昇させて元に戻す。
直ぐにはエアサスが反応しないので、
上げて下げてを繰り返すと結構時間が掛かるのです。
地面の高さに仮想線を糸で引いて、
基準点からの高さを4輪調整しました。
そこから軽く試運転をして、
サスペンションを馴染ませ走行。
もう一度アライメントリフトにセットして、
ホイールアライメントを調整します。
組み立ててスグの状態はこんな感じ。
バラバラな数値になっていますね。
もちろん1G締付時には調整用カムボルトは
ニュートラルの位置にしていますが、
それではホイールアライメントは合わないのです。
カムに目盛りがありますが、
あれは目安程度で正確な基準ではないですよ~。
SAIを整えながらロアアームのカムボルトで、
キャンバーキャスターを微調整。
リアもトゥを微調整しながら、フロントトゥも合わせます。
エアサス車の場合はエンジンを掛けながら調整するので、
数値が止まってくれないのですよね。
ほぼほぼ完璧な数値になったでしょう。
VGRSもリセットして完了です。
最後にCVTFも交換します。
使用するフルードはアイシンAFW+
アイシン製HVミッションにアイシン製フルード。
互換性はバッチリです。
最終的にはここまでキレイに入れ替えました。
真っ黒なフルードがキレイな赤色になりましたね。
最後に試運転を繰り返して、
作業の最終チェックを行います。
市街地低速走行では緩やかにサスが動いて、
高速走行では路面に吸い付くような安定感。
静粛性は回復し静かな空間で運転が出来ます。
おそらく16万キロ走行したLS600hとは思えない、
乗り心地の良い車になったと思います。
納車後にオーナーさんからレビューをいただきました。
こちらこそありがとうございました。
この車両はスパークプラグは交換済みで、
ラジエターも対策済み品が装着されていました。
今回のようなリフレッシュ整備をすれば、
かなり長く良い状態でドライブが出来ると思います。
LS600h新車価格1割の整備費用が高いか?安いか?は、
オーナー本人次第だと思いますが・・・・。
費用対効果を考慮すると
個人的には安いような気がします。
それではHAPPY CAR LIFE!!