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(特大号) マツダ アテンザ GG3S MT車 リフレッシュプラン。  サスペンション整備をしてからのホイールアライメント調整のススメ。ショック交換だけではダメですよ~。

今回の特大号ブログの文字数は4300文字で画像は140枚。

 

・文章を読むのが苦痛じゃない方はジックリと。

・長文が苦手な方はサラサラ~と画像のみを見てくださいね~!

 

 

 

 

 

 

 

地元の堺市からお越しいただいたのは

マツダ アテンザ GG3S MT車

走行距離13万キロ

 

 

リフレッシュプランのご依頼をいただきました。

ありがとうございます。

 

 

 

 

 

(中古車購入から5年経過し、まだまだ良い状態で使用したい。)

メールでのご相談を承りました。

 

 

また来年3月に車検が切れるのでそれまでに中規模以上の整備を行いたいとお聞きしました。

 

 

 

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予約入庫をしてもらって、まずは問診をします。

(気になる点や不明な点があれば、ぜひぜひ質問してください。)

 

 

 

 

 

・試運転をしてから排気ガステスト。

・アーガス社バッテリーアナライザーで充電発電状態チェック。

・スキャンツールでライブデータやエラーコードの確認。

 

 

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事前ホイールアライメント測定で、サスペンションの状態を点検します。

 

 

サスペンションをバラバラに分解するので、普通の整備工場ではわざわざ測定までして数値を確認しないでしょう。

(作業後にすればイイじゃん。どうせ調整するんだからと・・)

 

 

 

しかしこれをする事によりアーム等の歪みや、オーナーさんが教えてくれた走行安定性の低下などの原因が、数値的に発見出来て整備プランイングの参考にしています。

 

 

アライメントテスターをアナライザー(分析・解析)的な使い方をしているのですね。

 

 

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測定結果はやや数値が乱れていますが、この後のリフレッシュ整備で大幅に改善できるでしょう。

 

サスペンションアーム等の歪みも無さそうです。

 

 

 

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リフトアップしてタイヤを外し、車両全体を点検します。

 

 

 

過去の整備暦などを参考にしつつ、予算に合わせたベターな整備プランを制作し御見積を提示しました。

お電話で整備内容をご説明しながら、整備プランを決定します。

 

 

 

ここまでしてやっと概算見積が出来るので、メール等で(リフレッシュプランはおいくらですか?)と相談があると少々困ります。

 

 

むしろ何年何月の○○○の整備ブログは総額でおいくらしましたか?と聞いていただけると助かります。(ぜひ予算の参考にしてください。)

 

 

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(クラッチO/Hも検討していますがどうでしょうか?)と質問がありました。

 

 

FFミッションのクラッチO/HはエンジンとMTを車体から降ろして、さらにE/Gから分離してクラッチにアクセスが出来ます。

FR車のように簡単には降ろせず費用も掛かりますが、(そもそもクラッチが滑っていますか??)と逆に質問しました。

 

 

 

(滑ってはいないのですがフィーリングやミートポイントが悪くて操作がしにくい・・・)との返答。

 

 

 

(クラッチペダルの調整を実施した事がありますか?)とお聞きすると(今まで一度も無い)そうなので、まずはクラッチペダルの調整から提案しました。

 

 

結果から言うと(クラッチの切れ点とペダルストローク)が非常に操作しにくい感じだったので、運転席の足元に潜り込みペダルの調整を行いました。

 

オーナーさんに試乗してもらうと操作性が大幅に改善したので、(不安だったクラッチO/H)は今回見送る事にしました。

 

 

あのクラッチフィーリングであれば滑りは無いでしょうから、浮いた予算は他の整備に回しましょうとお伝えしました。

 

 

 

 

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それではサスペンションから整備しますね。

事前に(足回りの整備を希望)とお聞きしていたので、前金を頂いて各部品を取寄せしておきました。

 

 

 

前後ショックアブソーバー交換は周辺消耗部品も交換します。(前後のサス系部品はオール純正品です。)

 

 

 

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SSTを使用して前後のショックを交換しました。

 

 

 

 

続いてアーム類のブッシュもリフレッシュしますね。

 

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ロアアームNO,1 NO,2のブッシュを打替交換して、ボールジョイントブーツをリフレッシュ交換。

(負荷の大きいブッシュは大きく破断してますね。)

 

 

 

 

 

ボールジョイント自体のガタは無く良好でしたので、再使用のグリスアップ。

 

 

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リアのロアアームは錆腐食が酷く、ブッシュのみの部品供給も無いのでアームASSYで交換します。

 

 

 

もちろんスプリングインシュレーターやバンプ等も同時交換ですよ。

 

 

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リア アッパーアームはブッシュのみの部品供給があるので、こちらはブッシュ打替交換を行いました。

 

 

スタビライザーのブッシュも前後交換します。

 

リアのショックアブソーバーは簡単に交換出来そうで結構大変。

アツパー側の取り付けステーボルトが錆びていて、慎重に作業をしました。場所的に折れると大変な事になりますから。

 

 

 

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Frハブベアリングも交換します。

 

リアはボルトオンで交換難易度は低いですが、フロントは圧入されているので油圧プレスと冶具が必要です。

 

 

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ドライブシャフトからグリスが飛び散っていますね。

充填したグリスが劣化してシャバシャバになっているのでしょう。

 

 

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左右のドライブシャフトをO/Hし、劣化したグリスとブーツをリフレッシュ。

 

耐久性の高い純正ブーツ・グリスKITで交換しました。

 

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右シャフトの中間ベアリングも交換します。

 

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ブレーキは4輪ともO/Hでリフレッシュ。

おそらく今まで一度もシール交換はされていないと思います。

 

 

 

特にリアキャリパーはサイドブレーキ付のため、分解と組立の難易度が高め。

 

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ディスクローターも研磨にて再生します。

(そのうち1枚に歪みが少しありました)

 

 

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上記画像のディスクローターは見てください。

半分研磨出来ていて半分黒いままで削れていないですよね。

(それだけ歪んでいるのです。)

 

 

 

 

(限度厚を十分残して無事研磨にて再生ができました。)

耐熱塗装で化粧直し。

今回はオリジナルがシルバーなので同色で仕上げました。

 

 

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ブレーキパッドもWAKO’S BPRグリスを使用して交換。

(耐熱・耐久・防水高性能パッドグリス)

 

 

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錆が酷かったファンベルトテンショナーベアリング。

 

ベルトを外して回してみるとシャラシャラと軽い音がしているので、内部のベアリングも寿命でしょう。

 

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テンショナープーリーのみの部品供給は無く、またしてもASSY交換。(樹脂製プーリーから金属製プーリーに変更されていました。)

 

 

 

ベルトは再利用でアイドラプーリーは交換します。

 

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液体封入式エンジンマウントインシュレーター。

 

内部のオイルが漏れて本来の性能を発揮出来ていない状態です。

(E/Gに近い右のみを新品に交換しますね。)

 

 

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アイドリングを微調整するISCVを分解清掃。

 

クラッチマスターシリンダとレリーズシリンダのカップシールを交換しました。

 

 

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全ての部品を組み立てて、ブレーキ・クラッチフルードを交換。

 

 

 

MTギアオイルはNUTEC NC-70 75W90で交換しました。

冬季の朝のシフトの入りが渋いMT車にはオススメしています。

(低粘度・高強度油膜 全化学合成 エステル系 )

 

 

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アライメントリフトに移動して、アームブッシュ等のボルト・ナットを1G締付します。

 

 

整備リフトでリフトアップした状態(サスが伸びた状態)でブッシュのボルトを締付けると、着地した状態ではロアアームの角度が変わりブッシュが捻られて固定される事になります。

 

そうなると余計な負荷がブッシュに掛かり、早期に劣化が進みます。

 

 

アライメントリフトに載せてからボルトを緩めて再締付する1G締付は、必ず実施しないといけない作業でしょう。

 

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1G締付後に軽く試運転をしてショックのゴム部品を馴染ませてから、もう一度アライメントリフトに載せて調整作業に移行します。

 

 

 

 

 

ハンター社(ホークアイ WA470)アライメントテスター

 

高精度センサーカメラ4基からホイールに装着したターゲットの動きを捕捉し、アライメント数値を弾き出します。

 

 

軽量樹脂製クランプ式ターゲットを採用したWA470は、画像のようにデスク面に添えてクランプで挟むだけ。

 

ターゲットにはシリコンリングがあるのでホイール表面を傷付ける事は無く、パチッと挟むだけの簡単装着。

 

 

 

こんなアバウトな装着で正確な数値が演算出来るのも、下記の画像のように25cmほど前進させる(ローリング補正機能)と(高精度カメラセンサーX4)があるからでしょう。

 

ターゲットが前進しながら回転する動きで、ホイールのアライメント数値が演算されます。

 

このあとステアリングを左右に振ればキャスターが測定されます。

 

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その結果で弾き出された数値がこちら。

サスペンションを組み付けて1G締付しただけですから、当然バラバラな数値になっていますね。

 

このままでは折角リフレッシュしたサスペンションが機能しないと思います。

 

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・フロント トゥ

・リア キャンバー・トゥ

純正調整機構が3箇所しかないアテンザGG3S。

 

 

フロントSAI・キャスター・キャンバーは整備書通りでは調整出来ませんが、ゴニョゴニョ作業を繰り返し・・・・。

 

 

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さらにあともう少しゴニョゴニョ作業して、いい感じに調整しました。

 

 

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最後に長めの試運転とクラッチペダルの微調整をして、全ての作業が完了しました。

 

 

 

 

記録簿を記入し、作業中の画像を約200枚を編集しファイリング。(希望があれば画像をお渡ししています。)

 

納車時には画像をお見せしながら、実施した作業の説明と今後の整備課題のアドバイスしています。

 

 

 

 

 

このアテンザGG3Sはエンジン系の整備がほぼ実施済み、今回の整備で数年間はノーメンテでドライブを楽しめるでしょう。(エンジンオイル交換以外は)

 

 

 

(来年3月の車検も問題なく合格すると思います。)

(地元最安店で継続検査をしてくださいね。)

 

 

 

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本日もミナト自動車ブログ 日々是好日に

お越しいただきありがとうございます。

 

 

以前にATF交換で来店いただいた方がこう相談されました。

(他社でショックアブソーバー4本だけ交換したけど、あまりフィーリングが良くなく改善は見られなかった・・・)と。

 

 

 

・その時にバンプやマウント等の消耗部品も交換しましたか?

・アームのブッシュ交換や1G締付は実施しましたか?

・ホイールアライメントはテスターにて調整しましたか?

 

回答は全て未実施と未確認。

 

 

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ある程度の時期にある程度の費用を掛けて、リフレッシュ整備を実施すると劇的に確実にドライブフィーリングが向上します。

 

(10年・10万キロ走行しているから、自分の愛車はもうダメかな?)と思われるかもしれませんが、正しい整備を計画的に実施すれば、もともと耐久性の高い国産車ですから十分復活出来るのです。

 

上記の(確実に向上します。)をもう少し正確にお伝えすれば、(確実に新車時に近づきます。)となるのかな。

 

 

 

 

 

 

ブッシュが劣化してショックアブソーバーが機能していない車両に、高度で高額なホイールアライメント調整をしてもあまり意味はないでしょう。

またショックアブソーバーのみ交換しても同様ですね。

 

 

 

(リフレッシュプランはトータル整備の御提案)

 

(もしこの車両が私の愛車なら限られた予算でどのように整備するか?)こんな風に思いながら日々整備プランを提案しています。

 

 

HAPPY CAR LIFE!!

 

 

 

 

2018年11月26日

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