11月のリコール以降の問い合わせも一段落。 マツダ CX-5 スカイアクティブD DSCで完全煤除去作業。
今回入庫したのはマツダ CX-5 KE2AW
スカイアクティブ2.2D 走行距離9万キロ
ディーゼルエンジンの吸気系に蓄積する煤を完全除去する(DSC)のご依頼です。
DSC (ドライアイス・ショット・カーボンクリーニング)
一ヶ月前の11月8日に届出がされたリコール以降、スカイアクティブDの問い合わせやDSC依頼が急増しました。(今は一段落)
・リコールで既に蓄積している煤は除去されるのか?
・DSCとリコール作業は重複する作業なのか?
多くはこんな内容の問い合わせなのですが、弊社の回答は(基本的にはディーラーさんで詳細を確認して下さい)とお伝えしました。
ただ弊社が知りうる情報とリコール内容から判断すると、現在蓄積している煤がリコール作業で解消されないのでは?と考えています。
リプログラミングで煤の発生を抑えた制御には変更出来たとしても、既に蓄積している煤が無くなる事はないのではと。
バルブスプリングのみの交換でエンジンヘッドを外す事も無いでしょうし、吸気シャッターバルブが開閉しないほど蓄積した車両なら既に警告灯が点灯してるでしょうしね。
そもそも定期的に煤を除去すれば抵抗が増える高いバネレートのスプリングに交換しなくても良いですし。
リコール後に入庫した滋賀県からのCX-5
(金沢ナンバーですが・・・)
リコール作業は1ヵ月後だそうで、その前にDSCをさせていただきました。
当日朝9時半から入庫してもらい、翌日午前中の納車スケジュールです。
手馴れた作業で手際よくインテークマニホールド等を分解しました。
人間って数え切れないほど同じ作業を繰り返すと、スピードがぐんぐん速くなるもんですね~。
インテークマニホールドと吸気シャッターバルブをパカッと外すと・・・こんな感じの煤蓄積。
吸気シャッターバルブを指で開閉してみると・・・。
バルブの開閉には関係ない所に蓄積するので、そもそもこの車両ではリコールのバルブ開閉支障がないのが分ります。
しかし残念ながら蓄積で経路が狭くなっていますね。
次はインテークマニホールド入り口を確認します。
ちなみに上から伸びるパイプの四角い穴が見えますが、これはEGRの出口です。
直径約6cmほどの経路がどれだけ塞がっているか、この画像でよく分かると思います。
本来スムーズな吸気の通り道が、ここでボトルネックになっていますよね。
ゴソッとピックで削るとこんな塊が取れました。
無闇に吸気シャッターバルブを外すと蓄積の結束が弱まるので、完全除去しないのなら触らない方が賢明です。
エンジン シリンダーヘッド側も確認しますね。
4気筒8ポートの中にあるインテークバルブを覗きます。
ポート奥に薄っすら見えるのがインテークバルブのシャフト。
目視は出来ませんがさらに奥のバルブ傘部にも大量に煤が固着していました。
弊社が確認出来ている2.2Dの煤蓄積パターンは4つ。
1・インテークマニホールドと吸気シャッターバルブ周辺の蓄積
2・シリンダヘッド側のインテークポート内での蓄積
3・上記の両方で蓄積。
4・EGRの出口のみが蓄積で塞がる。
今回の車両は1・の蓄積パターンのようですね。
複雑な形状に強固に固着した煤蓄積を、短時間に完璧にエンジンにノーダメージで除去出来るのは恐らくDSCのみでしょう。
ドライアイスの粒(ペレット)を圧縮空気で高速噴射するドライアイス洗浄機。
それに弊社オリジナルのDSCノズルとアダプターを接続して、作業を始めますね。
車体に煤が付かないように完全防備のマスキング。
軽くワンショットしてみます。
煤がアルミ素地から剥離させますよ~。
複数あるノズルとアダプターを使い分けて、
ポート内をキレイに洗浄します。
煤にペレットが直撃するように何度も繰り返しショットしました。
燃焼室に煤等が入らないように圧縮上死点にセットして作業をしていますよ。
最奥にあるバルブ傘部に固着した煤もキレイに除去を確認し、シャフトの裏までキレイにしました。
・インテークマニホールドや吸気シャッターバルブ。
・EGRバルブ2個とバイパスパイプ。
こちらもDSCで完全除去が出来ました。
複雑な形状のインテークマニホールドもDSCをすれば、再利用ができるのです。
ガスケットは純正品で交換しますね。
オプション整備の(インタークーラー洗浄)
インタークーラー内に溜まるブローバイオイルを排出し、洗浄剤で洗い流します。
小麦粉にオイルを掛けると塊になりやすいように、サラサラの煤にオイルミストが付着すると結合しやすいんですよね。
それでは元の状態に再組み立て。
・LLCを注入しエア抜き作業をしながらエンジンを暖機します。
・各学習値を初期化して燃料噴射量を再学習させました。
完全暖機後にはラジエターキャップが機能しているかを、アッパーホースを握って確認します。
冷却ラインに適正な内圧が掛かればアッパーホースはカチカチになりますよ~。
ラジエターキャップの気密が悪いと内圧が逃げるので、ホースは柔らかいままになります。
案の定キャップが劣化していたので、常時在庫している純正キャップに交換しました。
ちなみに内圧が掛からない状態だと夏場の高温時にはオーバーヒートしますからね。
本日もミナト自動車ブログ 日々是好日に
お越しいただきありがとうございます。
(ディーゼルなんて空気吸ってナンボのエンジン)
クリーンディーゼルになった今でもそれは変わらないと思います。
吸気経路が狭くなりボトルネックが発生すれば、その分だけ燃焼室での充填量が低下するでしょう。
またアクセル操作のレスポンスも悪化し、操作性の悪い車両になるのです。
マツダ車のアクセルペダルは国産車では珍しくオルガン式を採用し、操作性を良くしていますよね。
足の裏でペダルを踏み込み、親指の付け根でスピードの微調整するのが難しくなってきたら、もしかするとこのCX-5のようになっているかもしれませんね。
空気の流れを制御し最適化した吸気デザインが煤蓄積で乱れれば、本来の性能は発揮できないとお伝えしています。
DSCのご予約・御見積はHP(お問い合わせフォーム)から御待ちしていますね。
年内は28日まで営業しています~。
HAPPY CAR LIFE!!